D2Cを導入する経営者が知っておきたいポイント

美容業界やアパレル業界で注目されているD2C。中小企業経営者の中には、D2Cの導入を検討している人も多いのではないでしょうか。D2Cの導入には、コストの削減や、ブランディングの統一など、さまざまなメリットがあります。

今回は、D2Cの特徴やメリット・デメリットについて紹介します。自社の業界と照らし合わせながら、参入を検討してみてください。

D2Cとは

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D2Cとは「Direct to Consumer」の略です。顧客と企業がECサイトなどを通して直接取引をするビジネス形態のことを指します。企業が顧客に直接サービスを提供するかたち自体は、飲食やサービス業では以前から行われていますが、顧客の購買行動の変化に伴い、規模の小さなメーカーでもコストを掛けずに始められることから、注目されるようになりました。特に、コスメやアパレル業界でD2Cを展開する企業が多く、小さい規模でも新しいブランドが続々と生まれつつあります。

経済産業省の電子商取引に関する調査によると、BtoCでのEC化率は2010年には2.84%だったところが2017年に約2倍の5.79%に増えており、今後もECを利用するBtoC企業が増えると予想されます。D2Cはそのような変化の中で、盛り上がりを見せつつあるビジネスモデルです。

参考:平成 29 年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)(経済産業省)

似たような言葉に「BtoB(B2B)」や「BtoC(B2C)」がありますが、Bが企業、Cが顧客を表すように、これらの用語は「取引の関係者」を表していますが、「D2C」は「商品の届け方」を指す言葉です。つまり、取引の関係者という意味ではD2CはBtoCであり、企業が直接商品を顧客に届けることを指します。

D2Cの特徴

D2Cの最大の特徴は、企画・製造・販売までを自社で一貫して行う点です。ビジネスモデルの一つである「SPA(specialty store retailer of private label apparel)」も、同じように企画から販売までが自社ですべて行われますが、D2Cでは実店舗を持たずに主にECサイトを利用することから、「EC版SPA」「オンラインSPA」ともいわれます。

インターネットが普及し、顧客の購買行動の変化に伴い、効率が良いビジネスモデルとしてD2Cが注目されています。実店舗を持たないことでコストを削減でき、企画から販売まで自社で手掛けるのでブランドの世界観を統一しやすく、より的確にメッセージを伝えられます。

D2Cは顧客の要望に沿った製品を作りやすいのも特徴です。実店舗を持っている場合、固定費や人件費を回収するために、売れやすい商品が一定数必要ですが、D2Cはその分のコストを削れるので、顧客の細かなニーズに合わせる方に注力できます。

自社のECサイトなら商品の入れ替えも簡単にできるため、コスメやアパレルといった次々に新商品を投入していく業界に向いたビジネスモデルともいえます。D2Cを導入する企業には、商品数を絞る企業が多く、少ない費用で集中的にプロモーションができることから、大手企業の商品よりも低価格で高品質な商品を売る中小企業が増えています。

マーケティングでは、ソーシャルメディアを使うことが多いようです。新聞やテレビ広告などと比較して、大きなコストを掛けずにブランド認知を期待できるからです。話題性を呼ぶような商品を発売したり、ソーシャルメディア限定のキャンペーンを展開したりする企業も多く見受けられます。

商品が話題になれば、ソーシャルメディアのユーザーによってブランドや商品名が拡散され、売り上げにも大きく影響します。D2Cを導入する企業にとっては必須のマーケティングツールといえます。

D2Cを導入するメリット・デメリット

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中小企業がD2Cを導入する一番のメリットは、「コスト削減」といえるでしょう。従来商品を一般消費者に届けるために、小売店や流通業者に支払っていた費用が必要なくなり、商品の価格を下げたり、マーケティングの費用に使ったりできます。また、実店舗を持たない分、固定費や人件費を削減できるのでコスト面で有利に経営できるのがうれしい点です。

顧客のデータを独自に収集できるのもメリットです。商品の販売を小売店に任せていると、実際に商品に関心を持った消費者のデータはなかなか手に入りにくく、効果的なマーケティングが難しいです。D2Cのビジネスモデルは、自社のECにアクセスした人の滞在時間や離脱ページを知ることができるので、購買に至るまでの効果的な施策ができます。

また、顧客との関係が密になるのもメリットだといえます。商品を直接届けたり、ソーシャルメディア上でユーザーの投稿に直接メッセージを送ったりなど、双方向のコミュニケーションが可能です。

一方でD2Cのデメリットは、実店舗で購入する場合と比べて、商品を直接自分の目で見たり触ったりできない点です。特にアパレル商品であれば、製品のサイズや素材、色といった購買に大きくかかわる要素を、写真と文章だけで確認しなければなりません。

しかし、自宅でゆっくりECサイトを見ながら買い物できるのも顧客にとってはうれしいポイントです。自社のECサイト上で、どれだけ商品のディテールを伝えられるかが腕の見せ所です。

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D2Cで成功するためのポイント

D2Cのビジネスモデルで成功するためにはどのようにすればよいでしょうか。成功するためのヒントをいくつか紹介します。

ブランドの思想を的確に伝える
インターネット上に数多く存在する製品やサービスの中で顧客に覚えてもらうには、自社のブランドを理解してもらうのが効果的です。ブランドの哲学やストーリーに共感してもらえば、単なるブランド認知にとどまらず、より親しい関係を築いて購買行動を促すことができます。D2Cの導入を検討している人は、「自社のブランドがどのような価値を提供できるか」「どのようなストーリーを届けたいのか」などを再定義して、ブランドを認知してもらいやすくしましょう。

ソーシャルメディアで効果的に集客する
D2C企業にとって効果を発揮するマーケティングツールは、ソーシャルメディアです。アパレル業界であれば、おすすめのコーディネートを毎日投稿したり、コスメ業界であれば、グッズの利用方法を紹介したりして、ユーザーの拡散を促すようにしましょう。

事例として、商品名をソーシャルメディア上に投稿しただけで、抽選でプレゼントが当選するというようなキャンペーンが話題になることもあります。共感を呼ぶ投稿を継続的に発信し続ければ、コアなファンを育成できます。

実店舗を展示場として利用する

資金が豊富にあるD2C企業の中には、実店舗を展示場として展開するところがあります。アパレルをはじめとした、実際に触れないと判断しづらい商品は、店舗をショーケースにして、顧客に実際に触れてもらう機会を増やせます。店舗で商品を確認し、ECサイトで購入する方法は「ショールーミング」と呼ばれ、近年広がりつつある購買方法です。

顧客と直接的な接点を持ちたい企業は、D2Cならではのデメリットを補うことができるショールームとしての出店する方法がおすすめです。

ECサイトへの参入が容易になりつつある昨今、コストやブランディングなどさまざまなメリットを生かせるD2Cの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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執筆は2019年4月4日時点の情報を参照しています。
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