事業の業績悪化や後継者不足などの問題から、法人を解散したいという事業者は少なくありません。この記事では、法人が解散するときの手順や気をつけたいことについて解説します。

目次



法人解散の流れ

これ以上ビジネスを続けることができなくなったとき、行われるのが「法人の解散」です。大まかには、以下のような流れになります。

  1. 解散事由の発生
  2. 株主総会による特別決議、もしくは株主全員による書面決議(株式会社の場合)
  3. 解散および清算に関わる手続き
  4. 清算結了
  5. 法人格消滅

また、法人の解散にあたっては、公的機関への届出も必要です。具体的には、以下の手続きが必要です。

  • 法務関係:法務局あてに解散登記及び清算人の選任の登記
  • 税務関係:税務署、県税事務所、市税事務所あてに解散の届出
  • 社会保険関係:年金事務所、公共職業安定所(ハローワーク)あてに届出
  • 労働保険関係:労働基準監督署あてに届出

すべての手続きが完了するには、少なくとも2カ月以上かかるため、それなりの期間と手間がかかるという点に留意しましょう。

解散理由は法律で定められている

会社の解散は、何の理由もなくできるものではありません。たとえば、株式会社については、会社法第471条において七つの解散の事由(理由)が定められています。

(解散の事由)
第四百七十一条 株式会社は、次に掲げる事由によって解散する。
一 定款で定めた存続期間の満了
二 定款で定めた解散の事由の発生
三 株主総会の決議
四 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
五 破産手続開始の決定
六 第八百二十四条第一項又は第八百三十三条第一項の規定による解散を命ずる裁判

引用:会社法第471条(e-Gov)

「第八百二十四条第一項又は第八百三十三条第一項の規定」とは、裁判所による解散命令または株主からの解散請求を指します。

上記の理由に該当する場合、必要な手続きを行うことで、「解散」することができます。ただし、法人は、解散すれば即消滅するわけではありません。法人が持っている財産を調査し、債権債務を整理する必要があります。

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清算と解雇について

精算手続きに合わせて、従業員へのケアも含めた解雇手続きについて解説します。

精算

精算とは、企業に残っているお金などの財産について、整理を行うことです。法人を解散させた時点では、法人格はまた存続しています。精算まで終わって、ようやく法的に企業を終わらせることができます。

精算の具体的な内容は、以下の四つです。

  • 現務の結了
  • 債権の取り立て
  • 債務の弁済
  • 残余財産の分配

参考:会社法第481条(e-Gov)

現務の結了とは、解散時に終わっていなかった業務を完了させることです。債権の取り立てとは、まだ支払われていなかったお金を回収することです。債務の弁済とは、借りたお金を返すことです。残余財産の分配とは、債務弁済が終わったあとも残った財産を、権利を持つ人々に分配することです。

清算人が企業が持っている財産について調査したのち、債権回収や返済の手続きに入ります。財産の整理が完了すると、「精算結了(せいさんけつりょう)」となり、法人格が消滅することになります。

解雇

会社の解散にあたっては、従業員の解雇も行われることになります。法人格が消滅するのは清算が完了したあとですが、実際は、清算結了を待たずに従業員解雇が行われるのが一般的です。解雇にあたっては、過去の判例に基づき、「整理解雇の四要件」を満たす必要があります。

  • 人員整理の必要性 (必要性があること)
  • 解雇回避努力義務の履行 (解雇にならないよう、あらゆる努力をしたこと)
  • 被解雇者選定の合理性(選定基準に合理性があること)
  • 解雇手続の妥当性(労働組合としっかり協議したこと)

事業者は、従業員から解雇について納得を得られるように、誠実に説明義務を果たし、ケアを行うことが求められます。

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株式会社・合同会社・社団法人など各種法人の違いについて

次に、法人の形態ごとに、解散の事由の違いなどについて解説します。

株式会社の解散

株式会社の解散事由については、前述のとおりです。株式会社の場合は、各手続きにおいて「株主総会での決議」が必要となります。解散すること自体への決議はもちろんのこと、「財産目録および貸借対照表の承認」「決算報告」も対象です。また、「官報公告」を出して、解散について周知する必要があります。残余財産は、株主に分配されることになります。

解散登記および清算結了に関する登記申請書については、法務局のホームページからダウンロードできます。

合同会社の解散

合同会社の解散は、株式会社の解散とほぼ同じ手続きとなります。合同会社の法定解散事由は、以下の七つです。

第六百四十一条 持分会社は、次に掲げる事由によって解散する。
一 定款で定めた存続期間の満了
二 定款で定めた解散の事由の発生
三 総社員の同意
四 社員が欠けたこと。
五 合併(合併により当該持分会社が消滅する場合に限る。)
六 破産手続開始の決定
七 第八百二十四条第一項又は第八百三十三条第二項の規定による解散を命ずる裁判
会社法

引用:会社法第641条(e-Gov)

解散の事由が発生したのち、合同会社は清算人を選出します。その後、債務の弁済や残余財産の分配などを行ったあと、社員の承認を得た上で、清算結了となります。法務局や税務署、県および市税事務所、労働基準監督署などに必要な届出を行い、解散に伴う手続きが終了します。

合同会社の解散登記および清算結了に関する登記申請書については、法務局のホームページからダウンロードできます。

一般社団法人の解散

一般社団法人など場合も、解散の事由があって解散し、法人格消滅には清算結了が必要となります。

(解散の事由)
第百四十八条 一般社団法人は、次に掲げる事由によって解散する。
一 定款で定めた存続期間の満了
二 定款で定めた解散の事由の発生
三 社員総会の決議
四 社員が欠けたこと。
五 合併(合併により当該一般社団法人が消滅する場合に限る。)
六 破産手続開始の決定
七 第二百六十一条第一項又は第二百六十八条の規定による解散を命ずる裁判

引用:一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(e-Gov)

「第二百六十一条第一項又は第二百六十八条の規定」とは、解散命令、もしくは解散の訴えのことです。注意点として、一般社団法人の場合、残余財産の取り扱いが、株式会社や合同会社と少し異なります。

第二百三十九条 残余財産の帰属は、定款で定めるところによる。
2 前項の規定により残余財産の帰属が定まらないときは、その帰属は、清算法人の社員総会又は評議員会の決議によって定める。
3 前二項の規定により帰属が定まらない残余財産は、国庫に帰属する。

引用:一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(e-Gov)

残余財産は、株式会社では株主へ、合同会社では出資額に応じて社員へ分配されることになりますが、社団法人の場合は、国へ分配される可能性があるということです。

一般社団法人・財団法人の解散登記および清算結了に関する登記申請書については、法務局のホームページからダウンロードできます。

一般財団法人の解散

一般財団法人の場合も、法人格消滅までの流れは他の法人とあまり変わりません。

(解散の事由)
第二百二条 一般財団法人は、次に掲げる事由によって解散する。
一 定款で定めた存続期間の満了
二 定款で定めた解散の事由の発生
三 基本財産の滅失その他の事由による一般財団法人の目的である事業の成功の不能
四 合併(合併により当該一般財団法人が消滅する場合に限る。)
五 破産手続開始の決定
六 第二百六十一条第一項又は第二百六十八条の規定による解散を命ずる裁判

引用:一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(e-Gov)

このほか、財団法人の場合は、ある事業年度および翌事業年度で、純資産額がいずれも300万円未満となった場合においても、解散することが法律で定められています。

事業悪化などでビジネスを続けることが難しい場合、廃業・解散も選択肢に入るでしょう。どんな形態の法人であったとしても、法人格を無くそうとする場合は「解散の事由の発生」のほか、「清算結了」が必要となります。また、解散にあたっては、従業員に対して誠実なケアを行うことも重要です。また、詳しい手続きは専門家に相談することをおすすめします。

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執筆は2020年12月18日時点の情報を参照しています。
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