昨今、個人経営の飲食店でも導入が進んでいるモバイルオーダー。お客さまが自身のスマートフォンから注文できる便利なシステムである一方、導入検討の際には「導入のメリットや効果は?」「どんな店舗に向いている?」「実際に使いこなせるだろうか?」など、さまざまなポイントが気になるものだろう。
こうした疑問の解消に役立つ機会として、Squareは「funfo」と共同で、モバイルオーダーの体験イベント「Smart Restaurant」を2025年10月27日(月)、東京・竹橋の111(ichi ichi ichi)にて開催した。funfoは、飲食店向けのPOSレジとモバイルオーダーのアプリだ。Squareと連携させることで、funfoで受けたモバイルオーダーのお支払いをSquareの決済端末で処理できるようになり、多様な決済手法に対応できるようになる。
今回のイベントでは、導入を検討している飲食店事業者の方々に向けて、Squareとfunfoの使い心地を体験できる対面式のデモンストレーションを実施。フリードリンク、フリーフードが提供される和やかなムードの会場では、気軽に実機に触れながらさまざまな質問をする姿が見られた。

また、トークセッションでは、funfo、Squareの担当者と共に、すでにfunfoとSquareを連携させて活用している加盟店の経営者2名が登壇。それぞれの導入経緯や活用の工夫、導入後の効果や実感しているメリットなどがたっぷりと語られた。ここでは、導入事例のリアルが伝わるトークセッションの内容をご紹介する。
▼登壇者
加盟店:Unagi House 志の家 オーナー 辻 光洋(つじ・みつひろ)さん
インタレスト株式会社 リナトキッチン 代表 二瓶寛弘(にへい・もとひろ)さん
funfo担当者:横田裕也(よこた・ゆうや)さん
Square担当者: 尾崎裕(おざき・ゆう)

未経験オーナーが挑む。スマートツールで鰻体験(Unagi House 志の家 さま)
2024年11月、東京・錦糸町にオープンした「Unagi House 志の家」。スカイツリーにも程近いこの地に、上質で新鮮な国産鰻をリーズナブルに楽しめる店が誕生した。驚くべきは、オーナーの辻光洋さんが「飲食業の経験ゼロ」からスタートしたことだ。
「コロナ禍の中、知人から飲食業を一緒にやらないかと誘われ、今後、伸びそうな業態として鰻のファストフード店を見学しに行きました。しかし、実際に食べてみると味に納得がいかなくて。そこから鰻に興味を持ち、いろいろ調べていくうちに愛知県産の養殖鰻に出会い、その柔らかい身の美味しさに衝撃を受けたのです。『これだ』と思い、本当に美味しい国産鰻の店をつくろうと決めました」(辻さん)
そう語る辻さんは、思い立ってからわずか半年の間に開業準備を進めた。鰻のさばき方や焼き方は、YouTubeの動画で学んだという。
「昔は店で修行するしかなかったけれど、今は臨場感のある動画で学ぶことができます。もちろん修行は大事だと思いますが、実際に鰻に触れられるまでに時間がかかります。そこで、私は3カ月間、動画を見ながら独学で鰻の扱い方を身につけました。ですから、私の師匠はYouTubeなんですよ。当初は苦労しましたが、経験を積むことで今では『ライバルは老舗』と思えるくらいになりました」(辻さん)
現在、鰻の調理はすべて自ら行い、納得のいく味を提供し続けている。さらに、お客さまとの会話も大事にし、接客にも注力。外国人観光客も多い立地のため、モダンな内装の店内には世界地図を置き、出身地にピンを刺してもらったり、写真を撮り合ったりなど、楽しく交流できる場をつくっているという。
「お迎えやお見送りなども含め、お客さまと会話する時間はとても重要です。今は技術革新によってさまざまなツールが発達しているので、funfoやSquareのようなサービスを上手に活用しながら、よりお客さまに楽しんでいただくためのサービスに注力していくことが大事だと考えています」(辻さん)

直感的なUIでアルバイトも即戦力に
Unagi House 志の家は、カウンター5席、テーブルが16席で、店舗の規模感は大きくはない。しかし、辻さんは、さまざまな人から「決済システムは導入すべき」と勧められたこともあり、開業のタイミングで大手企業が手掛けるPOSレジ・システムとキャッシュレス決済端末を導入したという。
「とにかく時間の余裕がなかったので、大手なら安心だろうと考えて導入しました。しかし、飲食業に特化したものではなかったために使いにくく、アルバイトのスタッフが注文・会計関連でミスをすることも多かった。また、システムにバグが発生したときに相談窓口に電話してもなかなかつながらないことや、手数料や月額の利用料金が高いことにも問題を感じていました。もう少し調べれば良かったと思いましたね」(辻さん)
その後、funfoとSquareを知り、操作性の簡単さと、手数料・利用料金料の安さに惹かれて切り替えることに決めたという。
「個人経営の店舗なので、コストが安いという点に大きなメリットを感じました。また、操作が簡単で安定して使えることも重視しました。実際、導入後はスタッフもすぐに使いこなせるようになりましたし、バグも発生していません。また、便利な機能がたくさんあるので、利用料金に対してサービスのクオリティが高いと感じます。まだ使い切れていませんが、現時点でも十分に役立っています」(辻さん)
funfo担当者の横田さんによれば、使い勝手の良いUIかどうかは、導入検討時点ではなかなか伝わりにくく、どれを選ぶべきか判断しにくいものだという。
「私たちのプロダクトチームでは、他社と差別化を図るためにも、UIの管理画面を見やすく使いやすいものにすることに注力しています。しかし、言葉ではなかなか伝えにくく、まずは触ってみて、そして継続して使っていただく中で気づいていただけることが多いのです」(横田さん)
funfo×Square連携で現場ストレスを軽減
funfoのPOSレジとSquareの決済端末を導入した際には、連携活用でモバイルオーダーも利用することに。導入後には注文・会計のミスや手間がなくなり、ストレスも大きく軽減されたという。
「コスト削減できたことはもちろんですが、導入後の効果としては、接客に使える時間が増えたことが最も大きいと感じています。お客さまとの会話や、お迎え、お見送りなどの大事なところに時間を使えるようになりました。お客さまとの時間を増やすことは、味以上にも重要だと感じることもあります」(辻さん)
Square担当の尾崎によれば、funfoとSquareを連携活用させることに現場の課題解決へのキーがあるという。
「POSレジのみ、決済端末のみを導入する方は多く、連携させていないことによって、売上会計のミスが発生したり、POSレジと決済端末の数字が合わず、現場で混乱が生じたりするケースも少なくありません。飲食店事業を経営する皆さんに共通のお困りごとといるかもしれません。また、Squareの決済端末は、クレジットからコード決済、電子マネー決済まで、何でも使えることもポイントです」(尾崎)
Unagi House 志の家では、扱う商品が鰻のため、高齢のお客さまが多く、現金決済もまだまだ多いが、「キャッシュレス決済の割合は次第に増えている」と辻さん。
「スカイツリーに近い立地のため、インバウンドのお客さまも増えてきています。キャッシュレス決済の端末があるのは、やはりいいですね。海外の方には鰻のタレの甘じょっぱい味が好評だと肌で感じているので、今後は食べてもらうだけでなく、焼いてみたり、ご飯を炊いてみたりするなどの鰻体験も楽しんでもらうような企画もやってみたいと思っています」(辻さん)
NOと言わない哲学によるリナトキッチンの柔軟運営(リナトキッチン さま)
今回のもう一人の登壇者は、インタレスト株式会社の代表・二瓶寛弘さん。東京都・世田谷区のリナトキッチンをはじめとするカフェ・レストランの運営、百貨店などでの惣菜・弁当販売、病院に向けた給食事業、イベント運営など、幅広い事業を展開している。
「かつてシガーバーで働いていた頃から、自分で飲食事業をやりたいと考えていて、約13年前、リナトキッチンをM&Aで買収しました。もともとリナトキッチンは恵比寿にあり、女性向けの複合施設として、飲食店、託児所、スパなどを展開していましたが、これまで女性向け複合施設として飲食店・託児所・スパなどを展開してまいりましたが、より多くのお客様に喜んでいただけるサービスを追求する中で、飲食事業に特化して運営していくことにしたのです」(二瓶さん)
事業を引き継いだ際には、女性やママを応援するコンセプトを継承。有機野菜などの材料にこだわり、居心地のいい空間で体にやさしい食事を提供しながら、日々、お客さまの要望に応えていくことを心がけていたと話す。
「すでに予約で一杯の人気店だったので、そのとき、そのときの時代背景にアジャストしながら進めていくことを意識していましたね。加減を整えるために、“いい意味でのいい加減”さを大切にしようと考え、日々、お客さまの要望をかなえ、NOと言わないことを基本方針として運営してきました」(二瓶さん)
その後、リナトキッチンは代官山に移転。さらに、2023年、東京・世田谷区にてJRAが運営する馬事公苑内の現店舗に移転を果たす。1階は売店、2階にレストランを設けている。席数は150席以上あり、テラス席ではメインアリーナで行われる馬術の競技大会などを見ながら食事を楽しむこともできる。
「世田谷という場所柄のためか、平日のお客さまはほとんど女性です。週末は、馬術大会が開催されることもあり、その関係者や家族連れなども多く訪れますが、女性が8〜9割を占めています」(二瓶さん)

200坪の店舗を4人で回す現場が選んだ“funfo一択”の理由
リナトキッチンを馬事公苑に移転したときには、Squareの決済端末だけを使っていたという二瓶さん。なぜfunfoとSquareを連携させる活用方法に切り替えたのだろうか。
「店舗の規模が大きく、面積も広大なため、スタッフがオーダーを取りに行くのに時間がかかり、それがお客さまのストレスになっていると感じました。セルフオーダーの仕組みを使って、お客さま自身オーダーしていただけるようになれば、ストレスを軽減できると考えたのです」(二瓶さん)
また、千葉県・幕張にオープンしたベイポイントカフェも、200坪という大規模な店舗だったという。
「当時、スタッフ4名で回していましたが、こちらもモバイルオーダーシステムを使っていなかったので、とても大変でした。オフィスビル内の店舗だったので、11時半くらいになると一気にお客さまが来店してしまい、現場はしっちゃかめっちゃかでしたね」(二瓶さん)
そこで、現場のスタッフにさまざまな決済システムを調べてもらうことにしたという。その結果、最も使いやすいものとして上がってきたのがfunfoだった。
「スタッフに最も使いやすいものを選んでもらいました、結論は『funfo一択』でした」(二瓶さん)
これに対し、funfo担当の横田さんは「現場のスタッフに使いやすいことが重要」と話す。
「レジは、飲食店にとっての基幹システムといます。しっかりとした機能はもちろん必要ですが、現場のスタッフにとって使いにくければ意味がありません。私たちは、なるべく操作をシンプルにすると同時に、必要な機能を備えていることにも重きを置いて開発をしています。スタッフの方に選んでいただけたことは、私たちが目指す理想の形を実現できていると感じました」(横田さん)

少人数運営でも実現したfunfo×Squareによる“効率と販促”の両立
二瓶さんは、馬事公苑のリナトキッチンと幕張のベイポイントカフェにfunfoを導入し、Squareと連携させてモバイルオーダーの仕組みを実現。その結果、業務効率や販促面で明確な効果を得ることができたという。
「馬事公苑の店舗は、現状、15~16名のスタッフで回しています。一方、幕張の店舗は、現在は席数をさらに増やし、ランチタイムだけで200〜300人が入店されることもありますが、5人のスタッフで回せるようになりました」(二瓶さん)
モバイルオーダーのシステムを導入した当初、お客さまの抵抗感はなかったのだろうか。
「お客さまにとっては『自分のスマホにアプリを入れるのが手間に感じる』『クレジットカードの登録が面倒』というところもあるようでした。しかし、一度入れてしまえばラクなんです。テーブルで自分のスマホからお会計ができますし、レジに置いているスクエアで会計することもできますから」(二瓶さん)
funfoのアプリを使って会計を終えた場合は、その画面を見せてもらうことにしているが、テーブル会計を希望しない人もいるという。その場合は、レジに置いているSquareで会計することができるため、お客さまの選択肢を増やすことにもつながっている。
「その場に応じた決済ができることがメリットですね。お客さまのストレスを軽減でき、スタッフにとっても便利になったと思います」(二瓶さん)
Square担当の尾崎によれば、テーブル決済にSquareを活用する方法もあるという。
「funfoはSquareのターミナルと連携しており、コードレスで持ち運ぶことができます。『テーブル席で自分のスマホを使わず決済したい』という希望があった場合には、ターミナルをお持ちしてその場で決済することもできます。決済端末を柔軟に利用できる点は、加盟店のみなさまからもご好評いただいております」(尾崎)
一方、funfoのアプリを使ってもらうことは、売り上げの面でもプラスに働いていると二瓶さんは話す。
「私自身が特に効果を感じているのは、funfoのアプリ経由で公式LINEの登録者数を増やせることです。1年間で登録者数は1万人くらいになりましたし、利用後にブロックする人はわずか数パーセントなんですよ。馬事公苑の店は、広大な公園の中にあるので、さまざまなお知らせを公式LINEで送ることにしています」(二瓶さん)
たとえば、雨の日サービスの実施や、馬場に馬が出ているかどうか、さらに馬事公苑で開催されるイベントなどのお知らせを送っているそう。
「公式LINEの登録者1万人に『雨の日にキッズメニューを無料にします』という情報を流すと、それを見て1日につき10〜15名程度のお客さまが来店されます。無料サービスを提供しても、客単価は2,000円〜3,000円くらいになるので、売り上げにつなげやすくなりましたね」(二瓶さん)
1万人規模も対応。funfo×Squareで「待たせない」運営
二瓶さんは、モバイルオーダーのサービスをより充実させるために、NFCタグ決済も導入している。
「私は、QRコードをカメラで読み取る動作はスマートではないと思っているので、NFCタグの専用のアクリル板を作成しました。スマホをタッチするだけでfunfoにつながり、よりスマートに見えると考えたので、導入することにしたんです」(二瓶さん)
funfoのモバイルオーダーをより活用し、お客さまの選択肢をより広げているが、加えて、イベント時にはお客さまの利便性を高めるべく、Squareの端末を積極活用していく工夫もしているそう。
「馬事公苑では、1日1万人〜3万人が来場するような大規模なイベントも開催されます。スムーズに対応できるよう、当日にはSquareの端末を活用してレジを増やし、お客さまの待ち時間やストレスを軽減しています。また、屋外への出店などで、いくつもの店舗を設置することもあるので、こちらもSquareで対応しています」(二瓶さん)
これに対し、funfo担当者の横田さんは、「持ち運べるターミナルは、Squareの強み」と話す。
「ターミナルはWi-Fiでつなげるので、持ち出しができます。他社の場合は有線で持ち運びできません。これはSquareの強みだと思いますし、私たちfunfoでも、サービス連携の強みを活かして、開発時には画面の切り替え速度の向上などにも注力し、他社との差別化を図っています」(横田さん)

また、Square担当者の尾崎によれば、「端末の入手しやすさ」もSquareのメリットだという。
「たとえば、Squareの場合は、もしも端末が壊れたとしても大手通販サイトや量販店などの実店舗で販売しているため、そこですぐに入手することができます。また、新規店舗に導入する場合は、営業許可証などの関係で出店予定を早めなくてはならないこともあり、『審査に間に合わない』というケースもあります。Squareなら、最短なら即日に審査に通りますし、翌日には届きますから、こうした状況があっても対応できます」(尾崎)
二瓶さんは、今後もfunfoとSquareを上手に活用していくと話す。
「昨今の飲食店は、物価高などの問題もあり、いろいろと大変な状況ではありますが、そこに負けない会社づくりを目指していこうと思っています。また、2026年には、愛知県でアジア競技大会が開催されますが、馬術の競技は馬事公苑で行われます。私たちは20カ国の選手団を受け入れ、料理を出していくことを予定しているので、そこでもfunfoをうまく活用しながらスマートに対応できるようにしていきたいですね」(二瓶さん)
人とテクノロジーの融合で実現するスマート・レストラン
今回のイベント「Smart Restaurant」にちなみ、辻さん、二瓶さんが考える「スマート・レストラン」についてそれぞれ語っていただいた。
「そもそも私の店は、人が手で仕込む鰻を扱っているので、決してスマートではないですよね。昔からの鰻屋の流れがあり、そこの技術革新は無理ですから、美味しいものを提供するためにはそれでいいと思っています。ただし、その他の部分はどんどん進化していくといいと考えています。ホールや接客の部分で手助けになるさまざまなツールによって、無駄な時間を減らせるのはすごいことだと思いますし、そのほうがいい店ができる。うちの店は小さい店だけど、やっぱりfunfoとSquareは必要ですね」(辻さん)
「スマート・レストランとは、かゆいところに手が届くような店でしょうか。こうしたテクノロジーを活用することで、お客さまとスタッフの利便性が向上し、そんな店を実現できる。特に、うちの店は規模が大きく、お客さまとスタッフの接点が少なくなってしまうことに問題があると考えているので、そこをカバーしたいと思っています。とはいえ、ご年配のお客さまも多いので、funfoが使えない場合などにもしっかり対応し、それぞれのお客さまに合わせた対応を心がけていきます」(二瓶さん)
人との触れ合いもありつつ、ツールやテクノロジーを活用し、効率化してよりスマートにしていく。そんな二人の登壇によって、スマート・レストランは、人の温かさとつながっていることが伝わった。飲食事業者がfunfo、Squareをはじめとする多様なテクノロジーを活用することで、今後のビジネスがさらなる発展を遂げていく。そんな未来に期待しながら、飲食業界の進化を応援していきたい。

