ほぼ日 「生活のたのしみ展」 | Square POSレジ導入事例

「生活のたのしみ展」は、株式会社ほぼ日が主催するコンテンツフェスティバル。ほぼ日といえば、コピーライター・糸井重里さんが主宰するウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞(現:ほぼ日)」や「ほぼ日手帳」が広く知られている。

そのほぼ日が手がける「生活のたのしみ展」は、2017年3月に第1回が開催されて以来、2025年1月で第8回を迎えた。このイベントの特徴は、フェス形式でありながら集合レジで会計を行う点にある。第8回では、全体で約60台のSquareの決済端末を用いて、レジ待ち時間の削減と収益の向上を図った。

その裏にあるほぼ日ならではの思いや、大規模イベントでSquareを活用するメリットについて、第1~8回「生活のたのしみ展」の運営マネージャーを務めた西田佳人さん、第8回レジリーダーの佐久間遼さん、売上データ管理を担当した宮佑太さんに話を伺った。

業種 コンテンツ制作・編集、小売業、EC・通販、イベント企画・運営
利用場面 イベント
使用しているSquareのサービス Square POSレジ(リテールモード)Square ターミナルSquare API
目次


「たのしみ」を形にする——ウェブからフェスへ、「生活のたのしみ展」

ほぼ日刊イトイ新聞は、1998年6月に開始された無料のウェブサイトである。インターネット普及期の象徴的な存在として、糸井重里さんの読みやすく、心をくすぐる文章が無料で毎日更新されることは、当時の人々にとって新鮮な体験だった。以来、ほぼ日はウェブを通じて人々が集う「場」をつくり、「いい時間」を提供するコンテンツを発信し続けている。

この「場づくり」の哲学は、2001年に販売開始した「ほぼ日手帳」(2002年版)へと広がった。薄くて書きやすい「トモエリバー」の紙を採用し、1日1ページというスタイルを確立。発売当初1万2千部だったが、支持され続け、2024年版は90万部を販売するまでに成長した。日本語版だけでなく、英語版・中国語版が北米・アジア・ヨーロッパで展開されている。

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▲シンプルかつ洗練されたデザインで、開けばなにかを書き込みたくなる「ほぼ日手帳」(写真提供:株式会社ほぼ日)

「大雑貨展みたいなことをやりたい」という糸井さんの言葉をきっかけに、ほぼ日はオンライン上のコンテンツ(読みものや商品)の枠を超え、「リアルな場」へと進化していった。それが「生活のたのしみ展」につながったのである。ほぼ日がウェブの世界で培ってきた世界観が、そのまま目の前に創り出されたのだ。2025年1月の第8回では約60の店舗・出店者が参加し、新宿住友ビル三角広場の広大な屋内空間を活用したイベントとなった。

「『生活のたのしみ展』では、衣料品、食器、食品、アパレル、文房具、ジュエリーなど幅広い商品が並び、ワークショップやアーティストとのコラボレーションも実現してます。スタッフの“これができたらうれしい。やってみたい!”というアイデアが形になることもたくさんあります。たとえばポテトチップス好きのスタッフの発案で湖池屋さんとほぼ日の『できたてあげたてほぼ日直送便』が実現しました。これに驚くほど反響があり、たくさんのかたが手に取ってくださったんです」(運営マネージャー・西田さん)

ウェブの世界では、各ユーザーが自由に好きなものを検索し、選び、購入する。そんなウェブの流れから生まれた「生活のたのしみ展」だからこそ、それぞれがそれぞれの「たのしみ」を見つけられることが重要視されているのだろう。

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▲2025年1月に開催された第8回「生活のたのしみ展」(写真提供:株式会社ほぼ日)

特筆すべきは、約60の店舗が出店するフェスでありながら、「集合レジ」という形式を採用していることだ。

「フェスでの物販は、店舗ごとに会計するのが一般的です。でも、『生活のたのしみ展』ではイベントの空間全体で“世界観”を共有するために、集合レジを導入しました。お客さまにより良い体験をしていただくことを優先すると、一つのレジで会計するほうがこの世界観を崩すことなく、最後までたのしんでいただけると思ったんです」(西田さん)

ただし、店舗ごとのレジに比べると、集合レジは「合計金額がわかりやすくなる」ため、お財布の紐が堅くなることもあるという。

「店舗ごとの会計のほうが売り上げが良い傾向にあります。ただ、ほぼ日では売り上げよりも世界観やお客さまの体験を優先し、この方式を選びました。その結果、2025年1月のイベントでは、45台の決済端末を使った集合レジの形になりました(※)」(西田さん)

※ジュエリーエリアや飲食エリアなどは個別会計となるため、合計では約60台となる。

「生活のたのしみ展」は、単なる物販イベントではなく、ウェブからリアルへと広がった「場」をつくる試みであり、そのたのしさこそがほぼ日らしさなのかもしれない。

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▲第1回から第8回まで「生活のたのしみ展」の運営マネージャーを務めた西田佳人さん

はじめてのレジスタッフも、最短15分で即戦力に

45台の決済端末を使った集合レジを担ったのが、Squareの決済端末「Square ターミナル」だった。2023年開催の第7回「生活のたのしみ展」までは、他社の決済システムを使用していたが、商品データの変更をリアルタイム化したり、エラーを減らしたり、効率を最大化することを目指して、第8回の生活のたのしみ展ではSquareの導入を決定した。

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▲「生活のたのしみ」を探すたのしさを味わう人々でにぎわう「生活のたのしみ展」(第8回)(写真提供:株式会社ほぼ日)

実は、以前からSquareのユーザーインターフェイス(以下、UI)のわかりやすさに惹かれ、導入を検討したものの、当時はレンタル対応(※)がなく、約60台の機器を購入することになるため、導入を断念した経緯がある。イベントは1年から1年半ごとに、約1週間の開催となるので、機器の保管場所や劣化リスクを考慮する必要があった。そんな中、2025年1月の「生活のたのしみ展」に向けた準備期間にSquareがレンタルを開始し、導入が決定された。

※Squareの​端末のレンタルについては、営業チームにお問い合わせください。また、こちらから申し込むこともできます。

「やはり、SquareはスマートなUIがいいですよね。もともと、2023年の第7回ではジュエリーエリアだけSquareを導入していたんです。ジュエリーエリアは高額商品が多く、エリア内で独立した会計をする必要があったため、数台を購入して使用していました。Square ターミナルのシンプルなデザインは『生活のたのしみ展』の世界観を崩さず、とても良いと思いました。

もう一つ、Square導入の大きな決め手となったのが、一つのマスターに対してバーコードを2つ登録できることでした。ほぼ日の商品には、通常のJANコードと独自発行のインハウスバーコードの2種類があり、特にインハウスバーコードにはアルファベットが含まれるため、従来のレジでは読み込めないという課題がありました。これを解決できるシステムを選ぶことが必須だったのです」(西田さん)

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▲スタイリッシュなデザインのSquare ターミナル

第8回の集合レジ導入にあたっては、はじめて使用するという点で運用面の不安が少なからずあった。さらに、レジ業務を統括していた経理部門のスタッフが現場に出向けず、決済端末の扱いに不慣れなアルバイトも少なからずいる状況だった。そんな中、レジのリーダーに選ばれたのが入社間もない佐久間さんだった。

「Squareの決済端末は“言葉にしなくてもわかる”くらいシンプルなUIで、とても助かりました。最短で15分、きっちりロールプレイングをしたとしても約30分でレジ業務を任せられるようになりました。説明が少なくて済んだというのは、短期決戦には抜群だったと思います」(レジリーダー・佐久間さん)

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▲第8回「生活のたのしみ展」のレジリーダーを務めた佐久間遼さん

Squareの直感的な操作性とスムーズな導入プロセスは、イベント運営の負担を大幅に軽減し、運営側の効率化に貢献した。短期間で実施されるイベントにおいて、レジシステムの「わかりやすさ」は、スタッフの習熟度や顧客対応のスピードに大きな影響を与える。Squareの導入により、決済のスムーズさだけでなく、イベント運営の負担を減らし、より快適な買い物体験を実現することができた。

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エラーのほとんどを初日にスムーズに解決!心強い導入支援

第8回「生活のたのしみ展」で新たにSquareを導入するにあたり、レジリーダーを務めた佐久間さんには予期せぬエラー発生時の対応に不安があった。そこで、大きな役割を果たしたのがSquareの導入支援である。

「Squareの導入支援(※)では、事前の準備と初日の3時間、専門のスタッフの方に来ていただきました。セットアップの準備はすべて対応していただけましたし、初日もスムーズに会計を進めることができました。たとえば、バーコードリーダーが読み込めなくなった際には、解消するための特定のバーコードがあることを教えてもらい、その場で解決できました。

また、QRコード決済の通信エラー時にも的確なバックアップや確認方法を教えていただきました。導入支援による手厚いサポートにより、初日の3時間で会期中に起きるエラーのほとんどが解決した感覚があります。1日目に発生したエラーのほとんどが2日目には起きなくなったからです。なにより、わかっている人がそばにいてくれるだけで安心できたのが大きかったですね」(佐久間さん)

※Squareの導入支援として、専門スタッフが現地にお伺いし、オンサイトでのサポートを実施する場合は、別途料金が発生します。詳細については、​営業チームまで​お問い合わせください。

これまでの課題を克服し、運営負荷を大幅に軽減できたことで、第8回「生活のたのしみ展」はよりスムーズな決済と、快適な買い物体験を提供できるイベントへと進化した。実際、第7回では36台で最大約1時間かかっていた会計待ちの列が、Squareを導入した第8回では45台と台数を増やし最大約30分強までに短縮された。

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(写真提供:株式会社ほぼ日)

1万点以上のSKU登録は、担当者一人で即座に完結

第8回「生活のたのしみ展」でSquareを導入したことによるメリットとしては、商品登録の容易さも挙げられる。従来の決済システムでは、業者に登録作業を依頼しなければならず、手間と時間がかかるのが課題だった。実際、以前は約2日かかっていたが、Squareを導入したことで、担当者1人で膨大な商品登録作業を即座に完遂できるようになった。

「Squareでは、約8,000 SKU(全商品で約12,000 SKU)を、一つのCSVファイルでまとめて登録できたんです。『OK、できた!』という速さでした。この一括登録ができるシステムはかなり画期的でした」(西田さん)

また、商品登録時のエラー処理についても、以前の決済システムでは手作業での修正が必要だったが、Squareの導入により大幅に効率化された。

「Squareの商品登録ではエラーが起きたものだけをエクセルで抽出できて、間違っている箇所も明示されるので、その部分だけ再登録すればいいんです。これがかなり便利でした」(西田さん)

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クラウド連携で手動の更新作業が不要に

商品情報の変更や追加作業もSquareの導入により簡潔化された。以前の決済システムでは、担当者が全レジを回り、約20分かけて手動で更新ボタンを押す必要があったが、Squareではそれが不要だからだ。

「商品の追加や変更があった際も、Squareではスマートフォンを使って現場で即座に商品情報を修正・反映できました。クラウド上で連携されているため、リアルタイムで全レジに反映されるんです。これは大きな利点でした。レジ1台ずつ手動で更新しなければならないと、その間はレジが止まり、列が進まなくなります。それをSquareの導入によって解決することができました」(西田さん)

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この機能は、特に短期イベントでの運営効率を飛躍的に向上させることにつながる。商品の登録・変更の手間を減らし、リアルタイムでのデータ反映が可能になったことで、イベントの運営をよりスムーズにすることができた。

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▲第8回「生活のたのしみ展」集合レジの決済風景(写真提供:株式会社ほぼ日)

返品も返金も、レシートのバーコードを読み込むだけで即対応

第8回「生活のたのしみ展」では、小売業に特化したSquare POSレジ(リテールモード)を導入した(※)。その大きな決め手となったのは、レシートへのバーコード付与機能だ。

※Square POSレジには飲食店や​小売店など、​​ビジネスニーズに​特化したモードがあります。小売店向けのSquare POSレジを利用したい場合は、「リテールモード」をご選択ください。

「Square POSレジ(リテールモード)だと、レシートにバーコード付与機能があることがイベント運営に最適と考えました。返金や問い合わせの際に、レシートのバーコードをスキャンするだけで、顧客データと会計情報を即座に呼び出せるんです。そのため、サービスカウンターでの対応がかなり効率化されました」(西田さん)

特に、イベント初日に頻発した割引クーポンの適用エラーの対応において、この機能が大きな役割を果たした。

「イベント初日は、割引クーポンの適用ミスが想定していた以上に発生してしまったんです。でも、レシートのバーコードをスキャンすることで、購入履歴を即座に確認できたので、対応がスムーズに進みました」(西田さん)

Square POSレジ(リテールモード)の導入により、レジのミスや返品対応がスムーズになったことは、単なる業務効率化にとどまらず、お客さまの信頼確保にもつながる重要な要素となった。

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▲Square POSレジ(リテールモード)

Square APIで自社システムを構築—手動での更新作業が不要に

第8回「生活のたのしみ展」では、決済システムを刷新し、SquareのAPI連携を活用した自社システムを構築した。従来のシステムでは、売上データを手動でエクスポート・加工・入力する必要があり、リアルタイムの把握が困難で、柔軟な運営が難しかったからだ。

「SquareのAPIは“読み解けばなんでもできる”くらいデータが豊富で、使い勝手が非常に良かったことが、システム構築の鍵になりました」(売上データ管理担当・宮さん)

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▲第8回「生活のたのしみ展」の売上データ管理を務めた宮佑太さん

Square APIの導入により、イベント運営の効率化、売上管理の最適化、運営判断の迅速化が実現し、データを活用した柔軟なイベント運営が可能になった。

「SquareのAPI連携を活用した自社システムにより、SKU(最小在庫管理単位)ごとの売上データを自動取得し、ニアリアルタイムでの分析が可能になりました。実際、現場では各企画の担当者がスマートフォンから最新データを確認し、適切な商品の追加発注を行っていました。これは、単なるコスト削減や業務効率化以上に、ゼロから価値を生み出せた実感があります」(宮さん)

リアルタイムの分析は集合レジの効率化にも役立てることができた。

「SquareのAPI連携は大変ありがたかったです。取引件数(会計回数)データをほぼリアルタイムで確認できることで、レジの最大稼働時の待ち時間や、スタッフの休憩時間の調整など、現場の状況を正確に把握しながら判断を素早く下せるようになりました」(佐久間さん)

さらに、後日、経理チームがAPIを活用し、財務レポートを自動作成できるようになったことで、会計業務の負担の大幅軽減にもつながった。

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Squareで広がる可能性

「生活のたのしみ展」でのSquare導入は、イベント運営に大きく貢献した。しかし、Squareの活用はここで終わるわけではない。今後、さらに多様なイベントや販売機会での活用が期待されている。

「『生活のたのしみ展』のような大規模イベントだけでなく、『ほぼ日手帳』などの発売時のポップアップイベントや、自社ギャラリーでのイベントなど、今後もSquareを使う機会は増えると思います」(佐久間さん)

特に、新たな取り組みとしてスタートしたキャンプグッズブランド「yozora」のようなアウトドアでの取り組みが多い事業でも、Squareの柔軟な決済システムが活躍することが予想される。

「Squareがあればイベントでの販売がスムーズになりますし、その安心感が社内にも広まっています」(佐久間さん)

また、決済データのリアルタイム管理を可能にしたSquareのAPI連携は、今後さらに詳細な分析へと進化させる予定だ。

「将来的には、1台ごとの平均会計時間などをより細かく分析し、運営の効率化や顧客体験の向上を追求したいと考えています」(宮さん)

イベント運営の最適化だけでなく、データを活用した意思決定の迅速化も進められる見込みであり、Squareが今後の可能性を大きく広げていくことが期待されている。

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「Squareの決済端末は“言葉にしなくてもわかる”くらいシンプルなUIで、とても助かりました。最短で15分、きっちりロールプレイングをしたとしても約30分でレジ業務を任せられるようになりました。説明が少なくて済んだというのは、短期決戦には抜群だったと思います」ー「生活のたのしみ展」レジリーダー 佐久間遼さま

Squareで実現できたこと

直感的な操作でスムーズな会計対応

Squareの決済端末は、シンプルでわかりやすいUIを備え、言葉での説明が少なく済むため、短時間でスタッフの習熟を可能にしました。イベント運営では、毎回新たなスタッフがレジを担当することが多いため、操作のしやすさが重要になります。Squareの導入により、スタッフは最短15分で現場に立ち、多くてもロールプレイングを含む約30分の指導でレジ業務をスムーズに運営できました。短期間のイベントでは、レジ業務のスムーズさが運営全体の流れを左右するため、Squareの導入は大きな変革をもたらしました。

リアルタイムのデータ分析による運営効率化

SquareのAPI連携により、SKU(最小在庫管理単位)ごとの売上データを自動取得できるようになり、リアルタイムの分析が可能になりました。各店舗の担当者がスマートフォンでリアルタイムの売上状況を確認することで、商品別・会場全体の回転率や時間帯別の売上動向を即座に確認し、イベント中の最適な在庫管理が実現しました。これにより、欠品による販売機会の損失を防ぐことができました。また、データ活用によって、イベント全体の流れが円滑になりました。

集合レジによる会計待ち時間が半減

「生活のたのしみ展」はフェス形式でありながら集合レジを採用しており、効率的な決済が重要な課題でした。従来のレジシステム(第7回では36台を使用)では最大1時間程度の待ち時間が発生しましたが、第8回でのSquare導入(45台)により、スムーズな会計が実現し、待ち時間が最大約30分に短縮され、来場者のストレス軽減と列の円滑化、売上向上につながりました。特に、リアルタイムの決済データを活用することで、会計ピーク時の人員配置を適切に調整でき、列の流れをスムーズにすることができました。

記事に掲載されている店舗情報 (商品内容、価格、営業時間など) は2025年6月時点のものです。