近年の夏は、とにかく暑い。2024年の夏の平均気温は基準値より1.76度高く、2023年と並んで1898年の統計開始以降、過去最高を記録した(※)。異常な暑さは人間に限らず、犬や猫など、アスファルトを裸足で踏む動物たちにとっても過酷なものだ。
※2024年夏(6月〜8月)の天候(気象庁)
ところが、暑さに左右されず、快適に遊び回れる室内ドッグランはまだまだ少ない。家族とともに2匹の愛犬を飼う阿部光(あべ・ひかる)さんは、いち飼い主として、このことに頭を悩ませていた。そこで自身が設立した株式会社DOGOHで2022年にはじめたのが、室内ドッグランのイベントだ。
2024年に開催した2度目の大型イベントでは、Squareのネットショップ機能を活用して、チケットを販売した。前年に使用したサービスから乗り換える形でSquareを導入したそうだが、どんな点が改善されたのだろうか。室内ドッグランのイベントをはじめたきっかけなどとあわせて、感想を伺った。
業種 | 生活関連サービス業・娯楽業、ペットフード製造業 |
業態 | 室内ドッグランの運営、ペットフードの販売 |
使用しているSquareのサービス | Square オンラインビジネス、Square ターミナル |
目次
- 2時間離れた避暑地に週3回通っていた
- 夏のあいだ、期間限定で室内ドッグランをスタート
- チケット販売プラットフォームからSquareに乗り換え
- 最初の大型イベントのバタつきをSquareで解消
- Squareに一本化し、業務量は以前の3分の1に
- 次なる目標は、常設の室内ドッグランのオープン
- Squareで実現できたこと
2時間離れた避暑地に週3回通っていた
大人になるまで犬とはほぼ無縁だった阿部さん。それが妻則子さんとの結婚を機に、大型犬を2匹飼うようになった。食事から散歩、お風呂まで世話するようになり、あっという間に大切な家族になった。
▲レオンベルガーのコナツちゃん(左)と、バーニーズマウンテンドッグのリキくん(右)
愛犬の1日に欠かせないことといえば、運動。しかし夏になると、犬たちが目一杯遊ぶための場所や時間の自由度ががくんと減る。そこで、阿部さんはこんな対処法に出た。
「週に3回くらい片道2時間かけて、山中湖とか河口湖とかに行って、1時間半くらい遊ばせてましたね」
移動時間とあわせると、犬の運動にかけていた時間は1日計6時間ほど。これを週に3回もしていたのだ。ただ、続けることには難しさも感じていた。
「僕は仕事柄そういうことができましたけど、さすがに遠いし、やっぱり大変じゃないですか」
▲株式会社DOGOHの代表、阿部光さん
夏のあいだ、期間限定で室内ドッグランをスタート
周りに話を聞くと、室内ドッグランの少なさに困っているという飼い主たちの声が少なくなかった。そこで思い切って、犬用ペットフードブランドとして2020年に始めた株式会社DOGOHで、室内ドッグランのイベントをはじめることにした。2022年のことだった。
まずは300頭程度が走り回れるスペースを代官山に借り、1カ月の期間限定で室内ドッグランをスタート。するとSNS広告などにそこまで頼らずとも、口コミで飼い主たちに情報が広まっていった。その後、好評につき同イベントの第2弾を実施し、翌年には第3弾も実施した。
ニーズを掴めたことから、2023年には東京ビッグサイトにある3,000平方メートルの会場で、初の大型イベントを開催。そのときの来場者数は延べ440人だったというが、同イベントを翌2024年にも開催すると、参加者数は前年の10倍ほどに増加。3日間のイベントは延べ約1万人規模にまで拡大した。
▲2024年に開催されたイベント「DOGOH INDOOR DOGPARK 室内ドッグラン」の様子
チケット販売プラットフォームからSquareに乗り換え
大型イベントを初開催した2023年に活用したサービスの一つが、チケット販売専門のプラットフォームだ。プラットフォーム自体に集客力があるため、イベントの認知度アップにも適していると感じたものの、コストやキャッシュフローの面でいくつか気になるところがあった。
「チケットサイトだとやっぱり手数料が7、8%取られちゃいましたし、イベント終了後じゃないと入金されないみたいなところもあって」
こうした懸念点を解消するために、2024年に2度目の大型イベントを開催する際には、手数料が約半分(3.6%)で、売り上げが翌営業日に入金されるSquareのネットショップをチケット販売先として活用することにした。
「やっぱりイベント事業なので、キャッシュフロー的なことを考慮して、Squareのネットショップでチケットを販売してみることになりました」
阿部さんは続ける。
「期間限定のイベントなので、月額利用料がかからないところも大きかったです」
Squareなら無料プランからネットショップを開設でき、掲載できる商品点数も無制限。かかるのは決済手数料のみのため、単発開催のイベント運営にはぴったりだったようだ。
▲Squareで作成したチケット販売用サイト
Squareへの乗り換えで、申込から当日の受付までがシンプルに
チケットの販売先をSquareのネットショップに切り替えた理由はもう一つある。
2023年の開催時には、前述のプラットフォームへの掲載と並行して、予約・事前決済・当日の入場受付までがすべてできる別サービスもあわせて使用していた。ちょっとしたお知らせも簡単に送れて気に入っていたものの、申込手順が煩雑で、離脱にもつながっていたよう。
「申込の際に、情報をいっぱい入れなくちゃいけなかったんです。クリックする箇所も多かったって話でしたね。Squareに変えてからは使いやすくなったねって言われるようになりました」
さらに以前のサービスではチケット確認画面の処理がうまくいかず、イベント当日に受付に行列ができる事態になってしまったのだとか。
「なんでこんなに時間かかるんだろうなと思いながら我々もやっていたし、来場者のみなさんにも迷惑かけてしまったので、どうにかしないと、と思っていました」
Squareに切り替えてからは、チケット購入後に送られる購入完了メールを見せるだけで受付が済むようになった。手順がシンプルになり、来場者数が10倍になったにも関わらず、受付は前年と同じ人数で対応できたという。
「受付スタッフの数は前年と一緒で、5人でした。なので約1万人を5人でさばきました。最初の年の10倍もの人が来たのに、特に困りませんでしたね」
Squareに一本化し、業務量は以前の3分の1に
2023年に初めて大型イベントを開催した際には、売上管理の煩雑さもネックになった。
当時はチケットの販売先が
- チケット販売プラットフォーム
- プラットフォームとあわせて利用した別サービス
に分かれていた。さらに、会場でのグッズ販売にはSquareの決済端末(Square ターミナル)を使用していた。つまり、合計三つのサービスを行ったり来たりしながら、イベント全体の売上状況を確認していたのだ。加えて、入金サイクルはすべてばらばらだった。
2024年の2度目の大型イベントでは、チケットの販売先をSquareのネットショップにし、会場でのグッズ販売には引き続きSquareの決済端末を使うことで、オフラインとオンラインの売り上げをすべてSquareに集約した。結果的にイベントの売り上げが1カ所から管理できるようになり、入金サイクルも統一された。
さらには複数のサービスを行き来する必要がなくなり、売上管理の業務量はおおよそ3分の1に減ったという。
会場でのグッズ販売に利用したSquareの端末について使い勝手を聞くと、「めっちゃ使いやすいです」とのこと。操作方法が簡単なため、端末を当日初めて触るアルバイトのスタッフでも、その場で使いこなせていたそうだ。
次なる目標は、常設の室内ドッグランのオープン
年々暑くなる夏に向けて、室内ドッグランを求める飼い主たちは増えていきそうだ。次の目標として阿部さんが掲げているのは、常設の室内ドッグランを開くこと。犬たちが外の気温にぐったりすることなく遊び回れる場所を確保するのはもちろん、獣医にちょっとした悩みごとを気軽に相談できるような場所にもできたらいいと話す。
「私たち人間はちょっと調子悪いなと思ったら、病院にかかれるじゃないですか。でも犬となると、相当犬とコミュニケーションを取れる飼い主さんじゃないと、犬の『ちょっとしたこと』に気づきにくいと思うんです。
だから僕たちのイベントには獣医さんに来てもらっていて、『歩き方変ですかね』とか『最近おしっこの量が多いんです』とか、気になることを気軽に相談できるようにしています。協力してくださっている獣医さんも、『医療にかかるワンちゃんが少なくなることが1番理想だよね』と言ってくれていて。それを常設のドッグランでも引き継ぎながら、犬の知識を持ち帰れるような施設にできたらいいなって思っています」
▲阿部さんの愛犬たち
「期間限定のイベントなので、月額利用料がかからないところも大きかったです」ー株式会社DOGOH 代表 阿部光さま
Squareで実現できたこと
手数料が半減した
DOGOHでは、もともとチケット販売プラットフォームを活用していました。便利さを感じつつもネックとなっていたのは手数料。Squareのネットショップでチケット販売をするようになってからは、手数料が当初の約半分になりました。Squareのネットショップ機能には無料プランがあり、発生するのは決済手数料(3.6%)のみ。月額利用料金もかからないため、追加コストの心配もありませんでした。
売り上げが翌営業日に入金されるようになった
DOGOHが以前利用していたプラットフォームでは、売り上げがイベント終了後に振り込まれる仕組みでした。Squareに移行してからはイベントの会期問わず、決済が完了した翌営業日(※)に売り上げが入金されるようになり、キャッシュフローが改善されました。
※ご登録の金融機関口座によって入金サイクルは異なります。詳しくはこちらをご確認ください。
受付での手間や、お客さまの待ち時間が減った
DOGOHが前に活用していたサービスでは、画面上でのチケット確認の処理が煩雑で、イベント当日に受付で行列ができる事態が発生していました。Squareに乗り換えてからは、チケット購入時に配信されるメールを見せてもらうだけで対応できるようになったため、必要以上に来場者を待たせることがなくなりました。
売上管理が効率化された
1回目の大型イベント開催時、DOGOHではチケット販売や会場でのグッズ販売に複数のプラットフォームや決済サービスを活用していたため、サービスを行き来しながらイベント全体の売り上げを確認しなければいけませんでした。2回目の開催ではチケット販売もグッズ販売もすべてSquareに集約し、売り上げを1カ所から確認できるようになりました。そのため、売上管理にかかる業務量は以前の3分の1に削減されました。
記事に掲載されている店舗情報 (商品内容、価格、営業時間など) は2025年3月時点のものです。