収入印紙の適切な管理方法

財務省の統計によると、国の印紙税は毎年1兆円を超えており、貴重な国庫収入の一つになっています。ビジネスに関わっていれば日頃から収入印紙を目にすることは少なくないのではないでしょうか。

今回は、収入印紙とは何なのかを理解しながら、管理における注意点と方法をご紹介していきます。

収入印紙とは

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不動産の売買に関する契約書や、約束手形、為替手形など、国税庁が印紙税の手引きで定める課税文書に該当する文書には、収入印紙の貼付が義務付けられています。

収入印紙とは、売買や契約が成立した当事者の間において文書の発行者が課税を証明するために国に支払う税のことです。課税文書に該当するかどうかは、その文書の内容によって判断されることになり、支払う印紙税額も異なるので、国税庁のサイトで確認をする必要があります。

参考:印紙税(国税庁)

身近な例でいうと領収書が挙げられます。事業を展開していく上で、備品の購入や商品やサービスを売買するたびに発行される領収書は、 ”売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書”に該当するとして記載金額が5万円以上の場合、課税対象となります。印紙税法の改正により、2014年4月以降、課税対象となる領収書の記載金額は3万円から5万円に引き上げられました。

領収書の金額によって、課税額は次のように異なります。(印紙税額一覧表より)
記載された受取金額が
100万円以下                             200円
100万円を超え、200万円以下           400円
200万円を超え、300万円以下           600円
300万円を超え、500万円以下           1,000円
500万円を超え、1,000万円以下         2,000円
1,000万円を超え、2,000万円以下     4,000円
2,000万円を超え、3,000万円以下     6,000円
3,000万円を超え、5,000万円以下    10,000円
5,000万円を超え、1億円以下             20,000円
1億円を超え、1億円以下                   40,000円
2億円を超え、3億円以下                     60,000円
3億円を超え、5億円以下                     10万円
5億円を超え、10億円以下                     15万円
10億円を超えるもの                           20万円
受取金額の記載のないもの                   200円

参考:印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで(国税庁)

課税文書の発行者は、定められた金額の収入印紙を文書に貼り付け、印紙と紙面にまたがるように割印をすることで納税を証明します。収入印紙は、郵便局や法務局の他に、収入印紙売りさばき所の指定を受けたコンビニエンスストアなどの店舗で購入することができます。

課税文書に収入印紙の貼付が無い場合や、正しく割印がされていない場合、過怠税が課せられる場合があるので、印紙税法の内容を正しく理解しておく必要があります。

参考:印紙税を納めなかったとき(国税庁)

現金と同じ価値

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収入印紙の額面は、1円から10万円まで計31種類に渡り、一枚の大きさは通常切手と同等か一回り大きい程度で、意識して管理をしないと紛失するおそれがあります。

小さな紙片とはいえ、納税を証明する力を持っているということは、会社にとっては現金同様の資産だといえます。一枚の大きさを考えると、ひょっとしたら現金より管理が難しいかもしれません。

管理方法

請求書や領収書などを頻繁に発行している事業であれば、文書の内容が課税対象になる場合に備えて収入印紙の在庫を持っておく必要があります。前述の通り、現金同様の価値をもつ収入印紙は、紛失や盗難の危険を考慮して徹底した管理をする必要があります。

担当者を決める

収入印紙を直接取り扱うことができる担当者を絞りましょう。全ての従業員が印紙に触れることができる状況は、紛失・盗難の可能性を招くだけでなく、印紙の出入りが煩雑になり在庫数の管理などに誤差が出る恐れがあります。原則として金庫に保管をし、日中は担当者が責任を持って管理し、就業後は金庫を施錠します。

課税対象となる文書を発行する従業員は、収入印紙の担当者に払い出しを申請して必要な金額分のみを受け取るという仕組みを作り、一元管理を徹底させます。

帳簿で管理する

在庫管理と同様に、帳簿を作成して管理しましょう。

新たに印紙を補充したら、「受入欄」に日時、各印紙の枚数、合計金額を記入します。前月からの繰り越し分も記入することで、帳簿を月別にまとめることができます。

印紙払い出しの申請が入れば、「払出欄」に払い出した日時、申請者の氏名や使用目途などの摘要、払い出し枚数と金額を記入します。

印紙の補充や払い出しがある時点でその都度残高を計算するようにしましょう。常に現時点での収入印紙の残高を知ることができ、棚卸の際にも実際の在庫との照合作業が効率的にできます。

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在庫照合は効率よく正確に

収入印紙の実際の在庫と帳簿上での残高が一致しているかの確認は、可能な限り頻繁に行うことをおすすめします。台帳の残高と一致していれば問題ありませんが、 差異がある場合には、記録漏れや紛失などの可能性があります。

また、残高だけでなく、額面ごとに印紙の枚数も確認して、枚数が少ないものに関しては補充を行います。

頻繁に払い出される印紙を把握しておき、多めに補充しておきましょう。在庫が不足しているために印紙の払い出しに遅れが生じると、文書の発行が期日に間に合わなかったりと、思わぬ範囲にまで影響が及ぶ場合があります。社内の需要に常に応えられるように、在庫数を見ながら的確に補充の判断していきましょう。

また、万単位の高額の印紙を取り扱うことが滅多に無い場合や、高額印紙を手元に置いておくことを避けたい場合は、契約成立を確認した後など、払い出し申請を待ってから準備するという手段もあります。この際、申請を受けた後にスムーズに払い出しが行えるように、近隣にある収入印紙の購入先を複数把握しておくなど補充ルートを確保しておくことが好ましいです。

小さな紙片でも、現金同様の価値を持っているということを意識して、日々確認することはとても重要です。とはいえ、確認作業だけに時間をかけすぎることもよくありません。重要な作業ですが、なるべく効率よく且つ正確に行える仕組みを作り、日々の作業としてルーチン化することが理想です。

保管方法

収入印紙は、一つ一つが小さい上それぞれの額面が異なるので、保管方法そのものも工夫をしなければなりません。

よく使われる手段として、ポケット型のファイルがあります。額面ごとに収納するポケットを分けて、収入印紙の種類がわかるようにシールなどで目印をつけます。ファイルの表紙や背表紙には、収入印紙が入っているということが一目で分かるような題名を記します。金庫の中で切手と混同することのないように分けて管理しましょう。帳簿も一緒に保管します。

執筆は2017年3月2日時点の情報を参照しています。 当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、スクエアは責任を負いません。

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