自分でお店を開くには?資格、開店準備から開業までのステップ

オーナーとして自分の店舗を開業しようと検討する際、準備すべきことの多さに戸惑うかもしれません。スムーズな店舗開業のポイントは、入念な事前調査と準備、余裕を持ったスケジュールです。今回は、ネットショップではなく、お客さまが足を運ぶ実店舗の開店準備にフォーカスし、開業に向けて検討することや、開店までの準備のステップを考えてみましょう。

📝この記事のポイント

  • 店舗開業では市場調査やコンセプト設定、資金計画など事前準備が重要
  • 物件契約、内装や看板の手配、キャッシュレス決済の導入で開店準備を整える
  • 開業前に必要な許可や届出の取得、仕入れの状態、スタッフ教育を念入りに確認する
  • 開業資金は物件費、内装費、設備費、運転資金などが中心で、業種ごとに目安が異なる
  • 開業後はすぐに利益を追うのではなく、固定客を増やし運営基盤を整えることを優先
目次


自分でお店を開くには?まずは計画を立てる7つのステップ

初めて​店舗を開業する際は、​ビジネスの​基本や​法規制など​知らなかった分野の​知識が​必要と​されます。​開店準備に​着手する​前に、​最低限検討して​おきたい​7点を​押さえて​おきましょう。

(1) 市場調査・商圏分析を行う

開店準備としていつでもはじめられるのが、市場や商圏のリサーチです。同業種の店舗の経営状態やコンセプト、商品ラインナップ、評判などについての市場調査は、成功する店舗開業のヒントをつかむために有効です。

店舗を開業したいエリアについてもリサーチを重ねましょう。実際にそのエリアを訪れて人の流れを確認することはもちろん、自治体による人口の流出入データや、鉄道会社による駅の乗降客数の動向、店舗近隣の開発計画などの情報にも目を光らせることが大切です。

(2) お店のコンセプトとターゲットを決める

店舗開業の命運を握るコンセプトは、同業種の店舗なども参考にしながら、十分な時間をかけて準備しましょう。コンセプトが明確であると、資金調達の際に必要な事業計画書も作成しやすくなります。

店舗のコンセプトとは、何を売るかだけではなく、お客さまにどんな価値を提供するために開業するかを明確にしたものです。簡単にいえば、「こんな人のために開業したい」「店舗に来てこんな気持ちになってほしい」といったイメージを具体化することでもあります。

店舗のコンセプトを検討する具体的な方法としては、誰に(who)、何を(what)、いつ(when)、どこで(where)、どのように(how)提供するか、という5W1Hを書き出します。たとえば、おしゃれなカフェを開店したいというアイデアがある場合、以下のようなコンセプト案が考えられます。

誰に(who) : 多忙だが健康志向を持つ20代から30代の会社員女性
何を(what) : 仕事の疲れを癒すドリンクやヘルシーフード
いつ(when) : 通勤中やランチタイム、外回り営業の隙間の時間
どこで(where) : オフィス街の近隣のさわやかな内装の店舗
どのように(how) : 持ち帰りとイートイン

コンセプトが決まると、店舗開業のイメージがわき、開店に向けて準備するメニュー、内装、営業時間、マーケティング方法なども想定しやすくなります。

(3) 想定エリアで物件情報をリサーチする

出店エリアを絞ったら、不動産会社のウェブサイトなどで店舗物件の相場を調べましょう。気になる店舗物件の内見をする際は、もともと何の店舗だった物件であるかに加え、空き店舗になっている期間、前テナントの退去理由、周辺環境なども尋ねてみると、不動産会社が教えてくれる場合があります。

内見後、店舗開業時の営業日や時間帯を想定して物件の周辺環境を確認してみることで、人の流れや近隣店舗の営業状況など、新たな発見があるでしょう。

(4) 商品・メニューを考えて仕入れ先をリサーチする

商品調達やメニュー開発においても、コンセプトが重要です。小売店であれば、店舗に陳列する商品を吟味し、仕入れ先を見つけ、発注または買い付けをして、在庫を確保する必要があります。飲食店などでは、店舗で使う材料や必要資材の仕入れ先の確保も進めつつ、開店までにメニュー開発と価格設定を行います。競合店舗や周辺ビジネスの価格相場なども参考にしましょう。

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(5) 事業計画書を作成する

店舗開業のために資金調達をする可能性がある場合は、ビジネスの内容や見通しをまとめた事業計画書を準備します。出店エリアや店舗物件にかかる費用、売上予測、自身の給与額の予定など、現実的な数字や計画を提示するように心がけましょう。事業計画書の作成には、無料のテンプレートも利用できます。

(6) 開業資金を見積もり、資金調達の方法を検討する

民間の金融機関による融資を受けたい場合は、各機関に事前に問い合わせましょう。公的な補助金や助成金は、経済産業省、環境庁、林野庁、厚生労働省など、さまざまな省庁が目的ごとに異なるサポートを用意しています。

経済産業省の専用サイト「ミラサポplus」では、さまざまな補助金や助成金の情報から条件を絞って簡単に検索ができます。

(7) 必要な資格や許可を確認し、早めに取得を検討する

開店準備として、特定の資格や許可・認可が必要なケースがあります。店内飲食をする店舗の開業には、食品衛生責任者防火管理者の資格保持者が不可欠です。食品衛生責任者は各地の保健所、防火管理者は消防署で講習に参加し、それぞれ1日か2日程度で取得できます。

また、飲食店や美容院、理髪店、ペットショップなどの場合、衛生や安全の観点から、保健所が指定する設備要件を満たすことが求められます。内装デザインの決定前に、保健所が定める規則を必ず確認し、完成予定図を保健所に持参して相談しましょう。申請しても店舗の営業許可が下りなかった場合は、保健所の指示に従って店内レイアウトの変更が必要です。

開店に向けて物件・店舗を準備する3つのステップ

店舗運営が​スムーズに​滑り出すかは、​開店準備の​周到さに​左右されます。​開業まで​余裕を​持って​計画を​立て、​予期せぬトラブルに​よる​開店の​遅れなどを​避けるよう、​スケジュールを​以下の3​ステップに​分け、物件・店舗を​準備していきましょう。

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(1) 物件を決めて契約する

店舗物件の選定は、ビジネスのコンセプトを表現する重要な要素です。物件探しや下見の前に、検討すべきポイントをリスト化しておきましょう。おしゃれなカフェ開業の例であれば、「多忙だが健康志向を持つ20代から30代の会社員女性(who)」が、「通勤中やランチタイム、外回り営業の隙間の時間(when)」にアクセスでき、「仕事の疲れを癒すドリンクやヘルシーフード(what)」を買うためにふさわしい店舗物件が必要です。

(2) 店舗デザインや内装、看板を手配する

店舗物件の契約費用の他、内装の施工費、賃貸の場合は月々の家賃など、店舗運営の予算も同時に考える必要があり、地域ごとの家賃相場をリサーチしておくと店舗物件探しがスムーズになります。居抜きタイプの店舗物件では、前テナントの残した設備や什器を使うことができ、店舗開業の初期費用を抑えることが可能です。

居抜きの​店舗物件であっても、​自店舗の​コンセプトに​合わせて​内装などを​アレンジするなら、​床や​壁の​素材、​照明、​陳列棚や​テーブルなどの​什器、​カウンターの​配置など、​検討すべき​ことは​限りなく​あります。​一般的には、​開店後の​イメージを​内装専門の​デザイン・施工業者と​相談し、​コンセプトを​具現化する​設計を​依頼し、​施工を​して​もらいます。​

看板を​作る​際は​看板デザイン・製作の​業者に​依頼します。​店舗ロゴは、​デザイナーに​依頼する、​または​オンラインの​ロゴ作成サービスの​利用も​可能です。​店舗の​内装や​看板、​ロゴなどは​マーケティング戦略の​面でも​重視すべき要素である​ため、​店舗の​コンセプトと​しっかりすり合わせましょう。

(3) 決済手段(POS・キャッシュレス)を導入する

現金、​クレジットカード​QRコード​電子マネーなど、​どの​方法で​お客さまからの​支払いを​受けるか決定します。​買い物の​利便性を​考え、​支払方法は​幅広く​設定しておくと​良いでしょう。​Squareのキャッシュレス決済を導入すれば、​現金の​受け渡しや​釣り銭の​準備が​不要に​なり、​会計スピードが​格段に​上がります。

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支払方法と​合わせて、​お店の​運営を​サポートする​POSレジに​ついても​検討しましょう。​飲食店なら​オーダーエントリーシステムが​使える​POSレジ、​小売店なら​高度な​在庫管理機能を​備えた​小売業向けPOSレジが​おすすめです。

お店の開業直前にやる5つのステップ

開業直前に改めて許可や届出の取得は完了しているか、商品や仕入れの準備は万端かなど、次の五つのステップを確認しておいてください。

(1) 営業許可・届出を完了する

許認可や届出無しでの店舗開業は違法であり、罰金や営業停止の対象となることがあります。店舗の事業ごとに、以下のような許認可取得や届出を開業前に必ず行いましょう。

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この他、​各店舗が​対象になる​防火対象設備使用開始届​(消防署)、​人を​雇用する​場合は​労災保険の​加入​(労働基準監督署)、雇用保険の​加入(公共職業安定所)、​社会保険の​加入​(日本年金機構)​なども​必要です。

(2) 商品や食材を仕入れる

商品や食材の仕入れは、開店直前の重要な準備の一つです。飲食店であれば、オープン初日から安定して提供できるよう、食材の在庫を十分に確保しておきましょう。仕入れは鮮度や品質だけでなく、安定供給や納品スケジュールも考慮することが大切です。

小売店の場合も同様に、品切れや欠品を避けるために、開店時点で店頭に並べる商品数を見極めて発注します。また、開業後の売れ行きを見ながら追加発注できるよう、複数の仕入れ先を確保しておくと安心です。オープン当初は予想以上に来客が集中する場合もあるため、余裕を持った数量を準備し、商品が不足しないよう備えておきましょう。

(3) 業務マニュアルを作成し、スタッフを整える

仕入れ、​品出し、​調理、​接客、​販売、​売上管理、​在庫管理、​清掃と​いった​毎日の​業務の​他にも、​店舗運営には​商品買い付け、​人材採用や​トレーニング、​防犯・防災対策、​市場調査、​宣伝や​セール企画・商品企画などの​マーケティング、​棚卸し、​設備点検、​地域との​交流など、​不定期の​業務も​多数​あります。

まずは​日ごと、​週ごと、​月ごとの​仕事の​流れを​大まかに​決め、​それぞれの​業務の​最適な​オペレーションを​考える​ことで、​開店後の​作業を​スムーズに​しましょう。​売上管理ツールや​専用の​SNSの​アカウントなども​準備し、​使い方に​慣れておくと、​開業後に​慌てずに​済みます。

人を​雇用する​場合、​求人誌や​サイトに​有料広告を​出す、​店頭に​貼り紙を​する、​人づてに​探すなどの​方法で​募集します。​募集要項作成の​前に、​店舗での​スタッフの​作業内容を​決め、​欲しい​人材像や​スキルを​明確化しましょう。​採用後、​開店準備中に​トレーニング期間を​設ければ、​開業すぐに​即戦力と​して​働いて​もらう​こともできるでしょう。

(4) プレオープンを実施して最終チェックを行う

正式オープンの前に知人や関係者を招いてプレオープンを行うと、さまざまな改善点を事前に把握できます。プレオープンでは商品の提供スピード、接客の流れ、POSレジや決済方法の使い勝手、店内の動線や設備の不具合などを実際に試すことができます。

また、来店者から率直なフィードバックを得ることで、オペレーションやメニューの改善点を洗い出すことが可能です。正式オープン時にトラブルが起こらないよう、プレオープンで確認した課題をすぐに修正し、本番に備えることが成功への近道となります。

(5) いよいよ開店!グランドオープンを迎える

開業の​タイミングに​合わせて、​告知や​宣伝、​メディアリリース、​地域住民や​近隣店舗への​挨拶を​行いましょう。​開業したら、​個人事業主の​場合は​税務署に​「開業届」を​提出します。​または、​会社法人を​設立する​方法も​あり、​個人事業主とは​税制上の​違いが​ある​ため、​開業形態が​決定した​段階で​どちらに​するか​判断し、​準備を​進めて​おきましょう。

お店を開くために必要な資金の目安

開業資金には物件取得費のほかさまざまな項目が含まれます。業種や規模により大きく変わるので、自分のビジネスに合った資金計画を立てることが大切です。

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開業資金の主な費用内訳

店舗開業に必要な資金は、物件取得費・内装工事費・設備投資費・仕入れ資金・運転資金の大きく五つに分けられます。物件取得費には保証金や敷金・礼金、仲介手数料などが含まれ、内装工事費は店舗のデザインや施工にかかる費用となります。設備投資費は厨房機器や冷蔵庫、POSレジや看板などの購入・導入に必要な資金が該当します。

さらに、開店時に商品や食材を仕入れるための仕入れ資金、開業後しばらくの家賃や人件費をまかなう運転資金も必要となります。これらを合算すると、業種や規模によって数百万円から数千万円の資金が必要になるのが一般的です。

業種別の資金目安

業種によって必要な開業資金は大きく異なります。たとえば、10〜20坪程度のカフェや飲食店では、内装工事や厨房設備に費用がかさみ、500万〜1,000万円程度の資金が必要になるケースが多いようです。美容室や理髪店では、店舗の規模や設備によって300万〜500万円程度が目安となります。小売店の場合は、商品の仕入れ資金と什器に重点を置く必要があり、200万〜500万円程度で開業するケースもあります。自分の業種や規模に合った資金計画を立て、余裕を持った調達を心がけましょう。

カンタンでスピーディーな資金調達

お申し込みはオンラインで簡単、面倒な書類提出は不要。お申し込みから入金まで最短4日。速くて簡単な、ビジネスの新しい選択肢です。

よくある質問 (FAQ)

自分の店を開業したいと考える人によくある疑問を二つ挙げてみました。

お店の開業までにかかる期間は?

店舗の種類や準備の進め方によって異なりますが、一般的に半年から1年程度かかるケースが多いです。市場調査やコンセプト決定に数カ月、不動産契約から内装工事完了までに2〜3カ月、許可申請やスタッフ採用、トレーニングなどに1〜2カ月といった流れが標準的です。居抜き物件を活用する場合は工事期間を短縮でき、数カ月で開業できるケースもあります。

開店後すぐに黒字化できる?経営が安定するまでの目安は?

開業直後は集客や宣伝にコストがかかり、黒字化には時間がかかるのが一般的です。業種にもよりますが、半年から1年程度で収支が安定するケースが多く見られます。飲食店ではリピーター獲得や口コミが安定経営のカギとなり、小売店では在庫管理や仕入れ先との関係性が収益改善につながります。開業当初から過度に利益を追うのではなく、固定客を増やし、運営基盤を整えることを優先すると長期的な成功につながります。

まとめ

店舗開業には、事前の調査から資金計画、資格取得、物件契約、内装工事、スタッフ教育、集客準備まで、多岐にわたるステップがあります。資金面では数百万円単位の投資が必要となるため、現実的な計画と余裕を持った資金調達が欠かせません。

開業後はすぐに結果を求めるのではなく、コンセプトに沿って地道に顧客との関係を築くことが大切です。今回紹介したステップを参考に、一つずつ確実に準備を進めれば、スムーズな開業と安定した経営につながるでしょう。


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執筆は2020年1月8日時点の情報を参照しています。2025年8月27日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash