店舗開業に必要な費用とは。節約方法も教えます

本屋であれば棚づくり、飲食店舗であれば周りとは一線を画すメニュー構成、そのほかにも内装を用いた個性の出し方など、自分の思い描いたビジネスを形にできる店舗開業は夢が膨らむものです。一方で「自己資金ではお金が足りない」「そもそもどのように資金を調達すればいいかわからない」と開業資金調達に頭を悩ます人も少なくないのではないでしょうか。この記事では開業を検討している人に向けて、業種別に発生する費用を紹介しつつ、開業費用の内訳や節約方法を解説します。

そもそも店舗開業にかかる費用とは

内装にこだわりを持ったり、必要な什器を用意したり、店舗開業にはまとまった資金が必要です。現代の開業者は、開業費用にいくらかけているのでしょうか。

日本政策金融公庫総合研究所の2018年度開業実態調査によれば、「500万円未満」と回答するビジネスオーナーが37.4%で最も多いという結果が出ています。次いで「500万円〜1,000万円未満(31.0%)」「1,000万円〜2,000万円未満(19.5%)」「2,000万円以上(12.1%)」という割合になっています。2018年時点での開業費用の平均値は1,062万円とされており、2017年に比べて81万円減少、過去で最も少ない結果となっています。このように従来に比べて少額での開業を実現している人が増えていることが伺えます。

参考:「2018年度新規開業実態調査」(2018年12月3日、日本政策金融公庫総合研究所)

開業費用の内訳と押さえておきたい節約術

開業費用には具体的にどのような費用が含まれるのでしょうか。日本政策金融公庫総合研究所の2014年度開業実態調査によると、ビジネスオーナーの9割は開業費用を少しでも抑えようと、節約を試みているそうです。ここでは開業費用の内訳を大きく三つに分けて紹介するとともに、実際に開業者が実践している節約方法も掘り起こします。

参考:「2014年度新規開業実態調査」 ~アンケート結果の概要~(2014年12月22日、日本政策金融公庫総合研究所)

1. 物件取得費用

道路に面している「路面店」を選ぶか、建物の二階以上にある「空中店舗」を選ぶか。物件選びは、少なからず開業費用を左右するものです。ただし獲得したいターゲット層にとってアクセスが不便な立地や、競合店舗が多いエリアを選んでしまうと、集客に苦しむかもしれません。今後継続的に売り上げを生み出せるようリピーターを獲得していくためにも、賃貸費用に合わせてターゲット層や地域の特色などを考慮した場所選びも大切でしょう。集客にも役立つ立地の選び方はこちらも参考にしてみてください。

物件取得費用には下記が含まれます。

  • 敷金、礼金、保証金、仲介手数料などの初期費用
  • 前払賃料

また、飲食店舗として契約をする場合、保証料が平均で家賃の4カ月から12カ月分に設定されています。理由としては、(1)滞納のリスクが高いことが考慮されているため(2)退去時の解体工事費用に充てられる可能性があるため、です。4カ月から12カ月分とはあくまでも相場で、なかには24カ月分に設定されているところもあるようです。一方で物販やカフェなど解体作業にあまり費用がかからない業種であれば、2カ月から4カ月ほどで済む物件もあるようです。このように、保証金の値段も選定基準にしておくといいかもしれません。

物件探しにおける節約方法とは
開業資金をできる限り抑えたい場合は、過去に入っていた店舗の設備がそのまま残っている「居抜き物件」を探してみるのも一つの手でしょう。タイミングよく廃業したばかりの同業種の居抜き物件を見つけることができれば、開業にかかる資金を大幅に節約できる可能性があるうえ、工事にそこまでの時間を費やさなくてもよくなるため、オープン時期を早めることもできるかもしれません。

ただし、長年使われずに放置されている居抜き物件の場合、処分しなければいけないものが多かったり、設備の修理に費用がかさんだりする可能性があるので気をつけましょう。

2. 内装や外装にかかる設備費用

前述のように、条件にマッチする居抜き物件に出会うことができれば内装や設備、工事にかかる費用は大幅に抑えられるかもしれません。ただし「全て一から自分で用意したい」という場合は、下記の費用が想定されます。

  • 店舗の看板の施工、取り付け費用
  • 内装工事費用
    (壁の塗装や床の張替え、造作などにかかる工事の費用)
  • 設備工事費用
    (電気やガス、水道、トイレなどの設備を整えるためにかかる工事の費用)
  • 業種別で必要となる設備費用
    (レストランであれば厨房機材、パン屋であればホイロ、など)
  • 什器の費用

設備費用の節約方法とは
日本政策金融公庫総合研究所の2014年度開業実態調査では、中古品の購入が最もよくある節約方法という結果が出ています。パン屋、コーヒー屋、レストランなどの飲食店舗であれば、厨房設備や什器、備品などを中古で購入して節約を試みてはいかがでしょうか。なかには中古品でも保証がついていたり、新品同様の中古品が半額程度で販売されていたりもします。ただし、「故障しないかが心配。とはいえ、新品を購入する資金がない……」という場合は、月額費用を支払うことで必要な機材が使用できる 「リース契約」を検討してみるといいでしょう。初期投資を抑えながら新品の機材が使用できるうえ、不要になったときに処理費用が発生しない点が特長です。

参考:「2014年度新規開業実態調査」 ~アンケート結果の概要~(2014年12月22日、日本政策金融公庫総合研究所)

3. 備品などを含む諸費用

実は想像以上の備品が必要となる開業時期。以下はほんの一部です。

  • レジ周り:レジスター、キャッシュドロア、プリンター、電話など
  • 包装容器:レジ袋、紙袋、ギフト用ボックスなど
  • 掃除用品:ゴミ箱、モップ、洗剤、除菌スプレーなど
  • 入り口周り:のれん、看板、サインボード、傘立てなど
  • 厨房内:キッチンペーパー、エプロン、ふきん、食品用コンテナ、調理小物など

諸費用の節約方法とは
上記で最も大事なものの一つといえるのは、決済を受け付けるうえで欠かせないレジです。たとえばSquareであれば、従来のCAT端末のように設備工事の必要もなく、開業したばかりのお店では躊躇してしまう高額な初期費用や維持費用もありません。導入に必要なのは、,980円(税込)の端末代のみ。アカウントを作成すればタブレットやスマートフォンなどの端末から在庫管理や売上分析に役立つSquare POSレジを無料で使用することができます。アカウント作成もタダです。開業資金を少しでも節約したいという人にとっては踏み込みやすい価格帯でしょう。

参考にしたい。実際に開業者に採用されている節約術とは

日本政策金融公庫総合研究所が行った2014年度新規開業実態調査で、中古品の購入の他に下記のようにさまざまな方法で節約に取り組んでいることが分かりました。開業時に参考にしてみるのもいいかもしれません。

1位 中古の設備や備品を購入した……51.3%
2位 取引先と交渉して有利な取引条件にした……27.8%
3位 レンタルやリースの設備や備品を利用した……26.1%
4位 従業員を雇用せず家族に働いてもらった……22.7%
5位 店舗、事務所などの内装工事を自分で行なった……20.5%
6位 自宅の一部を店舗、事務所などにした……19.5%
7位 扱う商品やサービスを絞り込んだ……17.9%
8位 知人の店舗、事務所などの一部を間借りした……7.2%
9位 外注やアウトソーシングを利用した……5.6%
10位 インキュベーション施設に入居した……1.3%

引用:「2014年度新規開業実態調査」 ~アンケート結果の概要~(2014年12月22日、日本政策金融公庫総合研究所)

開業費用とはまた別で必要とされる「運転資金」

自分が夢見た店を形にするまでもある程度の費用が発生しますが、オープンを迎えてからはビジネスを継続していくために必要となる費用も確保しなければいけません。この費用は「運転資金」といいます。運転資金に含まれる費用は、ざっと下記のような内容です。

  • 人件費
  • 広告宣伝費用
  • 商品や原材料の仕入費用
  • 外注費用
  • 家賃や光熱費、通信費

上記に加えて自身の生活費が必要であることも留意しておきましょう。

もちろんオープン日から客足が絶えない店を目指したいところですが、継続的に通ってくれるお客様の獲得は、どのビジネスも共通してぶつかる壁でしょう。実際に日本政策金融公庫の創業手引きプラスによれば、「開業後軌道に乗り始めた時期」 として「3カ月以内」と回答したビジネスオーナーも26.1%いるものの、最も割合が多かったのは「6カ月超えから1年以内(28.2%)」 でした。「6カ月超え1年以内(28.2%)」「1年超2年以内(19.1%)」「2年超3年以内(6.9%)」「3年超5年以内(6.9%)」「5年超(2.7%)」と、6カ月以上を選んだビジネスオーナーの合計は6割ほどに昇ります。

参考:新たに飲食業を始めるみなさまへ 創業の手引きプラス(日本政策金融公庫)

このような結果が出ていることから、少なくても半年分の運転資金は用意しておきたいところでしょう。

「趣味や特技を生かしたい」「自分のビジネスアイデアを形にしたい」「会社に縛られずに働きたい」など店舗開業の理由はさまざまでしょう。初期投資が多いと思われがちな開業ですが、近年では500万円未満で開業する人も多く、物件取得や設備にかかる費用をいかに節約できるかも肝となってきます。次はスモールビジネスでも活用できる補助金や助成金を紹介します。


続けて読もう!補助金・助成金を活用しよう

(1) 開業に発生する費用とは
(2) 補助金・助成金を活用しよう
(3) 融資を活用しよう
(4) クラウドファンディング・ビジネスコンテストにチャレンジしてみよう

執筆は2019年11月26日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash