取引先が増えるほど、請求書の作成、発送、入金確認といった請求関連作業にかかる時間も多くなります。紙での請求書発行は工程数が多く効率的とはいえませんが、請求書アプリを導入すればデジタル化かつ効率化を実現可能です。スマートフォンで使える請求書アプリなら、ビジネスの時間の使い方を大きく改善してくれます。
この記事では、紙とデジタルでの請求書作成フローの違い、請求書アプリを使うメリット、個人事業主やフリーランスにも使いやすいおすすめ請求書アプリ3種について解説します。
目次
請求書アプリとは
請求書アプリとは、スマートフォンまたはタブレット端末にインストールしたアプリ上で請求書の作成や送付を行うことができるサービスを指します。
請求書アプリは基本的にスマートフォンやタブレット端末用に設計されているので、端末上ではなくオンラインのクラウド上にすべてのデータを保存できる「クラウド型」のサービスが一般的です。
クラウド上で使える請求書アプリには、主として次のような特性があります。
- 端末のデータ容量を圧迫しない
- パソコンを開かずにスキマ時間にスマートフォンで作業できる
- 通信環境があればどこでも作業ができる
- 請求書データの破損や紛失が起きにくい
- クライアントにメールで請求書を送れる
- 見積書や納品書などと連動させることもできる(一部のサービスに限る)
請求書アプリの画面上で請求書を作成したら、請求書のメール受信を承諾しているクライアントにすぐさま送付できます。請求書を受け取る側にとっても保管が大変な紙の書類を増やすことなく支払い手続きができるので、請求書アプリは自社と取引先の双方にとってメリットの大きいツールです。
請求書作成の流れ
「紙の請求書を郵送」する場合と、「デジタルの請求書をメール送付」する場合とで、作業フローには実際どれだけの違いがあるのでしょうか。請求作業の工程をおおまかに比較すると、次のようになります。
|
郵送(紙) |
メール送付(デジタル) |
1. |
請求金額の確定 |
請求金額の確定 |
2. |
請求書作成 |
請求書作成 |
3. |
印刷 |
- |
4. |
送り状とともに封入 |
- |
5. |
郵送 |
取引先のメールアドレスに送信 |
6. |
控えの保管 |
控えの保管 |
このように、紙の請求書の場合は6工程、請求書アプリなどを使ったデジタルの請求書の場合は4工程と、タスク量が大きく異なることが分かります。さらに、郵送の場合は切手や封筒などの用意、ポストへの投函などの作業が発生することに加え、送付の遅延や紛失のリスクもあります。請求書アプリを利用すれば、そうした負担の軽減が可能です。
アプリで請求書を作成する4つのメリット
請求書アプリを使った請求業務には、効率性、コスト減、回収漏れの防止、制度対応という4点において特に大きなメリットがあります。実際の請求業務をイメージしながら、それぞれのメリットを確認してみましょう。
1. 作業効率が上がる
請求書アプリは事前に取引先情報、金額、品名などを登録しておくことで、必要な項目を選択するだけで簡単にミスなく請求書を作成できます。クラウド上に保存された請求書は、同内容の請求が発生した際に簡単に複製でき、パソコンやスマートフォンを買い替えても変わらずに請求業務を継続できる点もメリットです。過去に発行した請求書を期間や取引先別にフィルターをかけて表示できる請求書アプリもあり、データの確認にも手間がかかりません。
請求書アプリを利用して請求書を送付した場合、入金情報の確認もオンラインでできるため、従来は意外と手間がかかっていた未回収金の把握も簡単です。
会計ソフトと連携できる請求書アプリの場合は、アプリ上の請求データが自動で会計ソフトに反映されます。そのため、請求した金額を帳簿に別途入力する手間がありません。さらに、見積書や契約書、納品書など請求書以外の取引関連書類を作成する機能も備わっている請求書アプリを使えば、書類間でのデータの引用や、さまざまな書類の管理といった作業の効率がアップします。
2. コスト削減につながる
請求書を紙で発行すると印刷代や郵送代などもかかり、1枚のコストは数十円と少額でも発行枚数に応じてコストはかさみます。特に、無料で導入できる請求書アプリを使えば、毎月の請求関連コストを確実に抑えることができます。
請求書アプリの導入によって作業の手間・時間が減ることで人件費の節約にもなることから、継続的かつ効果的にビジネスのコストを削減できるといえるでしょう。
3. 支払漏れ防止に取り組める
取引先による支払いが完了すると、支払状況が自動で更新される請求書アプリも少なくありません。未払い、期限超過、支払い済みなどのステータスごとに一覧表示で請求情報を確認すれば、必要に応じてすぐにリマインダーを送り、支払いを促すことができます。1件ずつ支払い状況を手作業で確認するよりも格段に効率的で、確認ミスの発生も抑えられそうです。
4. インボイス制度に対応できる
多くの請求書アプリは、2023年10月に施行されたインボイス制度で求められる適格請求書の発行にも対応しています。アプリ内で事前にインボイス登録番号などを登録しておけば、必要時に選択するだけで何度でも簡単に適格請求書を作成可能です。適格請求書発行事業者に登録している場合は、対応可能な請求書アプリかどうかを検討項目に入れておくと良いでしょう。
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請求書アプリ利用時の注意点
請求書アプリの導入を検討する際は、請求書アプリで「できること」だけでなく「できないこと」や「特殊な使い方」もしっかり理解しておきましょう。
1つのアカウントを複数人で共有できないことも
請求書アプリのサービスを契約したら、1人の担当者だけが利用するケースと、複数人が利用するケースが考えられます。後者の場合、複数人が別々の端末から別々のユーザーとして利用したいと思っても、請求書アプリによっては対応していないことがあります。
複数人で請求書の管理をしたい、同時に複数の端末で利用したいといったニーズがあるビジネスの場合は、共有して利用が可能な請求書アプリかどうかを前もって確認しておきましょう。ただし、個人事業主やフリーランスなどのスモールビジネスで請求担当者が1人というケースでは、アカウントの共有について特に気にする必要はありません。
取引先が紙での受領を希望する可能性もある
デジタル請求書のメール送付には、取引先サイドの承諾が必要です。多くのビジネスでデジタル化への対応が進んでいる一方、業種や先方のデジタル環境などによっては紙の請求書が必要なこともあり、その場合は請求書を郵送することになります。
請求書アプリには、メール送付とは別に郵送代行の付帯サービスを提供するものもあります。そのため、ほとんどの取引先に対してはメールで請求書を送り、「紙で送ってほしい」という一部の取引先にのみ郵送するという対応も可能です。
おすすめ請求書作成アプリ3選
請求書アプリの中でも、特に業務効率化への貢献度が大きく、個人事業主やフリーランスにも使いやすいサービス3社を紹介します。いずれもクラウド型なので、端末や自社サーバー上に大きなデータ容量がなくてもオンラインで安全にデータを作成・保管できます。
1. Square 請求書
キャッシュレス決済サービスを提供するSquare(スクエア)による「Square 請求書」は、クラウド上で請求書を作成し、メールで送信できるサービスです。スマートフォンやタブレットから利用する場合には専用アプリを使い、パソコンのブラウザならSquareのアカウントにログインして利用できます。アプリはiOSとAndroidの両方に対応しています。
インターネットにさえつながっていれば、オフィスや店頭だけでなく外出先や自宅でも手持ちの端末から請求書の作成・送信が可能です。請求書を受け取った取引先が支払い済みかどうかも、アプリまたはブラウザから確認できます。
また、支払い忘れがないようにリマインダーを送る機能や、指定した日に請求書を自動送信する機能、月謝やサブスクリプション型サービスなどの定期的な請求に使える継続課金機能など、取り引きの状況に合わせてさまざまな機能を利用可能です。さらに、請求書だけでなく見積書や納品書を作成する機能もあります。
Square 請求書のフリープランでは、クレジットカード決済手数料以外はすべて無料で、初期費用、月額費用、解約手数料もかかりません。もし「支払いのスケジュールを複数回に分けて請求したい」「一つの見積書に複数パターンの見積もりを付けたい」といった要望がある場合は、有料プランのSquare 請求書プラスで対応することができます。
特徴:
- 支払い忘れを防ぐリマインド機能がついている
- 指定日に請求書を自動送信できる
- クレジットカード情報保存機能を使って継続課金ができる
- 日本語だけでなく英語での請求書作成もできる
- クラウド会計ソフトのマネーフォワード、freeeと連携可能
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利用料金 |
請求書の送信数 |
Square 請求書フリー |
0円 |
無制限 |
Square 請求書プラス |
3,000円(税込)/ 月 |
無制限 |
※両プラン共に、クレジットカードで支払いを受け付けた場合は決済手数料がかかります。
Square 請求書の使い方については、以下の動画も参照ください。