ダイレクトリクールティングとは? ビジネスを強くする求人・採用方法で人材を獲得

ダイレクトリクルーティングと呼ばれる人材採用の方法では、従来の「待ち」の採用とは違う「攻め」の姿勢で人材確保が可能です。理想的な人材の確保や、人とビジネスのマッチ度も、効率的に担保しやすいダイレクトリクルーティング。実践方法やメリット・デメリットなど、ダイレクトリクルーティングの実態を知り、少子高齢化時代の人手不足の解消に役立てましょう。

ダイレクトリクルーティングとは?

ダイレクトリクルーティングは、ビジネスなどの組織運営における人材獲得の手段の一つです。求人誌などに募集告知を出すといった求人方法だと、採用側は応募者からの連絡を待つのに対し、ダイレクトリクルーティングは採用者自らが候補となる人材を探し出し、直接アプローチすることで採用にこぎつけるというものです。待ちのスタイルの求人に比べてダイレクトリクルーティングは攻めの姿勢であり、人材確保のために自らがイニシアチブを採って動くことが特徴です。

たとえばアメリカなどでは、優秀な人材を獲得するためにビジネス向けのオンラインサービスを活用したダイレクトリクルーティングが既に普及しています。日本でも最近ダイレクトリクルーティングが注目され始めた背景には、少子高齢化と人口減少による人材確保の困難があります。就職氷河期と呼ばれた2009年の有効求人倍率は0.5倍を下回りましたが、2018年は1.61倍。2人で1人分の仕事を奪い合った時代から、1人あたり1人分以上の求人が溢れている時代に変わりました。かつて「買い手市場」といわれた人材市場は今では「売り手市場」に転じ、どんな会社も待っているだけでは人の採用が難しい状況となっています。ダイレクトリクルーティングは、こうした採用の課題を克服できる可能性の高い、時代にマッチした手法です。

参考:一般職業紹介状況(平成30年12月分及び平成30年分)について(厚生労働省)
有効求人倍率、新規求人倍率(四半期平均、季調値 1963年第1四半期~2019年第2四半期)(労働政策研究・研修機構)

求人広告、人材紹介とダイレクトリクルーティングの効果の違いは?

他の求人方法と比較することで、ダイレクトリクルーティングに望む効果を考えてみましょう。

  • ハローワークの求人票
  • 大学、専門学校の求人票
  • 店頭や自社サイトでの求人告知
  • 求人誌や求人サイトへの広告
  • 人材紹介サービス

ハローワークや大学などへの求人はコストがかかりませんが、募集開始の手続きや望ましい人材との出会いまでに時間がかかることが難点です。ひたすら応募を待つことになるため、運次第ともいえます。自社サイトや店頭での告知は募集を目にする人が少ないことが予想され、ポジションにマッチする人材にリーチする可能性も低くなると言わざるを得ません。

また求人広告は、決して安くないコストがかかるうえに、応募者数などが担保されているわけではないので、良い人材との出会いはやはり運次第です。派遣会社などを通じた人材紹介では、紹介料がかかる上、必ずしも満足のいく人材、モチベーションの高い人材を紹介してもらえる保証はないのが難しいところです。こうした点を踏まえ、「待ち」の求人に不足する要素を補填するのが「攻め」のダイレクトリクルーティングといえます。

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ダイレクトリクルーティングのメリットとデメリット

ダイレクトリクルーティングの具体的なメリットは、以下のようにまとめることができます。

  • 欲しい人材に自分からアプローチできる
  • シンプルなステップで直接対話ができる
  • スピーディーな採用ができる
  • 無料、または低コストで開始できる
  • 国内、海外など相手の居場所を問わない

ダイレクトリクルーティングのこうしたメリットは、オフィスや店舗に常駐するスタッフを採用する場合だけでなく、オンラインで作業をする短期から中期の契約スタッフを探す際にも効果を発揮します。たとえば外国語が堪能な人を求めているなら、海外在住者もターゲットに入れることで優秀な人材を獲得できる可能性は大幅にアップします。

一方、ダイレクトリクルーティングのデメリットには以下のようなものがあります。

  • 自力だと手間がかかる
  • 専用サービスはコストがかかる
  • 対象者のモチベーションを探るのが難しい

最近では日本でも、ダイレクトリクルーティングに特化した登録制サイトが続々と誕生しています。キャリアアップや転職を考える人は無料で自分のプロフィールを登録でき、採用者側は利用料金を払うことでそれらの情報にアクセスできます。専用サービスを使う場合はコストがかかりますが、長きにわたるビジネスパートナーや、ビジネスの基礎を担うスキルのある人など重要な採用をする場合は、必要経費と考えることができます。こうしたダイレクトリクルーティングの専用サービスは、理系の開発職、デザイナー、マーケティング担当者など、専門分野を持つ人の採用に特化したウェブサイトが存在します。登録者の掲載情報からスキルやキャリアなどを探ることができ、自力で一般のソーシャルメディアなどから人材を探し出すより効率的といえます。

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成功するダイレクトリクルーティングのポイント

自力か専用サービスを使うかに寄らず、ダイレクトリクルーティングを成功させるためにはいくつかのポイントがあります。その一つが、「採用に対する姿勢」です。

前提として、求人広告を出して待つだけの採用方法では、応募してくるのは基本的にやる気のある人であり、企業側に「雇って欲しい」と考えています。しかしダイレクトリクルーティングではこの立場は逆転し、人材側は「良い仕事のオファーがあったら受けるかもしれない」という姿勢であり、企業側は「良い人材をぜひ獲得したい」と考えているという、その違いを認識する必要があります。ダイレクトリクルーティングでは、両者はあくまで対等な関係であり、人材側は好条件のオファーに興味を持ちます。

好条件とは、給与や待遇だけを指すのではなく、人により求めるものはさまざまです。ダイレクトリクルーティングにおいて企業側は、相手が求めるものを見抜き、それを提供できるか検討する必要があります。やりがい、社会貢献度、持続可能性、倫理性、効率的な働き方などが相手の求める好条件に該当するのであれば、場合によっては会社の制度を見直す必要性も出てきます。それほどに、働く人の立場を思いやり考えるという採用の姿勢が、ダイレクトリクルーティングの成功を左右します。

二つ目のポイントは、「相手への評価」です。

相手構わず送ったオファーメールよりも、人材側が「自分の良さをわかってくれる会社だ」と感じられるメールのほうが好印象です。相手のプロフィールや情報をしっかり読み込み、コンタクトを取った具体的な理由をメールや最初の面談で誠実に伝えましょう。表面的なキャリアやスキルだけでなく、人間的な側面に注目してみることがダイレクトリクルーティングでは重要です。

三つ目のポイントは、「自社のアピール」です。

たとえば業務内容や給与、待遇がほとんど同じA社とB社からダイレクトリクルーティングの採用オファーを受けた人は、2社を比べます。そのとき人は「どちらにより自分はフィットできそうか」を判断する材料を求めます。そのため、会社のビジョン、理念、目標、創業の目的など、自社のムードや方向性が伝わる情報を提供し、他社と差別化できる点をアピールすることがコツです。

企業と人材が限りなく直接コンタクトし、合意して採用に至ることができる点がダイレクトリクルーティングの魅力です。相互に理解し合って働くという「人と人」のつながりを重視した採用方法として、ぜひダイレクトリクルーティングを取り入れてみてはいかがでしょうか。

執筆は2019年11月6日時点の情報を参照しています。
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