飲食店でセルフオーダーシステムを導入するべき?メリットや導入方法を解説

飲食店での注文の流れといえば、お客様がメニューを見て頼みたい品を決め、従業員が席で注文を受ける、が割と一般的かもしれません。一方、近年ではお客様がスマートフォンでQRコードを読み取り、自身のスマートフォンからメニューを確認し、注文する「セルフオーダーシステム」も少しずつ見かけるようになりました。従業員を介さず注文ができるため、感染症対策としても有効です。

便利そうには聞こえますが、「QRコードをどうやって発行するのか」「オーダーをどうキッチンに伝えるのか」と、頭にいくつものハテナが浮かぶ飲食店経営者も少なくないかもしれません。この記事では「セルフオーダーシステムを取り入れたい!」と考える飲食店経営者に向けて、セルフオーダーシステムの導入方法、費用、導入のメリットなどを解説します。

目次



セルフオーダーシステムとは

セルフオーダーとは、英語で「自分で注文する」を意味し、主に飲食店で使われる用語です。セルフオーダーシステムとは、従業員を介さず機械などを通して、お客様が自身で注文するシステムを指します。

セルフオーダーシステムにはいくつか種類があります。

  • 食券販売機から食券を購入する
  • テーブルに設置してあるタブレットから頼む
  • QRコードにアクセスし、お客様が自身のスマートフォンから注文する(QRオーダー

たとえば食券販売機は大手牛丼チェーンや、食堂、蕎麦屋などで見かけることが多いかもしれません。タブレットで注文する方法はファミリーレストランや居酒屋などで見かけることも増えてきました。

上記が主な種類で、費用や導入にかかる時間は種類によってそれぞれです。この記事では最近普及しつつあるQRコードにアクセスし、お客様が自身のスマートフォンから注文する「QRオーダー」に着目します。

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QRオーダーとは

QRコードをお客様自身のスマートフォンで読み取り、オンライン上でメニューを閲覧できたり、注文や決済ができたりする注文方法です。比較的最近誕生した、新たな注文方法です。中国やアメリカで広まり、日本でも新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに注目されるようになりました。注文・決済における作業時間を削減できたり、少ない人手でも店を回せたりできることから、飲食店に導入されるようになりました。

2022年に行われた調査によれば、QRコードやアプリを活用して消費者自身のスマートフォンでの注文する「セルフオーダー」の利用経験がある人は26.0%でした。「今後利用したい」と答えた人も42.7%と半数近くに上り、その理由を「自分の都合の良いタイミングでオーダーできるから」とし、導入している店舗について「良い印象である」と答えた人が61.4%と高い割合を示しました。

参考:テーブルトップオーダー利用経験率は73.4% 今後セルフオーダー(自分のスマホ利用)「利用したい」42.7% いずれか取り入れている外食店「良い印象」61.4%(2022年1月26日、株式会社リクルート)

QRオーダーが注目される背景

人手不足

帝国データバンクが2022年9月に行った調査によると、非正社員が人手不足だと感じている業種のトップは「飲食店」で、全業種中で唯一の7割台を記録し、深刻な人手不足に悩んでいることがわかります。「メニューを持っていく」「注文を取る」「注文をキッチンに伝える」といった一連の作業をQRオーダーに任せることで、少ない従業員数でもサービスの質を下げずに営業することができるでしょう。

参考:人手不足に対する企業の動向調査(2022年9月)(2022年10月21日、帝国データバンク)

感染防止

新型コロナウイルス感染症の影響により飲食店ではパーテーションの設置や消毒作業など感染防止対策を取ることが必須となりました。そうしたなかで、他者との接触機会を減らす「非接触注文・非接触決済」の需要も高まりました。QRオーダーはお客様自身のスマートフォンでQRコードを読み込み、注文から決済まで行うことができるものもあるので、感染防止対策のツールとしても大きな注目を集めています。

経費削減

QRオーダーは、店舗側でタブレットなどの専用端末を用意する必要がないので、初期経費を抑えることができます。また、紙のメニュー表を使っている場合、メニューの更新がある度に印刷し直す必要がありますが、オンラインでメニューを表示するQRオーダーであれば、印刷費を削減することができます。

さらに、「注文を取り、キッチンに伝えに行く」といった業務を省くことができるので、少ない人数でホールを回すことができ、人件費の削減につながるかもしれません。また、決済機能のついたQRオーダーであれば、会計業務を省くことも可能です。

販促への活用

QRオーダーをはじめとするセルフオーダーシステムは、お客様からの注文内容をデータとして集計することがでます。また、QRオーダーの中には、注文・決済フォームにメールアドレスなど、お客様の情報を入力できるサービスもあります。QRオーダーを通して収集したお客様の情報は、クーポンの発行やキャンペーンのお知らせなど販促活動にも役立つでしょう。

QRオーダーの利用方法

難しそうにも聞こえるQRオーダーですが、利用方法はいたってシンプルです。ここでは、

  • お店が行うこと
  • お客様が行うこと

に分けて、利用方法を見ていきましょう。

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QRオーダーのメリット

QRオーダーは、以下のような飲食店に向いているといえます。

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小さな飲食店だと、キッチンとホールに1人ずつ、など限られた人数でお店を回すことも稀ではありません。QRオーダーの採用は、「注文を取る」というステップが省かれる分、注文のタイミングでお客様を待たせてしまう、という問題の解消になります。規模の大きな飲食店なら、ホールの人数を減らし、人員コストの削減にもつなげられるかもしれません。さらにはPOSレジやキッチンプリンターなどに送信される注文データをもとに調理を進めるので、手書きの伝票の読み間違いや、口頭での伝達ミスによるオーダーミスの防止にもなります。

新しいメニューを追加したいときは、システムに登録するだけです。売り切れ商品も同様に登録して、反映するだけです。メニューを都度作成したり、全メニューに「売り切れ」と書いたり、テーブル分のメニューを印刷したり……などの手間が省けます

QRオーダーの導入は、接触機会を減らす方法の一つでもあります。指紋だらけになってしまうメニュー、注文する際の従業員との会話……外食をしたいお客様が不安に感じる場面はいくつかあるかもしれません。お客様自身がスマートフォンから注文できるQRオーダーの導入は、お客様に少しでも安心して飲食してもらうための施策にもなります。

QRオーダーのデメリット

QRオーダーには多くのメリットがある一方で、以下のような飲食店には向いていないともいえます。

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スマートフォンに慣れていない、あるいはスマートフォンを持っていないなどの客層が主な場合は、逆に不便に感じられてしまう可能性もあるでしょう。さらにはカウンター席しかないお店など、口頭で注文したほうが早い場合、QRオーダーの導入は逆に非効率かもしれません。

また、QRオーダーによっては、注文だけでなく決済までできるものもあるため、お客様との交流がぐんと減る点が気になる場合もあるようです。従業員が口頭で本日のメニューや食材を説明するのが大事なおもてなしの一部、というお店では、QRオーダーの導入は不向きといえます。ただ、感染症の状況を踏まえて、会話を減らせるように説明方法を工夫することを検討してみてもいいかもしれません。

セルフオーダーシステムの選び方

セルフオーダーシステムを選ぶ時には、どのような点に注意すればいいのでしょうか。

導入費用と期間

先述したように、セルフオーダーシステムには、 以下のようなものがあります。

  • 食券販売機から食券を購入する
  • テーブルに設置してあるタブレットから頼む
  • QRコードにアクセスし、お客様が自身のスマートフォンから注文する

食券販売機を導入したり、各テーブルにタブレットを設置したりする場合、初期費用に数十万円のコストがかかることもあるようです。また、月額利用費、システム利用費などの名目で月々のコストがかかるものもあります。一方、QRコードをお客様自身のスマートフォンで読み取るQRオーダーは初期費用を抑えることができます。ただし、初期費用が無料でも月額1万円前後から数万円の月額利用費がかかる場合があるので、事前に確認しておきましょう。

また、初期費用と同時にチェックしたいのが導入までの期間です。申し込み当日から利用できるサービスもあれば、導入に数週間を要するサービスまであるので、たとえば「リニューアルオープン1週間前には従業員のトレーニングをしておきたい」など、利用開始希望日が決まっているのであれば、導入期間も要チェックです。

機能

店内でのQRオーダーだけでなく、サービスによってはテイクアウトやデリバリー、決済に対応したものもあるので、自分の店舗にはどの機能が必要かを検討する必要があります。また、決済機能があるサービスについては、クレジットカードをはじめ、どのような決済方法があるのかも確認するとよいでしょう。また、外国人のお客様が多い店舗の場合は、外国語のメニューに切り替えられるかもチェックしたいところです。

SquareのQRオーダー機能を活用しよう!

初期費用がかかるQRオーダーが多いなか、Squareでは無料で注文から決済までを終えられるQRオーダーを導入(※)することができます。

※月額利用料(3,375円から)と、3.6%の決済手数料が決済ごとに発生します。利用できるカードブランドは、Visa、Mastercard、 American Express、JCB、Discover、Diners Clubです。

導入からQRコードを発行するまでは、すべてオンライン上で簡単に行えます。おおまかにいうと、以下の四つのステップを踏むことで、メニューにアクセスできるQRコードが発行できます。

(1) Squareで無料アカウントを作成する
(2) Squareのウェブサイト作成機能にある【オンラインでオーダー】のページにメニューを登録し(※)、お客様がアクセスするウェブサイトを公開する
(3) 店内にある座席の数と、座席の名前(番号など)を設定する
(4) QRコードを発行する

※新たなメニューの追加、提供を終了したメニューの削除などは、オンラインでオーダーのページからその都度編集できます。

メニューを登録して各テーブルごとにQRコードを発行・設置するだけなので、導入期間もかからず、すぐに利用することができます。発行したQRコードは、印刷して割り当てたテーブルに提示しましょう。より細かな設定手順は以下の記事をご参考ください。

▶︎「Square オンラインビジネスでセルフオーダーとQRコードを設定する

Squareのセルフオーダー機能での注文方法は以下の通りです。

お客様が行うこと:
(1) QRコードを読み取りメニューにアクセス、注文したい品を選択
(2) 支払い画面に進み、クレジットカード決済をする

飲食店の従業員が行うこと:
(1) POSレジ(※)の注文通知、またはキッチンプリンターに送られてきたオーダーをもとに、調理・配膳する

※注文通知を受け取るには、あらかじめにSquare POSレジSquare レストランPOSレジをダウンロードしておく必要があります。ダウンロードも利用も無料です。キッチンプリンターにオーダーが送信されるよう設定することも可能です。

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注文と一緒に決済も完了しているので、食事後、レジでのやりとりは不要。現金を扱わずに済むのは、従業員にとってもお客様にとっても、効率面においても衛生面においてうれしい点でしょう。

また、QRオーダーを受け付けるために作成したウェブサイトからは、デリバリーの注文事前注文も受け付けられるよう、設定することができます。そのため、セルフオーダーに合わせて「テイクアウトの注文をオンラインで受けたいと思っていた」「ちょうどデリバリーに注力したいと考えていた」などといった飲食店経営者は、同じウェブサイトをこれらに役立てることができます。

ネットショップを無料で開始するならSquare

EC作成から、オンライン決済、店舗連動の在庫管理まで、便利な機能が無料で簡単に始められます。

接触機会を減らしつつ、人手不足を補い、業務の効率化にもつながる、セルフオーダーシステム。まずは無料で使えるSquareのQRオーダー機能から導入を検討してみてはいかがでしょうか。


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執筆は2020年2月8日時点の情報を参照しています。2023年7月7日に一部情報を更新しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。