※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計等に関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。
税務署では、個人事業主や法人などからの税に関する相談を受け付けています。開業や確定申告、税制、インボイス制度、改正電子帳簿保存法などにまつわるさまざまな相談を税務署ですることが可能です。税務署でできる相談内容の範囲や、電話・対面相談の方法、事前準備や予約方法などを詳しく解説します。昨今の税務関連情報のデジタル化をめぐる状況と併せて、便利なDXツールも紹介します。
目次
- 税務署への相談は意外とハードルが高くない
- 税務署で相談できることの種類
- 税務署に相談するメリット
- 税務署に相談するデメリット
- 個人事業主や中小企業は何が相談できる?
- 税務署への相談方法
- 税務署への相談時の注意点
- 税理士への相談との比較
- 業務効率化・電子化に関する相談
- Squareの導入で税務関連の処理も簡単
税務署への相談は意外とハードルが高くない
各都道府県にある税務署では、税務のプロフェッショナルに誰でも無料で税について相談することができます。税務署と聞くとハードルが高いイメージがあるかもしれませんが、法人に限らず個人事業主も同様に相談できることを覚えておきましょう。不安や疑問を抱いたまま開業や確定申告の手続きをするより、専門家の知恵を借りて課題を整理しておけば安心してビジネスを展開できます。
税務署で相談できることの種類
税務署はすべての納税者にオープンな機関ですが、税務署で受け付ける相談内容は「国税」に関するものに限定されます。
税務署の管轄範囲(国税)
税務署は国税庁に属する組織で、国税を管轄しています。国税には次のような種類の税があり、これらに関する相談は税務署が専門です。
- 所得課税:所得税、法人税、地方法人税、特別法人事業税、復興特別所得税
- 資産課税:相続税・贈与税、登録免許税、印紙税
- 消費課税:消費税、酒税、たばこ税、たばこ特別税、揮発油税、地方揮発油税、石油ガス税、航空機燃料税、石油石炭税、電源開発促進税、自動車重量税、国際観光旅客税、関税、とん税、特別とん税
地方税の相談には対応していない
地方税は市役所や区役所の管轄であり、税務署では相談を受け付けていません。地方税には次のようなものがあります。
- 所得課税:住民税、事業税
- 資産課税など:不動産取得税、固定資産税、特別土地保有税、法定外普通税、事業所税、都市計画税、水利地益税、共同施設税、宅地開発税、国民健康保険税、法定外目的税
- 消費課税:地方消費税、地方たばこ税、ゴルフ場利用税、軽油引取税、自動車税、軽自動車税、鉱区税、狩猟税、鉱産税、入湯税
税務署に相談するメリット
税務署に相談するメリットには、次のようなものがあります。
無料で相談できる
税務署への相談は誰でも無料です。内容にもよりますが民間の専門家に相談する場合は有料なので、国税に関して不明点や疑問点がある場合は費用のかからない税務署にまず相談してみるのが良いでしょう。
正確な回答が得られる
税務署の職員は税務に精通するエキスパートです。税務署では国税に関する質問に対して正確な回答が得られることもポイントです。
税務署に相談するデメリット
税務署に相談を持ちかける前に、デメリットについても理解しておきましょう。求めるアドバイスのタイプによっては税務署への相談が適していない場合もあります。
待ち時間が長い
税務署での相談は、思い立ったときにすぐできるとは限りません。税金の納付相談や確定申告手続きの場合を除き、税務署に電話で事前予約をしたうえで面接相談に赴きます。時間の節約には電話やチャットボットを利用するという方法もあります。
長時間の相談は難しい
税務署では多くの案件に対応するため、必然的に1人あたりの相談時間には限りがあります。必要書類を万全にそろえ、話す内容を簡潔に整理しておくことで時間を有効に使うと良いでしょう。
具体的な節税アドバイスは期待できない
税務署の役割は、税金の適切な申告・納税をサポートすることです。そのため「どうしたらビジネスで納める税金を少なくできるか」といった節税の相談に適した場所ではありません。節税に関するアドバイスは税理士の専門分野です。
個人事業主や中小企業は何が相談できる?
個人事業主などのスモールビジネスにおける次のような相談は、税務署で行うことができます。相談できることは多いので、分からないことがあれば事業の円滑化のために迷わず利用しましょう。
開業について
起業に際して必要な開業届や青色申告承認申請書などの記入・提出方法についての相談は、税務署が専門です。事前に自身で手続き方法や書式を確認したうえで、どこが分からないかを明らかにしてから相談すると効率的です。
確定申告について
例年、確定申告の時期である2月から3月には、税務署が主催する確定申告相談会が行われます。確定申告に関する基本事項や確定申告書の記入方法などを質問できますが、混雑が予想されるため事前予約の可否をウェブサイトや電話で確認すると良いでしょう。
それ以外の時期にも、税務署で確定申告について相談が可能です。
インボイス制度について
2023年10月から運用が開始されたインボイス制度や、消費税の軽減税率制度で分からないことがあれば、国税に関わりがある制度のため税務署で相談できます。インボイス発行事業者の登録申請方法、インボイスの記載内容、軽減税率の対象品目などについて、知りたいことを相談してみましょう。
税制改正について
国税の税制改正がビジネスにどう影響するか知りたい場合も税務署に相談できます。影響がある場合は、具体的にいつまでにどのような手続きが必要となるかをしっかり確認しましょう。
その他の相談
上述の相談内容以外にも国税に関わるものであれば税務署で相談が可能です。後述する改正電子帳簿保存法に関する疑問もその一つですが、相談したい内容が適切か迷う場合は電話で税務署に問い合わせることをおすすめします。
税務署への相談方法
実際に税務署に相談をする場合、窓口での対面の他、電話やチャットボットなどを活用する方法があります。それぞれの利用方法やメリット・デメリットをチェックしてみましょう。
窓口での相談
税務署に直接足を運んで窓口で相談することは、面接相談と呼ばれます。電話だと難しい込み入った話も、面接相談なら職員の目の前で書類を確認しながら話せるのがメリットです。ただし窓口は基本的に平日の日中しか対応していないため、土日や夜間には別の方法を選ぶ必要があります。
面接相談を希望する場合は必ず事前に所轄の税務署に電話で予約し、内容に応じて当日の必要書類などを教えてもらいます。
電話での相談(国税局電話相談センター)
対面ではなく電話で相談したい場合は、国税局電話相談センターにアクセスして国税局の職員と話すことができます。方法は次の通りです。
- 所轄の税務署に電話をかける
- 音声ガイダンスで「1」を選択する
- 相談したい税の種類を選択する
- 国税局電話相談センターにつながる
税務署の窓口と同様に平日の日中しか利用できないというデメリットはありますが、予約した日まで待って税務署に出かける必要がないので時間効率のメリットがあります。電話をかける前に関連書類を手元に用意しておくと良いでしょう。
FAX・Eメールでの相談
聴覚や発話に障害がある人に限り、FAXやEメールで税務署に相談するという手段も用意されています。ただし、申請書や届出書の提出をFAXやEメールで行うことはできません。
チャットボット、タックスアンサーの活用
オンラインで相談したい場合は、国税庁のチャットボット「ふたば」を利用してみましょう。チャットボットは入力された質問に対してAIが回答を送信するシステムで、土日や夜間でも関係なく24時間いつでも相談できるというメリットがあります。パソコン以外にスマートフォンやタブレット端末でも利用可能です。
また、国税庁ウェブサイトにある「タックスアンサー」のページには、税に関するよくある質問と回答がまとめられています。自分の知りたい情報がタックスアンサーで見つかれば相談の手間がなくなるので、税務署に電話をかける前に必ずチェックしてみましょう。
税務署への相談時の注意点
対面・非対面を問わず、税務署への相談を意義あるものにするためにはいくつか注意したい点があります。
相談内容の事前準備
限られた相談時間の中で疑問を解消するためには、具体的に話したいポイントを事前に整理しておく必要があります。同時に、確認などに使う書類に不備がないかしっかり確認しておきましょう。不足があるとスムーズに話が進まず、再度相談の機会を設けることになる可能性もあります。
相談時間と混雑状況
税務署の窓口を訪れる場合、混雑していない時間帯を狙って訪れることで、待ち時間を少なくすることができます。
税務署の開庁日時は祝日を除く月曜から金曜の午前8時30分から午後5時で、相談窓口は午前中より閉庁に近い時間帯のほうが比較的空いている傾向があります。また、多くの人が外出を控える悪天候の日の翌日は比較的混雑することが一般的です。
1年を通してみると、確定申告期間の2月から3月は税務署業務が多忙な時期といえます。特に時期を問わない相談であれば、こうした時期を避けることも得策です。
相談内容の記録
電話でも対面でも、税務署に相談した内容や回答を記録に残し、その後の手続きで間違いが発生しないようにしましょう。重要な内容を忘れてしまわないようにメモを取りながら聞き、相談の最後に念のために再確認をするのも良い方法です。
税理士への相談との比較
税に関する相談というと、税務署以外に税理士という選択肢もあります。税理士は税務を専門とする国家資格者で、個人・法人の税務の代理・書類作成、税務相談が仕事です。税務署と税理士の違いを考え、状況に応じて使い分けてみましょう。
費用面の違い
税務署への相談は無料である一方、税理士への相談は一般的に有料です。コストがかかることはデメリットではありますが、税務署が税務手続きの基礎などを指南してくれるのに対し、税理士は事業者の経営にフォーカスしてより踏み込んだアドバイスをしてくれるという違いがあります。どちらも税法をベースとしてサポートしてくれる点は変わりませんが、自身の目的に適したほうを選びましょう。
無料で税理士相談を利用できるケース
毎年、確定申告のシーズンには税理士による無料の個別相談や相談会が開かれることがあります。税務署が混み合う時期なので、税理士の無料相談を活用して確定申告手続きを円滑に進めることもできます。こうした機会を利用して地域の税理士とつながりを作っておくことで、有料相談が必要なときにもスムーズにサービスを利用できます。
節税対策は税理士への相談がおすすめ
税理士からは、ビジネスの経営に効果的な税務面のアドバイスをもらうこともできます。節税をして事業を成長させたいというケースに対して、税理士ならではの知識と経験を踏まえて対応します。有料サービスでも確かな節税効果が得られればメリットは十分といえるでしょう。
業務効率化・電子化に関する相談
税務署では、税務関連の電子データに関わる手続きや法令を取り巻く疑問も相談することができます。経営の効率化や財務管理の可視化のためにも、ビジネスにおいて書類や業務のデジタル化は急務です。税務署での相談の前に、帳簿や書類の電子化のルールについておさらいしておきましょう。
電子化と税金の関係
改正電子帳簿保存法が2022年に施行されたことに伴い、Eメールなどで電子的に授受した取引情報を電子データで保存する義務が定められました。もし確定申告で誤って過少申告をしてしまった場合、特定の条件を満たす電子帳簿利用者については過少申告加算税が軽減される措置も整備されています。
こうした状況を踏まえ、税金に影響するビジネスの収支データを正しい方法で保存することは、法人だけでなく個人事業主にとっても必要不可欠です。
データだけでなく業務プロセスもデジタル化するDX(デジタルトランスフォーメーション)は、法的要件を満たすためだけでなく、経営の効率化にも大いに役立ちます。売上管理や請求書の発行・受領などのお金にまつわる業務を包括的に電子化することで、ビジネスをますます加速させていきましょう。
Squareの導入で税務関連の処理も簡単に
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詳しくは以下の記事もご参考ください。
▶︎【Squareガイド】Squareとクラウド会計ソフトを連携できる?
Squareの決済端末を導入する際にかかるのは端末代金(4,980円〜)のみ。「Square POSレジアプリ」や「Square 請求書」などのサービスは無料から使えるため、初期費用はかかりません。ランニングコストとして発生するのは決済ごとにかかる手数料だけ。シンプルな料金体系もポイントです。
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執筆は2023年10月23日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash