キャリアアップ助成金とは?概要や対象コース、適用条件や申請の流れを解説

事業を運営するうえで、人材確保に必要な費用の捻出に悩むことも多いでしょう。今回は、そのような場合に使える「キャリアアップ助成金」について、概要や対象となるコース、適用条件や申請の流れなどを解説します。従業員の待遇を向上し、優秀な人材を確保するためにぜひお役立てください。

目次



助成金とは

まず、「助成金」とは国(主に厚生労働省)や地方自治体が支給する資金です。返済を求められずに受け取ることができ、申請して条件を満たせば支給されます。似た制度に「補助金」があり助成金とほぼ同じ性質をもちますが、申請しても支給されないケースもあるのが相違点です。

キャリアアップ助成金とは

数ある助成金のなかでも、人材への投資資金として有効なのが「キャリアアップ助成金」です。キャリアアップ助成金とは、非正規雇用者の正社員化などの、非正規雇用者のキャリアアップに取り組んだ事業主が助成金を受け取れる制度です。

総務省によれば、2019年4月から6月時点で、非正規雇用者が全体に占める割合は37.7%と年々上昇し続けています。こうした背景から、非正規雇用者のキャリアアップや待遇向上を促進するために、厚生労働省が2013年に新設した制度です。

助成金を受け取れるのは、非正規雇用者の正社員化、基本給などの増額といった賃金規定の改定、健康診断制度の設置などの取り組みです。

参考:労働力調査2019年4〜6月期平均(速報)結果(総務省)

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キャリアアップ助成金のコースについて

助成金を受け取れるコースには、次の7種類があります。

正社員化コース
有期雇用従業員を正社員に転換

賃金規定等改定コース
有期雇用従業員などの賃金規定を増額改定

健康診断制度コース
有期雇用従業員などを対象に、法定外の健康診断制度を定め、4人以上に実施

賃金規定等共通化コース
有期雇用従業員などに対して、正社員と共通する職務についての賃金規定を新しく作成・適用

諸手当制度共通化コース
有期雇用従業員などに対して、正社員と共通する諸手当制度を新しく作成・適用

選択的適用拡大導入時処遇改善コース
労使の合意を受け、有期雇用従業員などに対して社会保険適用の拡大を行い、基本給を上げた場合

短時間労働者労働時間延長コース
短時間労働者における週あたりの所定労働時間を延ばして、新しく社会保険を適用

正社員化コース

7コースのなかでも高額の助成金がもらえるのが「正社員化コース」です。

次のように、後述する要件(「中小企業事業主」と「生産性要件」)を満たせば、有期雇用から正規雇用に転換した場合、従業員1人あたり72万円を受け取れます。1年間で20人まで支給されるため、年間最大1,440万円を受け取れます。

企業規模 中小企業 中小企業 大企業 大企業
「生産性要件」を満たす × ×
有期→正規 72万円  57万円 54万円  42万7,500円
有期→無期
無期→正規
36万円 28万5,000円 27万円 21万3,750円

なお、注意事項などの詳細は厚生労働省のウェブサイトをご確認ください。

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キャリアアップ助成金の適用条件とは

キャリアアップ助成金を受け取るためには、次に挙げる「支給対象事業主」の条件を満たしたうえで、「キャリアアップ計画」を立案・遂行する必要があります。

また、絶対条件ではありませんが、満たすことで助成金が増額される条件が「中小企業事業主」と「生産性要件」です。

「支給対象事業主」の条件

「支給対象事業主」の条件は次の通りです。

・事業主が雇用保険に加入している(雇用保険適用事業所である)
・「キャリアアップ管理者」を設定している
・コースを実施する日までに「キャリアアップ計画」を立案し、管轄する労働局長に提出、受給資格を受けている
・キャリアアップ計画で定めた期間内に、キャリアアップ計画を行う
・賃金台帳など、対象従業員への給与支払状況がわかる書類を整備している

キャリアアップ計画とは

「支給対象事業主」の条件にも入っている「キャリアアップ計画」は、定められた申請用紙である「キャリアアップ計画書」(計3枚)の3枚目に次の内容を記入します。

・キャリアアップ管理者の情報:事業所に1人設定・資格などは不要
・計画期間:3年以上5年以内で設定
・選択するコース:複数選択可
・対象従業員:氏名は不要だが、入社時期や所属部署、雇用形態などは記入
・目標と達成するための措置
・計画の流れ

目標とは、キャリアアップ計画の終了時に到達したい状態を指します。たとえば、正社員化コースを選択した場合は、職業訓練や研修などでどのようなスキルを取得させるか、その後に面談などを実施して正社員にするなどです。この場合、目標達成のための措置は、職業訓練の具体的な内容や面談の設定などになります。計画の流れには、目標達成のための措置をどのような手順で遂行するのかを記入します。

「中小企業事業主」なら助成金が増額

キャリアアップ助成金では「中小企業事業主」に当てはまる場合、いわゆる大企業よりも助成金を多くもらえるのが特徴的です。「中小企業事業主」の範囲については、厚生労働省による「キャリアアップ助成金のご案内」でご確認ください。

「生産性要件」を満たせば助成金が増額

生産性の向上に取り組んだ企業、つまり「生産性要件」を満たした企業は、助成金が上がります。次の条件を満たしている場合、生産性を向上させているとみなされます。

・申請を行う直近の会計年度の生産性が、3年度前よりも6%以上伸びている
・金融機関から事業評価を得ている場合、申請を行う直近の会計年度の生産性が、3年度前よりも1%以上伸びている

詳しくは、「キャリアアップ助成金のご案内」でご確認ください。

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キャリアアップ助成金の申請の流れ

キャリアアップ助成金を申請する流れは、「正社員コース」とそれ以外のコースとでは異なります。

正社員コースにおける申請の流れ

  1. 正社員などへ転換する日までに、キャリアアップ計画書を立案して管轄の労働局に提出
  2. 就業規則を改定し、改定した就業規則は管轄の労働基準監督署に提出
  3. 有期雇用従業員などを正社員などに転換
  4. 転換後に給与を6カ月分支払った日の翌日から2カ月以内に、支給を申請

それ以外のコースにおける申請の流れ

  1. 選択したコースにおける取り組みを遂行する日までに、キャリアアップ計画書を立案して管轄の労働局に提出
  2. 就業規定の改定が必要な場合は改定を行い、改定した就業規則は管轄の労働基準監督署に提出
  3. 取り組みを遂行
  4. 遂行後に給与を6カ月分支払った日の翌日から2カ月以内に、支給を申請

キャリアアップ助成金とは、非正規雇用者のキャリアアップに取り組んだ事業主が受け取れる助成金であり、「正社員化コース」など7つのコースに分かれています。中小企業または生産性の向上に取り組んでいる企業であれば、助成金が増額されるのが特徴的です。キャリアアップ計画書の立案が必要な点に注意しましょう。

優秀な人材の確保と定着のために、キャリアアップ助成金の申請を検討してみてはいかがでしょうか。

執筆は2019年9月24日時点の情報を参照しています。
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