「飲食業界にとって50年ぶりの転換期が来ている」--トレタ 中村仁代表が語る「今、飲食店ができること」

導入費用や利用費用がかからず、決済手数料(売上金額の3.6%)のみで利用できる画期的な新サービス「トレタ テイクアウト」を2020年6月にリリースした株式会社トレタ。「トレタ テイクアウト」にはSquareのAPIが使われており、トレタの開発チームとSquareの開発チームがコミュニケーションを取りながらわずか1カ月半で作り上げたサービスです。その裏には中村仁代表取締役の「一刻も早くお客様に便利なツールを提供したい」という思いがあったという。なぜ決済サービスとしてSquareを選んだのか、また新型コロナウイルス感染症による影響で先の見えない外食産業でスモールビジネスができることは何か、中村仁代表取締役に話を聞きました。

ーー中村さんが株式会社トレタとは別でオーナーを務めるお店では、Squareが日本に進出した2013年から使っていただいています。そもそも、Squareを導入した理由は?

中村仁(以下中村):そうですね。西麻布の「豚組」が最初でした。理由ですが、日本進出の直前に、ジャック・ドーシー(SquareのCEO)が日本に来た時にお会いしたんですよ。「日本に進出するに当たって、実際の飲食店経営者にジャックがインタビューしたい」ということでリサーチにいらしてたんですが、六本木の「豚組しゃぶ庵」に来ていただいて、日本の店鋪の決済周りの現状についてお話したんです。当時はうちのお店がTwitterで話題になっていた頃でもあって、だからジャック・ドーシーは神のような存在なんです(笑)。すごく興奮して対応させていただきました。

ーー「豚組しゃぶ庵」はTwitterユーザーにすごく人気のお店ですからね。

中村:そこからしばらく経って、Squareが日本でサービス提供することになり、導入しました。当時、日本でもSquareが話題になって、雑誌「日経レストラン」から寄稿して欲しいという依頼があったんです。その時に書いたことは、「Squareは決済も画期的ながら、連携して動くPOSレジを無料で配布しているのが衝撃的だ」ということ。これは日本の飲食業界に風穴を開ける可能性がある!と思ったんです。そういう経緯があったので、今回「トレタ テイクアウト」で連携させていただいたのはすごく感慨深いです。

ーー今回、「トレタ テイクアウト」ではさまざまな決済サービスを検討されたそうですが、Squareを選ばれた決め手は何でしたか?

中村:一番決め手になったのはAPIなどがオープンであることですね。僕らもできるだけ飲食店がオープンな環境で仕組みを利用できるべきだと思っているので。「データはお店の資産」なんですよ。だからいろんなサービスとつながって、データを再利用、活用できることが非常に重要なんです。オープンということ、また僕らが開発する上で一番スピーディーに開発できそうというのがSquareを選んだ理由です。

完全リモートで作り上げた「トレタ テイクアウト」

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「トレタ テイクアウト」開発メンバーの一部

「トレタ テイクアウト」を実際に開発したエンジニアはSquareとどう向き合ったのか、松田周達(事業開発・アライアンス部 テイクアウト・デリバリー開発グループ マネージャー)さんに開発の際のストーリーを伺いました。 

ーー最初はトレタの予約機能を流用してテイクアウトに対応するという暫定的な手法を検討していたが、それだとプロダクトとしてのリリースは早いけれど、飲食店の現場に混乱を招いてしまうと、中村さんのnoteでも触れています。そこで内容を再検討したということですが。

中村:あの状況ですから、飲食店がテイクアウトをやりたいといっても手数料が高いとか、いろんな問題があるので、難しいと思う飲食店さんも多かった。我々としては、一日も早くそういう方々の力にならなければなりません。我々自身も環境の変化にいかに早く順応するかが大事だと思っているので、スピードはとにかく最優先でした。

松田周達(以下松田):Squareでは、我々が「これがやりたい」といえばそれができるような環境が準備されていたので、早くリリースできた一因だと思います。それが選んだ理由の一つでもありますし。他に開発サイドが「Squareで行こう」と決めた理由としては、オープンAPIでいろんなことがすぐに実現できそうなこと、顧客情報や取引情報を店鋪側からも確認できる仕組みになっていること。最後は、飲食店様にとって使いやすいものがベターなので、売り上げ金額が翌日に振り込まれることや、複数店鋪を運営していたとしても問題なく使えるというところです。それがパートナーとしてSquareを選んだ理由です。

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松田さん

ーーちなみに開発期間はどれくらいですか?

松田:実質1カ月半くらいです。 Squareの米国本社と直接やりとりして、調整も大変だったと思うんですけど、いろいろご協力いただいてありがたかったです。今回は開発も全部リモートという、トレタとしても初めての挑戦だったんです。一回も開発メンバーが出社することなく、ミーティングも作業もQAテストもリモートで行ったので、ユニークな体験でした。

ーー開発の際の苦労はありましたか?

松田:SquareのAPIやPOSアプリがどういう風に動くのかを習得しながらやっていたので、インプットの時間はチャレンジングでした。他には、本国のエンジニアさんと英語でやりとりさせていただいたのもユニークなところでした。開発も少人数だったので、タフな経験でしたね。

ーーそのようなタフな状況で、気を付けたことは何ですか?

松田:こちら側でのコミュニケーションの難になりそうところは極力排除して、メンバー全員が同期している状態で、Squareさんとのコミュニケーションに集中できる状況を作り出すのが課題でした。

生き残る飲食店になるにはどうすればいいのか?

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ーー改めて中村さんにお伺いしたいのですが、今この時代に中村さんが考える、飲食店ができることとは?

中村:今の状況って、一言でいうと「今までの常識が非常識になってひっくり返っている」ということだと思うんですね。「パラダイムが変わる」というのはこういうことだと思うんです。昨日まで当たり前だったこと、繁盛につながっていたことが、今ではむしろ失敗につながってしまう。昨日までと同じ手でやっていると失敗しちゃうよ、という悪手になる。それが業界全体であちこちで起きているわけです。

ーーその中で飲食店が生き残っていくためには?

中村:今までだったらやらなかった非常識なことをどれだけできるか。今までの常識をどれだけ疑えるかだと思っています。そういう意味だと、今飲食店にとってはすごく厳しい時期ではあるけれども、逆に新しい常識に適応できる飲食店には非常に明るい未来が待っているということでもあります。一方で、これまでトップに君臨してきた大手上場企業だって、安泰ではありません。ここ数年で一気にプレイヤーが入れ替わり、業界の勢力図が一変することが起きても全く不思議ではない世界になったと思っています。

ーー「新しい常識に適応できる飲食店は非常に明るい未来が待っている」そう考えると希望が持てます。

中村:それに、飲食の人ってすごく生命力が強くて。逞しい人たちが多いんです(笑)。こういう環境でこそ底力を発揮するのが、飲食店の経営者の皆さんです。そしてそこで力になるのがITの力であり、ITをどう利用できるかが成否を分けるのだと思います。

ーー中村さんがいつもおっしゃられている「食×IT」が今こそ必要だと。

中村:テクノロジーを使って、今までの常識の外側にあったことにいち早く挑戦するのが重要だと思います。たとえば今までの飲食店だったら、こんなにテイクアウトを頑張るなんて考えられないじゃないですか。これを一過性のものと捉えるか、それとも本質的な変化が起きていると考えるか。そこで差がつくのではないでしょうか。「本業はイートインだから今まで通りやっていこう」とテイクアウトを片手間でやっているところと、「もうイートインとテイクアウトは主従が逆転するぐらいのことがあってもおかしくない。だったらテイクアウトにも本気で取り組んでみよう」と、お店としてどちらの考えに行けるか。業界としても、テクノロジーを前提に、今までとは全く違う事業の組み立て方を模索したり、お客様の満足や感動をどう実現するかを考えなければならない状況なのだと思います。コロナという全く新しい社会環境と新しいテクノロジーによって、今までの常識が完全に覆る、そんな状況ではないでしょうか。

ーー飲食業の中にはITに苦手意識のある方もいらっしゃると思いますが、そこはどうお考えですか?

中村:そこは逆に考えるべきで、苦手な人がまだまだ多いからこそ、そこでいち早くITを導入することができればすごく強い競争優位を持てるいうことなんです。みんながITに強かったら差別化にならないけれど、みんながITに弱い今だからこそ、苦手でもとりあえず挑戦して、試行錯誤しながらでも自分たちのものにしていこう、と一歩を踏み出せるかどうか。そこが大きな違いにつながっていくと思います。苦手だからといって逃げていて済む世界はもう終わってしまっているので。

ーー最後に、中村さんからスモールビジネスで頑張っている人にメッセージをお願いします。

中村:とりあえず今は必死に生き残りましょうと。生き残ってなんぼですから。ただ、このピンチは逆にチャンスでもあると思っています。とにかく生き延びることができたら、その先には大きな可能性が待っているはずです。なぜなら、今起きていることは、飲食業界にとって50年ぶりとも言える大変革なのですから。僕らにもまだ想像がつかないような、大きなチャンスがたくさん生まれてくるはずです。

ーー50年前はちょうどファミリーレストランやファーストフードなどが次々と登場し、日本の飲食業界がガラリと変わった時期ですね。

中村:隕石が落ちて気候が変わった時に、体が小さくて気温の変化に耐えられる哺乳類が生き残ったのと同じで、体が小さくても、新しい環境の中で適応できるプレイヤーが残ると思うんです。生き残った先には全く新しい豊かな世界があると思うので、それを信じて、新しい環境に適応していくしかない。実はスモールビジネスの方が小回りが聞くし、ポテンシャルは大きいと思うんですよね。中小規模事業者たちにとってのチャンスの時代がやってくると思うので、変化に耐えてお互い生き残っていければいいですね。

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執筆は2020年7月29日時点の情報を参照しています。
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