人手不足問題が課題になっている中、特に採用難に苦しむ中小企業は少なくありません。大手企業にばかりエントリーをするという「大企業志向」は根強い一方で、ベンチャー企業やスタートアップ企業などが秀逸な人材確保に成功している例も増えているようです。その一因として「HRテック」の有効活用が考えられます。
今回は、採用活動や人事管理などを効率よく行えるHRテックについて紹介します。
HRテックは働き方改革の救世主?
「HRテック」という言葉にピンとくる人は多くないかもしれません。HRテックのHRとはHuman Resource(ヒューマンリソース)のことです。人的資源などの意味のヒューマンリソースと、科学技術の意味のテクノロジーをかけ合わせた造語です。労務管理や人事管理など、人材に関わる業務をAIやビッグデータなどを使って効率よく処理するサービスのことで、最近話題の金融テクノロジー「FinTech(フィンテック)」や学習テクノロジー「EDTech(エドテック)」などと同様にテクノロジーを活用したサービスだといえます。
働き方改革が随所で推奨されている昨今では、経営者のみならず、働き手の価値観も転換の時期を迎えています。仕事を効率よく回し、売り上げを伸ばし続けるためには働く従業員のモチベーションを上げることも重要です。転換期を迎えている中、HRテックは救いの手になるかもしれません。次では、HRテックの効果について紹介します。
時短と経費削減が期待できる
まずは人材関連システムや求人のマッチング分野などについて紹介します。採用業務の中でも新卒採用の場合、多忙を極めます。特に人気の企業には、エントリーシートや履歴書が殺到しそのうえ、面接者の日程調整なども必要になるケースが多数です。従来は人事担当者がそれらの作業を行っていました。時間と労力は膨大でマンパワーに頼る部分も大きく、費用もかかっていました。しかも人事担当者の仕事は新卒採用だけではなくて、給与計算や勤務管理など多岐に渡ります。
HRテックの人事関連のサービスを使えば、これらの業務の改善が期待できます。業務内容を一元的に管理し、データを分析して分かりやすく見える化できるシステムがいくつも登場しており、業務時間の短縮と経費削減につながります。
求人支援のHRテックサービスでは今までとは違った求人のアプローチ方法を提供しているサービスもあります。たとえば、ソーシャルメディアを利用した「ソーシャルリクルーティング」です。就職希望者がソーシャルメディアを通じて直接企業の担当者とコンタクトをとりながら求職活動を行うものとして、すでに活用している企業もあるようです。
またクラウドが普及したことで、給与管理を簡単にする給与管理サービスも登場しています。勤怠管理システムサービスと連携させることで給与計算と給与明細作成もできるので、今までの作業を大幅に軽減できる分野です。経費管理や勤怠管理、マイナンバー管理などもあります。無料で使用できるサービスもあり、大幅なコスト削減が可能になりました。
日本におけるHRテックの動向
これからますます普及が期待されるHRテックのメリットについて紹介してきました。ここからは日本の動向について紹介します。人材サービスを提供しているマンパワーグループが世界24カ国の求職者を対象に行なった調査では、HRテックを複数利用した求職者は、インド(31%)、マレーシア(22%)、ブラジル(18%)で多く、日本は24カ国中で3%と最も低いことが分かりました。
また、国内の1,000人以上の従業員を抱える企業の人事担当者を対象としたアンケートでは、80%がHRテックを知らないと答えています。すでに導入している企業は6%程度で、求職者・企業ともにHRテックはまだまだ馴染みの薄いものだと伺えます。
参考:
Siri® 、仕事を探して!:テクノロジーと人間的な関わり。キャンディデイトの心をつかむにはどちらも欠かせない(2018年8月、マンパワーグループ株式会社)
全国の人事担当に聞いた「HRTechに関する市場調査」 HRTechで活用すると効果的な最新ITツール第1位は「AI」 今後HRTechの導入を考えている人事担当者は6割以上!(2019年3月5日、株式会社オデッセイ)
実はHRテックのサービスの一部は、10年以上前から存在していました。給与や労務管理のソフトが該当します。ソフトの価格が高額で、限られた人しか使えなかった以前のものに対して、クラウドサービスの質が向上したことや、タブレットやスマートフォンの普及、SaaS(Software as a Service)サービスの導入なども相まってHRテックは今後徐々に浸透していくことが予想されます。
人事にまつわる情報はデリケートなものが多く、担当者だけが使用することを前提としたソフトやツールが一般的でした。現在では使いやすいインターフェースのソフトウェアが登場して、従業員なら誰でも情報をインプットできたり、閲覧権限を細かく設定できるものもあります。また、従来のソフトウェアは、ソフトを購入するとバージョンアップの度に高額な費用が発生するため、経費がかさむというデメリットがありました。定額課金のHRテックサービスを利用することで、更新費用がかからず、コスト計算もしやすくなります。コスト面も今後の普及の要因になるでしょう。
スモールビジネスが明日から取り入れ可能なHRテックとは?
個人事業主や中小企業など、スモールビジネスが明日から取り入れ可能なHRテックについて紹介します。使い勝手が良さそうなサービスは、アプリによる勤怠管理、経費管理、マイナンバー管理、給与管理サービスなどです。
・Square POSレジ
POSレジとHRテックは一見関係がなさそうですが、クレジットカード決済サービスを提供しているSquareのPOSレジではスタッフ管理機能を月々一店舗あたり3,000円から利用できます。POSレジアプリ一つで個々人の勤怠や売上金額の管理ができるので、小さな規模の小売店や飲食店、美容室にぴったりなサービスだといえます。POSレジアプリの利用自体は無料なので、まずはダウンロードして使い勝手を試してみることもできます。スタッフ管理機能について、詳しくはこちらをご覧ください。
・人事労務freee
クラウド会計ソフトfreeeが提供している人事労務サービスです。給与計算、年末調整、給与明細の作成・発行などが可能です。ライトプランは月々1,980円(税抜)で、1カ月の無料お試し期間もあります。
・jinjer
jinjerは人事向けクラウド型プラットフォームサービスとして、タレントマネジメント、勤怠管理、労務管理、経費管理、マイナンバー管理など、人事に係る多種多様な業務をカバーしています。HR Lightプランなら初期費用100,000円、月々一人あたり300円で利用できます。トライアルも可能なので、まずは試してみてはいかがでしょうか。
またHRテックの中でも、一つのサービスで複数の領域を管理できるサービスが存在します。たとえば経費管理と労務管理、勤怠管理ができるもの、勤怠管理、経費管理、労務管理、給与管理、タレントマネジメントと採用管理まで可能なサービスなどさまざまです。HRテックを上手に使いこなせれば、日々の業務の改善ができ経費削減なども可能になります。まずは自社にとって、使いやすそうなHRテックを見つけるところから始めてみてはいかがでしょうか。
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執筆は2019年7月3日時点の情報を参照しています。
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