新型コロナウイルスへの対応

雇用調整助成金とは?緊急対応による条件の変更や支給までの流れを解説

Square (スクエア), ブログ編集者

この記事は2020年6月18日時点の情報を参照しています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況、感染予防に関する最新情報は厚生労働省のウェブサイトも合わせてご確認ください。


▼この記事では、雇用を維持するための雇用調整助成金について解説しています。

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新型コロナウイルス感染拡大により、すでに、影響を大きく受けている事業主も多いでしょう。

今回のように、経済的な理由で事業の縮小を迫られた事業主が使える制度に「雇用調整助成金」があります。厚生労働省は特例措置を出し、通常より対象者の枠を広げ、多くの助成を受けられるようになっています。

今後、状況が変わる可能性はありますが、現時点での雇用調整助成金関連の情報を整理しました。

雇用調整助成金とは?

雇用調整助成金とは、休業手当に必要な費用を助成するための制度です。

感染拡大を抑えるため、営業自粛などの措置をとる企業のなかには、従業員を休ませることがあります。その場合、事業主は休業手当として平均賃金の60%の支払いが必要です。しかし、経営悪化時にはその支払いが大きな負担となり、最悪の場合、従業員を解雇せざるを得ない状況になります。

休業手当の一部を国が助成し、従業員の雇用を続けてもらうための制度が「雇用調整助成金」です。 この制度の利用によって、休業手当についての事業者負担がかなり減ることになります。従業員に直接支払われるわけではありませんが、事業者の休業手当を補填する形になるので、雇用の安定につながります。

参考:
雇用調整助成金ガイドブック(簡易版)~雇用維持に努力される事業主の方々へ~ (厚生労働省)
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う 雇用調整助成金の特例措置に関するQ&A(厚生労働省)

雇用調整助成金の特別措置

感染拡大の影響を受け、政府は2020年4月1日から9月30日まで(※)の期間を「緊急対応期間」として特例措置を実施しています。雇用調整助成金の申請が格段にしやすくなっています。通常の要件と比べてどのくらい拡大されているのかを見てみましょう。

※当初の2020年6月30日から、9月30日までに延長となりました

  緊急対応期間(全国で4月1日から9月30日までの間) 通常の場合 
対象 新型コロナウイルスの影響を受ける全業種。事業所設置1年未満でも対象 経済上の理由で事業活動の縮小を余儀なくされた事業主。事業所設置後1年が経っていることが必要
生産指標の要件 1カ月で5%以上低下 3カ月10%以上低下
対象となる従業員 雇用保険被保険者でない従業員も対象。新入社員やパート従業員も対象 雇用保険に6カ月以上加入している従業員
助成率 中小企業:4/5
大企業:2/3
※解雇等を行わない場合は10/10(中小企業)、3/4(大企業)
※1人当たりの日額は1万5千円が上限
中小企業:2/3
大企業:1/2
休業に関する計画届の提出 5月19日から、計画届の提出は不要 休業に入る前に提出が必須
支給限度日数 1年100日、3年150日に加えて対象期間 1年100日、3年150日
クーリング期間 撤廃。過去に雇用調整助成金を受給していても申請可能 過去に受給していた場合、1年経過しなければ助成対象にならない

通常と比較すると、かなり大幅に要件緩和と助成率アップが行われています。特に非正規雇用の従業員や雇用開始から間もない従業員まで対象となっているので、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業主にとっては雇用を守るために使いやすい制度になっています。

雇用調整助成金の申込方法・支給されるまでの流れ

雇用調整助成金の申込みは、都道府県労働局か公共職業安定所(ハローワーク)にて行います。都道府県ごとの窓口については、こちらでご確認ください。

今回の緊急対応期間では、要件緩和に加えて支給迅速化の事務処理体制の強化や手続きの簡素化も行うことになっています。これを踏まえて、雇用調整助成金の申請の流れをまとめると次のとおりになります。

【休業(雇用調整)の実施】
緊急対応期間においては、事前の届け出をする前に休業に入ることができます。

通常は、事前に労使間で休業に関する協定を結び、計画届を労働局またはハローワークに提出して、確認を経た上で休業に入る必要があります。休業開始2週間前までの提出が求められますが、今回は休業後の提出が認められています。また、2020年5月19日以降に支給申請を行なった場合、計画届の提出は不要とされています。

【助成の申請】
休業を実施する期間(1カ月から3カ月分の賃金締切期間の間で任意で設定する)が終わったら、2カ月以内に支給申請を行います。

【助成の実施】
申請内容を都道府県労働局が確認の上、問題なければ事業主宛てに助成金を支給します。

詳しい申請内容については、都道府県労働局またはハローワークに確認しましょう。

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雇用調整助成金を活用する際の注意点

雇用調整助成金は、事業主が従業員の雇用を守るために使える助成金です。今回はかなり要件が緩和されているので、対象となる事業者も増えています。ただ、「支給額に関する誤解があること」「実際の支給があるまでにタイムラグがあること」という2点に注意し、正しく理解した上で制度を活用しましょう。

支給額に関する誤解
中小企業は最大9割の助成を受けられますが、「給料の9割」ではありません。保証されるのは「休業手当(平均賃金の6割)の9割」なので、給料の約半分程度かつ上限も設定されています。

※当初の9/10から10/10に変更されました。また上限額が8,330円から15,000円に引き上げられました。

従業員の中には、ソーシャルネットワークなどの情報を目にして「9割は保証される」と誤解している人もいるかも知れません。制度の利用や休業の実施前に、誤解がないようしっかり説明をし、理解を求めましょう。

支給までには時間がかかる
申請は、休業期間が終わったあとにしかできません。制度の仕組み上、助成金の審査がスムーズに行われても支給が受けられるのは、最短で2カ月後になります。

資金繰りを考える上で雇用調整助成金を頼みにしている場合は、当面の運転資金とは切り分けて捉えるようにしましょう。

助成金を活用し、危機を乗り越えよう

感染症の拡大という誰も経験したことのない事態に、世界全体が取り組んでいかなければなりません。

その中でも経済活動を行い、従業員の雇用を守るために、事業主は大きな決断を迫られる局面にあります。少しでも雇用を継続し、収束後に経済活動を再開するためには、あらゆる政策を活用する知恵と工夫が不可欠です。

今回紹介した雇用調整助成金は、事業主が活用できる助成金として大きな役割を果たします。上手に活用してこの危機を乗り越える一助にしてください。


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執筆は2020年4月9日時点の情報を参照しています。2020年5月7日、2020年6月18日に一部情報を更新しました。
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