リブランディングとは?​意味や​目的、​成功する​例や​注意点を​解説

事業の​永続化を​目指すために、​リブランディングは​非常に​有効な​戦術の​一つです。​しかし、​いざ実行するとなると​何から​始めるべきか​分からない​経営者も​多いのではないでしょうか。​本記事では、​リブランディングの​意味や​目的、​成功事例を​交えながら、​その重要性や​実施する​際の​注意点に​ついて​解説します。

目次


リブランディングとは

リブランディングは、​既存の​ブランドを​時代や​ターゲット顧客に​合わせて​再構築する​ことを​指します。​具体的な​定義は​ありませんが、​一般的には​「ブランド再構築」と​いう​意味で​捉えられています。

そもそも​ブランディングとは?

リブランディングを​理解する​前に、​まず​「ブランディング」の​基本を​押さえて​おきましょう。​ブランディングとは、​ブランドが​掲げる​理念や​顧客との​約束事を​一貫して​示し続ける​ことで​信頼を​勝ち取り、​価値を​生み出す​取り組みの​ことです。

かつて、​放牧していた牛を​他者の​ものと​見分ける​ために​焼印を​付けていた​行為が​ブランディングの​語源であると​いわれています。

ロゴや​マーク、​ブランドカラー、​キャラクター、​キャッチコピーなど、​目に​見える​要素だけでなく、​商品や​サービスの​方向性、​価格設定、​スタッフ一人​ひとりの​態度や​言葉遣い、​顧客との​コミュニケーション方法など、​ブランドに​関わる​すべての​要素に​おいて​一貫性を​もたせた、​そのブランド​「らしさ」を​堅固にし続ける​活動と​考えると​理解しやすいかもしれません。

顧客から​好意を​持って​選ばれる​関係性が​ブランディングの​勘所で​あり、​成功すれば​「ほかよりも​高価だけれど、​この​ブランドの​商品や​サービスを​進んで​選びたい」と​いう​形で​価格競争に​巻き込まれずに​事業運営が​できる​点に​大きな​魅力が​あります。

リブランディングの​意味合い

リブランディング​(rebranding)と​いう​言葉は、​“re​(再び)​”+”branding​(ブランディング)​”から​成り​立っており、​「ブランド再構築」などと​訳されます。

リブランディングの​本質は、​すでに​確立されている​ブランドを​再構築して​顧客との​新たな​関係性を​生み出す​ことで、​ブランドを​運営する​企業と​顧客の​双方に​メリットを​生み出す点に​あります。

リブランディングを​する​理由や​目的

資本主義経済の​自由競争下に​おいて、​競合する​他社との​差別化を​明確にし、​好意を​もつ顧客との​つながりを​強める​ブランディングは、​特に​事業を​長く​安定的に​続けていくと​いう​点に​おいて、​大企業だけでなく、​中小企業や​個人事業主に​とっても​必要不可欠な​取り組みです。

ただし、​ブランディングが​うまく​できていたとしても​時が​経つに​つれて、​自社や​競合他社、​マーケットは​変化していく​ものです。​細やかな​対応が​取れず、​遅れを​感じているようであれば、​機を​みてリブランディングする​ことで​再起を​図り、​これまで​以上の​良い​関係性が​構築できる​可能性も​あります。

リブランディングを​する​理由や​目的は​ブランドの​立場や​環境に​よってさまざま​ありますが、​おもだった​ところを​いくつか​紹介しましょう。

市場・顧客の​変化

市場の​成熟化、​他分野からの​競合参入、​新たな​技術の​普及、​法規制の​変更、​主要顧客の​成長など、​時間とともにさまざまに​変化して​ゆく​市場環境のもとでは、​これまでの​ブランド価値が​通用しなくなる​事態も​見込まれます。

また、​自社と​ブランドコンセプトや​主要な​ターゲット層が​似通った​他ブランドが​林立し始めると​ブランド同士の​差別化が​難しくなり、​支持してくれていた​顧客が​他ブランドへ​流出するだけでなく、​これまでは​避ける​ことができていた​価格競争に​引き込まれる​事態に​発展するかもしれません。

そういった​マーケットの​変化が​察せられた​ときこそ、​リブランディングを​実施する​チャンスだと​いえるでしょう。

新しい​市場の​開拓・参入

企業の​成長の​ために​新しい​市場を​開拓し、​参入に​挑むときも​リブランディングを​実施する​良いきっかけと​なります。

リブランディングに​よって​刷新された​イメージは、​企業と​しての​新たな​挑戦を​後押ししてくれるに​ちが​い​ありません。

経営者の​交代

ブランドには​多かれ少なかれ、​経営者の​思想や​パーソナリティが​現れる​ものです。

これまで​築かれた​ブランドの​性格にもよりますが、​経営者が​交代する​タイミングに​リブランディングを​図る​ことで、​時代に​合わせて​柔軟な​対応が​できる​イメージを​与えたり、​新たな​メッセージを​伝える​機会が​生まれたりなど、​そのブランドの​持つ価値を​より​高められる​可能性が​あります。

また、​経営者交代時の​リブランディングは、​顧客向けの​施策と​してだけでなく、​従業員に​向けた​インナーブランディングと​しても​高い​効果が​望めます。​役員から​新入社員、​アルバイトスタッフなど、​自社の​隅々にまで​ビジョンや​ミッション、​目指すべき姿などに​ついての​共通認識が​図れる​機会と​なり、​社内全体の​ロイヤルティ向上が​望めるでしょう。

ビジネスの​方向性の​変化

主要な​取引形態を​BtoCから​BtoBに、​対面販売から​ネット通販に​移行するなど、​ビジネスの​方向性に​変化が​ある​ときも​リブランディングの​好機です。

既存の​ブランド認識を​受け継ぎつつ、​新しい​ブランドイメージを​確立する​ことで、​リスクを​減らしながら事業を​転換できます。

ブランドの​成長

個々の​ブランドは、​それぞれの​「らしさ」が​根幹に​ある​ため、​人間と​同様に​寿命が​あるとも​捉えられ、​ライフサイクル曲線になぞらえて​「導入期」​「成長期」​「成熟期」​「衰退期」と​いう​ステージで​成長度合いを​測る​ことができます。

もし該当する​ブランドが​「成熟期」や​「衰退期」に​あると​判断できるのであれば、​将来を​見越して​リブランディングに​着手し、​新たな​成長曲線を​描く​起点に​するのも​一案です。

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リブランディングを​する​メリット

リブランディングを​実施して​得られる​メリットには​どう​いった​ものが​見込めるでしょうか。​いく​つか​ピックアップして​紹介しましょう。

新ブランド立ち上げの​必要が​ない

新しく​ブランドを​立ち上げる​際には、​事業を​繰り広げる​市場を​選定するとともに、​ブランドコンセプトを​策定する​ことが​重要です。​「自社の​強みは​何か」​「その強みを​どのように​生かすか」​「個性を​受け入れて​もらうには​どう​いった​コミュニケーションを​取るか」など、​さまざまな​要素を​勘案し、​検証する​必要が​あります。​さらに​ブランドが​認知されて​市場で​立場を​得るまでには、​ある​程度の​期間が​求められます。

一方、​リブランディングの​場合は、​これまで​構築されてきた​信頼や​実績が​土台と​してある​ため、​理想的な​プロセスが​とれれば、​新規の​ブランドを​立ち上げる​ときと​比べて​短期間で​認知され、​市場での​新たな​立ち位置を​確立する​ことが​可能です。

ブランドの​イメージを​刷新できる

ロゴや​マーク、​キャッチコピーの​変更など、​顧客との​コミュニケーションが​これまでと​変化する​ことに​よって​ブランドの​イメージを​刷新できる​点も​リブランディングが​持つ​メリットの​一つです。

特に、​市場の​変化に​対応できず、​顧客が​飽きてきたり、​時代遅れな​イメージが​持たれつつ​あったりする​ブランドに​とっては、​刷新された​ブランドイメージの​生かし方次第で​将来が​大きく​左右される​ことになるでしょう。

新規の​顧客を​獲得できる

やり方次第では​ありますが、​これまで​好意を​持ってくれていた​既存の​顧客を​できる​限り失う​ことなく、​新たな​ブランドコンセプトに​賛同する​新規の​顧客が​得られる​点も、​新ブランドの​立ち上げにはないリブランディングならではの​特典だと​いえます。

もとの​ブランドが​持つ価値を​精査して、​守るべき​ものは​守り、​変える​部分は​変える​判断を​慎重かつ​大胆に​行うのが​大切です。

既存顧客の​ロイヤルティが​向上する

上記の​項目にも​関わりますが、​リブランディングに​よる​変化が​これまでの​顧客の​期待に​沿う​もの、​または​期待を​上回る​ものであった​場合には、​既存の​顧客層の​ロイヤルティの​向上が​望めます。

既存顧客の​ロイヤルティ向上と​新規顧客の​獲得を​同時に​実現し、​ブランド力の​大幅な​強化が​図れる​点は、​リブランディングの​大きな​醍醐味だと​いえるでしょう。

成功する​リブランディングの​例

リブランディングを​実施する​際、​具体的に​どのような​点に​手を​加えていけば​良いでしょうか。​キーとなる​変更要素を​成功した​実例とともに​紹介しましょう。

社名・ブランド名を​変更する

大胆な​企業イメージの​刷新を​目的と​する​ほか、​グローバル市場への​対応、​合併や​買収などに​よる​ブランドの​統合、​メインとなる​事業内容の​移行、​略称を​正式名称に​するなどを​理由に​社名や​ブランド名を​変更して​リブランディングを​図る​ことが​あります。

社名や​ブランド名の​変更が​リブランディングに​おいて​大きな​役割を​果たし、​成功した​実例と​しては、​以下のような​ものが​挙げられます。

企業理念を​再構築する

ブランドの​「らしさ」を​醸成する​根源と​して​重要な​企業理念を​時代の​変化に​合わせて​再構築する​こともリブランディングでは​非常に​重要な​ポイントと​なります。

なかには​企業理念となる​思いや​意思が​社風と​して​行き​渡っては​いる​ものの、​明文化されていない​企業も​あるでしょう。​そのような​企業に​とって、​リブランディングは​企業理念を​見直し、​言語化する​良い​機会と​なります。

その​ほか、​不祥事や​民事再生など​ネガティブな​事象が​発生し、​かつての​ブランドが​持つ​魅力が​失われてしまった​場合などにも​企業理念を​再構築して​リブランディングに​取り組み、​再出発を​図る​例も​みられます。

また、​企業理念は​作り上げただけで​満足しては​いけません。​従業員の​隅々にまで​浸透し、​行動に​現れては​じめて​機能する​ものです。​企業理念を​行き渡らせる​方法も​あわせて​確立しておくのが​大切です。

企業理念の​再構築や​インナーブランディングが​リブランディングに​際して​大きな​役割を​果たし、​成功した​実例と​しては​次のような​ものが​挙げられます。

新商品・新サービスを​展開する

時代に​合わせて​変化する​姿勢や​チャレンジする​企業である​ことを​伝える​ための​行動と​して、​新商品や​新サービスの​提供を​軸と​するのも​有用で​あり、​大規模な​新規顧客を​獲得する​大きな​一手にもなりえます。

ただし、​むやみに​新分野に​進出するのではなく、​新たに​提供する​商品や​サービスの​根幹は​これまでの​ブランドの​核となる​ミッションや​ビジョンに​基づく​ものである​ことがリブランディングの​絶対条件です。

新商品や​新サービスの​展開が​リブランディングに​際して​大きな​役割を​果たし、​成功した​実例と​しては​次のような​ものが​挙げられます。

デザイン全般を​刷新する

ロゴや​マーク、​パッケージ、​広告、​商品​そのものの​デザイン、​ホームページなどは​もちろん、​広告や​パンフレットに​使う​書体にまで​統一性を​もたせ、​ビジュアルに​関わる​すべての​要素を​刷新する​ことは、​リブランディングで​広く​採用されている​手法で​あり、​成功している​事例も​多数みられます。

デザイン全般の​刷新が​リブランディングに​際して​大きな​役割を​果たし、​成功した​実例と​しては​次のような​ものが​挙げられます。

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リブランディングの​注意点

金銭的な​面だけでなく、​時間や​人的な​コストも​大きく​かかる​ことが​見込まれる​リブランディングですが、​成功させる​ためには​どのような​点を​意識しておくべきでしょうか。​必ず​押さえて​おきたい​ポイントを​3点紹介しましょう。

長期的な​視点を​持つ

ブランディングは​一貫した​姿勢の​積み重ねに​よって​確立されていく​ものであり、​基本的に​一朝​一夕で​結果が​出せる​施策では​ありません。​5年、​10年、​20年と​いった​中​長期的な​経営計画のもとで​策定されるべきで​あり、​短期的な​施策や​即時的な​売り上げを​目的に​する​ことは​避けましょう。

基本的に​一度​着手したら​数年間は​取り組み続けないと​効果の​判断は​つけられません。​そのためには​準備期間を​十分に​取り、​調査を​徹底する​ことが​重要です。​社内での​検証だけではなく、​競合側や​可能で​あれば​顧客の​立場からの​検証も​あわせて​行う​ことが​理想と​なります。

ターゲットを​明確に​する

全方​位的な​ターゲティングは​ブランディングの​手法に​適する​ものではなく、​リブランディングを​実施する​際にも​効果を​薄めてしまいます。​そのためリブランディングに​あたっては、​メインとなる​ターゲットを​明確に​しておく​ことが​重要で​あり、​場合に​よっては​ペルソナを​設定する​ことも​有用でしょう。​ターゲットとなる​顧客層が​明確で​あれば​ある​ほど、​狭ければ​狭い​ほど、​施策の​精度を​研ぎ澄ます​ことができ、​訴求力も​高められます。

仮に​幅広いターゲットへ​浸透させたいのであれば、​最初から​幅広いターゲットに​訴えかけるのではなく、​メインとなる​ターゲットからの​支持を​受けた​あとに​そこからの​派生で​普及していくような​プランを​用意しておく​ことを​おすすめします。

既存顧客・ユーザーに​配慮する

リブランディングを​行うには、​すでに​そのブランドが​確立されている​ことが​前提となる​ため、​当然、​既存の​ファンや​ユーザーも​一定数存在します。​ブランドは​そういった​顧客からの​期待に​応え続けた​実績の​うえに​成り​立っている​ものです。​リブランディングの​際には​既存の​顧客を​無視する​ことは​禁物です。​良い​意味で​期待を​裏切る​ことは​あっても、​既存の​客を​失望させたり、​反感を​買ったりしないよう、​慎重に​進める​ことを​心がけましょう。

まと​め

事業成長の​鈍化や​経営の​行き詰まりを​感じ始めている​ビジネスの​改善策と​して、​効果的な​一手に​なりえる​リブランディング。​即時的な​売り上げの​向上などには​向きませんが、​中長期的な​視点で​堅固な​地盤を​築いていく​ためには​欠かせない​方策です。

経験や​知識を​備えた​専門業者に​相談するのも​一つの​方法ですが、​自社で​リブランディングに​取り​組んだ​経験は、​将来、​企業の​大きな​財産に​なるでしょう。

本記事で​紹介したリブランディングの​意味や​リブランディングの​目的を​はじめ、​企業の​方向性に​合わせたリブランディングの​重要性、​成功する​リブランディングの​例、​実施する​際の​注意点などを​参考に、​永続的な​事業運営の​一助と​して​リブランディングに​取り組んで​みてください。


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執筆は​​2025年3月26日​時点の​​情報を​​参照しています。​当ウェブサイトから​​リンクした​​外部の​​ウェブサイトの​​内容に​​ついては、​​Squareは​​責任を​​負いません。​​Photography provided by, Unsplash