エシカル消費とは?​意味や​エシカル商品の​例、​中小企業でもできる​ことを​紹介

2015年に​国連総会で​採択された​持続可能な​開発目標​(SDGs)を​はじめ、​環境問題や​社会問題に​対する​消費者の​関心が​高まっています。​人や​社会、​環境に​配慮した​「エシカル消費」は、​SDGsの​目標達成に​つながる​身近な​行動と​して​人びとの​間に​広まり​つつある​購買行動です。

エシカル消費を​意識して​商品・サービスの​開発や​販売を​工夫する​ことに​より、​規模の​小さな​事業者でも​ビジネス展開を​有利に​していく​ことができます。

本記事では、​エシカル消費・エシカル商品の​基本事項や​認証マークなどに​ついて​解説し、​あわせて、​個人事業主や​中小企業でも​取り組める​エシカル商品・サービスの​具体例や​メリット、​注意点を​紹介します。

目次


エシカル消費とは?

エシカル消費は​「倫理的消費」とも​いい、​労働者や​社会、​環境、​地域に​配慮した商品・サービスを​選んで​購買する​消費行動を​表します。

は​じめに、​なぜエシカル消費が​注目されるようになったのか、​また、​どのような​商品が​該当するのかを​整理していきましょう。

エシカル消費が​注目される​理由

産業技術の​進展に​より、​多くの​商品・サービスが​開発され、​生活が​豊かになる​一方で、​大量生産・​大量消費・​大量廃棄の​暮らしに​より​引き起こされる​環境破壊や、​地域格差や​製造時の​労働の​あり方など、​多くの​社会問題が​発生しています。

エシカル消費は、​このような​社会的課題を​消費者一人​ひとりが​意識し、​課題解決の​一歩と​して、​商品・サービスが​提供される​背景に​着目して​商品・サービスを​選ぶ​行動を​指します。​消費者側の​意思表示で、​商品・サービスを​提供する​企業に​対して​社会的責任を​果たすよう促すわけです。

エシカル消費を​強力に​後押しするのが、​2015年に​国連総会で​採択された​「持続可能な​開発目標​(SDGs)」です。​17ある​目標の​うち12番目に​「つくる​責任​ つかう​責任」が​設定されました1。​ふだん消費している​商品の​生産背景を​知り、​正当な​労働で​つくられた​もの、​環境負荷の​低い​ものを​選ぶ​ことは、​目標達成への​第1歩にもなります。

エシカル商品とは?

エシカル商品は、​事業者が​SDGsの​目標達成や​社会貢献に​寄与する​ため、​労働者や​環境、​地域などの​社会課題の​解決を​目標に​製造・提供する​商品・サービスです。

【エシカル商品の​例】

  • 障害者支援商品:就労支援施設などで​生産された​商品で、​社会的弱者の​自立支援に​つながる
  • フェアトレード商品:発展途上国の​生産者に​対して​適正な​価格で​取引したうえで​提供される​商品。​生産者の​待遇改善に​つながる
  • リサイクル商品・エコ商品:廃棄物の​再利用や​脱プラスチックなど、​環境保護に​貢献する​商品
  • 地産地消品・被災地産の​商品:地元や​被災地で​生産した​商品を​指し、​地域経済の​発展や​被災地支援に​貢献できる

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エシカルマーク​(認証マーク)の​例

エシカル商品は、​一見すると​それ以外の​商品と​区別しづらい​ものも​多いため、​第三者機関に​よる​審査を​通して​認定された​商品には​「エシカル​(認証)​マーク」を​付けて、​消費者が​明確に​区別できるようにします。

現在の​エシカルマークには​環境保護関連の​マークが​多く、​紙製品や​食料品、​日用品などに​よく​貼られており、​消費者が​エシカル商品を​選びやすくなります。​その​ほか、​適正価格での​取引や​適正な​労働環境下での​生産を​示す​「フェアトレードマーク」などが​あります。

【エシカルマーク例】

エシカル消費で​ビジネスが​できる​ことの​具体例

エシカル消費を​意識した​ビジネス展開では、​大企業に​よる​ものが​目に​つきやすいですが、​個人事業主や​中小企業でも​ビジネスに​取り入れる​ことは​可能です。​その例を​四つみていきましょう。

フェアトレード商品の​取り扱い

飲食店や​小売店など、​食料品を​扱う​事業者は​特に​フェアトレード商品との​相性が​よいと​いえます。​国際フェアトレード認証の​対象となる​生産品は、​コーヒー豆や​カカオ、​バナナなどの​果物の​ほか、​砂糖や​スパイス、​花、​茶、​オイル、​コットン、​金など、​多くの​種類が​あり、​食以外の​ジャンルでも​ビジネス展開が​可能です。

フェアトレード商品を​仕入れて調理・販売・サービスを​行うことに​より、​生産地で​働く​人たちの​労働条件や​生活の​質の​改善に​貢献する​商品・サービスである​ことを​アピールできます。

食品ロスへの​取り組み

食品ロスの​削減は、​ゴミの​減量や​二酸化炭素の​排出削減など、​環境負荷の​軽減に​つながる​取り組みの​一つです。

たとえば、​売上予測の​精度を​向上させて​余剰食材の​廃棄を​減らす​方法が​あります。​また、​規格外商品を​「訳あり商品」と​して​割引販売する​方法や、​ハーフサイズや​スモールサイズを​用意して​提供量を​調整する​方法も、​食品ロス削減に​つながります。

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食品ロス削減は、​エシカル消費を​意識した​ビジネスのなかでも​比較的着手しやすいため、​多くの​事業者が​実践している​取り組みです。

リサイクル製品や​エコ製品の​製造・販売

近年、​衣料品や​雑貨、​家具などの​分野に​おいて、​リサイクル素材や​オーガニック素材、​再生プラスチックを​活用した​商品が​身近な​存在と​なりました。​プラスチックの​使用を​減らすリデュースの​観点からは、​プラスチックラベルの​使用や​過剰包装を​避ける​動きが​みられます。

さらに、​修繕サービスを​提供して​リユースを​促す取り組みも​増えています。​リサイクル製品や​エコ製品の​取り扱い、​商品の​長期使用への​工夫も、​エシカル消費のなかでは​広く​浸透している​取り組みです。

就労支援商品や​地元生産加工商品の​取り扱い

就労支援施設と​連携して​製品を​開発・販売し、​障害を​もつ人の​雇用創出と​自立支援に​取り組む事業者も​あります。

また、​地元で​生産された​商品を​自社製品に​活用する​ことに​より、​地域経済の​活性化や​輸送コストの​削減が​期待できます。​「地産地消」と​いうと​食料品を​イメージしがちですが、​地元の​部品メーカーの​部品を​使った​工業製品の​製造も​地産地消の​一つです。​就労支援商品や​地元で​生産された​商品の​取り扱いは、​地域雇用、​地域経済の​振興に​寄与します。

エシカル消費に​企業が​取り​組むメリット

企業に​よる​エシカル消費への​取り組みは、​環境問題や​社会問題への​アプローチと​なるだけでなく、​企業の​ビジネス面にも​よい​影響を​与えます。​企業に​とっての​おもなメリットを​みていきましょう。

企業イメージが​よくなる

環境問題・​社会問題に​真摯に​取り組むビジネスは、​顧客からの​信頼を​得やすくなります。​消費者庁の​調査に​よれば、​エシカル消費に​関心を​持つ人は​増加傾向に​あります2。​事業運営を​通じて​社会的責任を​果たす企業は、​「地域や​社会に​よい​ものを​選びたい」と​いう​価値観を​持つ消費者に​共感して​もらいやすいと​いえるでしょう。​好感度の​高い​企業の​商品は​より​選ばれるようになり、​リピーターの​増加も​期待できます。

若い​世代へ​アピールできる

消費者のなかでも、​Z世代を​はじめと​する​若年層は、​環境問題や​社会問題に​触れる​機会が​多く​あり、​エシカルな​消費行動への​意識が​高いと​いわれています。​エシカル消費への​取り組みは​若い世代に​対する​よい​アピールと​なります。​未来の​経済を​担う​若者からの​共感を​よぶ商品・サービスの​展開は、​企業が​成長を​続ける​うえで​重要な​意味を​もつ投資的ビジネスとも​いえます。

従業員の​モチベーションが​上がる

自分の​仕事が​社会貢献に​通じていると​実感する​ことに​より、​従業員の​やりが​いや​仕事への​満足度の​増加も​期待できます。

また、​エシカルな​取り組みに​熱心な​企業は​社会的価値や​社会貢献度が​高いと​判断され、​採用活動でも​有利になる​可能性も​あります。​人手不足に​よる​労働力の​低下が​懸念されるなか、​採用の​歩留まりや​定着率の​向上は、​企業力の​増加に​向けた​大きな​メリットと​いえます。

エシカル消費に​企業が​取り組むデメリット

企業の​エシカル消費への​取り組みに​おいては、とくに​コストや​売り上げの​面が​課題と​なりやすく、​持続可能な​ビジネスと​して​取り組む際には​注意が​必要です。​おもな​デメリットを​紹介します。

生産コストが​かかる

エシカル商品を​製造・販売する​場合、​生産コストがかさみがちです。​たとえば、​フェアトレード認証の​原材料や​オーガニック素材は、​一般的な​ものより​価格が​高いため、​仕入れの​コストが​膨らみがちです。

仕入れコストを​商品・サービスの​価格に​反映させる​際には、​割高感を​抱かせない​工夫や​追加サービスが​重要です。​代表例と​しては、​詰め替え製品の​提供に​よる​リピート購入の​促進、​マイボトル持参者への​割引サービスなどが​挙げられます。

売り上げに​つながりにくい

割高な​生産コストを​かけて​エシカル商品を​製造しても、​効果的な​マーケティング施策を​打たなければ​十分な​売り上げを​期待できません。

その理由は​二つ​あります。​一つは、​製造段階で​調達コストが​かかる​分、​販売価格を​抑える​ために​デザインや​機能に​かける​コストを​削れば、​同価格帯の​競合商品よりも​見劣りしやすくなる​ためです。​もう​一つは、​価値ある​商品を​製造したとしても​着実に​消費者に​伝わる​ための​マーケティングや​販促が​適正でなければ、​商品・サービスの​価値に​消費者が​気付けないからです。

エシカル商品の​展開では、​単に​開発・製造・リリースするだけでなく、​開発ストーリーや​商品の​購入を​通じて​実現できる​社会貢献などの​アピールも​重要と​なります。

認証マークが​取得しにくい

消費者が​エシカル商品を​選ぶに​あたり、​第三者機関に​よる​エシカルマークは​公正な​基準を​クリアした​ものとして​わかりやすいため、​アピール力を​もちます。​しかし、​認証取得は​ハードルが​高く、​コストも​手間も​かかります。

さらに、​エシカル消費への​意識が​高まっているとは​いえ認知度は​まだ限定的で、​マークを​取得しても​売り上げに​直結しないリスクも​あります。

まと​め

エシカル消費は​環境や​社会に​配慮した​持続可能な​消費行動と​して​注目されています。​企業に​よる​エシカルな​取り組みは、​社会貢献だけでなく​ブランド価値の​向上ももたらします。​コスト面や​販促の​課題に​考慮しつつ、​エシカル消費を​意識した​ビジネスの​あり方を、​自分たちの​身の​丈に​合った​事業内容で​検討していきましょう。


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執筆は​​2025年3月27日​時点の​​情報を​​参照しています。​当ウェブサイトから​​リンクした​​外部の​​ウェブサイトの​​内容に​​ついては、​​Squareは​​責任を​​負いません。​​Photography provided by, Unsplash