飲食店にこそ大切なCSR活動

CSRという言葉、必ずどこかで聞いたことあるのではないでしょうか。欧米の影響を受けて、日本ではおおよそ15年ほど前から広く浸透した考え方です。

国際貢献や森林保護など環境問題への取り組みなど、大企業には関係あるけど小さな規模の企業やお店ではとても取り組むのが難しいという印象があるかもしれません。

しかし、CSRは事業の規模に関係なく全ての事業者に関わる考え方です。今回はCSRについて解説しながら、飲食店でもできるCSR活動についていくつかヒントをお伝えします。

CSRとは

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CSRはCorporate Social Responsibilityの略称で、日本では企業の社会的責任と訳されることが多いです。CSR=企業の社会的責任、とは何でしょうか。

CSRに決まった定義はないようですが、社会に対する責任という視点で考えてると、例えば、私たちは日常生活を営む上で、様々なサービスを受け、家族や友人、同僚、駅員や店員など色んな人とコミュニケーションを取る機会があります。

飲食店も同じではないでしょうか。食材を仕入先業者から購入し、従業員が食材を調理し、お客様に提供することで日々の商売をするという、多種多様な関わり合いの中でお店は成り立っているのではないでしょうか。この多種多様な関わり合いが社会だとすれば、飲食店にとってCSRとは飲食店に関わる人・ものに対する責任を果たすことを指しています。

目の前の利益追求ばかりを重視して、お店に関わる人・ものに対して責任を果たさない、不当なやり方をすることは、一時的には利益を上げるかもしれませんが、従業員が短期間で辞めてしまったり、悪い評判が広まってしまい客足が遠のいたりと長期的な目で見ると決して利益に還元されるとは言えません。

つまり、日々の仕事の中でCSRに真面目に取り組むことは結果的にお店の繁盛や安定した収益に繋がることになります。飲食店にできるCSRのアイデアを考えていきましょう。

参考:CSRチェックリスト 中小企業のためのCSR読本(さいたま市)

従業員に対して

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まずは日々一緒に働く従業員について考えてみましょう。従業員が毎日快適に働ける環境が整っていますか。当たり前のことですが、給与は最低賃金法に基づいて定められた最低賃金額以上を支給する必要があります。もし、これから従業員の雇用を考えているなら、最低賃金は毎年改定されていますので、最新の情報を確認するようにしましょう。

参考:正しく理解して労使関係を守りましょう、最低賃金制度とは

もう一つ最低限守らなければいけないのが、労働基準法です。雇用をする時に労働条件を明示しているかどうか、賃金支払の5原則を守っているかどうか、労働時間の管理ができているかどうかなど、健全な労働環境の確保を目指して労働基準法は必ず確認の上に守りましょう。

参考:労働基準法、守れていますか?今すぐ確認したい6つのポイント

正しい賃金の支払い、健全な労働環境の整備、これらの他にも従業員のためにできることは多くあります。もちろん従業員のことを考えすぎてお店が赤字になるようでは商売が続かなくなりますので、利益と従業員の満足度のバランスを取りながら、様々な取り組みを行ってみてはいかがでしょうか。

例えば、福利厚生は典型的な取り組みの一つです。小さなお店ではアルバイトやパート店員を対象に福利厚生を準備するのは難しいと感じるかもしれませんが、例えば店員とその家族にはサービス価格で料理を提供したり、小さなお子さんがいて家事に忙しい店員には夕食のおかずに料理をタッパーで持たせるなど、小さなことでも従業員が喜ぶ福利厚生を用意することは可能です。

参考:会社と従業員に健康と幸福をもたらす福利厚生とは

アルバイトやパートでの勤務の場合、他に仕事を持っていたり、フルタイムの勤務が難しい家庭の事情があるかもしれません。プライバシーに踏み込まない程度に事情に配慮したシフト体制を組むことも、従業員にとっては嬉しい配慮です。

参考:従業員と管理する上手なシフトの作り方

サービスに対して

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次はサービス面でのCSRです。飲食店なら食材や調味料、飲料をサービス提供のために仕入れています。地産地消という言葉に代表されるように、近隣にもし生産者が居るようなら積極的に仕入れてみてはいかがでしょうか。生産者にとっても自らが作った作物や加工品を身近で食べられるお店ということで、近隣に宣伝してくれるかもしれません。

仕入れた食材をムダにせず効率よく使用することも、食品廃棄を減らすというCSRの一つになります。テイクアウト容器を環境に配慮した素材のものにしたり、多く注文してしまったお客様には持ち帰れるように容器を用意したりすることも環境への配慮になります。

お客様に対して

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最後にお客様に対してはどんなことができるでしょうか。お客様には満足できるサービスを提供して、楽しい時間を過ごしていただくことが最優先です。

飲食店でのサービスはお店に入る前から始まっています。ウェブサイトや口コミサイト、ソーシャルメディアで情報を集めるところから、お客様はこのお店ではどんな体験ができるのだろうかと想像しています。そこでがっかりさせないように、自社のウェブサイトやソーシャルメディアの更新は定期的に行いましょう。

参考:飲食店が独自ウェブサイトを持つべき理由

お店に一歩足を踏み入れたら、従業員とのコミュニケーションやメニュー選びでストレスを感じないように配慮することも大事です。

参考:今すぐ改善!お店の印象アップに繋がる正しい接客用語とは

お客様にとって大切なのは安全に安心して利用できるお店かどうかです。メニューにはどんな食材、調味料を使っているのかを表示してあると、アレルギーを持っているお客様にとっては親切です。ただ、すべての情報をメニューに載せると逆にお客様は混乱してしまいますので、食材に関しては店内の黒板に書いたり、別のシートを用意して常に出せる状態にしておきましょう。

もし、顧客名簿にお客様の情報を保存しているのなら、改正個人情報保護法では事業規模に関係なく全ての事業者が対象となっているので、個人情報を適切に扱っているかどうかを確認しましょう。また、クレジットカードが利用できるお店ならPCI DSSの理解も必須です。PCI DSSについてはこちらをご一読ください。

参考:全ての事業者必見!改正個人情報保護法の変更ポイント

美味しい料理に、礼儀正しい接客、安全に安心して利用できるお店。当たり前に聞こえるかもしれませんが、このような状態を毎日継続することは骨が折れることです。簡単なことではないかもしれませんが、お店を取り巻く全ての人やものに対して責任のある行動を取ることで、長く愛されるお店になるのではないでしょうか。

執筆は2017年6月28日時点の情報を参照しています。
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