労働基準法とは?内容や目的、労働時間・残業・休みの決まりを解説

※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計等に関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。

「労働基準法1」という法律は、働く人であれば誰もが一度は耳にしたことがあるでしょう。しかし、その具体的な内容や目的、実際の働き方とどのように関係しているのかを正確に理解している人は意外と多くありません。

長時間労働やサービス残業、休日が取れないといった問題が社会的に注目される中で、労働基準法の知識は、労働者にとっても事業者にとっても不可欠なものとなっています。本記事では、労働基準法の基本から、労働時間や残業、休み、有給休暇、賃金、解雇といった主要なルールについて解説します。

📝この記事のポイント

  • 労働基準法とは、日本で働く人の労働時間や賃金、休暇、解雇などについて最低限の労働条件を定めた法律
  • 正社員だけでなく、契約社員、パート、アルバイト、派遣社員なども原則として労働基準法の対象に
  • 労働時間・期間に応じた休憩時間や休日に関するルールのほか、近年は残業時間の上限規制が設けられるなど規制が厳格化
  • 使用者は法令違反を防ぐため、労働者の就業時間・日数などの厳密な管理が重要
  • Squareのスタッフ管理機能などのツールの活用がおすすめ
目次


労働基準法とは?わかりやすく解説

まずは、労働基準法の基本的な内容について解説していきます。

労働基準法とは?概要内容

労働基準法とは、日本において働く人の最低限の労働条件を定めた法律で、戦後間もない1947年に制定されました。労働者が人間らしく働き、健康で文化的な生活を送ることができるよう、労働時間や賃金、休暇、解雇などについて、最低限守らなければならない基準を国が定めたものです。

ここで重要なのは、労働基準法が定めているのは「最低基準」であるという点です。つまり、労働基準法に定められた条件よりも悪い労働条件は認められませんが、それよりも良い条件を設けることは自由ということです。たとえば、労働基準法では、1日8時間を超えて労働させることは原則として認められていませんが、企業が独自に「1日7時間労働」と定めることは何ら問題ありません。

労働基準法の目的

労働基準法の最大の目的は、労働者の人権と生活を守ることにあります。

労働者と使用者の関係は、経済的・社会的に見ると、必ずしも対等とはいえません。仕事を失うことへの不安から、労働者が不利な条件でも受け入れてしまうケースは少なくありません。その結果、過重労働や不当な低賃金、理不尽な解雇が横行するおそれがあります。

こうした問題を防ぐため、国が一定のルールを設け、「これ以下の条件で働かせてはいけない」という線引きをしているのが労働基準法です。個々の労働者が使用者と交渉しなくても、最低限の権利が保障される仕組みになっている点に、労働基準法の大きな意義があります。

労働基準法の対象となる労働者

労働基準法の対象となるのは、「労働者」に該当する人です。ここでいう労働者とは、職種や雇用形態を問わず、事業主の指揮命令の下で労働し、その対価として賃金を受け取る人を指します。正社員だけでなく、契約社員、パート、アルバイト、派遣社員なども原則として含まれます。

一方で、会社の役員や個人事業主、フリーランスなどは、労働基準法上の「労働者」に該当しない場合があります。ただし、肩書きが「業務委託」であっても、実態として使用者の指示に従って働いている場合には、労働者と判断されることもあります。契約の形式だけで労働者に該当するかどうかが判断されるわけではありません。

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基礎知識!労働基準法の基本7原則

労働基準法1を理解するうえで欠かせないのが、法律の冒頭に置かれている「基本原則」です。労働基準法の基本7原則は、労働基準法全体を貫く考え方を示すものであり、労働条件を判断する際の根本的な指針となっています。これらは戦後の社会状況を背景に、労働者の人権と尊厳を守るために定められたものであり、現在でも重要な意味を持ち続けています。順番に内容を見ていきましょう。

人間らしい生活水準を確保した労働条件を定めること
まず第一の原則は、「労働条件は、人たるに値する生活を営むためのものでなければならない」という原則です。これは、単に働いて賃金を得られればよいという考え方ではなく、労働を通じて人間らしい生活を維持できる水準が確保されなければならないという理念を示すものです。長時間労働や極端に低い賃金が問題視されるのは、この原則に反するおそれがあるからです。

労働条件は労働者と使用者が対等に決定すること
次に重要なのが、「労働条件は、労働者と使用者が対等な立場において決定されるべきである」という原則です。現実には、労働者と使用者の力関係は対等とは言い難い場面も多くありますが、法の建前としては、労働条件は一方的に押し付けられるものではなく、双方の合意によって決まるべきものとされています。この原則は、労働条件の不当な強制を防ぐための前提となるものです。

国籍・信条・社会的身分による差別をしないこと
3つ目の原則は、「労働者の国籍、信条、社会的身分を理由として、労働条件について差別してはならない」というものです。出身国や思想、家庭環境などを理由に、不利な扱いを受けることは許されません。すべての労働者が、個人の属性にかかわらず、平等に扱われるべきであるという考え方が示されています。

男女同一賃金の原則
4つ目の原則として、「男女同一賃金の原則」があります。これは性別を理由として、賃金やその他の労働条件について差別的な取扱いをしてはならないというものです。現在では、男女雇用機会均等法など、より具体的な法律も整備されていますが、戦後に定められた労働基準法において、すでに性別による不合理な差別を排除する考え方が示されている点は重要といえます。

強制労働を禁止すること
5つ目の原則は、「暴行や脅迫などによって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない」というものです。働くかどうかは本来、本人の自由意思に基づくものであり、恐怖や圧力によって働かされることは認められていません。この原則は、労働の自由と人身の尊重を守るための重要な規定です。

中間搾取を排除すること
6つ目の原則は、「法律に基づく場合を除き、他人の就業に介入して利益を得てはならない」という考え方です。これは、いわゆる「ピンハネ」など、不当に第三者が労働者の賃金や労働条件に介入して利益を得ることを防ぐための規定です。労働者の働いた成果は、正当に労働者本人に帰属すべきであるという考え方が示されています。

公民権行使を保障すること
最後の原則は、「労働者が公民としての権利を行使することを理由に、不利益な扱いを受けてはならない」というものです。たとえば、選挙で投票する、裁判員として出頭するなど、公民としての権利や義務を果たすために必要な時間について、使用者はこれを妨げることはできません。この原則は、労働者が社会の一員としての権利を守られながら働けるようにするためのものです。

以上の7つの基本原則は、個々の条文を理解するための前提となるだけでなく、労働問題が生じた際に「何が問題なのか」「どこに立ち返るべきか」を考える際の判断基準となります。

労働基準法の重要ポイント

以下では、労働基準法が定めるルールの中で特に重要なものを取り上げて解説します。

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労働時間に対するルール

労働基準法では、原則として1日8時間、1週間40時間を超えて労働させてはならない2と定めています。これがいわゆる「法定労働時間」です。法定労働時間の制度は、長時間労働による健康被害を防ぐことを目的としており、たとえ労働者本人が「もっと働きたい」と希望した場合であっても、使用者は自由に労働時間を延ばすことはできません。法定労働時間を超えて労働者を働かせるためには、法律上の特別な手続きが必要になります。これが次項で説明する「36(サブロク)協定」と呼ばれる制度です。

残業・時間外労働に対するルール

法定労働時間を超えて労働させる場合、使用者は労働者代表と書面による協定を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。これがいわゆる「36協定3です。労働基準法36条に定められていることから、このように呼ばれています。36協定がなければ、残業や休日労働をさせることは原則として違法となります。

さらに、残業時間には上限が設けられており、無制限に残業させることはできません。近年は「働き方改革」の一環として、長時間労働を是正するため、残業時間に対する上限規制が法律上明確に設けられました。これにより、36協定を締結している場合であっても、時間外労働は原則として月45時間、年360時間を超えることはできないとされています。やむを得ない事情がある場合には一時的にこの上限を超えることも認められていますが、その場合でも、年間や複数月にわたる残業時間には厳格な制限が課されており、無制限に残業をさせることはできません。

また、これらの上限規制に違反した場合には、単に行政指導を受けるだけでなく、使用者に対して刑事罰が科される可能性があります。従来は、残業時間の問題について「グレーゾーン」と受け止められることもありましたが、現在では上限規制に違反した企業のコンプライアンス体制が厳しく問われるようになっています。

休み・休憩に対するルール

労働基準法は、労働者の心身の健康を守るため、労働時間だけでなく、休憩や休日についても明確なルールを定めています。長時間連続して働くことは、集中力の低下や健康障害につながりやすいため、労働基準法は労働者が一定の時間働いた場合には、必ず休息を取らせることを使用者に義務付けています。

まず休憩について、労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分、8時間を超える場合には少なくとも1時間の休憩を与えなければならないと定めています4。この休憩は、単に形式的に時間を設ければよいというものではなく、労働者が業務から完全に解放され、自由に利用できるものでなければなりません。たとえば、電話番をしながらの休憩や、来客対応を求められる状態は、原則として休憩とは認められません。

また、休憩は原則として労働時間の途中に与える必要があり、始業前や終業後にまとめて付与することは認められていません。これは、連続労働を防ぎ、労働の合間に適切な休息を取らせるという趣旨によるものです。

次に休日についてですが、労働基準法は使用者に対し、少なくとも週に1回、または4週間を通じて4日以上の休日を与える義務を課しています。ここでいう休日とは、労働義務が完全に免除される日を指しています。休日に労働させる場合には、原則として時間外労働とは別の扱いとなり、割増賃金の支払いなど、追加の法的義務が生じます。

有給休暇に対するルール

労働基準法は、年次有給休暇5の制度を設けています。有給休暇とは、休んだ場合であっても賃金が支払われる休暇であり、これを取得することは労働者の権利です。

年次有給休暇は、一定期間継続して勤務し、所定の出勤率などの要件を満たした労働者に対して付与されます。正社員に限らず、パートタイムやアルバイトなどの短時間労働者であっても、要件を満たせば勤務日数や労働時間に応じた有給休暇が認められます。
有給休暇の取得時期については、原則として労働者が自由に指定することができ、使用者はその請求を尊重しなければなりません。

ただし、事業の正常な運営に著しい支障が生じる場合には、例外的に、使用者が取得時期を変更することが認められることがあります(これを「時季変更権」といいます)。しかし、日常的に有給休暇の取得を制限したり、一律に繁忙期の取得を禁止したりすることは、時季変更権の範囲を超え、違法となる可能性が高いといえます。

また近年では、有給休暇が十分に取得されていない実態を踏まえ、年10日以上の有給休暇が付与される労働者について、使用者が毎年少なくとも5日は取得させる義務が課されるようになりました。この義務に違反した場合には、使用者に対して罰則が科される可能性もあります。

賃金支払いに対するルール

労働基準法は、賃金についても厳格なルール6を定めています。賃金は、①通貨で、②直接労働者に、③全額を、④毎月1回以上、⑤一定期日に支払わなければなりません。これらは「賃金支払いの5原則」と呼ばれ、労働者の生活の安定を支える重要なルールといえます。

割増賃金に対するルール

労働基準法では、法定労働時間(原則として1日8時間・週40時間)を超えて労働させた場合や、法定休日に労働させた場合、深夜時間帯(午後10時から午前5時まで)に労働させた場合には、通常の賃金に一定割合を上乗せした「割増賃金7を支払うことが義務付けられています。

具体的には、①時間外労働については通常賃金の25%以上、②深夜労働については通常賃金の25%以上、③法定休日労働については通常賃金の35%以上の割増率で賃金を支払わなければなりません。

さらに、上記の割増事由が重複する場合(たとえば、深夜時間帯に時間外労働を行った場合)には、それぞれの割増率を合算して支払う必要があります。

また、時間外労働が月60時間を超える場合には、原則として50%以上の割増率が必要とされています。働き方改革により、この規制は中小企業にも適用されています8

解雇に対するルール

労働基準法では、解雇についても一定の規制9が設けられています。使用者が労働者を解雇する場合、原則として30日前に予告することが必要であり、30日より短い期間で予告した場合や即時解雇の場合には、解雇予告手当を支払わなければなりません。また、業務上のケガや病気で休業している期間中など、解雇が制限される場合もあります。

労働基準法と労働契約法との違い

労働基準法と混同されやすい法律に「労働契約法10」があります。労働基準法が最低基準を定めた法律であるのに対し、労働契約法は、労働契約に関する基本的なルールや考え方を定めた法律です。両者は役割が異なりますが、労働基準法が最低限守るべき範囲を示しているのに対し、労働契約法はその枠内での契約のあり方や紛争解決の基準を示している点が特徴です。労働基準法と労働契約法は互いに補完し合いながら、労働条件の適正化を支えています。

労働基準法は変更されていくため注意!

労働基準法は、社会情勢や働き方の変化に対応するため、これまで何度も改正が行われてきました。近年も働き方改革の一環として、時間外労働の上限規制や年次有給休暇の取得義務化など、実務に大きな影響を与える改正が続いています。

そのため、過去の知識や慣行に基づいた運用を続けていると、知らないうちに法令違反となるおそれがあります。また、法改正だけでなく、行政の通達や裁判例によって実務上の解釈が変わることもあります。労働基準法については、最新の動向を踏まえて継続的に規制内容を確認していくことが重要です。

まとめ

労働基準法は、労働者を保護するための法律であると同時に、事業運営の基本的なルールを定めた重要な法律です。労働時間や残業、休憩・休日、賃金、解雇といった事項は、日々の実務と直結しており、理解が不十分なまま運用を続けると、意図せず法令に違反するおそれがあります。

特に近年は、働き方改革の進展により、時間外労働の上限規制や年次有給休暇の取得義務化など、使用者の管理責任がより明確かつ厳格に問われるようになっています。「忙しいから」「人手が足りないから」といった事情があっても、法律違反が正当化されることはありません。

意図しない法令違反を避けるためにも、労働者一人ひとりの就業時間や給与の正確な管理が大切です。従業員管理を手助けするシステムの導入を検討することも、適切な労働条件を保つための1つの手段といえるでしょう。店舗などでSquareのPOSレジを使用している場合、無料のスタッフ管理機能を使って各従業員の出退勤を把握することができます。

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労働基準法を守ることは、単に罰則やトラブルを回避するためだけではなく、職場環境の改善や人材の定着、生産性の向上にもつながります。適正な労務管理は、従業員との信頼関係を築き、企業の持続的な成長を支える基盤となるものです。必要に応じて専門家の助言を受けながら、自社の労務管理が現行法に適合しているかを定期的に見直していくことが重要です。

よくある質問

最後に労働基準法についてよくある質問について解説していきます。

労働基準法の目的は何ですか?

労働基準法の目的は、労働者が人間らしい生活を送ることができるよう、最低限の労働条件を保障することにあります。

労働基準法の労働時間に対するルールは何ですか?

労働基準法では、労働時間の上限について、原則として1日8時間、1週間40時間を超えて労働させてはならないと定めています。これは、労働者の心身の健康を守るために設けられた「法定労働時間」のルールです。

この上限を超えて労働させるためには、あらかじめ労使間で「36協定」を締結し、所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。さらに、協定を結んだ場合であっても、時間外労働には法律上の上限があり、無制限に残業をさせることは認められていません。

労働基準法の休みに対するルールは何ですか?

まず、労働時間が一定時間を超える場合には、勤務の途中で休憩時間を与えることも義務付けられています。具体的には、労働時間が6時間を超える場合には45分以上、8時間を超える場合には1時間以上の休憩を付与しなければなりません。これらの休憩は、原則として労働者が自由に利用できるものである必要があります。また、休日については、原則として毎週少なくとも1回、または4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならないとされています。

これらのルールは、労働者の健康確保を目的とした最低基準であり、労使の合意があったとしても、使用者がこれを下回る条件を定めることはできません。

労働基準法の残業に対するルールは何ですか?

労働基準法では、原則として法定労働時間(1日8時間、1週間40時間)を超えて労働させることはできません。法定労働時間を超えて残業をさせるためには、あらかじめ使用者と労働者の代表との間で36協定を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。

また、36協定を締結していても、残業時間には法律上の上限があり、無制限に残業を命じることは認められていません。さらに、残業に対しては、法律で定められた割合以上の割増賃金を支払う義務があります。


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執筆は2017年3月7日時点の情報を参照しています。2026年1月13日に一部情報を更新しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。