従業員の雇用は、事業拡大のために重要な要素の一つです。事業を一緒に盛り上げていく仲間である従業員が労働者としての権利を守りながら気持ちよく働けるような環境を作ることは、雇い主である経営者の責任です。一方、すべての従業員が経営方針を理解して効率的に業務に取り組んでいるかを把握することも経営者の仕事の一つです。
今回は、経営者にとって従業員管理とはどのような仕事であるかをご紹介していきます。
従業員の個人情報を管理する
従業員の個人情報は厳重に管理しましょう。採用面接の時に、履歴書や職務経歴書の提出を求めた場合、この時点から従業員の大切な個人情報を管理する義務が発生するので、書類の保管方法に注意しましょう。
氏名、住所などの基本情報から、入社時期、雇用形態(正社員、契約社員、派遣社員、パート、アルバイトなど)、基本勤務時間、給与の計算方法など、従業員一人ひとりの情報が他と混同することないように、適正に保管します。参照が必要な場合、すぐに該当書類を取り出せるように整頓された保管方法も心がけましょう。
従業員の情報に変更があった場合、経営者が把握・保管している情報をすぐに更新する必要があります。変更手続きなどの申請フローを社内で決めておくことをおすすめします。あらかじめ、必要事項を記入するだけで変更手続きができるようなテンプレートなどの書類を準備しておくと、従業員にとっても管理する側にとっても効率的といえます。
マイナンバーの収集
2016年に本格始動したマイナンバー法に関連して、源泉徴収票の作成義務や社会保障関連書類の届出業務において、経営者は従業員のマイナンバー(個別番号)を収集して記載する義務があります。
特定個人情報に該当するマイナンバーは、個人を特定するために必要な情報だけでなく、税や社会保障に関する情報が紐づけられているため、紛失や盗用による個人情報の漏えいや悪用のリスクを特に考慮しなければなりません。
従業員にマイナンバーの提出を求める際は、利用目的の説明を明示した上で、適切な手段で番号を収集、また徹底した管理を行います。
マイナンバーの収集・管理について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
従業員の業務内容を管理する
誰がどのような業務をこなしているのかを把握することは、従業員管理の基本です。しかし、それぞれの業務が各従業員によって、決められた手順に従い、期待した成果が出ているかを確認することこそ、経営者の業務であるともいえます。
たとえば、飲食店において、キッチン業務とホール業務は仕事内容が大きく異なります。出来たての料理を提供するために注文内容や調理時間を考慮して調理しているか、空いたテーブルを素早く片付けられているかなど、業務内容に合わせて確認するべきチェックポイントを決めておくといいでしょう。
従業員一人ひとりが自分の業務内容と範囲を把握し、目標をもって取り組むことができるよう、経営者と従業員の認識が常に一致していることを確認しましょう。
また、困ったことや分からないことがあった場合、誰に質問するべきかを決めておく必要もあります。トラブルが発生した場合、きちんと報告先を決めておくことで、前例に基づいた適切な判断と指示が可能になります。店舗運営はチームワークです。経験や得意分野などが異なる従業員が、お互いに助け合い協力することで全体の効率化を図れるよう、それぞれの立場を明確化させましょう。
とはいえ、何かある度に新人の従業員が先輩従業員の手を止めることは運営の効率を下げてしまう可能性があります。基本的な業務内容は、いつでも誰もが参照できるマニュアルなどにまとめておくことをおすすめします。
従業員を評価する
従業員の業務内容と期待値を把握した上で、一人ひとりのオペレーションを評価しましょう。
前項で挙げた業務のチェックポイントを基準に、評価点、改善点を把握します。小売店や飲食店であれば、従業員ごとに売り上げを分析することも手段の一つです。従業員のパフォーマンスに対するお客様の声が聞こえてきたら、記録し共有しましょう。評価や感想は、従業員にとっても大きなモチベーションとなります。
Squareは、各従業員の売り上げが一目でわかるスタッフ管理機能を提供しています。Square POSレジと連携しているので、販売管理に関する情報がリアルタイムで自動で記録されます。経営者は、いつでもどこからでも確認することができるので、複数店舗を経営している場合でもかんたんに全ての従業員のパフォーマンスを把握・管理することができます。
従業員ごとにパスワードを付与することで、閲覧できる情報の制御もできます。
勤怠を管理する
従業員と経営者は、労働と賃金で結ばれています。経営者は従業員に対して、労働時間に相応の賃金を適切に支払う義務があります。
未払いの残業代や過重労働の見落としを防止するために、どの従業員がどれだけ働いたかを正確に記録しなければなりません。自己申告制はトラブルの原因になります。タイムカードなど、従業員の出退勤時刻を自動で記録できる環境を整える必要があります。
しかし、タイムカードを導入しても押し忘れがあると正確な記録を取ることができません。本人と事実確認をしたり周囲の従業員に裏付けをとったりすることに時間はかけたくないものです。無用なトラブルを避けるためにも、勤怠管理は徹底させましょう。
勤怠の記録漏れを確認することの他に、従業員一人ひとりの勤怠状況を把握することも重要です。過重な就労をしている従業員はいないかこまめに確認します。
Squareのアカウントをお持ちであれば、店舗で準備したスマートフォンやタブレット端末上で従業員がチェックインすることで各自の出退勤時刻が自動で記録されるタイムカード機能をお使いいただけます。経営者は、いつでもどこからでも従業員の勤怠状況をかんたんに把握することができます。
効率的な運営を目指して
従業員は、事業を一緒に盛り上げていく大切な仲間です。担当の業務を行うこと以外にも、事業の改善になり得るヒントを従業員から吸い上げることも経営者にとって重要な仕事です。
従業員を交えたミーティングや個人面談の場を設けましょう。普段の業務における不満や悩み、運営方法に対する意見や疑問などを聞き出し、事業の改善に役立てましょう。特に、人間関係におけるトラブルは、日々の運営からは見えにくい場合がありますので、しっかりフォローしましょう。従業員の健康状態を把握しておくことも重要です。
また、このような機会を利用して、社内ルールや業務マニュアルの内容を見直してみるのもいいでしょう。
働く者全てが同じ認識でそれぞれの業務に従事できるような環境作りをすることは、無用なトラブルの無い効率的な運営を実現します。そのためにも経営者が従業員の心的状態や健康状態を把握しておくことは必須といえるでしょう。
労働基準法を守りましょう
雇用している従業員が健全に働くことができる環境の基準を定めているのが労働基準法です。従業員の権利を守り、また、従業員と経営者の労使関係における認識の相違を防ぐためにも、内容をよく理解しておく必要があります。
労働基準法の確認ポイントはこちらの記事をご覧ください。
執筆は2017年3月13日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、スクエアは責任を負いません。