ビジネスから考えるサステナビリティとは

世界で気候変動、地域間の格差や搾取が問題となる中で、持続可能であるさまを意味する「サステナビリティ」という単語を見聞きすることが多くなりました。サステナビリティを意識したビジネスというと、これまで社会のためにするものというイメージがありましたが、ビジネス拡大や収益増を同時に達成している企業も出てきています。

今回はサステナビリティに関心を持つビジネスオーナーを対象に、サステナビリティについて企業事例、メリット、ビジネスをサステナブルにする方法と合わせて説明します。

サステナビリティとは

はじめに「サステナビリティ」(sustainability)が何を意味するのか押さえておきましょう。サステナビリティとカタカナで表記されることも多くなりましたが、「持続可能性」と漢字で表記されることもあります。Sustainabilityは名詞で、その形容詞であるサステナブル(sustainable、持続可能)という単語も使われます。

サステナビリティというと漠然と「環境によいこと」をイメージする人も少なくないでしょう。環境に関する議論で出てくることの多い単語のため間違いではありませんが、本来の意味はより一般的なものです。持続可能性や持続可能な開発については1987年、当時のノルウェーのブルントラント首相の「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」という考え方が世界的に広く知られています。この考え方に基づくと、環境に加えて社会や人もサステナビリティの対象となることがわかります。国連では2016年から2030年までの15年間で達成するSDGs(持続可能な開発目標)が2015年に採択され、現在、日本を含む世界各国で官民をあげて取り組みが進められています。

このような動きの中で、企業におけるサステナビリティとは、現在から将来にわたって持続可能なビジネスを営むことといえます。目先の利益を優先して犠牲を無視するのではなく、環境、人、社会に配慮しながら長期的に収益をあげビジネスを存続させていくことと考えるとよいでしょう。たとえば、途上国の環境や人を搾取する形での生産は将来にわたって持続可能ではなく、世界では環境に加え人や社会に配慮したサステナブルなビジネスの形が模索されています。

これまで営利企業でビジネスとサステナビリティは両立しにくい、サステナビリティを実現するにはコストがかかるというイメージから、本業とは別にCSRとしてサステナビリティに関する活動をしてきた企業も少なくありませんでした。しかしながら、近年欧米を中心に国際的な大手企業を含めサステナブルなビジネスで収益を上げる企業が現れ、ビジネスとサステナビリティの両立は可能で、サステナビリティを意識することで新たなビジネスを開拓できる可能性もある、と考え方が改められつつあります。

サステナビリティの企業事例

国際的な大手企業というと、収益の最大化を至上目標とするプロフェッショナル集団というイメージを持つ人もいるかもしれません。確かにそのような側面もありますが、環境や格差の問題が深刻化し、消費者の意識が変わる中、サステナブルに事業を営む大手企業も増えてきています。

たとえば国際的な消費財メーカーは、企業ビジョンとしてサステナビリティを掲げ、サステナビリティを意識したブランドを収益や成長の柱としています。これらのブランドは消費者に対するイメージがよいだけでなく、企業としてもサステナビリティを考慮することで生産の効率化やコスト削減を実現しています。そのほかに大手企業の動きとして、最近では環境への配慮から国際的なネット通販大手が配送用に大量に電気で動くトラックを注文したことも話題になりました。このような傾向は大手にとどまらず、中小企業、個人事業主でもゴミを出さないフードスタンド、倫理面に配慮したファッションブランドや食品ブランドなどさまざまなビジネスがみられます。

サステナビリティに関する取り組みは欧米を中心に広がりを見せていますが、日本国内でも従来のCSRの枠内での取り組みを超えたビジネスとサステナビリティの両立が始まっています。世界経済フォーラムが開催するダボス会議で発表されるGlobal 100 Most Sustainable Corporations in the World(世界で最もサステナブルな企業トップ100)で2019年には大手日本企業8社がランクインしました。このランキングでは環境に関する指標をはじめ、従業員の構成や待遇、収益や納税の透明性など21の指標が用いられます。欧米で見られるようにサステナブルなビジネスは大手に限ったものではなく、本記事を読んでいる人の中にもすでにサステナビリティを意識している、これから取り組むべく商品やサービス、経営方針を変えていきたいと考えている人も少なくないことでしょう。

参考:World’s 100 Most Sustainable Corporations Deliver Better for Investors (2019年1月22日、MARKETS INSIDER)

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サステナブルなビジネスが生むメリット

ビジネスオーナーとしては、サステナブルなビジネスに取り組みたいと考えつつも、それに伴うコストが心配という人もいるかもしれません。確かにコストはゼロとはいえませんが、長期的にはサステナブルなビジネスには多くのメリットがあります。

まず、先進国では消費者が商品やサービスに環境や社会、人に対する倫理面での配慮を求める傾向があり、サステナブルな方法で作られた商品やサービスはエシカル消費(倫理的な消費)のニーズに応えるものとなるでしょう。サステナブルなビジネスに取り組む姿勢はお客様から評価され、リピーターが増加し、長期的な収益拡大にもつながります。生産や流通に今までよりもコストがかかったとしても、お客様と丁寧にコミュニケーションすることで、増えたコストを事業者とお客様で負担することも不可能ではありません。

そうはいっても無限に商品やサービスを値上げできるわけではなく、ビジネスオーナーには創意工夫が求められます。創意工夫のプロセスはイノベーションのチャンスと捉えるとよいでしょう。実際に環境、社会、人への配慮、コストなどさまざまな制約を満たし、消費者のニーズに応えるために企業が試行錯誤する中で、これまでにない生産や流通の手法が生み出され、コスト削減や付加価値をつけることにもつながります。

また、ビジネスオーナーにとって環境や社会、人に対して犠牲を強いる後ろめたさがなく、前向きにビジネスに取り組める点も大きなメリットの一つといえます。

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ビジネスをサステナブルにする方法

サステナビリティについて理解を深め、ビジネスをサステナブルにしたいと考え始めた人もいるかもしれません。ビジネスをどこからサステナブルにしていくか検討するにあたって、環境に焦点を当てたものになりますが、環境省がウェブサイトで公開している『「環境サステナブル企業」についての 評価軸と評価の視点』」が参考になります。環境面からビジネスをサステナブルにしたいと考えている人は評価軸を参考に、改善できる点を考えてみるとよいでしょう。

参考:「環境サステナブル企業」についての評価軸と評価の視点(環境省)

サステナビリティについては、環境のほか、社会や人の観点からもビジネスで取り組むことができます。弱者を搾取していないか、資金の流れの透明性は確保されているか、従業員の待遇は公平であるかなどさまざまな観点からビジネスをサステナブルにしていくことができます。

ビジネスの中で感じている疑問や違和感はビジネスをサステナブルにするきっかけになります。材料を遠くから取り寄せていることに違和感を持ったら地域で作られた材料を探してみる、従業員の疲労が気になったら働きやすい環境づくりに努めるなど、何かおかしいと思ったら「サステナブルにするにはどうしたらいいだろう?」と問いかけてみてください。

一つ一つは小さな一歩で、当初はコストが増加するかもしれませんが、これらの積み重ねがビジネスをサステナブルかつ収益をあげる方向に導くことでしょう。

執筆は2019年10月15日時点の情報を参照しています。
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