飲食店向け!開業資金の集め方

飲食店の開業を考える際、まず気になるのが開業資金の調達方法ではないでしょうか。物件の取得や内装、厨房機器の購入など開業時には、ある程度まとまったお金が必要です。潤沢な蓄えがあれば自己資金のみで開業することも可能ですが、足りない場合は何らかの形でお金を調達する必要があります。

今回は飲食店の経営を考えている人に向けて、開業資金の集め方に関するヒントを紹介します。

どれくらいの金額を用意すべきか

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飲食店の開業に必要な資金の額は、立地や規模によって差はありますが、一般的には1,000万円程度が目安だといわれているようです。その内訳は、大きく分けると店舗物件取得資金、設備資金、運転資金の3項目です。

店舗物件取得資金

賃貸物件での開業の場合、前家賃や保証金、礼金、不動産業者への仲介手数料などが店舗物件の取得に関わる費用として挙げられます。なかでも特に注意したいのが保証金で、店舗の場合は賃貸住宅の敷金と違い、相場が賃料の10ヶ月分程度と大きなウェイトを占めます。また、そのうちの何割かが償却扱いなど条件が付帯している場合もあるので、契約の際によく確認してください。

設備資金

内外装工事費や厨房機器、食器類などの購入に充てる費用です。店舗を居抜きで借りられれば、造作譲渡金を支払うことによって厨房設備などを引き継げることが多く、ある程度節約することが可能です。

運転資金

オープンしたての店舗は、目新しさもあってお客様が集まりますが、2週間から3週間経つと一段落して売り上げが落ちることがよくあります。オープン直後から黒字で経営できる店舗はまれで、しばらくの間赤字という店舗も珍しくはありません。そのことを念頭に置いて、6ヶ月分の運転資金は確保しておくことをオススメします。

運転資金の不足は即廃業につながります。キャッシュフローを時系列でよく確認し、項目の見落としもないようにしっかりシミュレーションして、ゆとりある金額を確保しておくようにしましょう。

資金調達の方法

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自己資金

開業資金としてまず挙げられるのが、貯蓄して持っている自己資金です。用途を限定せずに自由に使えるというメリットがあります。開業資金全額を自己資金で賄えれば問題ありませんが、自己資金をベースに不足分を金融機関などの融資で補う場合には、3割程度の自己資金比率を求められるようです。自己資金が少なすぎる場合は、今一度計画を見直してみましょう。

家族や知人からの援助

自己資金と同様に自由に使える資金の調達手段として、家族や知人からお金を援助してもらう方法があります。血縁者や日ごろの付き合いに頼って調達できる一方、あいまいな形で話が進み、後のトラブルを招くこともあるので注意が必要です。

借金として借りるのか、返済義務のない支援として受け取るのかを明確にし、借金であれば、返済期間や利息などを取り決めて書面に残しておくことをオススメします。

銀行や信用金庫からの融資

飲食店に限らず、開業資金の調達法としてポピュラーなのが銀行や信用金庫からの融資です。融資を依頼する際には、必ず事業計画書の提出が求められます。希望通りの融資が受けられるかどうかは、事業計画書のクオリティにかかっています。「銀行融資のための事業計画書作成ヒント」の記事などさまざまな情報を参考にしつつ、質の高い事業計画書を作成しましょう。

また一度融資を受けた後、資金が足りなくなったからといって追加融資を依頼しても受け付けてもらえないことがあります。融資を申し込む際は、ゆとりをもった金額で見積もるようにしておくとよいでしょう。

日本政策金融公庫からの融資

銀行や信用金庫など民間の金融関以外に、公的機関から融資を受けるという方法もあります。その代表といえるのが日本政策金融公庫で、比較的低金利で借りられる点が大きなメリットです。

「再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)」や「女性、若者/シニア起業家支援資金」など、起業スタイルに合わせたプランが用意されているほか、高い限度額やゆとりある返済期間、2年以内の返済据え置き期間の設定など、新規で飲食店を開業する人にとってさまざまな選択肢が揃っています。

参考:融資のご案内(日本政策金融公庫)

国や自治体の補助金、助成金

返済義務のない資金調達法として、国や自治体が提供している補助金、助成金があります。補助金は募集期間が限定され、審査を通過しないと支給されませんが、助成金に比べると大きな金額を受け取ることができます。助成金は条件に適合すれば支給されるのが一般的で、概ね長期間に渡って受け付けています。

申し込む際には、それぞれ条件が設定されているので、自身の事業形態や用途に合っているかどうかをよく確認しましょう。

2018年 起業のための補助金・助成金まとめ」の記事もぜひ参考にしてみてください。

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その他の調達方法

クラウドファンディング

近年耳にすることの多くなった資金調達方法にクラウドファンディングがあります。

専門のウェブサイトなどを通じて自身の事業プランを示し、資金援助の返礼を設けて支援を呼びかけるもので、なかには数千万円といった規模の資金調達を実現している例もあります。数千円といった少額から援助ができるため、援助する側の障壁が低いのも普及している一因といえるでしょう。

事業アイデアのユニークさや開業の経緯、経営理念への共感がダイレクトに金額に表れますが、どんなに優れたプランであってもクラウドファンディングを行っているという告知が行き届いていないと結果が得られないので、ソーシャルメディアなどを活用してアピールする能力が求められます。

クラウドファンディングを上手に利用すれば、開業前に店舗の魅力を宣伝したり、クチコミを醸成したりすることも可能です。資金以外にも得られるものがある点が、クラウドファンディングの魅力のひとつといえるでしょう。

ビジネスプランコンテスト

特色のある飲食店経営を考えている場合、ビジネスプランコンテストに応募してみるのも良いでしょう。

参考:ビジネスプランコンテス(ミラサポ 未来の企業★応援サイト)

開業資金に充てられる賞金を用意したコンテストが、各地でさまざまな団体によって開催されています。たとえ賞を得ることができなかったとしても、綿密な事業計画の作成やフィードバックによるビジネスプランのブラッシュアップなど、店舗を成功に導く強力な後ろ盾を得ることができます。また、ほかの参加者の発表内容から有用な経営のヒントが見つかるかもしれません。

開業資金の調達方法はいろいろありますが、大切なのは「どの費用にどれくらいの金額が必要となるか」を事前にしっかりと把握することです。各項目、見落としの無いように綿密にシミュレーションを行い、「どの資金調達で得たお金をどこに充てるか」をきちんと計画して、資金面での準備を進めましょう。

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執筆は2018年8月7日時点の情報を参照しています。
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