EC(Eコマース、電子商取引)に特化したマーケティング施策は、ネットショップビジネスのさらなる活性化につながります。ECマーケティングとは何か、対面販売向けのマーケティングの違い、そしてECマーケティングでの具体的な集客や購入率アップの方法を紹介します。
目次
ECマーケティングとは?
ECマーケティングについて学ぶ前に、そもそもマーケティングとは何かを明確にしておきましょう。マーケティングとは、商品やサービスが効率的に売れるようにするために企業・店舗が行う全ての活動を指します。市場調査も、商品デザインにトレンドを取り入れることも、商品広告を出すことも、ショップブログを通じて商品価値を伝えることも、全てがマーケティング活動に含まれてきます。
人手や予算などのリソースが限られ、ECサイトのみが販売チャネルというネットショップでは、ECマーケティングにより販売の「効率性」を上げることがますます重要となります。ネットショップの売り上げアップに貢献するだけでなく、ECマーケティングによってニーズのあるところに商品情報を確実に届けることで、お客様が本当に欲しい商品を入手できるという、双方にとってメリットのある状態が生まれます。
ECマーケティングの施策は、実店舗など対面販売のケースとは異なり、ネットショップならではの特性を生かした施策が必要です。
ECマーケティングと対面販売のマーケティングの三つの相違点
ECマーケティング | 対面販売のマーケティング | |
接触方法 | オンライン(スマートフォン、タブレット、パソコンなど) | 店舗、訪問、電話、チラシ、オンラインなど |
情報分析 | アクセスデータの集積と分析がデジタルで完結し、情報量が膨大 | 販売記録、顧客アンケート、店内カメラなど、情報フォーマットが多様で、集約に手間がかかる |
対象エリア | インターネットにアクセスできる世界中の人 | 店舗に来れる国内客がメイン |
ECマーケティングの最たる特徴は、オンラインがフィールドであることです。ECと対面販売のマーケティング方法の違いから、施策の方向性を考えてみましょう。
ECマーケティングでは、お客様との接点がオンラインのみとなります。お客様の手元のデジタルデバイスに宣伝などの情報が届き、お客様から気軽にアクセスしてもらえるのは、ECマーケティングならではのメリットです。
また、マーケティングの土台となる情報分析についても、お客様がどのような経路でネットショップに辿り着き、どのページを閲覧して商品を購入した、またはしなかったかがデジタルで記録されるため、ECマーケティングでは分析データの収集が容易です。
商品特性によっては、日本国内だけでなくグローバルなECマーケティングが成果につながる場合もあります。もちろん、対象の国・地域によって、現地の文化様式に合うECマーケティング施策を計画し、ECサイトの言語や通貨レートの対応も必要です。
こうしたECならではの特性に着目しながら、対面販売とは異なるECマーケティングの施策を、「集客アップ」と「購入率アップ」の二つの側面から考えていきます。
ECマーケティングの集客方法
ECにおける集客とは、自社のネットショップへの訪問促進を指します。まずは訪れて商品を見てもらわなくては、購入にもつながりません。対面販売の場合と比較しながら、ECにおける集客方法を挙げてみます。
広告出稿
対面販売の広告は、テレビ・雑誌広告やポスティングなどが考えられますが、ECマーケティングの広告はオンライン広告です。オンライン広告はインターネット広告とも呼ばれ、以下のような種類があります。
- リスティング広告…ブラウザの検索画面上位に表示する、検索連動型
- ディスプレイ広告(バナー広告)…ニュースサイトやブログなどの特定枠に表示
- SNS広告…ソーシャルメディア内に表示
- 動画広告…動画サイトのコンテンツの間や途中に表示
- ネイティブ広告…情報サイトなどに自然で溶け込むタイプの広告
この他にも多様なオンライン広告があり、広告をクリックすることでECサイトに直接つながる点がメリットです。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングは、お客様にとって価値のあるコンテンツの提供を通して、ネットショップや商品に興味を持ってもらう方法です。服のコーディネート例、おいしいコーヒーの淹れ方、自転車のパーツ交換方法、職人による家具作りのこだわり、野菜栽培農家のインタビューなど、ネットショップの商材と関連し、かつターゲットが共感しやすいテーマ選びが鍵となります。媒体はブログやソーシャルメディアなどがよく使われます。
最近では対面販売のビジネスにも使われるコンテンツマーケティングですが、ECにおける集客の強みはやはり、コンテンツ内に掲載したリンクからのダイレクトなアクセスです。
アクセスデータの分析
ECマーケティングの集客施策を決定する根拠には、アクセスデータの存在があります。たとえば、どのブログ投稿からのリンクへのアクセスがどれだけ多かったかがわかれば、次回以降の効果的な投稿が可能です。オンライン広告からの流入も同様に分析することで、広告の出稿先や内容をアレンジでき、ECマーケティング費用をより効果的に使うことができるようになります。
ECマーケティングでCVRを向上させる方法
ECサイトへのアクセス数や広告クリック数のうち、購入という成果つながった割合はCVR(コンバージョンレート、顧客転換率)と呼ばれます。CVRもECマーケティングによって改善が可能で、以下のような地道な施策が求められます。
ランディングページの最適化
ランディングページとは、コンテンツマーケティングを起点に流入したユーザーをより引きつけるためのページです。通常の商品ページへのアクセス前に、コンテンツ関連の情報をより詳しく載せたランディングページを見て、安心して購入を決断してもらうことを目的としています。
優れたマーケティングコンテンツを作り、そこから商品ページへのアクセスが増えたにも関わらず、その後の購入決定につながっていない場合は、コンテンツと商品ページの間に適切なランディングページの設置を検討してみましょう。
パソコン、スマートフォンのUIの向上
ネットショップのUI(ユーザーインターフェース)とは、販売チャネルであるECサイトのシステムのうち、ユーザーとの接点部分のデザインや機能を指します。
たとえば、お客様がネットショップで買い物中に「現時点の合計金額が知りたい」と思った場合、実店舗で買い物かごの中を覗くように、気軽に確認できる必要があります。「カート」や「買い物かご」の機能はあるものの、どこをクリックすれば中身が見られるのかがわかりにくいUIだと、探しているうちに面倒になり、決済まで辿り着かずに終わる「かご落ち」となる場合もあります。ECサイトのUIは、ユーザー目線でしっかり確認しましょう。
ECサイト内の機能の充実
そもそもECサイト内に必要な機能が足りていないせいでCVRが上がらない、というケースもあります。
たとえば、最近のECサイトの商品ページには「レコメンド」の機能があることが多く、おすすめ商品の情報をビジュアル的に見せます。クロスセルやアップセルを狙った機能の他、お客様からの問い合わせ、ユーザー登録など、ネットショップに必要な機能を充実させましょう。
ユーザーの再訪問の促進
リマーケティング広告は、一度でもそのECサイトを訪れたことのある人に対して、再訪を促すためのオンライン広告です。過去に欲しい商品を閲覧したが何らかの理由で離脱した人に、ネットショップの存在と商品の魅力をアピールすることで、CVRアップにつなげます。
以上のように、ネットショップの機会損失を防ぎ、ニーズを持つお客様に価値ある商品情報がしっかり届くよう、的確な施策を検討しましょう。集客やCVRアップと併せて、クーポン発行やポイント制度、メールマガジンなど、「またこのECサイトで買いたい」というリピーターを獲得するECマーケティング施策も実施すると、継続的な売り上げにつながりやすくなります。
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執筆は2021年10月27日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash