小売業の専門用語35選。開業する前に押さえておきたい知識をまとめました

目次



小売店を運営しはじめると、耳にするようになる専門用語。ここでは小売店にまつわる基本的な用語と、その意味を記載しています。ぜひ辞書代わりにご利用ください。

決済にまつわる単語

タッチ決済
タッチ決済とは、クレジットカードを決済端末にかざして決済を完了する方法です。非接触で決済を完了でき、利用場所も増えていることから、タッチ決済を好んで利用するお客様も増えてきているようです。「タッチ決済に対応してるカードブランドって?」「コンタクトレス決済とタッチ決済って同じこと?」などの疑問については「タッチ決済とは?歴史・メリット・導入方法を紹介」で詳しく答えています。

モバイル決済
モバイル決済とは、小型のキャッシュレス決済端末をスマートフォンやタブレットなどとつなげて、決済を受け付ける方法です。安ければ数千円ほどで導入できる手軽さから、個人商店などで導入する事例が近年増えています。

チャージバック
チャージバックとは、クレジットカードを利用する消費者を不正利用から守る仕組みです。具体的にいうと、身に覚えがない請求や注文した商品と著しく異なる商品が届いた際などに、クレジットカードの名義人がカード発行会社に対して請求額の取り消しや返金を要求したときに発生する返金を指します。場合によっては、事業者が返金を負担しなければいけない恐れもあるので、注意が必要です。チャージバックを防ぐために事業者ができることはこちらの記事からご確認ください。

EMV
EMVはEuropay、Mastercard、Visaの頭文字を組み合わせたもので、ICチップ搭載クレジットカードの統一規格です。ICチップ搭載クレジットカードを「EMV対応カード」と呼ぶこともあります。

ICチップ搭載クレジットカードでは情報が暗号化されて保存されるため、従来の磁気カードと比べてセキュリティーが高い点が特徴的です。事業者として覚えておきたいのは、ICチップ搭載のクレジットカードに対応できる決済端末の導入が求められている点です。ICチップ非対応の決済端末を利用した場合に生じるリスクは、こちらからご確認ください。

PCI DSS
PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standardの頭文字をとった略語)とは、クレジットカード決済を安全に受け付けるために定められたセキュリティー基準です。クレジットカード決済を受け付ける事業者は、必ずPCI DSSに準拠しなければいけません。Squareの決済サービスはPCI DSSに準拠しているので、安心してクレジットカード決済を受け付けることができます。

販売方法にまつわる単語

オムニチャネル
オムニチャネルとは、消費者があらゆる経路から商品を購入できる仕組みのことを指し、売り上げ向上のためには欠かせない戦略です。方法としては、店舗に限らず、ソーシャルメディアやネットショップ、カタログなど、さまざまな経路から商品の購入・受取を可能にします。言い換えると、お客様が「いつでも、どこからでも買い物ができ、受取方法を選択できる」ようにします。たとえばネットショップでの注文の店頭受取を可能にしたり、別店舗にある在庫をお客様の自宅に発送できるよう手配したりなど、複数の販売チャネルを駆使しながらお客様にとって購入しやすい、利便性の高い環境を整えます。オムニチャネルを実現するためには、ネットショップと実店舗との連携や、複数店舗の在庫を確認できる在庫管理ソフトなどが必要になります。オムニチャネルについて詳しくはこちらでも説明しています。

ソーシャルコマース
ソーシャルコマースとは、写真・動画共有サイトやブログなどのソーシャルメディアから購入に進む方法です。フィードに流れてくる投稿からネットショップに数クリックで飛べるようになったInstagramなどもその一例です。ほしいものを検索で探してたどり着くネットショップとは一変、ユーザーはSNSなどを通じて、受動的に触れた情報から商品を見つけます。ソーシャルコマースの大きなメリットは、ユーザーが商品を発見してから購入までスムーズに進めることにあります。ユーザーは使用しているSNSプラットフォームから数クリックで購入画面に飛ぶことができるので、手間が多くない分、購入につながりやすいといえます。

店頭受取機能(BOPIS)
ネットショップで購入した商品を店頭で受け取るサービスを「BOPIS(Buy Online Pickup In Store、ボピス)」といいます。小売店で導入するメリットとしては、配送業務が減る点が大きいでしょう。「配送料を支払うのがもったいない」というお客様には好んで利用してもらえる可能性があります。

ショールーミング
ショールーミングとは、店舗で見つけた商品をそのまま購入せず、後に店頭より安い価格で販売しているオンラインショップから購入することを指します。ショールーミングを防ぐために事業者ができることはこちらを参考にしてください。

店舗運営にまつわる単語

フランチャイズ
フランチャイズとは、フランチャイザー(本部)とフランチャイジー(加盟店)が契約を結び、商品の販売権や商標の使用権を取得する仕組みです。商品や商標を使用するうえで、加盟店は本部にロイヤルティーと呼ばれる料金を支払います。

CRM
CRMとはCustomer Relationship Managementの頭文字をとった単語で、日本語では「顧客関係管理」と訳されます。具体的には、お客様との関係を深めるための戦略やシステムを指します。方法としては、顧客リストの作成やSNSを活用したコミュニケーションなどが挙げられます。詳しくはCRMとは?導入から効果まで解説します。をご確認ください。

SCM(サプライチェーンマネジメント)
SCMはSupply Chain Management(サプライチェーンマネジメント)の頭文字をとった単語です。「サプライチェーン」とは、原材料を調達するところから消費者に届けるまでの一連のプロセスを指しており、「マネジメント」は管理を意味します。おおまかにいうと、生産から流通までの一連の流れを管理することがSCMの役割だといえます。SCMの導入目的は、サプライチェーンにまつわる情報を一元管理することによって、生産性や利益を高めることです。詳しい導入方法については「再導入・再構築が進むSCM(サプライチェーンマネジメント)とは?」をお読みください。

価格戦略にまつわる単語

価格バンドリング
価格バンドリングとは、複数の関連商品をセットにし、個別で購入するよりも安い価格で販売することを指します。POSレジでは「バンドリング販売」「セット販売」などの機能を活用します。

フラッシュセール
フラッシュセールとは、短期間で大幅な値引きを行うセール手法です。多くの場合は、「明日まで!先着50名に60%オフ」など、参加できる人数も限定します。一気に集客ができるので、売れ筋のいい商品を余剰在庫などと組み合わせて販売することもできるでしょう。

売上管理にまつわる単語

売上原価
売上原価とは、実際に売れた商品の仕入れや製造にかかったコストです(※売れ残った商品は計算に入れません)。売上高から売上原価を差し引くことで、売上総利益が算出できます。

POSシステム
POSはPoint of Salesの略で、日本語に訳すと「販売時点情報管理」です。簡単にいうと、商品が売れたタイミングで、売れた商品の名前・価格・販売個数などの販売情報を記録できるシステムです。「POSレジ」はPOSシステムを搭載しているレジを指します。詳しくは「POSレジとは」でも説明しています。

クラウドPOS
従来のターミナル型やパソコン型のPOSレジでは専用機、専用ソフトウェアの導入が必要でした。しかし導入にあたり、それなりの手間とコストがかかり、小規模な事業者にとってはハードルの高いものでもありました。最近耳にする機会も増えた「クラウドPOSレジ」は、インターネット上にデータを保存できるPOSレジです。クラウドPOSは、個人商店などでも導入しやすい料金体系が特徴的です。具体的には、スマートフォンやタブレットなどにアプリをダウンロードするだけで使い始めることができます。「モバイルPOS」と呼ばれることもあります。

売上予測
過去の売上データをもとに、今後の売上を予測することを「売上予測」といいます。おおまかな計算式は以下です。

小売店
1日あたりの来客数 × 客単価 × 1カ月の営業日数

飲食店
客単価 × 席数 × 1営業日の回転数 × 1カ月の営業日数

売上高
売上高は、サービスや商品を提供することで得た売上金額です。たとえば1,000円の商品をお客様が購入した場合、売上高は1,000円になります。一方、混同されることも少なくない「利益」は、人件費や原価を差し引いて算出します。

純利益
純利益とは、対象となる会計期間で得たすべての収益から、すべての費用を差し引いたときに残る利益です。当期利益ともいいます。

売上総利益
売上総利益は、売上高から売上原価を差し引いて計算します。具体的にいうと、仕入れや製造コストなどを差し引いたときに、どれだけの利益が残るかを計算することができます。「粗利」とも呼ばれます。会社の一定期間の収益と費用がわかる損益計算書を作成する際に、理解しておきたい数字です。

仕入れにまつわる単語

発注書
発注書とは、商品を注文する際に買い手が売り手に向けて発行する証憑(しょうひょう)です。注文書と呼ばれることもあります。発注書は基本的に、売り手から受け取った見積書をもとに作成します。発注書には発注元(買い手)の情報、発注先(売り手)の情報、発注内容(品名、色、サイズなど)、発注金額、納期などを記載します。

納品書
納品書は、売り手が納品した商品を記載する証憑(しょうひょう)です。基本的には商品に同封されています。買い手は、納品された内容と発注書にある内容に相違がないか照らし合わせます。納品書は請求書と混同されやすいですが、請求書代わりにはならないので、注意が必要です。違いについて詳しくはこちらで説明しています。

在庫管理にまつわる単語

余剰在庫
余剰在庫は、余分に仕入れたため、倉庫に保管してある売れ残りの在庫を指します。基本的には売れる見込みのある在庫を余剰在庫といいます。ただし、いくら売れる見込みがあっても、長期間倉庫で保管しておくと損傷や劣化などが起き、廃棄せざるを得なくなることも考えられます。経営コストを無駄にしないためには、余剰在庫をなるべく抱えないような在庫管理方法が理想的です。

ドロップシッピング
ドロップシッピングとは、在庫を抱えずにネット販売を行う方法です。余剰在庫のリスクや、保管スペースを確保する必要がないため、コストを抑えてネット販売がはじめられます。商品は購入され次第、メーカーなどから直接購入者に送られます。仕入れの手間やコストが省けるのも、大きなメリットといえるでしょう。

先入れ先出し(FIFO)
先入れ先出し(First In First Out)は、仕入れた日時が古い在庫から順に店頭で販売していくことを指します。特に食品や化粧品などは、倉庫に滞留させてしまうと賞味期限や使用期限を迎えてしまう可能性があります。廃棄せざるを得ない状況を招いてしまわないためにも、徹底しておきたい在庫の捌きかたです。

後入れ先出し(LIFO)
後入れ先出し(Last in First Out)とはその名の通り、最後に仕入れたものを先に販売していくことです。言い換えると、古い商品を後ろに、新しい商品を前に陳列して販売していくことになります。たとえばスーパーマーケットの野菜売り場など、鮮度の高さが重視される商品に関しては後入れ先出しを実施します。

在庫管理
在庫が必要なときに、必要な量が必要な場所にあるよう管理することを「在庫管理」といいます。欠品や過剰在庫などが発生しないためにも、事業者は過去の売り上げを分析しながら売れ筋や死に筋を把握し、今ある在庫数を常に確認しながら、適宜仕入れ作業を行います。

在庫ロス
在庫ロスは何らかの理由で、販売できなくなった在庫を指します。仕入れコストや保管コスト、廃棄コストなどがコストだけがかさむことになるため、できるだけ避けたいことです。在庫ロスは、賞味期限を迎えてしまうなど廃棄せざるを得ない「廃棄ロス」、商品に需要はあるものの欠品などで販売ができない「機会ロス」、社内での入力ミスなどによる「棚卸ロス」から生じるといわれています。このようなロスを減らすには、在庫管理システムを活用し、常に在庫が適正であるかを確認することが大切です。

SKU(エスケーユー)
SKUとはStock Keeping Unitの頭文字をとった単語で、日本語にすると「最小管理単位」と訳されます。SKUは在庫管理をするうえで「種類」ということもできます。そのため、「倉庫では100SKUの商品を保管しています。全部で1000点あります」は「倉庫では100種類の商品を保管しています。全部で1000点あります」という意味になります。たとえば白いTシャツと黒いTシャツのS、M、Lサイズを販売していて、在庫数は全部で100枚だとします。この場合、SKUは全部で6つ、点数は全部で100になります。

PLU(ピー・エル・ユー)コード
Price Look Upの頭文字をとったPLUコードは、価格と紐づけられたバーコードのことです。PLUコードをスキャンすると、POSレジなどに商品価格を表示させることができます。似て非なる「JANコード」は商品識別番号としても知られており、価格情報は含まれていません。JANコードには、登録された国の情報やメーカーの情報、商品ごとに割り当てられた番号などが含まれています。

RFID(アール・エフ・アイ・ディー)
RFIDとは棚卸作業を効率化する、無線通信で情報の読み書きができるシステムです。専用の読み取り機(以下、リーダライタ)を商品に向けると、一括で商品情報を読み取ることができます。一つひとつの商品バーコードを読み取ったり、手で数えたりする手間が省けるので、棚卸作業にかかる時間を大幅に削減できます。具体的には、商品情報を記録したRFIDタグを貼り付けた商品にリーダライタを向けることで、在庫の有無や在庫数をパッと把握することができます。効率的ではあるものの、導入コストが高いというデメリットを抱えます。

マーケティングにまつわる単語

マーチャンダイジング
マーチャンダイジングは、商品化計画を指します。具体的には、消費者の購買意欲を刺激する商品を(1)適切な数量で(2)適切なタイミングで(3)適切な価格で(4)適切な場所に設置することを意味します。

クロスマーチャンダイジング
異なる性質を持つ商品をあえて近くに置いて、お客様の「ついで買い」を促す方法です。クロスマーチャンダイジングの立派な一例として、スーパーマーケットなどで、酒類コーナーの付近におつまみを並べることが挙げられます。基本的には同じシーンで用いる商品を隣り合わせに、あるいは近くに陳列させます。

ビジュアル・マーチャンダイジング
ビジュアル・マーチャンダイジング(以下、VMD)は、視覚を刺激することで、お客様の購入意欲を高めるマーチャンダイジング手法です。VMDを活用して売り上げアップを狙うには、お客様の目のつくところにイチオシの商品を並べたり、手にとりやすい場所に商品を置いたり、商品の魅力を伝えるPOPを飾ったりなど、思わず商品を手にとりたくなるような店内レイアウトの工夫が求められます。


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執筆は2021年6月16日時点の情報を参照しています。
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