ビジネスの成功の鍵は、お客様との関係性の構築であるということは、これまで何度かお伝えしてきました。お客様のニーズを理解し、商品やサービスを適切なタイミングに適切なアプローチで提供していくことで顧客化を促し、継続的に売り上げを生み出す仕組み作りが実現されます。
お客様のニーズを理解するためには、年齢や性別だけでなく、趣味嗜好や購買行動までも把握する必要があります。これらの情報を用いてお客様との関係を深める戦略またはシステムのことをCRM(Customer Relationship Management)と呼びます。文字通り、顧客関係管理という意味で、お客様との関係構築をビジネスの中心に据えて戦略を立てていく手法を指します。
今回は、CRMをビジネスに導入する方法と、活用することで得られるメリットについてご紹介していきます。
CRMの導入と効果
顧客リストを作る
CRMの効果を最大限に引き出すためには、できるだけ多くのお客様の情報を収集する必要があります。
まずは、既存のリピーター客について持っている情報をまとめてみましょう。お客様の名前と会員情報などから得られる基本情報(会社名、職業、年齢、性別、住所、メールアドレスなど)をリスト化します。
次に、お客様一人ひとりの購入履歴、来店日時、支払い金額などの購買行動から記録できる情報を足していきます。この時に、購買傾向からうかがえる好みや、接客を通して知り得たお客様の趣味嗜好や購買目的などの定性情報もメモできると、情報の価値が高まります。アンケートなどを通して集めたお店やサービスに対するリクエストや苦情も貴重な情報です。
このように、お客様固有の情報を記録することは、江戸時代から取られている手法でした。大福帳と呼ばれる帳簿に、売り上げのあった商品の価格や個数など細かい取引内容を顧客別につぶさに記していたそうです。大福帳は、各商人にとって何よりも大切な財産だったそうです。
顧客リストの分析
顧客リストがお客様に関する情報で厚みを増してきたら、次のアプローチに向けた戦略の準備にかかります。
集めた情報から、お客様の行動を把握しましょう。来店する時間帯、決まって注文するメニュー、来店の頻度など、お客様一人ひとりの購買行動の特徴を分析します。
分析結果から、お客様の満足度を更に向上させるための次のアプローチを考え出します。例えば、あるお客様が必ず購入していく商品と来店する時間帯が把握できていれば、品切れが発生することが無いように、事前に仕入れを意識的にするという判断ができます。来店の頻度が高いお客様には、「先週もいらしてくれましたね」などと一言添えるだけで、お客様がお店に対して感じる距離は一気に短くなるものです。
リピーター客を増やす
お客様一人ひとりに向けた個別サービスで満足度アップを実現できれば、次回以降も来店してもらえる可能性が高くなります。気持ちの良い接客や、お店が自分の好みを知ってくれているという認識は、お客様に「特別感」を与えます。お店のファンになってもらえる確率が高まりますし、リピーター客の囲い込みに繋げるチャンスです。
リピーター客の獲得についてはこちらの記事をご覧ください。
新たな集客
顧客リストの情報を、お客様単位ではなく、例えば属性に着目して分析してみましょう。年齢属性と売り上げ商品を結びつけることで見えてくる購買傾向があれば、同じ年齢層のお客様向けに同じような商品やサービスをすすめやすくなり、新たな集客に繋げられるかもしれません。不特定多数に集客をかけるよりも、属性で絞った見込み客にアプローチができるので、より効率的といえます。
次の来店を促す
CRMの手法は、お客様の顧客化にも効果的です。例えば、過去の来店がセール期間中に一度きりだったお客様がいたとします。当時の購入履歴から購買目的を分析することができれば、同じようなセールを今後開催する際、ダイレクトメールを利用して積極的にアプローチすることで再度の来店を促すことができます。
そのためにも、顧客リストを様々な角度から徹底的に分析し、魅力的なキャンペーンやセールなどを企画する必要があります。
メールマーケティングについてはこちらの記事をご覧ください。
SNSの活用で、顧客とコミュニケーションを
接客時だけが、お客様との繋がりを持てる唯一の機会ではありません。FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアを存分に利用して、お客様とコミュニケーションを取りましょう。キャンペーンのお知らせや、好みに合わせた商品やサービスのお知らせなどを配信し、お客様との関係性の維持・発展に努めます。
また、メッセージ機能やコメントを投稿できる機能は、お客様と直接会話するチャンスにもなります。
飲食店向けのFacebook活用法についてはこちらの記事をご覧ください。
共有することが大事
顧客リストは、ビジネスに関わる全ての従業員間で共有されることが好ましいです。お客様の情報を管理している人、分析する人、お客様にアプローチをかける人の間で共通の認識がされていないと、せっかくお客様一人ひとりに合わせて準備した商品やサービスを適切に提供することができません。
また、特定のお客様と従業員との個人的な関係にとどめるのではなく、お客様に店舗全体に対して好感度を持ってもらうために従業員同士がお客様の情報を把握していれば、ブランドイメージの向上にもつながります。
そのためにも、顧客リストを一元管理し、全ての従業員が参照したり追記したりできる環境を整えておく必要があります。
CRMをツールで実現
Squareは、お使いのスマートフォンやタブレット端末などのデバイス上でお客様のプロフィールをかんたんに管理・編集できる販売管理システムを提供しています。
Squareのアカウントをお持ちであれば、いつでもどこからでも確認でき、従業員間でアカウントを共有すれば情報の一元管理も自動で行えます。
Square POSレジとも連携しており、会計と同時にお客様の詳細を追加できるので、顧客リストの内容を常に最新に保つことができます。並べ替えや検索もスピーディー、参照したい情報をすぐに呼び出して、お客様の好みや要望に合ったサービスを確実に提供することができます。
顧客リストからお客様に直接メールで請求書を送ることもできます。請求書は無料で送ることができ*、カード情報の保存に同意をしたお客様には、設定した日時に決まった額が自動で引き落とされる継続課金をお使いいただけます。
どんなに優秀な従業員や自慢できるサービスを揃えていても、そこにお客様がいなければいつまでたってもビジネスは成長しません。また、安価な商品を大量に生産していれば必ず売れるという時代でもありません。
お客様一人ひとりの満足度や単価を上げ、顧客化を加速させることで多くのお客様に通い続けてもらえるお店を作り上げ、継続的な利益向上を目指さなければなりません。CRMを導入・活用して、お客様ごとに異なるニーズや趣味嗜好に合ったサービスを見つけ、提供し、お客様との良好な関係の構築に注力することが成功の鍵です。
*Square 請求書、または継続課金のご利用に際しては、こちらから手数料の詳細をご確認ください。
執筆は2017年3月3日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash