カスハラ(カスタマーハラスメント)とは?接客現場の現状と対策

※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計等に関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。

「カスハラ(カスタマーハラスメント)」という言葉を最近耳にしたという人も多いかもしれません。お客さまによって行われる悪質な迷惑行為やクレームのことで、接客業における大きな問題となっています。UAゼンセンが接客対応する従業員を対象に、2017年に実施した第1回悪質クレーム調査では、7割の人がお客さまからの迷惑行為を経験していることがわかりました1

悪質なカスハラが原因で精神疾患になったり、退職したりする従業員もいるなど、カスハラは人材不足の要因にもなりかねません。今回は、カスハラの現状と対応策について説明します。

目次


カスハラとは

「カスハラ」とは、「カスタマーハラスメント」の略でお客さまからの過度なクレームや悪質な迷惑行為のことを指します。

職場におけるハラスメントといえば、「パワハラ(パワーハラスメント)」や「セクハラ(セクシャルハラスメント)」がよく知られており、社内で防止策をすでに準備しているという企業も多いのではないでしょうか。パワハラやセクハラと同じように、お客さまによるカスハラも従業員にとっては大きなストレスになります。

カスハラの増加

日本労働組合総連合会(連合)が2022年に公開した調査結果2を見てみると、直近5年間でのカスタマー・ハラスメントについて「発生件数が増えた」と答えた人は対象者のうち36.9%「深刻化した」 と答えた人は36.5%もいたそうで、カスハラの件数が近年少なからず増加傾向にあることが伺えます。

増加の理由として最も多かったのは「格差、コロナ禍など社会の閉塞感などによるストレス」(約5割)でした。日本経済新聞の記事3によれば、マスク欠品への怒りやマスクの着用拒否などコロナ禍独自の迷惑行為もあるようです。

前述の日本労働組合総連合会(連合)の調査2によれば、ハラスメントのきっかけとして多いのは「勘違いや嫌がらせ」、次に多いのは「商品・サービスへの不満」、「商品・サービスへの提供ミス」でした。

従業員がカスハラを受けた後の生活上の変化として、「出勤が憂うつになった」「心身に不調をきたした」「仕事に集中できなくなった」などを挙げており、長期的に勤務するうえではあまり望ましくない心持ちになってしまうことが明らかになっています。

カスハラ対策の義務化

カスハラの増加と深刻化が続くなかで、従業員の心身の健康や安全を守るための制度整備が急務となっています。こうした状況を踏まえ政府は、カスハラ対策の​義務化を​盛り込んだ​改正労働施策総合推進法を​​公布日​(令和7年6月11日)から​1年6カ月以内に​施行する予定です。

カスハラとクレームの違い

カスハラはお客さまによる「悪質な」クレームと表現されることがあります。しかし、カスハラとクレームはまったく異なるものと考えられます。

クレームは、商品やサービスに不満や意見をもつお客さまが、問題点を指摘して苦情をいう行為です。クレーム対応を真摯に行うことで、企業の高感度アップにつながりますし、商品やサービスの質をさらに高めることもできます。クレームは、企業の成長に不可欠なものだといえます。

しかし、そのクレームも度が過ぎると「カスハラ」として問題視されます。理不尽な言いがかりや暴言、暴力行為などはクレームの範囲を超え、カスハラとして対応すべきでしょう。

厚生労働省は、​「顧客などからの​クレーム・​言動の​うち、​その​要求の​内容の​妥当性に​照らして、​当該要求を​実現する​ための​手段・態様が​社会通念上不相当な​ものであって、​労働者の​就業環境が​害される​おそれが​ある​もの」と​説明しています4

カスハラの具体的事例

冒頭のUAゼンセンが行ったアンケートでは、働く立場から見えるカスハラの実態が詳らかにされています。

2017年に実施されたアンケート1では、スーパーマーケットや百貨店、ドラックストアなどの接客業に従事する人のうち、業務中に来店客からの迷惑行為に遭遇したことがある人は全体の7割にのぼっています。業種別に見ると、百貨店と家電関連の業種はカスハラ遭遇率が高いようです。

具体的な回答事例をいくつか見てみましょう。

  • 「人をバカにして笑った」と大声で罵倒され、土下座させられた
  • レジ会計時に、舌打ちをしたと言いがかりをつけられた。他のお客さまの前で怒鳴られた
  • お客さまから「デブ、おばさん、名指し(呼び捨て)で~やれ」とか繰り返し大声で言われた
  • 約2時間一方的な要求を訴えられ、拒否したところ、馬鹿、低能、社会人失格など罵倒雑言を浴びせられた
  • 3年前に購入した商品が故障した時、交換を求められた
  • なぜ出来ないのかとお怒り、お客さま相談室で4~5時間拘束された
  • レジ袋、割りばしをおつけするのか聞いたら、「バカか、何で聞くのか!」と怒鳴られ、カゴごと投げつけられた
  • 袋に分けて入れようとしたら、2袋以上にするなと怒鳴られた

このような悪質なクレームにより、精神疾患になったと答えた人もいます。働く従業員を守るのも経営者や管理職の役目です。お客さまへの誠実な対応を考えると同時に、クレームの域を超えた悪質なクレームにはどう対応するか、ストレスを感じた従業員をどうケアするかという点も考える必要があるのではないでしょうか。

なぜカスハラが起きるのか

カスハラが起きる背景には、過剰なサービスが過剰な期待を生む日本独自の企業風土があるという専門家もいます。また、社会全体の疲弊からくる不寛容という社会に広がる格差意識が背景にあると指摘する専門家もいます5

カスハラが深刻化している現状を踏まえると、従来の「お客さまは神様」とする企業と顧客の関係は見直すべき時期に入っているのかもしれません。

カスハラから従業員を守るには

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カスハラは、単なるお客さまからのクレームだとして放置していい問題ではありません。精神的な苦痛で休職や退職になった場合、企業は大事な従業員を失うことになってしまいます。

カスハラ防止対策に取り組むのはもちろんのこと、従業員が突然の出来事に動揺してしまわないように、カスハラへの対応マニュアルなどを作成しておくことが大切です。厚生労働省はカスタマーハラスメント対策のマニュアルを公開しています。カスタマーハラスメントの判断基準なども記載されているので、「これってカスハラに入るのかな」と迷ったときにも役に立ちます。

カスハラ防止対策には、以下のような取り組みも有効でしょう。

カスハラへの対策をハッキリと明記

ホームページやSNS、予約フォームなどお客さまが必ず目にするようなところにカスハラへの対策を明記しておき、あらかじめ注意喚起しておくことで防止に取り組んでみてはどうでしょうか。

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たとえばSquareのウェブサイト作成機能は、いつでも自由に内容を編集できるうえ、サイトのどこに、どれくらいの字の大きさでカスハラについての記載を載せるかも決められます。

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まとめ

いつ、誰に起きるかわからない、カスハラ。万が一起きてしまったときに状況をできるだけ悪化させないためにも、冷静に対処するためにも、事前の準備を万全に整えておくことが大切です。できる範囲で防止対策に取り組み、なるべく未然に阻止できる体制を整えましょう。


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執筆は2019年4月1日時点の情報を参照しています。2025年11月28日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。