ロイヤルカスタマーとは?顧客育成のポイントを解説

ビジネスを行う上で、常連客や優良顧客の存在は欠かせません。なかでも、売上貢献が高いことに加えて、企業やブランドに信頼を寄せるロイヤルカスタマーは、ぜひ獲得しておきたいところでしょう。信者と呼ばれるほどのファンが存在し、新商品の発売時には店舗に行列ができ、それがテレビ中継される……というようなシーンを見たことがあるかもしれません。この記事では、ロイヤルカスタマーを獲得するポイントや成功事例を紹介します。

目次



ロイヤルカスタマーとは

ロイヤルカスタマーの「ロイヤル」とは、英語のloyalで「忠実な」という意味を持ちます。ロイヤルカスタマーは、企業やブランドに信頼を寄せてくれている顧客のことを指します。

なぜロイヤルカスタマーが必要なのか

イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが提唱した法則に「パレートの法則」というものがあります。これは、「全体の数値の8割は、全体を構成する要素のうちの2割の要素が生み出している」という考え方です。このパレートの法則を企業の売り上げに当てはめると、「顧客全体の2割である優良顧客が売り上げの8割をあげている」となります。 優良顧客とロイヤルカスタマーの違いは後述しますが、ロイヤルカスタマーを育て、大切にすることで8割の売り上げの維持が期待できるのです。

ロイヤルカスタマーの特徴

長期にわたる購買

ロイヤルカスタマーは、長期間にわたって企業の商品やサービスを継続して利用する傾向があります。また、購買が長期に渡るだけではなく、頻度も高いのが特徴です。ロイヤルカスタマーは、商品やサービスが必要になったときにはすぐにその企業やブランドを思い出し、利用してくれます。

高い忠誠心

企業に対して高い忠誠心を持ち、他社製品に乗り換えることが少ないのもロイヤルカスタマーの特徴です。ある程度の価格差があっても、その企業やブランドを選択する傾向があります。

高い満足度

ロイヤルカスタマーは、ある企業やブランドの商品やサービスに対して非常に高い満足度を持っています。彼らは、商品やサービスの品質や価値、利便性などが非常に高いと感じているため、継続的に利用するだけでなく、口コミやSNSなどを介して知人などに積極的に推薦してくれます。

高いコミュニケーションの質

ロイヤルカスタマーは、企業とのコミュニケーションを通じて、自分たちのニーズや要望を伝えてくれることがあります。その結果、企業にとっては商品やサービスの改善につなげることが可能になります。

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ロイヤルカスタマーと優良顧客の違い

お客様を表す言葉の一つに「優良顧客」というものがありますが、優良顧客とロイヤルカスタマーにはどのような違いがあるのでしょうか。

優良顧客とは

会社の売り上げに大きく貢献してくれる顧客を指します。 たくさんの商品やサービスを購入してくれたり、高額商品を購入したりして、売上増加に貢献をしてくれる人はもちろん、頻繁に買ってくれることによって安定的な売り上げに貢献してくれる顧客のことです。しかし、優良顧客の中には、「自動継続だから」「他店で買うのが面倒だから」というような、特に愛着があって購入しているのではない顧客も含まれます。

ロイヤルティの度合いが違う

ロイヤルカスタマーと優良顧客の違いは、企業に対するロイヤルティの度合いです。優良顧客も頻繁な購入や高額商品の購入をしてくれますが、他社の商品やサービスの方がよいと感じたり、他社がお得感のあるキャンペーンを行ったりすると、離れてしまう可能性があります。その点、ロイヤルカスタマーは他社への乗り換えが少なく、優良顧客以上に企業に価値があるといえます。

ロイヤルカスタマーを増やす事のメリット

安定した収益源

ロイヤルカスタマーは、商品やサービスを継続的に利用するため、企業の収益の安定化につながります。彼らは競合他社に流れるリスクが低く、企業にとって重要な顧客であるといえます。

口コミによる新規顧客獲得

ロイヤルカスタマーは、商品やサービスに満足しているため、他の人たちに対して積極的に勧める可能性が高いといえるでしょう。彼らは、商品やサービス、さらにブランドについてポジティブな口コミを拡散してくれるので、企業にとっても新規顧客を獲得することにつながります。

役立つフィードバック

ロイヤルカスタマーは、企業の商品やサービスについて多くの知見を持っています。彼らからのフィードバックは非常に価値があるといえるでしょう。企業とのコミュニケーションを通じて自分たちのニーズや要望を伝えるケースが多いため、企業にとって貴重な情報となります。商品やサービスの改善や開発にも役立つでしょう。

ブランドイメージの向上

先述のように、ロイヤルカスタマーは、口コミやSNSを通じてポジティブなメッセージを発信してくれるケースが多いことから、ロイヤルカスタマーが増えることで、その企業やブランドの信頼性や評価が高まるといえます。

コスト削減

ロイヤルカスタマーは獲得コストが低く、リピート購入が見込まれます。長期的に関係性を維持するために必要な努力が比較的少ないため、顧客獲得や維持のコスト削減につながります。

ロイヤルカスタマー育成のポイント

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1.ニーズを理解する

ロイヤルカスタマーになってもらうためには、その顧客のニーズを深く理解することが必要です。顧客管理ツールなどを活用して顧客の嗜好や要望を把握し、そのニーズに合わせた提案やサービスを提供することで、満足度を高め、ロイヤルカスタマーになる可能性を高めることができます。また、フィードバックを受け付け、それを反映させることも重要です。

2.特別な扱いをする

米RightNow社の調査によると、「よりよい顧客体験のためになら、もっと多く支払ってもいい」「顧客体験がよくなかったら、他社に乗り換える」と答えたお客様はどちらも9割近くにのぼりました。このことからも、顧客体験がいかに大切かがわかります。

ロイヤルカスタマーに対しては、特別な扱いをすることが大切です。彼らにとって魅力的な特典を提供することで、満足度を高めることができます。たとえば、ロイヤルティプログラムを導入してポイント還元率を増加したり、特別イベントへの招待やVIPルームの利用ができるようにしたりするなど、優先的なサービス提供などを行うことで顧客の特別感や快適さを提供し、ロイヤルカスタマーのロイヤルティを高めることができます。

参考:2011 Customer Experience Impact Report(ORACLE)

3.積極的にコミュニケーションを取る

ロイヤルカスタマーに対しては、積極的なコミュニケーションを取ることが必要です。新商品やサービスの情報提供、特別なオファーやプロモーションの提供、フィードバックの受け付けなど、定期的にニュースレターやメールマガジンを送信し、情報の提供やお得な情報を提供することで、顧客の関心を引きつけることができます。

4.顧客の声を取り入れる

ロイヤルカスタマーになってもらうためには、顧客の声を積極的に取り入れることが必要です。顧客満足度調査の実施やフィードバックを受け付け、ロイヤルカスタマーの要望や不満点を把握することで、より良いサービス提供を行い顧客のロイヤリティを高めることができます。

5.信頼される企業イメージを構築する

ロイヤルカスタマーを育成するためには、社会的に信頼される企業イメージを構築することが必要です。たとえば、品質に対する徹底した取り組みや、社会的課題にどのように取り組んでいるかなどの発信を行うことで、ロイヤルカスタマーの企業への信頼度も高めることができます。

ロイヤルカスタマー獲得の成功事例

ロイヤルカスタマーの獲得に成功している事例を紹介します。

スターバックス コーヒー

職場でも家でもない「サードプレイス(第三の場所)」をコンセプトにした店舗づくりを行い、居心地のいい空間を顧客に提供しています。仕事の打ち合わせ場所になっていたり、学生が勉強していたりするシーンは、スターンバックスを利用したことがある人なら一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。スターバックスでは、「スターバックス® リワード」というロイヤリティシステムを採用しています。また、季節ごとに変わるメニューやグッズなど、顧客にまた商品を買いたい!と思わせる、囲い込みに成功しています。

参考:STARBUCKS ®︎REWARDS(スターバックス コーヒージャパン 株式会社)

ナノ・ユニバース

ECサイトを「ロイヤルカスタマーの受け皿」として改修し、顧客体験の向上を計りました。ECサイトでは、レコメンド機能のほか、「#結婚式」「#女子会」といったタグ検索ができるようになっています。また、スタッフのコーディネートから着たい服を探すことができる検索機能も搭載しています。

参考:NANO universe

チューリッヒ保険会社

選ばれる保険会社になるために、顧客の不満が溜まりやすいコールセンターの品質向上など、一人ひとりに寄り添った顧客応対を実践しています。取り組みは、対外的にも評価され、公益社団法人企業情報化協会が主催する「2020年度 第21期カスタマーサポート表彰制度」で「特別賞(人財育成賞)」と「新型コロナウイルス感染症対策特別賞」を受賞しています。

参考:2020年度 第21期カスタマーサポート表彰制度において「特別賞(人財育成賞)」と「新型コロナウイルス感染症対策特別賞」を受賞(チューリッヒ保険会社)

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ロイヤルカスタマーの育成に役立つツール

顧客の満足度を高め、ロイヤルカスタマーに育てるために役立つツールを紹介します。

顧客管理ツール

顧客管理ツールは、顧客の名前、メールアドレスなどの基本情報から、購入履歴、好みまでを記録・管理できるシステムです。来店時や購入時の会話のきっかけにしたり、販促メールを送ったりする際に役立ちます。販促メールでは、前回の購入から時間が経っている顧客に対して、たとえば「以前購入いただいた○○はいかがだったでしょうか?」など、一斉メールではなく自分宛だとわかるような内容で送ることができます。

ロイヤルティプログラム

先述したように、特別な顧客体験はロイヤルカスタマーの育成に役立ちます。一昔前までは、紙のポイントカードなどで管理するのが主流でしたが、最近ではアプリやシステムでデータによって管理することが可能です。

ロイヤルカスタマーの育成にはSquare!

ロイヤルカスタマーの育成に役立つツールをリーズナブルな価格で提供しているのが、Squareです。

たとえば、Square 顧客リストは、無料で利用できる顧客管理ツールです。名前や電話番号、住所などの基本情報に加えて、購入した商品や金額、来店頻度などの情報を保存・管理することができます。実店舗でSquare POSレジ、ネットショップではSquare オンラインビジネスを利用している場合、実店舗とネットショップの顧客情報を両方合わせて管理可能です。実店舗、ネットショップを含め、複数の販売経路での購入履歴を追跡できるほか、販売頻度の高い商品を確認したり、寄せられたフィードバックに対応したりすることができます。Square 顧客リストがあれば、お客様の好みを把握し、一人ひとりに合わせて細やかに対応できます。

また、Squareでは、従来の紙のポイントカードを使う代わりに、特典の付与も管理もすべてオンラインで行うことができるSquare ロイヤルティも提供しています。商品を購入する度に、お客様にポイントが付与されます。お客様は、SMSで送られてくるリンクをクリックすれば、自分のポイント獲得状況を確認することができます。また、ポイントの付与方法はカスタマイズも可能です。たとえば

  • 来店ごと:来店の度にポイントを付与する
  • 金額ごと:100円につき1ポイントなど、金額に応じてポイントを付与する
  • 商品ごと:コーヒーは1ポイント、サンドウィッチは2ポイントなど、商品ごとのポイントを付与する

魅力的な特典の提供は、ロイヤルカスタマーの育成に欠かせません。Square ロイヤルティは有料のサービスですが、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。詳しい料金は、こちらをご覧ください。

ビジネスの成長と安定に欠かせないロイヤルカスタマーの存在。さまざまなツールなどを活用しつつ、お客様との積極的なコミュニケーションを心掛け、ビジネスを成功させましょう。

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執筆は2023年4月28日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash