タッチ決済 (非接触型決済)とは?歴史・メリット・導入方法をご紹介

クレジットカードを決済端末にピッとかざすだけで、決済が完了できる「タッチ決済」。最近ではコンビニエンスストアや大手飲食店でも取り扱われるようになり、「使ったことがある」という人も増えているかもしれません。

この記事では、タッチ決済の導入を検討している事業主に向けて、タッチ決済の基礎知識から導入のメリット、簡単に低コストで導入できる方法などを紹介します。

📝この記事のポイント

  • タッチ決済はカードやスマホをかざすだけで完了する非接触型決済
  • Visa・Mastercard・Amex・JCB・Dinersなど主要ブランドがタッチ決済に対応
  • 日本では2019年頃から本格普及、Visaのタッチ決済は2023年に発行1億枚を突破
  • 一定額以内なら暗証番号やサイン不要で、決済スピードは現金より速い
  • Squareを使えば低コストかつ簡単にタッチ決済を導入できる

目次



タッチ決済とは

タッチ決済では、クレジットカードやスマートフォンを決済端末の近くにかざして支払いを済ませます。

電通が2024年末に実施した調査1によれば、キャッシュレス決済利用者(キャッシュレスが利用できるところでは「100%キャッシュレス」から「20%程度がキャッシュレス」を指す)のうち、タッチ決済の利用者は9割弱で、直近1年間でタッチ決済の利用機会が増えた人は5割でした。

最近のトレンドとして、タッチ決済の普及も押さえておきたいポイントです。飲食店や商業施設のみならず、交通機関などでもタッチ決済が利用できるようになり、増加傾向にある訪日外国人客にとっても、普段から使っているクレジットカードを旅行時にそのまま利用できる利便性の高さがあります。
– 第7回「生活者のキャッシュレス意識調査」1、電通

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ここではタッチ決済についてよくある質問への回答を見ながら、タッチ決済への理解を深めていきましょう。

コンタクトレス決済ってタッチ決済と同じこと?

タッチ決済は、「コンタクトレス決済」「非接触型決済」などとも呼ばれます。この記事では「タッチ決済」という名称を用いて、説明を進めていきます。

交通系ICカードやスマホでの決済も「タッチ決済」のうち?

カードやスマートフォンを決済端末にかざす決済方法は、大まかにすべて「タッチ決済」と呼ぶことができます。決済サービスやカードブランドでは、

(1) クレジットカード、クレジットカードを登録したスマートフォンなどをかざして決済すること:タッチ決済
(2) 交通系ICカードや、交通系ICを登録したスマートフォンなどをかざして決済すること:電子マネー決済

と分けて説明することが多いようです。理由として、両者が異なるデータ通信技術の仕様を採用していることが挙げられます。

「どっちも非接触型決済なのでは……」と思うかもしれません。たしかにクレジットカードも交通系ICカードも、国際標準規格のNFC(Near Field Communicationの略称)という近距離無線通信技術を使用しているため、非接触決済ができるという共通点を持ちます。

NFCは、

  • NFC Type A/B
  • NFC Type F
    と大きく2種類に分かれています。

クレジットカードのタッチ決済に採用されているのは、NFC Type A/B、電子マネーの多くに採用されているのは、後者のNFC Type Fです。店舗で支払う際に、クレジットカードをかざす端末と、電子マネーをかざす端末が違うことがあるかもしれません。これは仕様によって、読み取り端末が異なるため(※)です。

※両方の仕様に対応している端末もあります。

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詳しくは「タッチ決済とは?歴史と成り立ちを知ろう!」で説明しています。

どのクレジットカードもタッチ決済に対応しているの?

どのクレジットカードもタッチ決済に対応しているとは限りません。以下のタッチ決済機能搭載マークがクレジットカードの表面についていれば、タッチ決済ができます。

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タッチ決済に対応しているカードブランドって?

以下のカードブランドからタッチ決済機能付きのクレジットカードが発行されています。

カードブランド 名称
Visa Visaのタッチ決済
Mastercard Mastercard タッチ決済
American Express タッチ決済(コンタクトレス決済)
JCB JCBのタッチ決済(JCBコンタクトレス)
Diners Club ダイナースクラブ コンタクトレス(タッチ決済)

タッチ決済はPINコードの入力も、サインも不要って本当?

一定額以内であれば、PINコード(暗証番号)の入力もサインも不要です。そのため、「サインレス決済」とも呼ばれています。PINコードの入力やサインが不要な金額の上限は、お客さまが利用しているカードブランドによって異なります。ちなみに、暗証番号の代わりにサインで本人確認をする「PINバイパス」は2025年3月をもって原則廃止されます。PINバイパスの廃止についてはこちらの記事で解説しています。

タッチ決済の歴史

前項ではタッチ決済を「クレジットカードを決済端末にかざして行う決済」と定義しました。ここでは、近距離無線通信(以下、NFC)がクレジットカードに採用されるまでの歴史を振り返ってみましょう。

NFCがはじめて採用されたもののなかには、米エクソンモービルのスピードパスが挙げられます。スピードパスは1997年に誕生した、キーホルダー型の非接触決済ツールです。給油機のリーダーにかざすことで給油がはじめられる、当時からしてみると画期的なツールでした。カードをかざしてバスに乗車できる韓国の「Uパス(当時の名称はバスカード)」、カードをかざして地下鉄の改札機を通れる香港の「オクトパスカード」などが登場しはじめたのも、ちょうどこの頃でした。一方、日本でNFCが採用されたのは、2001年の非接触交通系ICカード「Suica(スイカ)」2が初めてでした。

次にNFCの技術が搭載されたのは、携帯電話です。2004年に登場したNTTドコモのおサイフケータイ3を皮切りに、フィンランドのノキアなど、世界各国で決済端末にかざして支払える携帯電話が登場するようになりました。

その後も技術は目まぐるしく発展を続け、2000年代にはVisa、Mastercard、American Expressの3社のクレジットカードにタッチ決済の機能が搭載されました。Visaのタッチ決済が早い段階で普及したのは、オーストラリアです。2011年に大手スーパーマーケットチェーンに導入されたことをきっかけに、利用者が続々と増えていったそうです。その後、イギリスやシンガポール、スペイン、イタリアでもタッチ決済機能付きクレジットカードの普及が拡大しました。2020年12月に発表された調査4によれば、全世界のVisaによる対面でのクレジットカード利用のうち、43%(※)はタッチ決済だそうです。

※対面決済に限る

タッチ決済の主な歴史(年表)

出来事
1997年 エクソンモービル「スピードパス」登場
1997年 香港「オクトパスカード」開始
2001年 日本「Suica」導入
2003年 ロンドン「Oysterカード」導入
2004年 NTTドコモ「おサイフケータイ」開始
2011年 Google Wallet(米国)開始
2011年 Visaのタッチ決済が豪州で普及
2014年 Apple Pay提供開始
2015年 Samsung Pay提供開始
2020年 コロナ禍で非接触需要拡大

日本におけるタッチ決済の認知度

国内でタッチ決済の利用が増えはじめたのは、5大国際クレジットカードブランドが普及活動を本格化した2019年頃だといえます。オーストラリアなどと比べると少し遅れをとっていますが、2020年には利用可能な場所がぐんと増え、国内でも利用者の増加が見られます。

Squareの調査によれば、非接触決済を受け付けたことのある加盟店は、2020年2月の時点では26%だったところ、2021年2月には55%まで伸びています。この背景には新型コロナウイルスの感染拡大が関係しているといえるでしょう。

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Visaはタッチ決済対応クレジットカードの発行枚数が2023年3月末で1億枚を超えたと発表しています5。同発表では、2021年3月末と2023年3月末を比較したVisaのタッチ決済の利用件数の増加についても触れられています。

Visaタッチ決済の取引件数推移(2021年3月末 → 2023年3月末)

業態 取引件数の増加率
🏪 コンビニ 約10倍
💊 ドラッグストア 約12倍
🛒 スーパーマーケット 約5倍

タッチ決済を受け付けるメリットとは

他国に先駆けてタッチ決済が普及したオーストラリアでは、対面でのクレジットカード決済のうち、90.6%(※)がタッチ決済だそうです6

※2017年時点、ウエストパック銀行が発行しているVisaのユーザーに限る

日本でもタッチ決済の利用者は今後さらに増えていくことが予想されます。ここでは店舗にタッチ決済を導入する利点をあらためて確認していきましょう。

決済スピードが早い

飲食店の場合、食べたあとすぐに出たいお客さまにとって、レジ待ちの時間は不満を募らせ、再び来店する意欲を薄れさせてしまう要素かもしれません。小売店の場合、レジ待ちの列が長すぎると、購入を諦めるお客さまが出てくる可能性もあります。

タッチ決済なら一定額以内であればPINコード(暗証番号)の入力もサインも不要なので、滞りなく決済を終えることができます。また、現金のようにお釣りを返すなどの手間がないので、お客さまがカードを端末にかざしている隙に商品の袋詰めをはじめるなど、店舗側の業務効率向上にもつながるといえるでしょう。

ある計測調査7では現金決済にかかる時間は26秒という結果が出ています。一方、タッチ決済(国際ブランド非接触型)は18.3秒です。

各種方式のレジ業務所要時間の比較(2021年12月調査)

現金決済 ██████████████████████ 26.1秒 (基準)
クレジットカード ████████████████ 21.2秒 (▲18%)
国際ブランド非接触型 ████████████ 18.3秒 (▲30%)
店舗系電子マネー █████████ 14.7秒 (▲44%)
後払い式電子マネー ████████ 13.7秒 (▲47%)
交通系電子マネー ████████ 13.5秒 (▲48%)
コード決済 ██████████ 16.2秒 (▲38%)

接触機会を減らせる

現金でのやりとりで、どうしても気になるのが人との接触です。ある調査8では、感染症が拡大しはじめてから現金の受け渡しに抵抗を「やや感じるようになった」と「強く感じるようになった」と答える消費者が、合わせて6割以上にも及ぶことがわかりました。

口には出さずとも、ちょっとした接触に不安を感じるお客さまは少なくないかもしれません。タッチ決済ならお客さま自身がカードを決済端末にかざすだけで支払いを終えられるので、現金やカードの受け渡しという接触機会をなくすことができます。

Squareでタッチ決済を導入しよう!

Squareでタッチ決済を導入する方法は二つ。

一つ目は、「Tap to Pay on Android」または「iPhoneのタッチ決済」の機能を利用することです。お手持ちのAndroid端末またはiPhoneにSquare POSレジアプリをダウンロードすると、タッチ決済が受け付けられるようになる機能で、クレジットカードのタッチ決済のみを導入したい場合に便利な方法です。

※ここでいうタッチ決済は、タッチ決済対応マークがあるクレジットカードまたはモバイルウォレットに登録されたクレジットカードのみとなります。電子マネー決済には対応していません。

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二つ目は、タッチ決済に対応したSquareの決済端末を導入する方法です。クレジットカードのタッチ決済に加えて、交通系ICカードなどにも対応したい店舗におすすめの方法です。

「タッチ決済が​使えるようになってから、​お客さまも​ものすごく​楽で。​今結局、​タッチ決済が​一番​いいんです。​サインを​しなくても​いいので、​お客さんも​こちらも​あっと​いう​間に​終わります」
– 安美和さん、神楽坂プリュス

Squareなら今すぐキャッシュレス決済導入できる

カード決済、タッチ決済、電子マネー決済、QRコード決済が簡単に始められます

Squareの導入ステップは簡単です。まずは無料アカウントを作成しましょう。必要事項の入力を終えると、加盟店審査に進みます。審査の結果は最短即日で登録したメールアドレスに通知されます。

審査の通過が確認できたら、決済端末(※)を手に入れましょう。決済端末はSquare ショップから手に入れることができ、通常、1週間以内でお手元に届きます。また、家電量販店でも購入できます。取扱店舗はこちらからご確認ください。

※「Tap to Pay on Android」または「iPhoneのタッチ決済」を利用する場合は、決済端末は必要ありません。お手持ちのAndroidのスマートフォンまたはiPhoneで利用できます。

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Squareのタッチ決済にかかる手数料

キャッシュレス決済端末を導入するうえで、決済手数料は気になるところでしょう。Squareの決済手数料は3.25%(※)です。

※年間キャッシュレス決済額が3,000万円未満の新規かつ中小企業の加盟店の場合、Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、Discoverの対面決済手数料を2.5%でご利用いただけます。年間キャッシュレス決済額が3,000万円を超える場合、すべての決済手段においてカスタム決済手数料をご利用いただける可能性がありますので、営業チームまでお問い合わせください。

振込口座に三井住友銀行、あるいはみずほ銀行の口座を指定すれば、決済手数料を除いた売上額が最短翌営業日に振り込まれます。そのほかの金融機関でも、毎週金曜日に売上額が振り込まれます。入金サイクルについて詳しくはこちらからご確認ください。

決済にかかる時間を短縮できるタッチ決済は、利用者が着々と増えていくことが予想されます。これからキャッシュレス決済に対応する場合、またはキャッシュレス決済端末の買い替えを検討している場合には、タッチ決済にも対応した決済端末の導入を検討してみてはいかがでしょうか。


Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。

執筆は2021年4月26日時点の情報を参照しています。2025年11月14日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。