女性ビジネスオーナーの動向を知るレポート

Squareでは、女性起業家の起業実態やビジネス運営について調査しました。

日本政策金融公庫が2022年に実施した調査によると、国内における女性起業家の割合は、24%にとどまっています。

実際、起業したいという思いを抱いている女性はどれくらいいるのでしょうか。日本金融政策公庫が2022年に行った女性の起業意識に関する調査によると、「いずれは起業したいが、時期は未定」と答えた女性の割合は33%で、男性の41%よりも若干低いものの、著しく大きな差はないことがわかります。

そこで起業していない理由を見てみると、「財務・税務・法務などの事業運営」と「仕入・流通・宣伝など商品などの供給」に関する知識不足を挙げている男女の割合には、前者で約8%、後者には12%の開きがあり、女性のほうが知識不足に不安を感じていることが伺えます。

起業という道をひとつの選択肢ととらえるためには、起業をしたいと感じたときに参考にできる情報がひとつでも多くあること、すでに起業の道を切り拓いている女性のストーリーをひとつでも多く知れることが大切かもしれません。

Squareでは性別に関わらず、ビジネスをスタートし、成長させていきたいと考えるすべての人を応援したいという思いから、女性起業家の実態と具体的なストーリーをあわせて見ることのできる、女性起業家のレポートを作成しました。

このレポートを作成するにあたり、Squareでは株式会社インテージを介して、2つの調査を実施しました。1つは全国の20歳から59歳までの男女の個人事業主を対象にした「事業主調査」です。もう1つは全国の20歳から59歳までの消費者を対象にした「消費行動調査」です。

本レポートでは小売・飲食・美容の3つの業種に焦点を当てつつ、女性起業家の回答を中心に見ていきます。また、女性が苦労したと感じたことや、消費者のニーズに寄り添うためのヒントなどもあわせて紹介していきます。

参考:
2022年度新規開業実態調査(株式会社日本政策金融公庫総合研究所、2022年11月30日)
女性の起業への関心(株式会社日本政策金融公庫総合研究所、2023年1月19日)

目次

01

起業の理由は、会社に縛られずに自由に仕事をしたいから

起業する理由として「収入が増えると思った」「自分の資格や経験を生かしたかった」「自分の趣味や特技を仕事にしたかった」などさまざまな回答があるなかで、最も多かった回答は「会社などに縛られず、自由に仕事がしたかった」でした。女性起業家のうち、74% は思い立ってから1年未満で開業しており、66% が「これまでの経験や技能を生かせる」ことを理由に業種を決めています。

02

2店舗以上経営している女性は、約6人に1人

Squareの事業主調査では、現在運営している店舗数についても聞きました。女性起業家の大半が1店舗のみと答えるなか、約6人に1人は2店舗以上経営しているという結果が明らかになりました。また、2店舗以上経営している女性の割合は、男性を上回りました。

複数店舗を経営する女性起業家の例として、植物性材料のみを使用したお菓子を販売しているベイクショップ「ovgo Baker」を見てみましょう。

創業者・代表取締役である溝渕由樹さんは当初、イベント出店を数年続けてから実店舗をはじめようと考えていたそうです。ところがイベント出店を開始してから約1年半後には1号店を、2年後には全国で7店舗を運営するようになりました。カフェやアパレル店などをはじめ、80店舗以上にクッキーを卸売りし、全国各地でポップアップイベントを精力的に開催したことが認知につながり、高まるニーズに応える形で店舗を増やしていきました。

興味を持ってもらえるんだったらやります!の繰り返しで店舗数も増えていきました”

溝渕由樹さま
株式会社 ovgo 代表取締役

年商についても調査しました。多くの女性起業家は「250万円未満」(35.4%)と答えており、年商が増えるにつれてその割合は男性と比べると少なくなる傾向にありましたが、「5,000万円から1億円未満」と答えた事業主の割合では、女性が男性をわずかに上回りました。

03

最も苦労しているのは、資金繰りと販路開拓

女性起業家が事業を運営するなかで最も苦労していたのは、「資金繰り・資金調達」と「顧客・販路の開拓」でした。

苦労することには業種ごとの違いがあり、小売と飲食では「資金繰り・資金調達」(小売:20%、飲食:21%)、美容では「顧客・販路の開拓」(31%)に回答が最も多く集まりました。

そもそもビジネスをはじめるとき、女性はどのように資金を調達しているのでしょうか。事業主調査で回答の69%を占めていたのは「自己資金」でした。自己資金だけではまかなえない場合には融資を活用する手もありますが、コストを少しでもおさえるには、返済の必要がない補助金や助成金の併用もおすすめです。

一方、資金繰りの改善には、「早めの入金、遅めの支払い」を意識することが大切です。仕入れ先への支払時期がやってくる前に、売り上げが入金されるような仕組みを調えておくことが理想的です。入金と支払いのタイミングが逆転してしまうと、最悪の場合、仕入れ先への支払いが間に合わなくなることも考えられます。このような事態を招かないためにも、キャッシュレス決済など、売り上げが後日に入金されるサービスを導入する場合には、入金サイクルを必ず確認しておきましょう。資金繰りをよくするには入金サイクルが早いものを選ぶことが掟です。

2022年にSquareを導入したうなぎ店の「かねいち商店」は、仕入先がほとんど現金払いのため、売り上げがすぐに手元に届かないと資金繰りが悪化してしまうという心配を抱えていました。Squareだと売り上げは最短翌営業日(※)、最長でも週に1度振り込まれるため、資金繰りに助かっているといいます。

※Squareアカウントに三井住友銀行またはみずほ銀行の銀行口座を登録している場合は、0:00から23:59までの決済分が、決済日の翌営業日に振り込まれます。そのほかの金融機関口座をご登録の場合、毎週水曜日で締め、同じ週の金曜日に合算で振り込まれます。

いま、Go To Eatキャンペーンが実施されていますよね。あれのお食事券で支払われたものは、1カ月以上入金されないんですよ。そのせいで仕入れ先への支払いが止まってしまったことがあって。ああ、資金繰りが大事なんだ、というのが身にしみてわかったんです。その点、Squareだと週1回は入金(※)してくれるので、支払いで困ることがありません”

鈴木紀子さま
かねいち商店 取締役

「顧客・販路の開拓」については、都内にあるフェイシャルトリートメントサロン「美肌室ソラ」の取り組みが参考になります。実店舗では施術を提供する一方で、店内で使用している化粧品をオンラインでも購入できるようにとネットショップをオープン。今では実店舗とネットショップの2軸で事業をしています。サロンまで足を運べない人にもネットショップを通じて商品を販売できるようになり、リピート購入にもつながっています。

お客さまには(ネットショップから)定期的に購入していただけるようになりました。リピートのしやすさにつながっていると思います。オンラインストアをはじめた一番のメリットは、遠くに住む方も買ってくださるようになりました”

舘山信子さま
美肌室ソラ 店主

Squareならさまざまな形での販売が可能

Squareなら販路を増やしたいとき、店舗数を増やしたいときに便利な機能が充実しています。たとえば以下のような使い方が可能です。

04

集客には多角的にアプローチ

集客に向けた施策については、ひとつといわず、多角的なアプローチをとる女性起業家が多いことが調査結果から見えてきました。また、業種ごとに適切な施策が若干異なることがうかがえます。

新規顧客獲得では、どの業種も「SNSの開設・投稿」と「情報収集」に取り組んでいたなか、小売では「セールや値引き」「ホームページの開設」、美容では「メンバーズカード・ポイントカードの導入」や「紹介制度の導入」にも多くの回答が集まるという違いがありました。

一方、飲食では「対策をしていない」と回答した女性の割合がほかの業種と比べて高いことが分かりました。飲食では他業種よりも「従業員の確保」に苦労したと答える割合が多く、集客に時間を割けるほど人手を確保できていない可能性が考えられます。

施策に取り組む割合としては、多くの場合、女性が男性を上回っていました。

リピーター客の獲得でも、似た傾向が見られました。

たとえば「SNSの開設・投稿」と「情報収集」は全業種が取り入れている施策ですが、異なる点として、美容では新規よりもリピーター獲得の施策として「メンバーズカード・ポイントカードの導入」を行っている割合が若干多く、小売だと「ダイレクトメールやハガキの案内」も比較的多くの回答が集まりました。

飲食では新規顧客獲得と同様、対策に取り組んでいない女性の割合が、ほかの業種よりも高く出ていました。ただし全体で見ると、女性はどの業種においてもリピーター客の獲得に意欲的で、「対策をしていない」と答えた女性の割合は男性と比べると低い結果となっています。

ポイント

美容室やサロンなど、美容関連のビジネスで特に多く導入されていたポイントカードは、Squareでも簡単にはじめられます。紙での発行は不要で、お客様に電話番号を入力してもらうだけでポイントの付与が可能です。

新規顧客・リピーター顧客の獲得ではともに、「SNSの開設」に多くの回答が集まっていました。実際に消費者はどのような方法で店舗情報をチェックしているのでしょうか。

Squareが実施した消費行動調査では、20代から50代のどの年代においても20%以上が「LINE」と回答しています。また、「メールマガジン」や「公式サイト・ブログ」「ダイレクトメール」も上位にあがっています。

Squareのススメ

公式サイトから情報をキャッチしたいと考える消費者に向けて、ウェブサイトを作ってみてはどうでしょうか。Squareなら無料でウェブサイトを開設することができます。ネットショップ機能を活用すれば、オンライン販売をいつでもはじめられます。

05

事業拡大の手段として多店舗展開を望む人が約半数

女性起業家のうち、約4人に1人が「事業を拡大したい」と答えており、その理由としては「新規顧客獲得のため」に最も多くの回答が集まっています。

事業を拡大する手段としては、「ネットショップを開設する」など比較的コストがおさえられる方法よりも、コストがかかる「店舗数を増やす」が選ばれる傾向にありました。店舗を増やすことを選んだ女性のうち34%が、「業績がよいから」を事業拡大の理由に挙げていることが影響していると考えられます。

一方、事業拡大を選ばない理由については、各業種が抱える課題が影響しているかもしれません。たとえば小売では、事業拡大を望まない理由として「業績が悪い・安定していないから」という回答が最も多かったです。さらに、小売が苦労したことを見てみると、「資金繰り・資金調達」を多くの女性が挙げています。

飲食では「人材が確保できないから」ことが事業拡大の大きな妨げとなっていることが分かります。飲食で苦労していることを見てみると、「従業員の確保」と答える女性が他業種と比べて2倍ほど多くいました。

事業を拡大するうえで欠かせないのは、集客にまつわる多角的な取り組みです。

さまざまな角度から集客に取り組み、短期間で店舗数を増やした事例として、金継ぎサービスを提供する「つぐつぐ」が挙げられます。つくづくでは、金継ぎ教室や器の修理サービス、金継ぎした器の販売を店舗で提供しています。ただ、自社店舗という枠にとらわれず、公式サイトを通して全国から修理を受け付けたり、「MUJI 新宿」と提携して壊れた器の回収拠点を増やしたり、と精力的にお客様との接点を増やしてきました。

メディア露出が増えたこともあいまって、ニーズは高まり、1店舗のオープンから約1年が経ったタイミングで2店舗目をオープンしました。

最初は副業で金継ぎキットを通販で販売するところからはじめました。半年くらいで月100個近く売れるようになってきたので、人生一度きりだと思い脱サラをして、2021年に恵比寿店をオープンしました。従業員もどんどん増えていき、2店舗目を浅草にオープンしました”

俣野由季さま
株式会社つぐつぐ 代表取締役

ネットショップの開設は、立派な販路開拓の手段

小売店では近年、実店舗と並行してネットショップで販売をはじめるビジネスも増えています。営業時間や立地など、来店できるお客様の層を限定してしまう実店舗ならではのデメリットをすべてとっぱらったネットショップは、小売が課題としても挙げる「販路開拓」の解決に向けた手立てにもなります。

オンライン販売はネットショップの開設だけに限りません。たとえば都内にあるセレクトショップの「岡の」では、コロナ禍で休業していたときにSquare 請求書(※)を活用しはじめたことで、国内に限らず海外のお客様にも商品が発送できるようになりました。

※Square 請求書とはメールで送れるクラウド請求書です。メールにあるリンクをクリックすると、お客様はクレジットカード決済で請求額を支払うことができます。英語の請求書発行も可能です。

海外からまとめた量を購入してくれる方が結構いたので、(Square 請求書には)すごく助けられましたね。休業後にお店を再開した頃も半分くらいが非対面の購入で、今もSquare 請求書の売り上げが5分の1くらいはコンスタントにある感じです”

片岡亜紀子さま
岡の オーナー

実際にBtoC(企業と消費者間の取引)のEC(ネットショップをはじめとする電子商取引)市場規模は年々拡大しており、近年ではコロナ禍の影響を受け、ますます加速しています。経済産業省の発表によると2021年のBtoCのEC市場規模は約20兆円。5年前の2016年と比べると4割弱伸びています。野村総合研究所の発表によると、2025年にはその規模は27兆円まで拡大することが予想されており、今後も需要は高まる一方だといえるかもしれません。

参考:
電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました(2022年8月12日、経済産業省)
野村総合研究所、2026年度までのICT・メディア市場の規模とトレンドを展望(2020年12月17日、株式会社野村総合研究所)

キャッシュレス決済の利用拡大

コロナ禍で普及したことのひとつとして、キャッシュレス決済の利用も挙げられるでしょう。経済産業省が発表しているキャッシュレス決済比率を見ると、コロナ禍前の2019年は26%だったのが、2022年には36%にまで拡大しています。

Squareの消費行動調査では、小売店で導入していてほしい決済方法として「クレジットカード決済」と答えた人は全体の65%にもおよびました。そのうち、クレジットカード決済が使えないと利用を躊躇してしまうと答えた人は34%と、全体の約3分の1にもおよんでいます。キャッシュレス決済非対応が機会損失を招いてしまうといえるかもしれません。

参考:2022年のキャッシュレス決済比率を算出しました(2023年4月6日、経済産業省)

Squareのススメ

Squareの決済端末なら、クレジットカード、電子マネー、QRコードによる決済の受け付けが可能。端末代金のみ(4,980円〜)で導入できるので、予算を抑えたい人にもおすすめです。

飲食店では注文・会計の自動化が求められるように

コロナ禍をきっかけに接触機会を減らすツールが活用されはじめるなか、飲食店では人を介さない注文方法や会計方法を好むお客様も増えているようです。なかでも自動化してほしい注文・精算方法として、「店内のタッチパネルを使っての注文受け付け」と答えた消費者は58%にもおよびました。

自動化を希望する消費者は一定数いるものの、Squareが実施した事業主調査を見てみると、「タッチパネルなどの注文システム端末」「セルフレジ」など自動化ツールを飲食店で導入していた女性起業家の割合は、どれも10%未満でした。こうした自動化ツールは導入コストが高く、実際に取り入れることができるのは規模の大きな事業者に限られているのかもしれません。

自動化に役立つツールとして、より手が出しやすい価格帯のものも少しずつ登場しはじめています。たとえばSquareなら、QRコードを使った非接触の注文・決済を1店舗につき月々3,375円から導入できます。

少ない従業員数で店舗を運営する際には、業務負担をできるだけ減らしていきたいところです。できるところから業務を自動化していくことを、業務効率アップの策として検討してみてはいかがでしょうか。

Squareのススメ

Squareでは、QRコードによる注文・決済システムを月々3,375円から運営できます。注文とお会計にかかる業務をまるごと削減できる自動化システムです。店内での注文だけでなく、持ち帰りの注文にも対応しています。

美容のビジネスにおいても、消費者は自動化に好意的

美容室やエステティックサロンをはじめ、美容関連のビジネスでも、自動化ツールは少しずつ活用されはじめています。最もよく知られているのは予約システムかもしれません。

実際に美容関連のビジネスを営む女性のうち、27%が予約システムを導入していました。そのほかにも最近では「タブレットでの来店受付」「オートシャンプー」「セルフレジ」などが誕生しはじめています。

事業者調査からは美容関連ビジネスを1人で営んでいる女性が全体の69%に及んでいることが分かっています。自動化ツールをうまく活用することは1人で抱える業務量を減らすうえでも重要だといえます。

自動化ツールは働く側を支えるものでもありますが、消費行動調査では、消費者からも需要があることがわかっており、自動化されている店舗について「利用したくなる」「まあ利用したくなる」と答えた20代男女の消費者はともに50%以上にもおよんでいました。利用意向は年代が上がれば上がるほど消極的になる傾向にありましたが、全体で見ても、3割以上が利用意向を示していました。

Squareのススメ

Square 予約を使うと、予約受付の自動化を叶えることができます。電話で受け付けている予約をサイトから自動で受け付けられるようにしてみませんか。

08

ビジネスをはじめるヒント

Squareでは誰もがビジネスをはじめられるよう、さまざまなツールやリソースを提供しています。

アイデアを実現するまでには実にたくさんの作業をこなす必要がありますが、ここでは起業の段階で必要になることをまとめた記事を紹介します。Square 起業ガイドとあわせてご確認ください。

Squareは、株式会社インテージを介して調査を実施し、本レポートを作成しました。

女性起業家の実態を明らかにするために、全国の20歳から59歳までの男女にインターネット調査を実施。合計2,059名の回答の一部を本レポートで取り上げました。さらに消費者の行動を明らかにするために、全国の20歳から59歳までの男女の消費者にインターネット調査を実施し、合計2,145名の回答をもとに、消費の傾向をリサーチしました。詳しくは以下にある通りです。

Squareでは誰もがビジネスをはじめられるよう、各種ツールを提供しています。

事業主調査
調査主体:Square株式会社
調査実施機関:インテージ
調査方法:インターネット調査
調査実施時期:2023年6月2日(金)~7日(水)
調査地域・対象者条件:全国
20-59歳 男女個人 個人事業主 
※銀行・保険・証券等金融関係/マスコミ・放送会社/広告代理店・PR会社
/市場調査会社従事者を除く
サンプルサイズ:女性事業主 962名 
男性事業主 1,097名
  (そのうちターゲット:小売96名・飲食157名・美容125名)

消費行動調査
調査主体:Square株式会社
調査実施機関:インテージ
調査方法:インターネット調査
調査実施時期:2023年6月2日(金)~7日(水)
調査地域・対象者条件:全国
20-59歳 男女個人  
※銀行・保険・証券等金融関係/マスコミ・放送会社/広告代理店・PR会社
/市場調査会社従事者を除く
サンプルサイズ:n=2,145名