飲食店のネット販売のはじめ方、ネットショップ開設ガイド

「豚肉の旨味を閉じ込めたスープに唸る人も多い、うちの自慢のラーメンを全国のお客様に届けたい」「指紋だらけになる紙のメニューはやめて、お客様のスマホから注文できるようにしたい」このような要望を一挙に叶えてくれるのがネットショップです。

最近では飲食料品の販売はもちろんのこと、テイクアウトを効率化できる機能や、店内にいるお客様がスマートフォンから注文できる「セルフオーダー」の機能など、飲食店にとって便利な機能をネットショップに付け加えられるようになりました。「業務効率にも役立ちそう……!」とは思いつつも、どこから手をつけていいか分からないという人は案外多いかもしれません。

この記事では万全な状態でネットショップをはじめられるよう、準備しておきたいことを7つ紹介します。簡単に低コストではじめられるネットショップ作成サービスも見ていきましょう。

目次



飲食店がネットショップを開設するメリット

「ネットショップを開く意味があるのだろうか……」と、開設を迷う人も多いかもしれません。飲食店がネットショップを開設するメリットは、大きく二つあります。

(1) 売り上げが拡大できる

最も大きなメリットは、売り上げを拡大できることです。実店舗のみの場合、店舗に足を運べる客層が限定されてしまう、という弱点を抱えます。そこでネットショップを用意することで、全国発送に対応でき、遠くに住むお客様にも商品が届けられるようになります。さらにネットショップなら営業時間外でも注文を受け付けることができます。

飲食店では以下のような商品をネット販売できるでしょう。

  • ラーメン屋……自分で作れるラーメンセット
  • クラフトビール専門店……一本から購入できるクラフトビール、またはお任せセット
  • パン屋……パンのお取り寄せセット
  • ビストロ……湯煎で温めるだけで本格的なコース料理が楽しめる冷凍食品
    など

ただし、ネットショップの開設は、店舗をもう一つ持つようなものです。人手を増やさない限り、業務量が増えてしまうのも事実です。ネットショップで販売する1日の商品数を決めておくなど、店舗営業とうまく両立していくには、オペレーションの整理が大きな鍵を握ります。

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(2) 事前注文の流れが円滑になる

感染症の影響を受けて、テイクアウトをはじめた飲食店も多いでしょう。しかし、お客様が来店し注文をもらってから調理をはじめるため、お客様を少し待たせてしまうのが気になる飲食店経営者も少なくないのでは。少しでも効率化できるようにと、Instagramなどで事前予約を受け付ける店舗もありますが、問い合わせの返信にかなりの時間と手間を割くハメに……ということもあるかもしれません。

事前注文機能が使えるネットショップがあれば、予約希望のお客様をネットショップへと促すことができます。予約はネット上でしてもらえるうえ、予約通知は自動で届くので、お客様とのやりとりもぐんと減ります。やりとりに割いていた時間を調理や開店準備などに回せるようにもなるでしょう。事前注文時に決済もできるようにしておけば、来店時にお金のやりとりをする必要もなくなります。

飲食店のネットショップ開設チェックリスト

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ネットショップを作成すると決めたら、以下のタスクを一つひとつこなしていきましょう。

(1) 販売する商品を決めよう

まずは店舗で提供している商品のなかから、どの商品をネット販売するかを決めましょう。提供する商品によって、必要な許可も異なります。詳しくは営業許可の章で説明しています。また、飲食料品に限らず、Tシャツやキーホルダーなど、これを機にお店のオリジナル商品をネット販売してみると意外な需要に気づくかもしれません。

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(2) 梱包材を決めよう

ネット販売の最大のトラブルは、配送途中に商品の中身がこぼれてしまうことです。異物が混入することも衛生上好ましくありません。汁ものは真空パックに、壊れものは緩衝材を十分に使って梱包する必要があります。食品に必要な梱包材は、

など、事業者向けの通販サイトからまとまった量を購入することができます。

(3) 価格を決めよう

ネットショップでも、飲食店とはまた別に、価格設定が必要です。販売価格は、仕入れ価格をもとに決めることができます。以下の計算式で、試しに販売価格を出してみましょう。

販売価格=仕入れ価格 ÷ 原価率
※原価率は、[原価 ÷ 売上 × 100]で出すことができます。

上記の計算式から算出した価格は、あくまでも参考としましょう。高すぎて購入してもらえない、安すぎて利益が出ない、などがないように、競合の価格設定なども考慮したうえで、最終判断を下すのがいいでしょう。販売価格について詳しくは「ネットショップで最適な販売価格を決めるには?」もご確認ください。

商品価格もそうですが、送料も忘れてはいけません。送料のパターンはいくつかあります。

  • 全国一律にする
  • 購入金額に応じて送料無料にする
  • 配送エリア別にする
  • 配送手段別にする
  • 全品送料無料にする

お客様にとって最も魅力的に映るのは「送料無料」でしょう。購入の後押しになりそうですが、果たして送料無料が事業主にとって現実的なのかは気になるところです。自身のネットショップに適した送料を決めるためには「オンラインストアで送料無料を始めるメリットとは」もご参考ください。

(4) 配送方法を決めよう

コストを抑えるためにも、手間を減らすためにも大切なのが、配送業者選びです。

冷蔵・冷凍保存の商品を送る場合は、クール便に対応しているかをまず確認しておきましょう。荷物を集荷センターまで持ち込むと配送代が割引かれる場合もありますが、効率面を考慮すると、ネット上で集荷を頼める無料集荷サービスなどがあると便利でしょう。

代表的なサービスとしては以下の3社が挙げられます。

また、個人・法人で契約をしたり、会員登録をしたりすると、割引を受けられることもあります。たとえばクロネコメンバーズになると、電子マネーカードへのチャージで、配達運賃が10%割引かれます。また「離島に届けるにはA社がお得」「大きめの荷物を送るのにはB社が安価」など、業者ごとの特長があります。コストを削減するためには、送るものに合わせて業者を使い分けていくのも良案でしょう。

(5) 営業許可を取得しよう

ネットショップをはじめる場合、飲食店ですでに取得している営業許可のほかに、製造許可など、追記で営業許可が必要となる場合があります。必要だと想定される営業許可をいくつか以下の表に記します(※)。

※ネットショップが所在する都道府県によって、必要な営業許可が異なります。

通信販売酒類小売業免許 インターネットやカタログなどでお酒を小売りする場合

詳しくはこちら
食料品等販売業の営業許可 弁当類、そう菜類、乳製品、食肉製品、魚介類加工品、その他の調理加工を要しないで直接摂食できる食品を販売する場合

詳しくはこちら
そうざい製造業 通常副食物として供される煮物(つくだ煮を含む)、焼物(いため物を含む)、 揚物、蒸し物、酢の物またはあえ物を製造する場合

詳しくはこちら
食品の冷凍業または冷蔵業 冷凍食品の製造、または魚介類を冷凍または冷蔵する場合

詳しくはこちら

営業許可を取得せずに飲食料品をネット販売するのは、食品衛生法に違反します。具体的には、第七十二条に「二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する」と規定されています。「どの許可が必要かわからない……」という場合には、保健所に相談してみましょう。管轄の保健所はこちらから検索できます。

(6) 食品表示のラベルを用意しよう

「安心して食べれるものか」「アレルギー反応を起こしてしまわないか」など、購入者自身が判断できるように飲食料品の中身については、具体的に記さなければいけません。スーパーやコンビニの加工食品にもあるように、ネットショップでも添加物や内容量、保存方法などが記載された「食品表示ラベル」を商品に貼り付ける必要があります。ラベルに記すのは、おおまかに以下のような内容です。

  • 名称
  • 原材料名
  • 添加物
  • アレルゲン
  • 内容量または固形量および内容総量
  • 消費期限または賞味期限
  • 保存方法
  • 原産国名
    など

食品表示のラベルは、無料アプリなどから簡単に作成することができます。プリンターやラベルは、別途購入が必要です。

また、食品の種類によっては記載内容が異なったり、内容を省略できたりします。迷ったら、農林水産省のパンフレット東京都福祉保健局のページに目を通してみましょう。

商品の表示について、覚えておくべきことがもう一つあります。「もう、薬に頼らない」「みるみる痩せる、ウソみたいなドリンク」など、消費者に誤認を与えるような誇大表現は、健康増進法(誇大表示の禁止)に違反します。特に健康食品などを取り扱う場合には、くれぐれもコピーの表現方法に注意しましょう。詳しくは消費庁のページから確認できます。

(7) ネットショップ作成サービスを決めよう

上記がある程度固まったら、ネットショップ作成サービスを決めましょう。

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できるだけコストをかけずにネットショップを作成したい場合には、月額利用料金や初期費用などはもちろんのこと、手数料にも注目するといいでしょう。たとえば売上額が振り込まれる度に手数料が生じるようなサービスだと、手数料だけで年間数万円にもおよぶ可能性があります。思っていた以上に手数料を引かれてる……という事態を避けるためにも、あらかじめの確認が肝心です。

売り上げが手元に入るタイミングを左右する入金サイクルも、必ず確認しておきたい点です。月1、2回ほどの入金で、入金を早めるには追加費用を支払わなければいけないこともあります。コストをかけずに資金繰りをよくするためには、ネットショップ作成サービスの入金サイクルを下調べしておくのが賢明でしょう。

Squareでは、無料アカウントを作成するだけでネットショップを開設することができます。プランは無料プランを含めて4種類あり、それぞれ使える機能が少しずつ異なります。無料プランでできることは、以下の表からご確認ください。

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購入ごとにかかるクレジットカード決済手数料は、3.6%(※JCBのみ3.95%)。売上額は、最短翌営業日に振り込まれます。ネットショップ作成サービスの選び方や、Squareでネットショップをはじめる方法について詳しくは「飲食店がネット販売を上手にはじめるポイントは?おすすめの方法を徹底解説!」でも説明しています。

営業時間外でも注文を受け付けることができ、遠くに住むお客様にも商品を届けられるネットショップ。ネットショッピングの需要が増えるなか、売上拡大を狙うツールとしては効果が期待できるかもしれません。この記事では、「ネットショップをはじめたいけど、どこからはじめればいいかわからない……」という飲食店に向けて、まず押さえておきたい7つの準備作業を紹介しました。興味を持ってくれたお客様に「うち、ネット販売もしています」とご案内ができるように、上記の作業を一つずつこなし、念願のネットショップを開いてみてはいかがでしょうか。

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執筆は2021年6月11日時点の情報を参照しています。
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