飲食店など店舗で注文を受けて商品を提供するタイプのサービスを提供しているビジネスオーナーの中には「モバイルオーダー」について聞いたことがある、導入してみたいという人もいることでしょう。
ここでは、来店前にお客様がスマートフォンなどモバイルデバイスにインストールしたアプリから注文と決済を完了し、店舗で商品を受け取るモバイルオーダーについて説明します。
目次
モバイルオーダーとは?
モバイルオーダーとは、お客様が自身のスマートフォンや、テーブルに設置されたタブレットから商品の注文・決済を行うことを指します。日本でも大手飲食チェーンが「モバイルオーダー」の導入を始めており、もう利用したという人もいるかもしれません。これまで対面で受け付けていた注文や決済が自動化されるので、店舗の効率化やお客様満足度の向上につながることが期待されています。現在は飲食店での利用が主流ですが、フラワーショップで花束の注文をモバイルオーダーで受け付けるなど、飲食店以外の分野での利用も考えられます。
モバイルオーダーの使い方は、主に二通りあります。
- 店内注文に利用する
- 事前注文に利用する
それぞれのおおまかな流れを見ていきましょう。
店内注文に利用する
店内飲食でモバイルオーダーを利用する方法は大きく、
(1) テーブルに設置されているタブレットから注文する
(2) QRコードなどにアクセスし、お客様が自身のスマートフォンから注文する
の二つで、「セルフオーダー」としても知られています。
どちらも注文はお客様自身がタブレットやスマートフォンから行うので、従業員がお客様のテーブルで注文を受ける工程が省けます。キッチンの従業員は、POSレジなどに送られてきた注文通知をもとに、調理に取り掛かります。サービスによっては注文時に決済もできるので、お客様は食事を終えたらすぐに退店できます。
事前注文に利用する
お客様がスマートフォンなどから注文し、調理ができあがる頃に注文した品をお店で受け取る「事前注文」。マクドナルドやスターバックスなどの大手チェーン店が導入していることもあり、親しみを持つ人も増えているかもしれません。
お客様にとっての大きなメリットといえば、時間や場所問わず、スマートフォンから注文できることです。一方、飲食店は事前注文をお客様にうまく促すことができれば、お客様に来店してもらい、できあがるまで店内でお待たせする必要がなくなります。
飲食店は注文通知をもとに調理を開始します。注文からお渡しまでにかかる時間は自由に設定することができます。お客様が注文時に決済も終えている場合、来店時には商品をお渡しするだけとなります。
モバイルオーダーのメリットとデメリット
ここでは、店舗とお客様、それぞれから見たモバイルオーダーのメリット・デメリットを紹介します。
店舗側のメリット
店舗の効率化
モバイルオーダーの最大のメリットは、店舗運営の効率化といえます。テイクアウト型の飲食店舗では、お客様の注文をとって、支払いを受け付けるといった処理をこれまでレジで行ってきましたが、この業務が自動化されます。店舗の従業員は注文の通知があったらお客様の来店時間に合わせて商品を用意します。店内で食事を提供する飲食店でも、お客様が注文と決済を済ませているため、従業員が注文をとりに行く必要がありません。
接触機会が減る
注文や決済がお客様自身のスマートフォン上で完結するため、従業員がお客様と接する機会をぐっと減らすことができ、感染症対策にもつながります。現金の受け渡しや混雑したレジ周りで待たなくてもいいのは、お客様にとって再度利用したいと思える安心材料になるかもしれません。
端末の導入コストがかからない
注文用のタブレットの導入は、決して安価ではありません。メニューを自店舗に合わせてカスタマイズしたり、テーブルごとにタブレットを設置したりするとなれば、導入費用は1店舗あたり100万円近くになる可能性もあります。モバイルオーダーならお客様が自身のスマートフォンから注文できるため、端末の購入は不要。コストを抑えてセルフオーダーを導入したい事業主には、ぴったりです。
顧客データを分析できる
お客様が何をいつ注文したかがデータとして保存されるシステムを利用すれば、メニューの売れ筋や死に筋、混み合う時間帯がひと目でわかるようになります。データを基に、改善を図ることもできるでしょう。
お客様にとってのメリット
お客様側のメリットとしては、注文にあたって、ゆっくり商品を検討できる点があります。レジの前に立って注文しようとすると目移りして迷ってしまう、自分のペースでゆっくり商品を選びたい、という人にはセルフオーダーが向いているかもしれません。一方、店舗ですぐに商品を受け取り、仕事に戻りたい忙しいビジネスパーソンには、事前注文が向いているといえます。合計金額が事前に分かると助かるというお客様もなかにはいるかもしれません。
さらに、英語やそのほかの言語に対応したモバイルオーダーシステムもあるので、近年増加している外国人観光客からの注文にも活躍するでしょう。
このようなお客様のニーズに応えるサービスを提供することで、お客様満足度が向上するはずです。
モバイルオーダーのデメリット
モバイルオーダーには難点もあります。店舗で受ける注文と合わせて、モバイルオーダーも受け付けるため、両方の注文を効率よく処理しないと、モバイルオーダーで商品を購入したのに店舗で長い時間待たされてしまった、来店したのに商品が準備されていなかったという状況になりかねません。導入にあたっては、注文処理の方法を従業員とともに検討し、必要に応じて研修を実施する必要があります。導入後もお客様の注文をきちんと受けられているか定期的に確認するとよいでしょう。モバイルオーダーを導入した大手飲食チェーンの中には、時間を限定してモバイルオーダーを受け付けているお店もあります。モバイルオーダーシステムに慣れるために、最初は時間限定でモバイルオーダーを受け付ける、注文が増えすぎてしまったときは店舗での注文が少ない時間帯にモバイルオーダーを受け付けるといった時間を限定したモバイルオーダーを検討してみてもよいかもしれません。
また、アプリを使った事前のキャッシュレス決済が前提のサービスのため、現金で商品を購入したいお客様のニーズに応えられません。スマートフォンの操作があまり得意ではない年配のお客様だと、モバイルオーダーでの注文に手助けが必要になるなど、結果として必要以上にお客様に負担をかけることになるかもしれません。モバイルオーダーシステムの導入にあたっては、顧客層や決済手段を分析して検討することが重要といえそうです。
おすすめのモバイルオーダーシステム4選
大手企業だけでなく、中小業企業や個人事業主も利用しやすいモバイルオーダーシステムが増えています。ここではおすすめのモバイルオーダーシステムを四つ紹介します。
Square オンラインビジネス
キャッシュレス決済のSquareが提供するネットショップ作成サービスです。テイクアウト用の注文ページを作れるだけでなく、セルフオーダー機能と組み合わせて利用することで、店内での注文・決済も非接触にできます。Squareのアカウントがあれば、無料で始められ、テイクアウトと店内注文をまとめて管理できるので運営する上での負担を大幅に減らせます。
トレタ テイクアウト
株式会社トレタが提供している飲食店向けの注文受付フォーム「トレタ テイクアウト」。導入も利用も無料で、飲食店独自のテイクアウト受付フォームが作れるサービスです。自社サイトやSNSにフォームのURLを掲載するだけで、注文受付をはじめられる手軽さが特徴的です。注文が入ると、登録したメールに通知が届きます。決済機能にはSquareを採用しているので、利用を開始するにはSquareの無料アカウントを取得しましょう。
O:der
株式会Showcase Gigが運営するモバイルオーダーサービスです。O:derのウェブサイトによると、O:derはモバイルオーダーサービスの中で導入実績がNo.1で、飲食店や小売店のニーズに応えるサービスを提供しています。導入事例には多くの人が利用したことのある大手飲食チェーンも名を連ねています。
Okage Go
Okage株式会社が提供するモバイルオーダーシステムです。Okage株式会社はOkageシリーズとして、モバイルオーダーシステムを含め、飲食店向けのさまざまなサービスを提供しています。これからモバイルオーダーを含め、統一感のある形で業務をIT化したい場合に検討してみるとよいでしょう。
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執筆は2020年3月10日時点の情報を参照しています。2021年4月16日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash