シミュレーションゴルフ場の開業・経営に必要な手続きや資格、物件探しや成功のコツを解説

年齢を問わずに楽しめるゴルフは、人気スポーツの一つです。打ちっぱなしと呼ばれる練習場に通ったりゴルフコースを回ったりする以外に、「シミュレーションゴルフ場」の人気も高まっています。公益社団法人全日本ゴルフ練習場連盟の調査でも、2022年度10月時点のインドアゴルフ練習場数はプラス57施設と増加傾向にあることが報告されています。また、新型コロナウイルス感染拡大による影響で各屋内スポーツ施設の利用者数が落ち込むなか、ゴルフ場やゴルフ練習場は比較的回復が早かったようです。

こうした市場の傾向もあり、起業を考えている人の中には「シミュレーションゴルフ場を開業したい」と思う人もいるかもしれません。この記事では、シミュレーションゴルフ場の開業を目指す人に向け、必要な手続きなどを解説します。

参考:ゴルフ事業に関する調査および研究(2022年10月20日、公益社団法人全日本ゴルフ練習場連盟)

目次



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シミュレーションゴルフ場とは

経済産業省のウェブサイトによる解説では、新型コロナウィルス感染の影響を受けて一時的にゴルフ練習場の景気は落ち込んだものの、2021年2月にはすでに利用者数がコロナ禍前の2019年を上回り、好調な動きであることが分かっています。そんな中、注目を集めているのが、バーチャルリアリティによってゴルフ場のラウンド体験ができたり、スコア向上のためのフォーム改善を記録・分析できたりする機能を搭載している、屋内型のゴルフ練習場「シミュレーションゴルフ場」です。

室内でゴルフの練習ができるだけでなく、バーやカフェなどを併設している店舗もあり、気楽にお酒や食事を楽しみながらゴルフの練習ができます。また、ゴルフコースに出る自信がない初心者やしばらくコースに出ていない人でも気軽にゴルフコースのプレイ体験ができるのが特徴です。

参考:2回目の緊急事態宣言下でも活況だったゴルフ練習場・ゴルフ場;コロナ禍を経てゴルフの楽しみ方はどう変わったか?(2021年4月22日、経済産業省・経済解析室ひと言解説集)

シミュレーションゴルフ場の収益性

シミュレーションゴルフ場の収益性は、価格設定によります。また、時間制にするのか、月額会費制によっても変わってくるでしょう。たとえば、1時間あたりのプレー料金を6,000円とした場合、1打席が1日に5時間、年中無休で稼動したすると、年間の売り上げは約1,100万円となります。この条件で5打席を導入した場合の売り上げは約5,500万円となります。また、月額会費を1万円から3万円程度で設定して200名の会員が集まるとすると、年間の売り上げは2,400万円から7,200万円となります。開業する場所の家賃、光熱費や人件費などの経費にもよりますが、経費を抑えることができればそれなりの収益性があるといえます。

シミュレーションゴルフ場を開業するまでの流れ

シミュレーションゴルフ場を開業するまでに必要な七つのステップを紹介します。

1.コンセプト設計

シミュレーションゴルフ場を開業するにあたって重要なのは、施設の雰囲気や印象、サービス内容などのコンセプト設計です。グラフィックが鮮明なシミュレーターを導入して高級な雰囲気にするのか、初心者でも足を運びやすいカジュアルな施設にするのか、また、飲食ができるようにするのか、その場合のメニューはどのようなものを提供するのかなど、ほかのシミュレーションゴルフ場と何が違うのかをしっかり示すためにも、コンセプト設計をしっかりと行いましょう。

2.事業計画書作成

事業計画書は、事業の内容や収益の見込み、成長戦略を示す書類です。事業の立ち上げ時や金融機関への融資申込時に必要となります。融資を受ける予定がなくても、事業を継続していく中で、初心に立ち返ったり、客観的に見つめ直して改善するヒントを与えてくたりするものなので、開業を決めたら事業計画書の作成してみましょう。事業計画書の書き方については、「ビジネスの青写真である事業計画書の書き方」の記事も参考にしてみてください。

3.資金調達

シミュレーションゴルフ場を開業するために物件を借りる場合、物件取得費用や内装・外装工事費用、シュミレーターの設置費用、什器・備品費用など、合計で数百万円から数千万円かかることもあるようです。多額の資金がかかるため、金融機関などからの資金調達が必要になるでしょう。

4.物件探し

シミュレーションゴルフ場の開業を決めたら、立地や賃料を考慮して物件を探す必要があります。仕事帰りのビジネスパーソンをターゲットに駅や繁華街から近い場所を選ぶのか、郊外に開業するのであれば、幹線道路から近く駐車場が確保できるかどうかも考慮するといいでしょう。

5.設備・備品調達

シミュレーションゴルフ場の開業場所を決めたら、設備や備品をそろえましょう。シミュレーターのほか、ゴルフクラブやゴルフボールなどゴルフに関する備品のほか、お客様が座る椅子やテーブル、飲食を提供するのであればキッチン周りの設備や調理器具なども用意する必要があります。

6.オープン準備

場所の準備が整ったら、いよいよオープンに向けて準備を始めましょう。ホームページを開設したり、SNSに投稿したり、近所にポスティングをするなどしたりして、シミュレーションゴルフ場がオープンすることを周知するのも忘れないようにしましょう。現金決済だけでなくクレジットカード決済などのキャッシュレス決済など、お客様の利便性を高める決済方法の導入も検討しましょう。実際に、キャッシュレス決済の需要は大きく、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査では、買い物をする際の支払いに「キャッシュレス決済しかしていない」「キャッシュレス決済での支払いが多い」と答えた人は、全体の74%にものぼっています。

参考:キャッシュレス決済の 利用状況に関するアンケート結果(2022年9月16日、三菱UFJリサーチ&コンサルティング)

7.オープン

オープンしてまもなくは、順調な集客が難しいかもしれません。オープン直後は友人や知人に声がけをして来てもらったり、割引価格でシミュレーターを体験してもらったりして、ファンを増やしましょう。そして、来てくれたお客様にSNSでの拡散に協力してもらえるようお願いしてみるのもいいかもしれません。

シミュレーションゴルフ場の開業に必要な資格や届出

シミュレーションゴルフ場を開業するにあたって必要な届出や資格にはどのようなものがあるでしょうか。ここでは、飲食と伴う業態にする場合や、シミュレーションゴルフ場の収容人数が30名を超える場合の資格や届出について解説します。

資格

食品衛生責任者

飲食を伴う場合は、保健所から飲食店の営業許可を受けるために、食品衛生責任者を設置する必要があります。医師、薬剤師、栄養士、調理師、製菓衛生師などの有資格者は保健所への申請のみで食品衛生責任者になれます。資格がない場合は、各都道府県で行われている「食品衛生責任者養成講習会」を修了すれば食品衛生責任者になることができます。

防火管理者

収容人数が30人を超える場合は、防火管理者の設置が必要です。店舗の延床面積が300平米以上の場合は「甲種」、300平米未満の場合は「甲種」の基礎知識と技能を学ぶ「乙種」の資格が必要となります。地域の消防署か自治体が窓口となっており、「甲種」は2日、「乙種」は1日の受講で取得できます。

許可

飲食店営業許可

飲食を伴う場合、管轄の保健所に飲食店営業許可の申請を行います。工事後に指摘を受けた場合には設計や工事のやり直しの可能性もあるので、着工前に設計図を持って管轄の保健所に確認することをおすすめします。申請書の受理から許可書の交付まで、最低7営業日程度必要です。また、立ち入りでの施設確認で不適合となった場合、改善に時間を要することもあるので、早めに申請しましょう。

届出

開業届

自営業として開業する場合は個人事業の開業・廃業等届出書を管轄の税務署に開業後1カ月以内に提出する必要があります。開業届を提出したら、2カ月以内に青色申告承認申請書を提出しましょう(1月16日以降に開業した場合)。青色申告承認申請書は開業届と同時に提出することも可能です。

開業届だけでなく、都道府県税事務所へ個人事業開始申告書(事業開始等申告書)を提出する必要があります。個人事業主には、地方税である個人事業税も課税されます。個人事業税の納付先は都道府県なので、都道府県税事務所への届出が必要です。書式や提出期限なども都道府県によって異なるので、詳細は開業地の都道府県税事務所に問い合わせてください。

深夜酒類提供飲食店営業

たとえば、午前0時から日の出までの時間帯に酒類を提供するバー形式のシミュレーションゴルフ場を開業するのであれば、所轄の警察署へ深夜における酒類提供飲食店営業届出の申請を行います。必要書類を準備した上で、開店の10日前までに管轄の警察署に届出を提出します。

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シミュレーションゴルフ場の開業資金

開業に必要な主な費用

開業にあたって必要になる費用には、下記のような物が挙げられます。物件の視察、内装や外装の設計施工、開業資金の調達には数カ月かかることもあるので、準備には半年くらい考えておくとよさそうです。

  • 物件の取得費用(テナントの契約費や物件の敷金・礼金・保証金など)
  • 内装・外装費用
  • 設備などの導入費
  • スタッフの雇用にかかる費用
  • 広告費
  • 人件費や水道光熱費など店舗の運転資金
  • 提供する飲食物の仕入れ費用や調理にかかる費用

独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営するJ-Net21の開業ガイドでは、飲食を伴うシミュレーションゴルフ場の営業形態に近いスポーツバーを開業する場合の資金例(物件取得費を除く)として、約900万円と紹介しています。この金額に加えて、立地に左右されるものの物件取得費用として数百万円と、シミュレーターの導入費用がかかります。シミュレーターは安いもので100万円以下のものもありますが、営業用に導入するにはグラフィックが美しかったり、フォームの記録や分析をしてくれたりする機能を搭載した数百万円のシミュレーターを準備したほうがいいでしょう。シミュレーターも中古品やリースなどを利用すれば初期費用を抑えることができるので、検討してみてもいいかもしれません。開業資金は、トータルで1,000万円を超えることになるので、自己資金が足りない場合は日本政策金融公庫からの融資や、各自治体の助成金・補助金を検討しましょう。

参考:業種別開業ガイド スポーツバー(J-Net21)

物件探しのポイント

立地

物件を探す際には、ターゲットとする客層がいる地域かどうか念入りに調査・検討することが重要です。一般的に、シミュレーションゴルフ場は仕事終わりや休日に立ち寄る人が多いため、交通の便がよく、駅から近い物件がおすすめです。カフェやバーなどを併設して営業したい場合は飲食店の多い繁華街や、人通りの多い場所を選ぶとよいでしょう。

防音性

クラブがマットやボールを叩いた時や、ボールがネットにぶつかる時の音は、予想以上に大きく響きます。そのため、なるべく防音性の高い物件を選ぶことも重要です。

店舗の広さ

シミュレーションゴルフの設備は、1台につき約5坪程度の広さが必要だといわれています。そのため、導入台数分の広さを確保する必要があります。また、飲食を併設するのであれば、飲食用のスペースも考慮する必要があります。

シミュレーションゴルフ場経営を収益化させるポイント

コンセプトとターゲットをしっかりと定める

コンセプト設計の項目でも触れましたが、コンセプトとターゲットをしっかり定めることは、シミュレーションゴルフ場経営の成功には欠かせません。誰でも気軽にゴルフを楽しめるカジュアルな空間にするのか、コーチをつけて本格的なゴルフ練習ができる空間にするのかなど、コンセプトによって狙うターゲット層が変わってきます。自分がどのような施設を経営したいかを明確に決めることが大切です。

フランチャイズ加盟の選択肢も考慮する

個人経営が難しい場合は、実績あるインドアゴルフスクールなどとフランチャイズ契約をするのも一つの手です。フランチャイズ契約とは、フランチャイズの本部(フランチャイザー)が加盟店(フランチャイジー)に対して商標・商号を使用する権利や経営のノウハウをアドバイスする代わりに、加盟店が加盟料やロイヤリティを支払う仕組みを指します。フランチャイザーが構築したノウハウを活用できるので、失敗のリスクも軽減できるかもしれません。

他店との差別化を図る

継続して利益を上げ続けるためには、他店との差別化を図り、リピーターを獲得する必要があります。人気が高まっているシミュレーションゴルフ場は、今後競合店が増加する可能性もあるため、独自の強みがない場合は価格競争に巻き込まれてしまうことも考えられます。レッスンコーチを採用したり、店内コンペなどのイベントを企画したりするなどして、他店との差別化を図りましょう。また、積極的にSNSで情報を発信することも大切です。

キャッシュレス決済への対応

クレジットカードや電子マネー、QRコードなど、決済手段を多数用意しておくこともお客様の利便性の向上につながります。特に、価格設定を高めに設定している場合やゴルフ用品を販売する場合は、会計が高額になることもあります。お客様の中には多額の現金を持ち歩きたくないという人もいるので、キャッシュレス決済の導入は必須といえるかもしれません。また、月額会費制にする場合は登録したクレジットカードに請求できるようにしたり、決済機能のついたオンライン請求書を送れるようにしたりしておくと、お客様も都度会計をする必要がなく便利に感じてくれるでしょう。

POSレジアプリの導入

POSレジは、売上情報を自動的に記録するシステムです。「1時間6,000円」「2時間12,000円」「追加30分3,000円」などのサービス名と金額をあらかじめ登録しておけば、何がどれだけ売れたかを一目で把握することができます。また、売上管理だけでなく、顧客管理スタッフ管理などができるPOSレジもあり、業務の効率化が図れます。

予約システムの導入

予約制にする場合は、オンライン予約システムを導入しておくと、お客様も店舗もスムーズに予約管理ができるので便利です。現在では、アプリやブラウザ上でお客様が利用日時や氏名、連絡先といった必要情報を入力し、予約を完了させる方法が主流となっていて、さまざまなサービスが提供されています。予約システムを導入することでお客様の利便性が向上し、満足度のアップにつながります。予約システムによっては毎月の会費徴収や事前決済が可能なもの、SNSとの連携が可能なものもあります。

オンライン請求書

月額会費制などを導入する際に便利なのが、オンライン請求書です。オンライン請求書とは、紙の請求書の代わりに、メールやSMS、SNSのDMなどで請求書を送る方法です。オンライン請求書の中には決済機能が付いたサービスもあります。

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シミュレーションゴルフ場の経営にはSquare!

決済代行会社のSquareでは、シミュレーションゴルフ場の経営に便利なツールが多数用意されています。無料アカウントを作成するだけで、さまざまな機能を利用できるので、ぜひ導入を検討してはいかがでしょうか。

キャッシュレス決済

Squareでは、モバイル端末とSquare リーダーだけ用意すれば簡単にクレジットカード・QRコード・電子マネーでのキャッシュレス決済を導入できます。POSレジとレシートプリンターが搭載された持ち歩き可能なSquare ターミナルや、iPadがスタイリッシュなレジになるSquare スタンドも提供しているので、自店舗のスタイルに合わせて導入が可能です。

※ 利用可能なクレジットカードはVisa、Mastercard、American Express、JCB、Diners Club、Discoverです。QRコードはPayPay、電子マネーは各種交通系IC、QUICPay、iDです。各種交通系ICには、Suica, PASMO, Kitaca, TOICA, manaca, ICOCA, SUGOCA, nimoca, はやかけん が含まれます(PiTaPaはご利用いただけません)。決済手数料について詳しくはこちらをご確認ください。

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カード決済、タッチ決済、電子マネー決済、QRコード決済が簡単に始められます

Square POSレジ

Square POSレジでは顧客管理機能が無料で利用でき、お客様の氏名や年齢、生年月日、住所などの基本的な情報を登録することができます。さらに、シミュレーションゴルフ場に通う目的や目標などを記入して管理しておけば、来店が遠のいているお客様に再来店を促すダイレクトメールやお得情報を郵送、もしくはEメールで送ることができます。また、Square POSレジは、顧客管理だけでなく、売上管理、スタッフ管理、物販を行っている場合に便利な在庫管理も無料で利用できます(※)。

※一部有料プランでしか利用できない機能もあります。

Square 予約

ブラウザとiOS用・Android用アプリで利用できる予約管理システムです。月額利用料がかからない無料プランでは、ネット予約の受付、予約管理、顧客管理といった機能に加えて、無断キャンセルの防止が期待できる事前決済、会費の徴収に便利な継続課金などが利用できます。事前決済や継続課金の利用に追加費用はかかりません。決済手数料は、事前決済が3.6%、継続課金が3.75%となっています。

Square 請求書

Squareの管理画面、もしくはアプリから簡単にオンライン請求書を作成・送信できます。月額会費制を導入するのであれば、毎月決まった日にちにお客様へ請求書をメールで送ることができるので便利です。Squareの管理画面から全ての請求内容がひと目で確認でき、「未払い」「支払済み」など支払状況ごとの請求書を一覧することもできます。Square 請求書は無料で利用することが可能(※)で、かかるのは決済手数料のみです。

※一部有料プランでしか利用できない機能があります。

シミュレーションゴルフ機器メーカーが2017年からプロトーナメントを開催するなど、ますます盛り上がりを見せているシミュレーションゴルフ。しっかりとしたコンセプト設計のもと、経営に便利なツールを活用して、シミュレーションゴルフ場の経営を成功させましょう。


Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。

執筆は2023年2月15日時点の情報を参照しています。2023年4月28日に一部情報を更新しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash