白色申告とは?メリット・デメリット、やり方や書き方をわかりやすく解説

※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計等に関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。

フリーランスや個人事業主として収入を得るようになると、避けて通れないのが確定申告です。申告方法には大きく分けて白色申告と青色申告の2種類がありますが、特に白色申告は手続きや帳簿作成の負担が少なく、初めての確定申告にも取り組みやすい方法として選ばれています。

一方で、白色申告は青色申告に比べて利用できる控除や節税メリットが少ないため、事業が成長してきた段階では不利になるケースもあります。

この記事では白色申告の基本から、青色申告との違い、メリット・デメリット、提出書類、やり方まで分かりやすく解説します。

📝この記事のポイント

  • 白色申告は確定申告の方法の1種で、青色申告より手続き負担が軽い
  • 帳簿は単式簿記で記録でき、会計知識がなくてもノートや表計算ソフトで対応可能。
  • 青色申告に比べて控除や節税制度が少なく、事業が成長すると不利になりやすい
  • 提出は税務署持参・郵送・e-Taxの3方法があり、電子申告も利用可能
  • Squareを使えば売上管理を自動化でき、確定申告の準備を効率化できる
目次


白色申告とは?

白色申告とは、個人事業主やフリーランスが行う確定申告方法の1つで、青色申告と比べて帳簿作成や提出書類が簡単である点が特徴です。複式簿記の知識が不要で、収入と支出をまとめた簡易的な記帳で申告できるため、初めて確定申告を行う人や小規模で事業を営んでいる人に向いています。

一方で、青色申告のような特別控除や節税につながる優遇制度は利用できないため、事業が軌道に乗ってきた場合は、青色申告への切り替えを検討するケースも多く見られます。

白色申告者の対象は?フリーランスや個人事業主は必要?

白色申告は、事業所得・不動産所得・山林所得などがある個人事業主やフリーランスが利用できる申告方式です。事業を行っている人は、所得の金額に関わらず確定申告が必要となる場合があり、青色申告を選択しない場合は自動的に白色申告での手続きになります。

なお、会社員の副業であっても、一定額を超える収入がある場合は確定申告が必要となるケースがあります。副業所得が「雑所得」扱いの場合は白色申告の対象とならないことがあるため、自分の所得区分がどれに該当するか確認しておくことが大切です。

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白色申告と青色申告の違いをわかりやすく解説

白色申告と青色申告は、手続きの負担や受けられる税制優遇に大きな違いがあります。ここでは主な違いをわかりやすく整理します。

比較項目 白色申告 青色申告
事前申請 不要 「青色申告承認申請書」の提出が必要
記帳方法 単式簿記(収支の記録が中心) 複式簿記(取引を仕訳形式で記録)
主な提出書類 ・確定申告書
・収支内訳書
・確定申告書
・青色申告決算書
控除 なし 最大65万円の青色申告特別控除が受けられる(要件あり)
節税制度 制限が多い 損失の繰越控除、家族給与の必要経費算入、少額減価償却特例などが利用可
手間 少ない(簡易) 負担は増えるが節税メリットが大きい

白色申告は「手続きが簡単」「負担を少なくしたい」という人に向いています。一方、青色申告は帳簿管理の手間は増えますが、控除や特例などの節税メリットが非常に大きいため、事業を本格化させる場合には青色申告を選ぶケースが一般的です。

白色申告のメリットとデメリット

白色申告には「手続きの簡単さ」という大きな利点がある一方で、節税効果や控除面では青色申告に比べてどうしても不利な点があります。ここでは、白色申告のメリットとデメリットをわかりやすく解説します。

メリット1:帳簿の書き方が簡単

白色申告では、収入と支出を一覧にまとめる「単式簿記」で記帳できるため、複式簿記のような仕訳作業や貸借対照表・損益計算書の作成は必要ありません。

たとえば、売り上げがあった日付と金額、経費として使った費用の内容と金額を家計簿感覚で記録していくだけで申告に必要な「収支内訳書」が作成できます。

会計ソフトを使わず、ノートやExcelで管理するだけでも対応できることから、会計に不慣れな開業初年度のフリーランスや、売り上げが少ない副業の人でもスムーズに申告準備ができる点が大きな魅力です。

メリット2:手続きが簡単

白色申告は、事前に税務署に申請する必要がなく、確定申告を行う年にそのまま申告できます。青色申告で求められる「青色申告承認申請書」の提出や、承認を受けるための期限管理が不要なため、思い立ったタイミングですぐに申告準備を始められます。

また、提出書類も「確定申告書」と「収支内訳書」のみとシンプルで、複雑な付属書類が少ないことから、突発的に収入が発生したケースや、会社員の副業で初めて申告する人にとってもハードルが低い申告方法です。

デメリット1:親族に対する給与を全額必要経費にできない

白色申告では、家族に支払った給与を必要経費として全額計上することができず、「事業専従者控除」として上限のある金額しか認められません。

たとえば、配偶者の場合は最大86万円まで、その他の親族は最大50万円までと、年間の控除額に制限があります。家族がフルタイムで事業に携わっていても、給与として全額経費算入できないため、家族に業務を手伝ってもらうケースでは青色申告に比べて節税効果が小さくなる点がデメリットです。

デメリット2:特別控除が受けられない

白色申告には、青色申告で適用される「青色申告特別控除(10万円・55万円・65万円)」がありません。たとえば青色申告で65万円控除を受けられる場合、同じ売り上げでも所得が65万円少なくなるため、所得税・住民税・国民健康保険料まで含めて節税効果が大きくなります。白色申告は控除がない分、課税所得が増えやすく、結果として納税額が高くなりやすいことが不利な点です。

デメリット3:貸倒引当金が限定的

白色申告では、将来の売掛金の未回収に備えて計上できる「貸倒引当金」が、青色申告に比べて認められる範囲が非常に限定的です。青色申告の場合は、売掛金や未収金の一定割合をあらかじめ損金として計上でき、取引先の倒産リスクなどにも備えられます。

一方、白色申告では原則として貸倒れが実際に発生してからしか経費にできないため、取引先が多い業種や、掛け取引が多い事業者にとってはリスク管理の面で不利になります。

デメリット4:赤字の繰越しおよび繰戻しができない

白色申告では、事業で赤字が出た場合でも、その損失を翌年以降の黒字と相殺して税負担を軽減できる「損失の繰越控除」が利用できません。また、前年の黒字に遡って相殺し税金が戻る「損失の繰戻還付」も適用されません。売り上げが不安定になりやすいフリーランスや開業初期の個人事業主にとっては、景気変動や収入の波に対応しづらい点がデメリットです。

デメリット5:少額減価償却資産の特例を使えない

白色申告では、パソコン・カメラ・プリンターなど10万円以上の備品を購入した場合、原則として複数年に分けて経費計上する必要があります。一方、青色申告では「少額減価償却資産の特例」により、30万円未満の資産であれば購入年に全額を経費にでき、節税効果が高くなります。開業時や設備更新のタイミングでまとまった購入がある場合、白色申告では節税メリットを十分得にくい点が不利となります。

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白色申告のやり方と書き方

白色申告は青色申告に比べて手続きがシンプルですが、正しい手順で進めることが大切です。ここでは、白色申告の基本的な流れと書き方をわかりやすく解説します。

白色確定申告のやり方

白色申告の基本的な流れは、次の5ステップです。

STEP1:日々の収入と支出を記録する

白色申告では複雑な帳簿は不要ですが、1年間の売り上げと経費を正確に申告するため、取引内容を日々記録しておきます。
記録方法に決まりはなく、ノートやExcel、家計簿アプリ、簡易会計ソフトのいずれでも構いません。

記録しておくべき主な内容は、売上日・内容・金額、支払い日・支出内容・支払方法などです。領収書やレシートは、税務調査の際に必要となるため、必ず保管しておきます。

STEP2:1年間の売り上げと経費を集計する

日々の記録をもとに、1月1日〜12月31日までの売り上げ(収入)と経費を集計します。

経費にできるものは、事業に必要な支出が対象で、通信費や消耗品費、交通費などが該当します。 混在しやすい家事関連費(自宅家賃・光熱費・電話代など)は、事業利用分のみ按分(例:自宅のうち仕事スペース20%など)して計算します。

STEP3:収支内訳書を作成する

集計が終わったら「収支内訳書」に売り上げ・仕入・経費を項目ごとに記入します。 白色申告では、青色申告のような複雑な貸借対照表や損益計算書は不要で、この収支内訳書だけで所得金額を算出できます。

経費欄には「旅費交通費」「消耗品費」「通信費」などの科目が並んでいるため、該当する費用を振り分けて記入します。

STEP4:確定申告書を作成する

白色申告では「確定申告書 第一表と第二票」を使用します。収支内訳書で計算した所得金額を記入し、税金や控除の金額を反映させます。国税庁の確定申告書作成コーナーを利用すると、自動計算で作成できます。

STEP5:申告書を提出し、必要に応じて納税する

作成した書類を税務署へ提出します。提出期限は毎年2月16日〜3月15日(土日祝の場合は翌平日)です。

提出方法は、税務署窓口・郵送・e-Tax(電子申告)の3種類から選べます。 税金が発生する場合は、申告期限までに納付が必要です。納税方法は金融機関窓口、振替納税、クレジットカードなど複数から選択できます。

白色確定申告の提出方法

白色申告の提出方法は、次の3つがあります。

提出方法 特徴 向いている人 ポイント・注意点
①税務署に持参 税務署窓口へ直接持参して提出する方法 ・初めての申告で不安がある人
・書類の不備をその場で確認したい人
・提出前に内容をチェックしてもらえる安心感がある
・混雑しやすいため早めの来所がスムーズ
②郵送提出 書類を税務署へ郵送して提出する方法 ・税務署が遠い人 ・忙しくて来所が難しい人 ・提出日を証明できる「簡易書留」「特定記録郵便」がおすすめ
・封筒に「確定申告書在中」と記載する
③e-Tax(電子申告) 国税庁のオンラインシステムで電子提出する方法 ・自宅で申告を完結したい人 ・郵送や来所の手間を省きたい人 ・24時間いつでも申告可能
・マイナンバーカードまたはID・パスワード方式で利用できる
・白色申告でも電子申告の利便性は高い

それぞれ詳しく見ていきましょう。

①税務署に持参する

最寄りの税務署に直接、書類を提出する方法です。提出前に窓口で書類の不備を確認してもらえるため、初めての申告で不安がある人に向いています。 混雑しやすい時期を避けるか、早めに来所するとスムーズです。

②郵送で提出する

税務署に書類を郵送する方法です。遠方の人や来所時間が取れない人に適しています。 提出日を証明できるよう、簡易書留や特定記録郵便を利用するのが安心です。

③e-Tax(電子申告)で提出する

国税庁のオンラインサービス「e-Tax」を利用して提出する方法です。自宅から24時間申告でき、郵送や来所の手間がありません。
マイナンバーカード方式またはID・パスワード方式で手続きできます。電子申告は、青色申告で特典があるイメージが強いですが、白色申告でも利便性が高く、控除申請などをオンラインで完結できる点がメリットです。スマートフォンからの申告にも対応しており、マイナンバーカードをスマートフォンで読み取って手続きすることも可能です。

Squareで確定申告をもっと楽に!

白色申告は青色申告に比べて手続きが簡単とはいえ、売り上げや経費の管理、集計、書類作成には手間がかかります。とくにフリーランスや個人事業主の場合、日々の業務と並行して記帳を行うのは負担になりやすいものです。

Squareを活用すると、POSレジクラウド請求書キャッシュレス決済までまとめて導入でき、さらに売上データが自動で記録されるため、収支の整理がしやすく、収支内訳書の作成にも役立ちます。

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まとめ

白色申告は、帳簿付けや手続きがシンプルで、初めての確定申告や事業規模が小さい人でも取り組みやすい申告方法です。一方で、節税や控除の面では制限が多く、事業が軌道に乗ってきた場合や、経費や家族給与を効果的に活用したい場合には、青色申告のほうが有利となります。

自分の事業規模や今後の見通しに応じて、白色申告と青色申告のどちらが適しているか検討することが大切です。まずは白色申告から始めて、慣れてきた段階で青色申告へ切り替えるケースも一般的です。

白色申告であっても、日々の取引を整理しておくことで、確定申告の負担は大きく軽減できます。自分に合った管理方法やツールを活用し、スムーズな申告を目指しましょう。

よくある質問(FAQ)

白色申告について寄せられる質問の中から、特に多い疑問をまとめました。初めて確定申告する人や、白色申告と青色申告のどちらを選ぶべきか迷っている人は、参考にしてください。

白色申告が必要な人は誰ですか?

青色申告の承認申請を提出していない個人で、課税対象となる所得がある人が対象です。 具体的には、以下のようなケースが白色申告の対象になります。

  • 事業所得
  • 不動産所得
  • 山林所得

これらの所得がある場合、原則として確定申告が必要です。

副業の場合でも、以下に該当すると確定申告が必要になります。

  • 給与所得がある人の副業収入が年間20万円を超えた場合
  • 給与所得がない人の副業収入が年間95万円を超えた場合(基礎控除95万円のため)

例:会社員が副業ライターで年間100万円稼いだ → 確定申告が必要(白色または青色を選択)

白色申告にはどんなメリットがありますか?

白色申告の最大のメリットは、手間が少なく始めやすい点にあります。帳簿付けは複式簿記ではなく単式簿記で行えるため、収入と支出を家計簿のように記録するだけで対応でき、会計知識がなくても取り組みやすい制度です。

また、青色申告では必要となる「青色申告承認申請書」の提出が不要であることから、思い立った年からすぐに申告できる手軽さも魅力です。提出書類も複雑ではなく、記載項目もシンプルなため、初めて確定申告を行う個人事業主や、収入が少ない段階のフリーランスでも負担を感じにくく、確定申告のハードルを低くしてくれる申告方式といえます。

白色申告にはどんなデメリットがありますか?

白色申告には節税面での大きなデメリットがあります。青色申告であれば最大65万円の青色申告特別控除を受けられる場合がありますが、白色申告ではこうした控除は適用されません。

さらに、赤字が出た年であっても翌年以降に繰り越して所得と相殺することができず、節税効果が期待できない点も不利な要素です。

家族に支払う給与を必要経費として計上できる範囲も限定されており、青色申告の「青色事業専従者給与」に比べると扱いが厳しくなります。また、10万円を超える備品の購入において、青色申告なら30万円未満であれば全額を経費にできる特例がありますが、白色申告ではこの制度を利用できません。

白色申告の提出書類は何ですか?

白色申告では、主に以下の書類を提出します。

書類名 内容
確定申告書第一表・第二表 すべての個人が利用できる申告書式で、所得・税額を申告
収支内訳書(事業所得用) 1年間の売り上げ・仕入・経費を項目別に記載した書類

不動産所得がある場合は「不動産所得用の収支内訳書」を使用します。


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執筆は2020年2月12日時点の情報を参照しています。2025年11月10日に​記事の​一部情報を​更新しました。​当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。