公開日:2022/08/09
更新日:2023/01/16
減価償却とは、事業のために購入した製品の全額を一度に事業費として換算するのではなく、製品の耐用年数を考慮して、費用を分散して計算する会計の処理方法です。減価償却の対象となる製品は、減価償却資産と呼ばれます。減価償却 の対象になる製品は、車、コンピューター、製造業で使う器具など、さまざまです。
耐用年数は資産別に決まっています。たとえば、飲食店用の木造の建物は20年、自動車の小型車は4年、コンピューターは4年など、おおよその耐用年数が決まっているので、減価償却を行う場合は、正しい年数で計上することが必要です。
減価償却の計算方法
減価償却の計算方法は、2種類あります。
定額法
定額法は、毎年、一定額を減価償却する方法です。毎年、額が同じなので、先を読みやすいことが大きな利点です。定額法は、以下のように計算します。
定額法の減価償却費=取得価額×定額法の償却率
定率法
定率法は、毎年、一定の割合を減価償却する方法です。製品を購入した直後は、高額を償却することになります。定額法では償却率が決まっており、年を重ねるたびにその率は低くなっていきます。定率法は、以下のように計算します。
減価償却費=未償却残高×償却率
減価償却のシミュレーション
会社や個人事業主が、お店やサービス業を始める場合、日々の運営には欠かせない器具やコンピューターなどがあります。そのような製品を購入したとき、減価償却を行えば、製品の耐用年数内で金額を均等に分散させることができます。減価償却率は、製品の耐用年数によって決まります。ここでは、ビジネスによく使われる代表的な製品の減価償却について見てみましょう。
- 主な減価償却資産の耐用年数は、国税庁のウェブサイトで確認できます。
- 減価償却資産の償却率表は、国税庁のウェブサイトで確認できます。
自動車の減価償却
新車の法定耐用年数は、普通自動車が6年で、軽自動車が4年です。中古車の法定耐用年数は新車より短く、減価償却は早く済みます。例として、新車の減価償却費の計算方法を見てみましょう。
- 車の取得価額 300万円
- 償却率 0.167
- 耐用年数 6年
すでにご紹介した通り、定額法の減価償却費の計算方法は、
定額法の減価償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率
となります。よって、
300万円×0.167=50.1万円
となります。
パソコンの減価償却
パソコンは、価格によって減価償却の方法が異なります。10万円未満のパソコンは、減価償却対象の資産としては扱われずに、消耗商品となります。そして、10万円以上20万円未満のパソコンは、購入した年から3年間は均等に償却されます。
パソコンの耐用年数
- パソコン(サーバー用) 5年
- パソコン(サーバー用以外) 4年
家/不動産/土地の減価償却
家の減価償却では、土地と建物を分けて考えます。建物は、年数が経つにつれて価値が低くなっていきますが、土地の価値は年数を経ても変わらないため、減価償却の対象になりません。よって、土地と建物を一緒に購入する場合と、建物のみを購入する場合では、減価償却の計算方法は異なります。
アパート/マンションの減価償却
アパートやマンションの法定耐用年数は、構造によって異なります。
- 木造 22年
- 軽量鉄骨造 19~27年
- 鉄骨造 34年
- 鉄筋コンクリート造 47年
無形固定資産の減価償却
コンピューターのソフトウェアは、無形固定資産となり、減価償却として扱うことができます。
ソフトウェアの耐用年数
- 複写して販売するための原本、または研究開発用のもの:3年
- その他のもの:5年
【参照元】
国税庁ウェブサイト|No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数
確定申告における減価償却の仕訳/記入方法
確定申告時、青色申告と白色申告では、減価償却の記入方法は同じです。 注意点としては、年度の途中で購入した場合は、月数按分(つきすうあんぶん)になります。また、固定資産をプライベートと事業の両方に使っている場合は、按分できるもののみ事業用の部分が必要経費の対象になります。
減価償却のメリット・デメリット
減価償却という会計処理方法のメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット1 節税できる
減価償却費とは、購入した製品を耐用年数に応じて費用を分散して計算する会計の処理方法です。分散することで、毎年、減価償却が発生しますので、税金を抑えることができます。
メリット2 損益を把握できる
ビジネスに必要な高額な固定資産を購入した場合、初年度には費用が増大してしまいますが、減価償却を行うことによって会計処理を分散することができます。
デメリット1 会計に手間がかかる場合も
減価償却資産を多く購入した場合には、会計作業に必要以上の時間がかかってしまう可能性があります。
デメリット2 年数が経つにつれて節税効果が低くなる
耐用年数の後半の年度では、節税効果が低くなります。
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減価償却に関するよくある質問
減価償却とは?
減価償却とは、年を重ねるごとに価値が下がっていく資産を事業用に購入した場合、耐用年数により費用を計上していく会計の処理方法です。
事業のために購入した製品の全額を一度に事業費として換算するのではなく、製品の耐用年数を考慮して、費用を分散して計算します。減価償却の対象となる品は、減価償却資産と呼ばれます。減価償却の対象になる製品は、車、コンピューター、製造業に使う器具など、さまざまです。
耐用年数とは何ですか?
耐用年数は資産ごとに決まっています。たとえば、飲食店用の木造の建物は20年、自動車の小型車は4年、コンピューターは4年など、カテゴリー別に耐用年数が決まっています。減価償却を行う場合は、国税庁のサイトで耐用年数をチェックして、正しい年数で計上してください。
減価償却ができるのはどのようなものですか?
減価償却ができるのは、業務に使用するもので、10万円以上の価値がある有形固定資産です。建物、器具、車、コンピューターなどがこれにあたります。無形固定資産の中には、コンピューターのソフトウェア、特許権などがあります。減価償却ができないものには、土地、美術品、骨董品、ゴルフ会員権などがあります。
耐用年数はどのようにして決まりますか?
耐用年数は資産のカテゴリーにより決まっています。購入時には資産の価値は高く、償却率が高くなりますが、年を重ねるにつれて、価値は落ちていきます。耐用年数は、資産のカテゴリー(建物、生物、車両・運搬具、器具・備品、機械・装置、その他)によりあらかじめ決まっています。飲食店用の木造の建物は20年、自動車の小型車は4年、コンピューターは4年など、おおよその耐用年数が決まっているので、正しい年数で計上することが必要です。
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