※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計等に関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。
「開業届」は、個人事業を始めたことを税務署に知らせる書類です。個人で事業を始めようと考えている人の中には、開業届について聞いたことがあるものの、どのような届け出なのか詳しくは知らない、どのように提出すればよいか知りたいという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、開業届の提出先や提出するメリット・デメリット、提出期限・方法から開業届を出さない場合に起こり得ることまでわかりやすく解説します。これからビジネスを始めようと思っている人は、ぜひ参考にしてみてください。
📝この記事のポイント
- 開業届は、原則として納税地を所轄する税務署に開業した年分の所得税の確定申告期限までに提出する
- 提出方法には、税務署窓口への持参、郵送、e-Taxの3種類があり、いずれも手数料は不要
- 事業用口座開設、融資・補助金申請などで開業届の提出は大きなメリットになる
- 開業届を出さなくても直接の罰則はないが、青色申告や事業証明の面で不利になる可能性も
- 開業後の運営に重要な予約受付や決済、ウェブサイト作成にはSquareの各種ツールが便利
目次
- 開業届とは?
- 開業届はいつまでに提出する?
- 開業届の提出先はどこ?
・税務署に出す
・オンライン(e-Tax)で出す - 個人事業主が開業届を提出するメリットとデメリット
・メリット:事業開始の証明になる
・デメリット:失業・健康保険に注意 - 個人事業主が開業届を出すのに必要なもの
- 開業届を提出する流れ
- 個人事業主が開業届を出さないとどうなるか?
- 開業届が受理されない原因
・開業届を修正するには - 開業時に用意しておきたいツール
・名刺
・ウェブサイト
・キャッシュレス決済端末
・予約サイト - まとめ
- よくある質問
・開業届はどこに出すべきですか?
・開業届を出さないとどうなりますか?
・開業届に必要なものは何ですか?
・開業届の控えはもらえますか?
・開業届の控えをなくした・提出済みの内容を確認したいときは?
開業届とは?

開業届とは、正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」のことです1。開業届は所得税法第229条に定められた手続きで、新たに事業所得の生じる事業を開始したときに、事業者は納税地を所轄する税務署に開業届を提出することになっています。
居住者又は非居住者は、国内において新たに不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始し、又は当該事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、若しくはこれらを移転し、若しくは廃止した場合には、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日の属する年分の所得税に係る確定申告期限までに、税務署長に提出しなければならない。
– 所得税法第229条2
開業届は税務署が管轄地域で営まれている事業を把握するためのもので、屋号付き口座の開設、融資や補助金の申請、青色申告の準備など、開業後のさまざまな場面で役立ちます。所得税法で提出が求められている手続きですが、期限までに提出しなかったからといって、罰金などの直接的な罰則が科されるわけではありません。ただし、この後に述べるようなデメリットが生じる可能性があります。
開業届はいつまでに提出する?

開業届の提出期限は原則、開業した年分の所得税の確定申告期限までです1。開業届は、事業を始める前ではなく、自分で決めた開業日以降に提出する書類ですので、開業前には提出できません。また、開業届の提出に手数料はかかりません。
確定申告で青色申告をしたい場合は、開業届とあわせて「所得税の青色申告承認申請書」の提出期限も確認しておきましょう。
開業届の提出先はどこ?
開業届の提出先は、原則として納税地を所轄する税務署です。納税地は、多くの場合は自宅住所です。店舗や事務所を借りている場合でも、まずは自分の納税地を確認し、その地域を管轄する税務署に提出します。
管轄の税務署は、国税庁のウェブサイトで住所から調べられます。提出先を間違えると受理されないことがあるため、提出前に確認しておきましょう。
税務署に出す
税務署に出す場合は、窓口への持参と郵送の2通りの方法があります。窓口に持参すれば、記入内容の不備をその場で確認しやすいため、初めての人には安心です。
郵送する場合は、所轄の税務署宛てに開業届を送付します。なお、2025年1月以降、申告書等の控えへの収受日付印の押なつは廃止されています3。提出前に記入済みの開業届のコピーを手元に残しておくとよいでしょう。
オンライン(e-Tax)で出す
開業届は、e-Taxを使ってオンラインで提出することもできます。税務署に行く必要がなく、画面の案内に沿って手続きできるため、自宅で完結させたい人に向いています。
オンラインでの提出方法についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
個人事業主が開業届を提出するメリットとデメリット
開業届を出すと、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
メリット:事業開始の証明になる
開業届を提出しておくと、事業開始日が明確になります。屋号付きの銀行口座の開設や事業用クレジットカードの申し込みがしやすくなるほか、融資申請、店舗や事務所の賃貸契約、キャッシュレス決済サービスやECサービスの審査などでも事業実態を証明しやすくなります。
また、青色申告承認申請書を期限内に提出すれば、最大65万円(2027年分からは最大75万円)の青色申告特別控除や赤字の繰越など、税制上のメリットを受けられる可能性があります。開業前後にかかった費用を整理し、確定申告の準備を進めやすくなる点もメリットです。補助金や各自治体の創業支援制度でも開業届の提出が求められることが多く、事業の選択肢を広げるためにも提出しておくと安心です。
デメリット:失業・健康保険に注意
開業届を提出するメリットがある一方で、デメリットがあることも知っておきたいところです。
失業保険を受けている人は、開業届を提出し事業を開始すると、原則として「失業状態」ではなくなるため、失業保険(基本手当)の受給資格を失います。まだ具体的な事業活動を開始していない準備段階などでは例外的に受給が認められるケースもあるため、詳細は必ず事前にハローワークへ相談しましょう。
また、家族の扶養に入っている人は、加入している健康保険組合の判断によって扶養から外れる場合があります。開業届の有無だけで判断される場合もあれば、「年収130万円未満」など収入要件を満たしていれば扶養継続を認める組合もあるため、加入している健康保険組合に確認しておくと安心です。
個人事業主が開業届を出すのに必要なもの

開業届の提出に必ず必要なものと、あると手続きがスムーズになるものに分けて整理します。
【必ず必要なもの】
- 個人事業の開業・廃業等届出書
- 本人確認書類
【あわせて用意しておくとよいもの】
- マイナンバー:開業届にはマイナンバーを記載する欄があります。e-Taxで提出する場合は利用者識別番号も確認しておきましょう。
- 事業内容がわかるメモ:誰に・何を・どのように提供する事業なのかを説明する一文を整理しておきましょう。
- 屋号(任意):屋号は必須ではありませんが、将来的に屋号付き口座を開設したい場合などは記載できるよう準備しましょう。
開業届を提出する流れ

開業届の提出から受理までのステップを見ていきましょう。
- 開業日を決める
- 提出書類を入手する
- 必要事項を記入する
- 所轄の税務署に提出する
- 提出したことを示す資料を保管する
1. 開業日を決める
開業日は「事業を始めた日」を指し、初めて売り上げが発生した日やサービスの提供を始めた日など、実態に合わせて決めます。許認可が必要な業種では、基本的に必要な許可を受ける前だと事業が開始できないため、許認可取得日より前の日付を開業日にすると受理されないことがある点に注意しましょう。
チラシの印刷費や備品の購入費などは、開業日前にかかった費用の場合、金額などの条件を満たせば「開業費」という科目で計上できます。開業費は原則60カ月(5年)で均等に償却できますが、「任意償却」とされており、支出した年に全額を経費計上することも、数年に分けて計上することも可能です。事業の利益状況を見ながら償却方法を検討することで、節税にも役立ちます。
2. 提出書類を入手する
開業届の届出書は正式名称を「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、税務署で入手できるほか、国税庁のウェブサイトからダウンロードもできます。書き方を説明したPDFファイルも公開されているので、記入前に目を通しておきましょう。
3. 必要事項を記入する
届出書に提出先や納税地、氏名や住所、屋号、事業内容などの項目を記入します。書き方に不明な点があれば、税務署に対面や電話で確認すると安心です。
「事業の概要」欄には、何をする事業なのかを具体的かつ簡潔に記載します。将来、事業内容が広がる可能性がある場合は、ある程度幅を持たせた表現にしておくとよいでしょう。屋号は任意項目のため、決まっていなければ空欄でも問題ありません。
4. 所轄の税務署に提出する
開業届の提出方法は、所轄の税務署への持参または郵送と、e-Taxの利用があります。持参・郵送の場合、必要なのは提出用の1通のみです。e-Taxでの提出方法については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
5. 提出したことを示す資料を保管する
e-Taxの場合は、メッセージボックスに届く受信通知が提出の証明として利用できます。また、受信通知から電子申請等証明書を請求することも可能です。請求は無料で、提出日から3年間請求できます4。
持参・郵送で手続きした場合、前述の通り、控えへの収受日付印の押なつは廃止されています。当分の間の対応として、郵送・持参の場合にはリーフレットに収受した日付や税務署名を記載したものが希望者に交付されますが3、念のため記入した開業届のコピーを手元に保存しておくと安心でしょう。
個人事業主が開業届を出さないとどうなるか?
開業届を出さなかったこと自体に対する直接的な罰金や罰則はありません。ただし、罰則がないからといって、提出しなくてもよいというわけではありません。
提出していない場合、次のような場面で不利になることがあります。
- 屋号付き銀行口座や事業用クレジットカードの申請
- 融資や補助金の申請
- 取引先から事業実態の確認を求められた場合
継続的に事業として収入を得る予定があるなら、開業後早めに提出しておくと安心です。
開業届が受理されない原因

開業届が受理されない場合、理由は次の4つが考えられます。
- 記入内容・提出書類に不備があった
- 納税地ではない税務署に提出していた
- 開業日の書き方に問題があった(業種による)
- 再提出時に記入内容に食い違いがあった
よくある原因は、記入漏れや本人確認書類の不足です。対面の手続きなら不受理の理由をその場で確認することができるため、記入漏れを不安に感じる人は税務署で手続きするのが安心です。
提出先を間違えて、開業届に記入した「納税地」の管轄外の税務署に出してしまうと、開業届は受理されません。開業届に記入する納税地と、提出先の税務署が合っているかを確認しましょう。ビジネスに不可欠な免許や許認可、登録などの取得日より前に開業日を設定している場合も、開業届が受理されないケースがあるようです。
また、何らかの手続きの不備で届出書を再提出する場合に、最初に提出した届出書の記入内容と異なっていると受理されないことがあります。手元にあるコピーを元に、食い違いがないかしっかり確認しながら再提出しましょう。
開業届を修正するには
提出済みの開業届の内容に変更があり、修正したいということもあるかもしれません。基本的に提出した内容の修正はできませんが、必要に応じて開業届を再提出することは可能です。
ただ、提出済みの屋号や事業概要、納税者の姓や納税地の変更は開業届に反映させることが必須ではなく、確定申告時に正しい最新情報を記載すればよいことになっています。一方、事務所の移転に伴い納税地が変わった場合は、その年分の確定申告期限までに「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に提出することが定められています5。
開業時に用意しておきたいツール
ここまでで、開業届の提出についてイメージをつかめたのではないでしょうか。個人事業を始めるにあたって、開業届と合わせて用意しておきたいツールがいくつかあります。
名刺
名前と連絡先が書かれた名刺は、自分自身と事業内容を相手に手軽に伝えられるため、どの業種で開業する場合でも用意しておきたいビジネスアイテムです。オンラインでのコミュニケーションが増えたとはいえ、印象的な名刺は相手の記憶にも残りやすくなり、将来的なビジネスにつながるかもしれません。
ウェブサイト
名刺と同様に、今はどの業種でもウェブサイトは名刺代わりになる必須アイテムといえます。SNSとは別に、事業主や事業内容、事業所の住所、単価などについて詳細に記載したウェブサイトがあると、信頼度が増すだけでなく、事業の詳細をまとまって確認してもらえるメリットがあります。
キャッシュレス決済端末
キャッシュレス化が進む中、クレジットカードやQRコード決済などに対応できるキャッシュレス決済端末は、お客さまに商品やサービスを提供し、対面で対価を受け取る小売業や飲食業などには不可欠なツールです。
ひと昔前までは費用面や手続き面での負担が大きかったですが、近年ではSquareをはじめ、さまざまなキャッシュレス決済サービスが登場し、キャッシュレス決済の導入のハードルが格段に下がりました。

実店舗を持つ人だけでなく、普段はオンラインなど対面決済が不要な事業を営む人でも、イベントへの出店などに向けてキャッシュレス端末の導入を検討してみるとよいでしょう。最近は、手のひらサイズで持ち運べるカードリーダーなど、コンパクトで手頃な価格の決済端末もあります。
Squareなら今すぐキャッシュレス決済導入できる
Squareはアパレル店やカフェからサービス業まで、あらゆる業種に対応するキャッシュレス決済サービスです。クレジットカード決済、電子マネー決済、QRコード決済が簡単に始められます。アカウント作成は無料、月額利用料も0円。売上は最短即時入金、スマホを使ったタッチ決済なら端末購入も不要と、キャッシュレス化をはやさでサポートします。
予約サイト
ネイルサロンやヘアサロン、パーソナルトレーナーなど、サービス系の事業を始める人は予約サイトを用意しておくと、開業後スムーズにお客さまからの予約を受け付けられます。
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まとめ
本記事では、開業届の提出先や、開業届を出すメリットとデメリット、提出時のステップや注意点について説明し、開業と合わせて用意しておきたいビジネスツールを紹介しました。開業届の提出自体はシンプルなものですが、開業にあたって用意しておきたいツールの準備も忘れずに。いざ事業が始まるとなかなか時間がとれないことも多いため、開業前に準備しておくのがおすすめです。
よくある質問

開業届についてよくある質問をまとめました。
開業届はどこに出すべきですか?
開業届は、原則として納税地を所轄する税務署に提出します。多くの場合、納税地は自宅住所です。開業した年分の所得税の確定申告期限までに提出します。青色申告をしたい場合は、青色申告承認申請書の提出期限もあわせて確認しましょう。
開業届を出さないとどうなりますか?
開業届を提出しなかったこと自体に対する直接的な罰金や罰則はありませんが、未提出だと屋号付き口座の開設や、融資や補助金の申請、事業の証明がしづらいなどのデメリットがあります。継続的に事業として収入を得る予定の場合は、提出しておくのが一般的です。
開業届に必要なものは何ですか?
基本的には、個人事業の開業・廃業等届出書と本人確認書類が必要です。e-Taxで提出する場合は、マイナンバーカードや利用者識別番号など、オンライン手続きに必要な準備も確認しておきましょう。
開業届の控えはもらえますか?
2025年1月以降、申告書等の控えへの収受日付印の押なつは廃止されています。e-Taxで提出した場合は、受信通知などを提出の証明として利用できます。持参や郵送の場合は、提出前にコピーを保管しておくと安心です。
開業届の控えをなくした・提出済みの内容を確認したいときは?
控えをなくした場合や、2025年1月以降に税務署への持参・郵送で提出した場合は、以下の方法で提出済みの内容や事業の状況を確認・証明できます6。
- e-Taxで確認する:メッセージボックスで申告内容などを無料で確認できます。
- 税務署の窓口で閲覧する:提出済みの開業届を閲覧し、写真を撮ることができます(コピーは不可)7。
- 納税証明書を取得する:税目ごと1年度1枚につき、オンラインなら370円、窓口なら400円の手数料がかかります(提出年月日は確認できません)。
- 保有個人情報の開示請求をする:個人情報の開示請求手続きをすることで、提出した書類の写しを発行できます。1カ月程度かかり、オンラインなら200円、窓口なら300円の手数料が発生します。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2023年2月21日時点の情報を参照しています。2026年9月8日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。

