東京で利用できる創業支援、インキュベーション施設をまとめて紹介!

自分の事業を始めようとしている人の中には、わくわくしながらも、同時に迷いや不安を感じているという人もいるのではないでしょうか。そのようなときに頼りになるのが創業支援プログラムやインキュベーション施設です。

本記事では、東京で創業したいと考えている個人事業主、スモールビジネスを対象に、創業支援とインキュベーション施設とは何かから始め、東京都や区が行っている創業支援、都内にあるインキュベーション施設、創業にあたってぜひ導入したいおすすめのツールを紹介します。

目次


創業支援とは

創業支援とは、起業を志す個人や新しく事業を始める企業に対して、事業の成功に向けて必要な資金や人脈、情報、アドバイスなどを提供することです。

創業期は資金も人手も不足しがちで、資金調達の機会、ビジネス計画の作成支援、マーケティング戦略の開発、法的なアドバイス、税務に関する助言、技術開発のサポートを受けられれば、スムーズかつスピード感を持って事業を軌道に乗せられる確率が高まります。

創業支援プログラムにもよりますが、一般的には以下のような支援を提供しています。

資金調達

資金は新しい事業を立ち上げる上で最も重要な要素の一つです。創業支援プログラムの中には初期資金を提供するものもあります。また、見込みのある事業や起業家を、公的機関や民間の投資家、ベンチャーキャピタルとマッチングし、投資や資金援助、融資につなげることもあります。

教育と研修

ビジネスモデルの作成・ブラッシュアップ、ビジネススキルのトレーニングや、経営に関するワークショップ、セミナーを提供し、創業と経営に必要となる知識や技術を身につけるサポートをします。

コンサルティングサービス

税務や法務、業界ごとの専門家が、個々の事業計画や事業活動に対して、具体的なアドバイスを提供します。

ネットワーキング

創業支援プログラムでは、個別にプログラムに参加する起業家を関連する業界の専門家や投資家に紹介するだけでなく、他の起業家や投資家、業界の専門家との関係を築くための交流会やイベントが開催されます。

物理的なインフラ

オフィススペース、製造施設、会議室など、創業にあたって必要となる物理的なインフラを無料や割引価格で提供します。

インキュベーション施設とは

インキュベーション施設は、新たに創業する企業やスタートアップに対し、事業の成功に必要な支援を提供するために設計された施設です。創業支援と似ていますが、創業支援が事業を開始するためのサポートであるのに対し、施設という場所に重きを置いているのがインキュベーション施設です。

インキュベーション施設は、起業家精神を刺激し、イノベーションを促進することを目的としており、通常、オフィススペースや、コワーキングスペースと呼ばれる共用の作業スペース、会議室、実験や製造のための設備など、事業運営に必要な物理的なインフラを提供します。

インキュベーション施設の主な役割は、起業家が事業計画を実行し、成長させる過程で遭遇するさまざまな課題に対応するためのリソースを提供することです。創業支援プログラムと同様に、ビジネスプランの策定、マーケティング戦略の開発、財務管理、法的な相談といったビジネスのサポート、ネットワーキング、起業家教育を受けられる施設も少なくありません。

インキュベーション施設は、物理的な空間やサービスを提供するのに加えて、起業家精神を育成し、ビジネスコミュニティを形成する場としても機能します。インキュベーション施設で志を同じくする起業家と机を並べて事業を始めることで、起業初期に直面する多くの課題を乗り越えられる可能性が高くなるでしょう。

都内で利用できる創業支援

TOKYO創業ステーション

TOKYO創業ステーションは、2017年に東京都が中小企業やスタートアップの創業・成長を支援する一環として設立した創業支援のための拠点で、東京都中小企業振興公社が運営にあたっています。丸の内と、多摩地区の立川市に拠点があります。学生や起業に興味があるという人から、具体的に起業の準備を始めたいという人まで幅広く創業のためのサービスを提供しています。

事業アイデアのブラッシュアップから、ビジネスプランの策定、資金調達、事業拡大に至るまで、起業家の成長段階に応じたサービスを受けられます。起業に必要な情報を提供するイベントやセミナーも頻繁に開催されています。また、起業家仲間と交流のできるラウンジではWi-Fiや書籍を利用できるほか、一時保育サービスも提供されています。

メンバー登録は無料です。公的な機関によるサービスなので、将来的に起業してみたい、まだアイディア段階という人も安心して利用できるのではないでしょうか。

東京シニアビジネスグランプリ

東京シニアビジネスグランプリは、2019年に初めて募集が始まり、東京都中小企業振興公社が主催しているビジネスコンテストです。コンテスト名にもあるように、東京での創業を検討している55歳以上のシニアを対象としています。

シニア層に焦点を当てたビジネスコンテストは、高齢化が進む日本社会において、新たな市場の機会を探ると同時に、シニアの経験や能力を生かした起業を支援するためにも重要です。

最優秀賞には賞金50万円、優秀賞には賞金25万円、奨励賞には賞金15万円が授与され、ファイナリスト10名には、条件を満たせば起業支援資金100万円が交付されます。

前回の第3回には68名からの応募があったとのこと。55歳以上と対象がかなり限られていることから、応募数はそこまで多くはありません。単純に計算して15%ほどがファイナリストになれる確率があります。条件を満たしている人は応募してみない手はないでしょう。

商店街開業プログラム

商店街開業プログラムは、東京都内にある商店街で小売店、飲食店、サービス業を始めたいと考えている起業家を対象とした創業支援プログラムで、東京都と東京都中小企業振興公社が運営にあたっています。

定員は15名で、プログラムに参加するには面接審査があります。採択されると講義や専門家によるフォローアップを受けられます。講義の7割以上に出席すると、同社が募集する「創業助成事業」、「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」、「商店街起業・承継支援事業」の申請要件を一つ満たせ、助成金申請に一歩近づけます。

現在は募集がありませんが、シニアビジネスグランプリ同様、ニッチな創業支援プログラムなので、採択のハードルは高くないと考えられます。商店街で開業したいという人は定期的にプログラムのウェブサイトをチェックしてみるとよいでしょう。

渋谷区のスタートアップサポート

渋谷区は、社会課題の解決策をスタートアップや研究機関から募集する「官民連携オープンイノベーション企画」、スタートアップのための環境整備、グローバル化推進事業に取り組んでいます。ここまでに挙げた創業支援と比べて、ややハードルが高くなるかもしれませんが、真剣に創業を考えている人は渋谷区と企業のコンソーシアムShibuya Startup Deckなどへの参加を検討してみるとよいでしょう。

参考:スタートアップ支援事業(渋谷区)

自分に合った創業支援プログラムを探そう

ここまで東京都の代表的な創業支援プログラムを紹介しました。学生や起業に興味を持っている人から、具体的に起業のイメージを持っている人まで幅広い人を対象としたプログラムがあります。

現在自分が住んでいる地域や働いている地域のプログラム、女性や若者、業種を限定したプログラムもあることでしょう。東京シニアビジネスグランプリのように、ビジネスプランコンテストと創業支援が一体化したプログラムもあります。創業支援から視点を広げて、コンテストまで幅広く情報収集してみるのも一つの手です。

また、お近くの商工会議所に、どのような創業支援プログラムがあるのか問い合わせてみてもよいでしょう。

都内で使えるインキュベーション施設やコワーキング施設

東京コンテンツインキュベーションセンター

東京コンテンツインキュベーションセンターは、東京都直営のインキュベーション施設です。アニメや映画、ゲームといったコンテンツ分野の起業家やスタートアップが入居しています。入居審査に通ると、中野区のインキュベーション施設に格安で個室を持てます。入居者は、オフィススペースのほか、会議室やフリースペース、機材を借りることができ、専門家によるサポートも受けられます。また、コンテンツ関連領域のアクセラレーションプログラムTCIC Pitch Campusも開催されています。

当該分野での起業を考えているという人は、まずはメールマガジンに登録したり、イベントに参加したりしてみるとよいでしょう。

オープンイノベーションフィールド

オープンイノベーションフィールドは、オープンイノベーションの普及を目指す施設で、東京都と東京都中小企業振興公社が2023年に国分寺と八王子に開設しました。

国分寺館は、ものづくりに力を入れているようで、コワーキングスペースや会議室に加え、3Dプリンターを使えるプロトタイプラボやものづくり相談室もあります。八王子館では、コワーキングスペースや会議室を利用できます。

オープンイノベーションに関する事業者はいずれの施設も利用可能です。

東京起業推進センター Cross Point

東京都起業推進センターCross Pointは、2020年にオープンした東京都認定のインキュベーション施設で、東京理科大学インベストメントマネジメントが運営にあたっています。飯田橋と市ヶ谷の2カ所にオフィスがあります。Cross Pointは、物理的なオフィススペースのほか、バーチャルオフィスとしても利用でき、法人登記や起業相談もできます。

墨田区のSUMIDA INNOVATION CORE

SUMIDA INNOVATION COREは、ものづくりで知られる墨田区による産業共創施設です。さまざまなステージの起業家やスタートアップを支援していますが、特に創業期のスタートアップと墨田区内の学生起業家の支援に力を入れていて、アクセラレーションプログラムも開催されています。強みのある分野としてハードウェアが挙げられています。

錦糸町駅近くの「ヒューリック錦糸町コラボツリー」内にコワーキングスペース、会議室、作業スペース、展示スペースがあります。

荒川区のイデタチ東京

イデタチ東京は、日暮里繊維街のある荒川区によるファッション分野での起業家やクリエイターを支援するインキュベーション施設です。

個室オフィスまたはシェアオフィスを借りられるほか、ファッションや流通のプロによるアドバイスも受けられます。契約期間は最長3年までですが、契約終了後に区内に事務所や店舗を持つと、荒川区から賃料の支援を受けられます。

台東区の台東デザイナーズビレッジ

台東デザイナーズビレッジは、若手デザイナーやクリエイターの育成、台東区での起業支援を目指すファッション分野のインキュベーション施設です。これまでに100組を超えるクリエイターが入居し、業界で活躍しているそうです。個室のアトリエの他に、共有の制作室やショールーム、会議室、ギャラリーなどがあります。入居期間は最長3年間です。

自分に合ったインキュベーション施設・コワーキングスペースを探そう

広くさまざまな分野の起業家に門戸を開いているインキュベーション施設がある一方で、墨田区のSUMIDA INNOVATION COREや荒川区のイデタチ東京、台東区の台東デザイナーズビレッジのように、地域の産業に特化した施設もあります。インキュベーション施設やコワーキング施設の魅力は、インフラだけでなく、同じ施設の他の利用者との出会いや、業界をよく知るメンターとの出会いにもあります。どのような施設で事業を成長したいのか、施設に期待することを明らかにして、最適な場所を見つけましょう。

創業におすすめのツール

事業をスムーズに継続していくためのツールも欠かせません。創業期には資金面で不安を持つ人も少なくありませんが、費用を抑えて導入でき、格段に業務効率を上げられるサービスもあります。ここでは「クラウド請求書」「POSレジ」「キャッシュレス決済」の三つを紹介します。

クラウド請求書

クラウド請求書は、インターネットを介して請求書を作成、送付、管理できるサービスです。従来の紙の請求書や、個々にデジタルファイルとして作られた請求書と比べ、クラウド上でデータを一元管理し、どこにいてもアクセスできるため、作業効率が大幅に向上します。セキュリティー面でも個人で管理するよりも安心です。請求書の発行から支払い追跡までのプロセスを自動化できるサービスもあります。経費削減やミスの減少にもつながり、事業をスムーズに営めるようになるでしょう。ぜひ、クレジットカード決済機能付きのSquare 請求書の利用を検討してみてください。何枚請求書を作成・発行しても料金がかからず、顧客がクレジットカードで請求額を支払った際にのみ決済手数料がかかります。

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POSレジ

小売や飲食業など、直接お客様から代金を受け取る事業を起業しようとしている人は、POSレジの導入もお忘れなく。POSレジとは「Point Of Sale」の略で、販売情報を管理するシステムです。売り上げ情報を即記録できるため、販売データを正確に把握できます。在庫管理売上分析顧客情報の管理システムなどと連携させることで、さまざまな業務を一元化し、業務を効率化できます。最近では、タブレットを使用したコンパクトなクラウド型POSレジも普及し、広く利用されています。Square POSレジであれば、前出のSquare 請求書と連動して活用することもできます。

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キャッシュレス決済

お客さまが代金を支払うときに、さまざまな選択肢があると便利です。近年利用が広がっているキャッシュレス決済は、扱う現金の量を減らせる、衛生的であるなど事業者側にもメリットがあります。Squareのキャッシュレス決済は、専用の端末を購入する必要はありますが、月額の固定費はかからず、費用は決済手数料のみです。いつ代金を受け取る機会が発生するかわかりません。起業を決めたらSquareの無料アカウントを作っておきましょう。

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本記事では東京で利用できる創業支援プログラムとインキュベーション施設、創業にあたって導入したいツールを紹介しました。起業というと一人で始める孤独な戦いをイメージする人もいるかもしれません。確かにそのような一面もありますが、創業支援プログラムやインキュベーション施設を利用することで、同じ志を持った仲間と出会い、必要なサポートを受けながら、スムーズにスピード感を持って事業を軌道に乗せられることでしょう。

起業を検討しているという人は、ぜひ、本記事をきっかけに、地域の創業支援プログラムやインキュベーション施設を探して利用を検討してみてください。


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執筆は2024年1月29日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash