【2025年】新規事業の立ち上げ・創業に​使える補助金・助成金5選

※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計等に関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。

新しく事業を始めようと考えている人の中には、開業資金や運転資金の不足がネックとなり、一歩を踏み出せずにいる人もいるのではないでしょうか。そこで検討したいのが、返済不要で利用できる補助金・助成金です。補助金・助成金は、設備投資や広告宣伝費、人件費など幅広い経費をカバーできるほか、受給実績があれば金融機関からの信頼度向上にもつながります。

本記事では、補助金・助成金の基本とメリットをはじめ、新規事業や創業に役立つ制度や創業後の事業者に活用できる制度を具体的に紹介します。合わせて申請の流れや注意点、資金調達の代替策を分かりやすく解説します。

📝この記事のポイント

  • 新規事業の立ち上げでは、自己資金や融資だけでなく返済不要の補助金・助成金を活用することが資金繰りの安定につながる
  • 東京都では創業期に利用できる支援制度(創業助成事業、商店街起業・承継支援事業など)が充実しており、条件を満たせば幅広い経費が対象となる
  • 創業後も「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」「キャリアアップ助成金」など成長段階に応じた制度が利用できる
  • 補助金の申請から交付までは時間がかかるため、Square 資金調達を併用すると補助金を待たずに最短数日で必要な資金が確保できる
目次


新規事業補助金・助成金とは返済不要の支援制度

新規事業補助金・助成金とは、新規事業の立ち上げや創業を後押しするために、国や自治体が提供しているのが補助金・助成金です。補助金や助成金は、銀行融資などと異なり返済義務がないことが最大の特徴です。

申請には各制度で定められた要件を満たす必要があり、必要書類を整えて提出、審査を通過して初めて受給が決定します。さらに補助率も定められており、たとえば必要経費300万円に対し補助率が2/3なら、実際に受け取れるのは200万円です。

補助金や助成金は採択されるまでにさまざまな準備が必要ですが、採択されても即時に資金が入るわけではありません。多くの制度は精算情報をもとにした後払い方式のため、まずは自己資金で経費を支払い、実績報告や検査を経て交付されます。

このように、補助金・助成金は事業を力強く支える制度でありながら、先に自己資金を用意する必要がある点には注意が必要です。

補助金・助成金の認知度と利用状況

近年、中小企業における補助金・助成金の認知と活用には大きな差があることが調査から明らかになっています。

2025年に株式会社Higurashi&Companyが行った調査によると、従業員数100名以下の中小企業において約75%の経営者が「2025年に創設される補助金を知らない」と回答しました。せっかく支援制度が整備されても、知られていなければ活用されずに終わってしまいます。これでは中小企業にとって貴重な支援機会を逃すことになり、経営上も大きな課題となり得ます。

一方で、比較的知られている制度としては「IT導入補助金」(約40%)や「小規模事業者持続化補助金」(約35%)が挙げられます。しかし、実際に補助金の活用を検討している企業は38%程度にとどまっています。制度の存在は知っていても、自社の業務や成長戦略とうまく結び付けられていないと感じている経営者も少なくありません。

つまり、補助金・助成金は名称としては広く知られているにもかかわらず、活用できていない企業が依然として多いことが分かります。情報収集と早めの準備こそが、制度を有効に使いこなすための鍵といえるでしょう。

補助金と助成金の違いとは

物件探しや​名前・ロゴ決め、​商品選びなど、​新規事業の​構想を​練るのは​心が​踊る​ものですが、​開業費用の​調達方法に​目を​向けた​途端、​頭を​抱えてしまう​人も​少なくないでしょうか。​

新規事業を立ち上げる際には、資金調達が大きなハードルとなります。その中で補助金と助成金は、ともに返済不要である点が魅力的ですが、性質や申請条件には明確な違いがあります。混同しがちな両者の共通点と相違点を整理しておきましょう。

【共通点】

  • 返済不要:いずれも返済義務がなく、資金繰りの負担を軽減できる
  • 事業目的に沿った使途が必要:自由に使えるわけではなく、各制度で定められた目的・経費に限定される
  • 報告義務の可能性:交付後、一定期間は事業報告や実績報告を求められることがある

【相違点】

  補助金 助成金
担当省庁 主に経済産業省、自治体 主に厚生労働省、自治体
交付条件 各補助金の要件を満たし、審査を通過すること 各助成金の要件を満たすこと
応募期間 ・国の予算によって内容が決まるため、年度ごとに異なる
・1カ月から3カ月ほどの短期間で締め切られるものが多い
・締め切り時期は明示されていないことがある
・予算がなくなり次第締め切られる
審査の流れ 書類審査に合わせて、面談を設けるものもある 原則、書類の不備や要件を満たしているかの確認のみ
交付時期 ・審査に合格後、交付決定通知を受け、事業実施・実績報告を経て精算払い
・申請から入金まで半年〜1年以上かかることが多い
・要件確認を終えたあと支給決定
・後払い方式だが、申請から2〜6カ月程度で入金されることが多い
支給額 ・数十万〜数千万円規模と幅広い
・審査競争があり採択が不確実
・数万〜数百万円規模が中心
・要件を満たせば支給されやすい

補助金は国の産業政策や地域振興を後押しするための競争的資金のため、採択のハードルは高いものの、支給額が大きいのが特徴です。一方、助成金は労働環境の改善や雇用促進といった社会的課題解決を目的としており、法律や制度に基づいて設計されているため、条件を満たせば原則支給されやすい仕組みになっています。

つまり、補助金はチャレンジ性が高くリターンも大きい制度であり、助成金は比較的受けやすく、安定的に利用できる制度という傾向があります。

補助金・助成金の対象者

新規事業に関わる補助金の場合、対象となるのは新たに創業する個人事業主や中小企業、あるいは創業後間もない事業者です。多くの制度では、創業直後だけでなく、販路開拓・設備投資・IT導入・人材育成といった事業拡大フェーズを対象としたものも用意されているため、何らかのかたちで利用できそうな制度が見つかる可能性が比較的高いです。

しかし、実際に申請する際は、まず申請資格を満たしているかの確認が重要です。「創業後5年未満」「特定の地域で事業を開始する予定」など、補助金や助成金ごとに細かな条件が設けられているため、各々の要件を満たす必要があります。

また、業種や従業員数、資本金の規模によって応募できる対象になっているかが変化するため、事業の状況を踏まえて最適な制度を選ぶことが重要です。中小企業事業主の範囲を業態や資本金の額・出資の総額、常時雇用する労働者の数などで明確に定義していることもあります。

なお、大企業やその子会社、風営法関連業種、税金や社会保険料を滞納している事業者などは申請の対象外になることが一般的です。

jp-blog-financialaid-1

補助金・助成金を使用するメリット

補助金や助成金は、ただ資金を受け取れるだけの制度ではありません。創業期に直面する資金繰りの課題を和らげ、事業リスクを抑え、さらに信用力を高めるといった複数のメリットがあります。ここでは、補助金・助成金制度を実際に活用するべきメリットについて詳しく見ていきましょう。

自己資金の負担を減らせる

新規事業の立ち上げでは、物件取得費・内装工事費・機械設備・広告宣伝費・人件費など、数百万円単位のまとまった費用が必要になります。すべてを自己資金や借入でまかなうのは大きな負担となり、資金繰りを圧迫する原因になりがちです。

補助金や助成金を活用すれば、これらの経費の一部を公的にサポートしてもらえるため、自己負担を大きく抑えることができます。たとえば300万円の事業費に対して補助率2/3の制度を利用すれば、200万円が補助金でまかなえるため、自己資金は100万円用意するだけで済みます。

残りの資金を他の用途に回せることで、販路拡大や人材採用など、成長につながる投資を同時に進めることも可能です。

失敗リスクを軽減できる

新規事業には、需要予測の誤りや競合の動向、人材不足など、さまざまなリスクがつきものです。計画通りに収益が上がらなかった場合でも、補助金や助成金で一部がカバーされれば、自己資金や借入金の損失を最小限にとどめられます。これは、経営におけるリスク分散の観点からも非常に有効です。

さらに補助金には返済義務がないため、万が一事業が失敗に終わったとしても負債として残ることはありません。そのため、新規事業に挑戦したいが、資金リスクが怖いという経営者の心理的なハードルを下げることにつながり、新しい事業の可能性が広がります。

信用力アップにつながり、融資が受けやすくなる

補助金や助成金は、国や自治体などの公的機関による審査を経て採択されます。そのため、受給実績があるということ自体が事業計画の実現性や健全性の証明となりえます。

この実績は、銀行をはじめとする金融機関からの融資審査においてプラスに働きます。新規事業の場合、担保や実績が乏しいことから融資を受けにくい傾向がありますが、補助金の採択を受けていれば事業の信頼性を補強する材料にできます。

さらに、補助金で整備した設備やITツールを活用して業務改善が進めば、経営の透明性や効率性も高まり、取引先や投資家からの信頼獲得にもつながります。

jp-blog-financialaid-2

新規事業の立ち上げ・創業に利用できる補助金・助成金5選

創業期には、物件取得や内装工事、広告宣伝、人材確保など多方面で資金が必要になります。こうした出費をすべて自己資金や融資でまかなうのは負担が大きいため、返済不要の補助金・助成金を活用することが事業成功への近道となります。

ここでは、これから新規事業を始めたい方に特に役立つ制度を五つ厳選し、それぞれの対象者・支援内容・注意点を解説します。自分のビジネスに合った制度を見つける参考にしてください。

(1)小規模事業者持続化補助金の創業枠

小規模事業者持続化補助金は、基本的には​すでに​事業を​行っている​事業者を​支援する​もので、販路開拓や経営改善を支援する制度です。しかし、これから事業を始める人向けに「創業枠」が設けられています。広告宣伝費やホームページ制作費、チラシ作成費など、開業初期の集客に必要な幅広い経費に使えるのが特徴です。

​この​創業枠に​応募するには、​市区町村が​実施する​「特別創業支援等事業」の​支援を​受けて​創業する​ことが​条件です。​創業資金に余裕がない場合でも、こうした補助制度を活用することで事業の立ち上げをスムーズに進められます。個人でも法人でも対象になりますが、この補助金の小規模事業者に当てはまるかどうかが業種により異なるため注意が必要です。

対象者 創業後3年以内の小規模事業者(商業・サービス業は常勤従業員5名以下など)
限度額 200万円(インボイス特例は+50万円)
補助率 2/3
対象経費 機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会出展費(オンラインによる展示会・商談会を含む)、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費
募集時期 第1回:5月〜6月、第2回:11月

(2)幅広い用途に利用できる創業助成事業(東京都)

東京都と中小企業振興公社が実施する創業助成事業は、​都内で​起業予定​もしくは​起業間もない​個人や​中小企業が​対象で、​創業直後にかかる幅広い経費を支援してくれる制度です。

賃料や広告費、人件費など多岐にわたる支出を対象としているため、初期費用を総合的にカバーできる点が特徴です。都内での創業を計画し、資金面の負担を理由に一歩踏み出せないでいる人に特におすすめの制度です。

ただし、申請には​要件を​満たしているだけでなく、​東京都中​小企業振興公社などが​実施する​​創業支援事業の​いずれかを​利用しなくてはなりません。​採択には事前に創業支援事業の修了が必要となるため、数カ月単位の準備が必要になる場合があります。

対象者 都内で創業予定、または創業から5年未満の中小企業者など
限度額 400万円
補助率 2/3
対象経費 賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費、従業員人件費、委託費(市場調査・分析費)など
募集時期 第1回:4月、第2回:9月下旬〜10月初旬

(3)工事費やテナント料が助成される商店街起業・承継支援事業(東京都)

商店街起業・承継支援事業は、都内の商店街での新規開業や事業承継、多角化を後押しするもので、工事費や設備購入費、テナント料が対象となる点が大きな魅力です。商店街の活性化を目的としており、単なる資金補助にとどまらず、地域の経済活動に貢献できる制度でもあります。

特に、家業を継ぎながら新たな業態に挑戦したい人や、空き店舗を活用して新しく出店したい人に適しています。申請にあたっては現地調査が行われることもあるため、スケジュール管理をしっかり行うことが重要です。​後述する​「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」と​併願申請が​可能で、年齢や​性別に​関係なく​申請ができます。

対象者 個人または中小企業者
限度額 事業所整備費:250万円
店舗賃借料:1年目は15万/月、2年目は12万/月、3年目は10万/月
補助率 2/3
対象経費 事業所整備費(店舗新装・改装工事費、設備・備品購入費、宣伝・広告費)、店舗賃借料
募集時期 第1回:4月、第2回:6月下旬〜7月中旬、第3回:9月中旬〜10月初旬

(4)店舗の新装や設備費用を支援する若手・女性リーダー応援プログラム助成事業(東京都)

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業は、女性起業家、または年度末時点で39歳以下の男性を対象にした特化型の支援制度です。

都内に​限らず​実店舗を​持っていない​ことが​条件で、工事費や設備導入費に加えて賃料も一定期間補助されます。そのため、都内商店街で実店舗を持ちたい人にとって強力な支援で、年齢や性別の条件が自分に該当すれば利用価値は高いといえます。

なお「商店街起業・承継支援事業」との​併願申請が​できるほか、幅広い事業分野で活用できる点も魅力です。商店街という立地要件を満たすことが前提となるため、出店予定地の確認と合わせて、要件を早めに確かめておきましょう。

対象者 女性もしくは年度末時点で39歳以下の男性
限度額 事業所整備費:400万円
店舗賃借料:1年目は15万/月、2年目は12万/月、3年目は10万/月
補助率 3/4
対象経費 事業所整備費(店舗新装・改装工事費、設備・備品購入費、宣伝・広告費)、店舗賃借料
募集時期 第1回:4月、第2回:6月下旬〜7月中旬、第3回:9月中旬〜10月初旬

(5)研究開発費を支援する新製品・新技術開発助成事業(東京都)

新製品・新技術開発助成事業は、製造業やIT分野など、研究開発に取り組む事業者を対象とした制度です。試作品の開発や技術検証といった、通常の創業補助金では対象外になることが多い経費まで支援されるため、研究開発型のスタートアップにとっては大きな後押しになります。

高額な助成上限が設定されているものの、審査は厳格であり、事業の新規性や優秀性、実現可能性などの効果を示す計画が求められます。長期的な研究資金を確保したい企業に適している制度ですが、申請準備には一定の準備期間と専門性が必要です。

対象者 都内で事業活動を行う法人または個人事業主、創業予定者など
限度額 2,500万円
補助率 通常1/2以内、賃上げ計画を実施した中小企業は3/4、小規模企業者は4/5
対象経費 原材料費、機械装置・工具器具費、委託・外注費、産業財産権費出願・導入費、専門家指導費、直接人件費
募集時期 5月〜6月

創業済みの事業者が利用できる補助金・助成金3選

創業からしばらく経過すると、次は販路拡大や業務効率化、人材育成といった新たな課題に直面します。こうした成長ステージにある事業者にも、補助金や助成金は強い味方です。設備導入やデジタル化への投資、人材の処遇改善などに使える制度を活用することで、持続的な経営基盤を築くことができます。

ここでは、創業後の事業者が利用しやすい代表的な補助金・助成金を三つ紹介します。

(1)幅広い経費に活用できる小規模事業者持続化補助金

創業済みの事業者にとって最も身近で利用しやすいのが小規模事業者持続化補助金です。これは、中小企業庁が所管し、商工会・商工会議所が窓口となる補助金で、複数の募集枠があります。

  • 一般型通常枠:小規模事業者の販路開拓や業務効率化など幅広い取組を支援
  • インボイス特例:免税事業者からインボイス発行事業者へ転換した小規模事業者を支援
  • 賃金引上げ特例:地域別最低賃金より50円以上引き上げた小規模事業者を支援
  • 創業型:市区町村の特定創業支援を受け、開業3年以内の創業事業者を支援
  • 一般型災害支援枠:地震や豪雨などで直接・間接の被害を受けた小規模事業者を支援
  • 共同・協業型:地域振興機関と10以上の小規模事業者が連携して取り組む販路開拓を支援
  • ビジネスコミュニティ型:商工会・商工会議所の青年部・女性部などによる地域活性化事業を支援

販路開拓や新商品の開発、広告宣伝など幅広い経費に活用でき、特に営業基盤を強化したい小規模事業者に向いています。申請には商工会議所や商工会の支援を受けながら経営計画を作成する必要があります。応募者が多く競争率が高い制度であるため、計画の具体性や独自性を示すことが大切です。

対象者 小規模事業者など
限度額 ・通常枠:50万円(・インボイス特例:+50万円・賃上げ特例:+150万円・両特例併用:+200万円)
・創業型:200万円(+インボイス特例可)
・災害支援枠:200万円
・共同・協業型:5,000万円
・ビジネスコミュニティ型:50万円(共同実施は100万円)
補助率 2/3(賃上げ特例のうち赤字事業者は3/4)
対象経費 機械装置費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会出展費、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費など
募集時期 募集枠によって異なる

(2)「IT導入支援事業者」と協力して申請するIT導入補助金

IT導入補助金は、業務効率化やデジタル化を目的にITツールを導入する中小企業を支援するものです。この助成金は、必ずIT導入支援事業者と連携して申請しなければならず、事業計画に沿った適切なツール選びが求められます。インボイス制度対応やキャッシュレス決済導入など、制度改正や社会的ニーズに合わせた投資に活用しやすい制度です。

IT導入支援事業者とは、公的に認定されたサポート事業者です。企業のITツール選定や、導入・申請をサポートするパートナーという位置づけで、ITベンダーや販売会社、コンサルティング会社などが経済産業省に登録されています。IT導入支援事業者は、単なるツール提供にとどまらず、申請書の作成支援、事業計画の策定アドバイス、導入後の効果報告まで一貫して伴走する役割を担います。

なお、IT導入補助金は、認定を受けている事業者から導入した製品・サービスだけが補助対象として扱われる点に注意が必要です。

対象者 中小企業・小規模事業者など
限度額 ・通常枠:1プロセス以上 5万円〜150万円、4プロセス以上 150万円〜450万円
・インボイス枠(インボイス対応類型):〜350万円
・インボイス枠(電子取引類型):〜350万円
・セキュリティ対策推進枠:5万円〜150万円
・複数社連携IT導入枠:〜3,000万円
補助率 1/2、1/3など
※条件による
対象経費 会計・受発注・ECなどの業務用ソフト、セキュリティーサービス、ハードウェア(指定範囲)、クラウド利用料など
募集時期 第1次:5月、第2次:6月、第3次:7月、第4次:8月、第5次:9月、第6次:10月、第7次:12月

(3)非正規社員の待遇向上に利用できるキャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、非正規雇用の処遇改善を目的としていて、パートや契約社員を正社員に登用したり、基本給の引き上げや制度改善を行ったりした事業者に支給されます。

人材不足が続く中で、従業員の定着率を高める施策と組み合わせてキャリアアップ助成金を利用すれば、長期的な経営基盤強化に役立ちます。ただし、単なる申請だけではなく、就業規則の改定や労働条件の整備といった実務的な取り組みが必要になる点に注意が必要です。

対象者 有期・短時間・派遣などの非正規雇用労働者に対し、正社員化・処遇改善などの取り組みを行う事業主
限度額 ・正社員化支援:正社員化コース 80万円、障害者正社員化コース 120万円
・処遇改善支援:賃金規定等改定コース 7万円/人、賃金規定等共通化コース 60万円、賞与・退職金制度導入コース 40万円、社会保険適用時処遇改善コース 50万円
※2026年3月31日まで、短時間労働者労働時間延長支援コース 50万円
補助率
募集時期 随時

申請から交付までの流れと注意点

補助金・助成金は、制度を知って申請するだけで簡単に受け取れるものではありません。多くの制度は申請から審査、採択、事業実施、報告、検査を経て交付されるため、想定以上に時間と手間がかかります。

補助金を創業資金の一部として活用したい場合は、事業スケジュールに合わせて余裕を持った計画を立てることが重要です。ここでは、申請から交付までの流れと、実際に申請する際に気をつけるべきポイントを解説します。

一般的な申請から交付までの流れ

補助金や助成金の申請から交付までのプロセスは、制度ごとに細部が異なりますが、基本的な流れはおおむね共通しています。

一般的に、補助金や助成金を申請から入金までには数カ月〜1年以上かかることが珍しくないため、スケジュール管理が極めて重要です。特に複数の制度を比較検討している場合は、募集期間や必要書類の締切日が重なりやすいため、カレンダーや管理表を活用して計画的に進めることが不可欠です。ここでは大まかな流れについて見ていきましょう。

  1. 公募要項の確認・制度選定
  2. 申請書類の準備・提出
  3. 審査・採択(補助金)/要件確認(助成金)
  4. 交付決定通知の受領
  5. 事業の実施
  6. 中間報告・実績報告
  7. 検査・補助額確定
  8. 補助金・助成金の請求・入金

1. 公募要項の確認・制度選定

補助金・助成金ごとに対象者・対象経費・補助率などが細かく規定されているため、自身の事業に合うものを選定します。申請できる期間は1〜2カ月程度と短期なことも多いため、情報収集は早めに行う必要があります。公募要領には対象外経費や注意事項も明記されており、少しの誤認が不採択につながることがあるため、必ず一次情報を確認しましょう。

2. 申請書類の準備・提出

事業計画書、見積書、登記簿謄本、確定申告書などをそろえ、電子申請(jGrantsや各自治体システム)または窓口で提出します。特にGビズIDの取得には数日〜1週間程度かかるため、事前準備が必須です。場合によっては商工会議所や認定支援機関の確認印が必要となるため、余裕をもって依頼しましょう。

3. 審査・採択(補助金)/要件確認(助成金)

補助金は事業の実現性・波及効果・経営計画の妥当性が審査され、助成金は就業規則の整備、雇用条件の改善といった指定された要件を満たしているかが確認されます。審査は書類が中心ですが、場合によってはヒアリングや追加提出を求められることもあります。

4. 交付決定通知の受領

採択が決まると交付決定通知が届きます。この通知を受け取る前に行った契約や発注を行った経費は対象外となるケースが多いため、慎重な判断が必要です。発注前に契約日や納品日を確認し、補助対象期間を厳密に守ることが肝心です。

5. 事業の実施

設備導入や広告出稿、人材採用など、計画に沿って事業を進めます。進行状況を写真や領収書で記録しておくことが後の報告に役立ちます。

6. 中間報告・実績報告

事業の進捗や支出した経費について、中間報告や実績報告を提出します。必要に応じて検査やヒアリングが行われることもあります。書類は証憑ごとに整理し、いつでも提示できる状態にしておくと安心です。

7. 検査・補助額確定

提出書類や現地確認をもとに、補助対象として認められる経費が確定します。不備があると補助額が減額される可能性があります。特に領収書や契約書の不備がトラブルの原因となりやすいため注意が必要です。

8. 補助金・助成金の請求・入金

確定通知後、請求手続きを経て指定口座に入金されます。ここまでで半年〜1年以上かかる場合もあるため、交付を前提とした資金繰り計画を立てることが重要です。場合によっては一時的な資金調達(融資や前払いサービス)を活用する企業も少なくありません。

申請時の注意点

補助金・助成金の申請では、少しのミスが不採択に直結してしまうことがあります。注意すべき点について具体的に確認しておきましょう。

  • 事業開始前の申請が原則
  • 対象経費を正確に把握する
  • 申請期限を厳守する
  • 重複申請の禁止に注意
  • 審査基準を意識する

事業開始前の申請が原則

補助金や助成金は、事前申請が原則であり、事後申請はほぼ認められません。交付決定前に契約・発注した経費は対象外になるケースが多いため、必ず着手前に申請を済ませましょう。

対象経費を正確に把握する

広告宣伝費や人件費は対象になることがありますが、日常的な運転資金や既存ローンの返済は対象外です。対象範囲を誤解すると、申請してもほとんど補助を受けられないという事態になりかねません。

申請期限を厳守する

公募期間は1〜2カ月と短いため、提出期限を逃すと次の募集まで待つ必要があります。補助金の中には年に1回しか募集がないものもあるため、情報収集とスケジュール管理は徹底する必要があります。

重複申請の禁止に注意

複数の制度を併用できる場合でも、同一経費を二重に計上することは認められません。重複申請が発覚すれば、補助金全額の返還を求められるリスクもあります。

審査基準を意識する

単に「費用を補填してほしい」という申請では採択されません。新規事業の波及効果や地域経済への貢献度など、審査基準を満たす説得力のある計画を提示することが大切です。事業の社会的意義を分かりやすく示すことが、採択率を高めるポイントになります。

書類の作成は申請代行依頼も可能

補助金や助成金の申請には、事業計画書、登記簿謄本、定款、確定申告書、見積書など多くの書類が必要で、新規事業の立ち上げの際には準備が負担に感じられることがあります。書類不備や提出漏れがあると審査対象から外れてしまうリスクがあるため、準備に不安がある場合は専門家に依頼する方法もおすすめです。

依頼できる専門家は、以下のように申請する制度ごとに異なります。

区分 助成金 補助金
依頼できる専門家 社会保険労務士 商工会・商工会議所、金融機関、税理士、公認会計士、行政書士などの認定支援機関
役割・範囲 独占業務により申請代行が可能。企業に代わって申請書類を作成・提出できる。 計画策定や書類準備をサポート。提出は事業者本人が行う必要がある。

申請の内容にもよりますが、代行費用の相場は着手金5〜20万円程度+成功報酬(交付決定額の10〜20%)が一般的です。簡易な案件ではこれより低く、2〜10万円程度で依頼できることもあります。費用はかかりますが、申請の確実性が高まり、経営者が本業に専念できるメリットがあります。

jp-blog-financialaid-3

補助金・助成金を待たずに資金調達するなら「Square 資金調達」

補助金や助成金は返済不要で魅力的な制度ですが、審査から交付までに数カ月かかるのが一般的です。そのため、すぐに資金が必要という場面ではタイムラグが課題になります。そこで選択肢となるのが、Square 資金調達です。

Square 資金調達は、Squareを利用している加盟店を対象に、将来Squareで生み出す売り上げの一部をあらかじめ譲渡し、前払いで資金を受け取れる仕組みです。審査は最短即日〜最大3営業日、承認後の入金は最短翌営業日とスピーディーなところが魅力です。連帯保証人は不要で代表者保証も必要ないため、個人の信用や資産を担保にしなくても利用できます。

「融資を​受けた​場合、​返済用に​最低月末​これだけ残しとかないと​いけないって​思って​たんです。​でも、​Square 資金調達の​場合は、​どんどん​売っていけば​勝手に​差し引かれるわけですよね。​資金調達してる​ことには​変わりはないんですよ。​でも、​マインドが​違います」
Zalife 三島さま

補助金や助成金と併用すれば、交付までのつなぎ資金として活用できるほか、季節的な繁忙期に合わせた仕入れ資金や、新サービス・新商品の立ち上げ資金としても有効です。スピード感のある資金確保を検討している事業者にとって、心強い選択肢となるでしょう。

カンタンでスピーディーな資金調達

お申し込みはオンラインで簡単、面倒な書類提出は不要。お申し込みから入金まで最短4日。速くて簡単な、ビジネスの新しい選択肢です。

よくある質問FAQ

ここでは、補助金や助成金についてよくある質問をQ&A形式で解説します。

複数の補助金・助成金を同時に受給できる?

基本的に同じ経費での重複受給はできません。ただし対象経費が明確に分かれていれば、制度を併用できるケースもあります。必ず公募要項で確認しましょう。

助成金・補助金は前払いで受給できる?

できません。ほとんどの制度は後払い(精算払い)で、経費を支払った後に報告・検査を経て入金されます。資金繰りには注意が必要です。

補助金・助成金を受給したら確定申告に影響する?

はい。補助金・助成金は雑収入として課税対象になります。ただし消費税の対象外であり、計上タイミングは原則「支給決定通知書」が届いた時点です。

まとめ

新規事業の立ち上げには多くの資金が必要ですが、補助金・助成金を活用すれば自己負担を抑え、事業リスクを軽減することが可能です。さらに採択実績は信用力を高め、融資や取引の場面でもプラスに働きます。

本記事では、創業期に役立つ制度から、創業後に活用できる制度、申請の流れや注意点までを解説しました。重要なのは、制度を知って終わりにせず、自社の事業計画に合うものを選び、早めに準備することです。

ただし補助金・助成金は後払いで入金まで時間がかかるため、必要に応じてSquare 資金調達などのスピーディーな資金調達手段と組み合わせれば、創業初期のチャンスを逃さずに行動できるようになります。


Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。

執筆は2019年11月26日時点の情報を参照しています。2025年10月8日に情報の一部を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash