女性起業家が活用できる助成金とは?各種支援制度や資金調達方法を紹介!

起業を準備している人や起業間もない経営者の悩みとなることの一つに、資金調達があげられます。自己資金や融資で賄う方法もありますが、助成金を活用することで資金負担の軽減ができます。女性起業家に向けには、東京都の「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」や国の「両立支援等助成金」などの助成金があり、ビジネスオーナーの心強い味方となってくれるかもしれません。この記事では、女性起業家が活用できる助成金の種類や資金調達を行う上で知っておくべきポイントを解説します。

目次


助成金とは

助成金は、融資とは異なり返済の必要がない資金です。雇用関係の助成金は主に厚生労働省が管理しており、雇用や職場環境の改善に関する取り組みを支援することを目的に企業や個人事業主などに交付されます。最寄りの労働局やハローワークで申請することができ、要件を満たしていると判断されれば支給されます。助成金の支給タイミングはその種類によってさまざまですが、おおよそ申請から2カ月から3カ月後、支給決定通知書が事業主に届いてからおよそ数週間後に入金となることが多いようです。

jp-blog-female-entrepreneur1

これから起業する人におすすめの助成金

東京都内で起業したい

「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」は、都内の商店街の活性化を目的として東京都が運営する助成金です。東京都内の商店街で新規開店を目指す女性起業家で、申請時に店舗を持っていないことが条件となります。小売り、卸売り、飲食店、宿泊業、学習塾や不動産業など、幅広い業態が対象となります。採択されれば新規開業にかかる工事費、設備・備品導入費、店舗賃借料などに必要な経費の一部が助成されます。2023年度分の募集については、第1回が4月4日、第2回が6月26日、第3回が9月25日からとなります。

参考:若手・女性リーダー応援プログラム助成事業(東京都中小企業振興公社)

地域に貢献するようなビジネスで起業したい

「地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)」は、中小機構と各都道府県の公共団体・金融機関などの共同出資で運営されている支援制度です。各地の農林水産物や伝統技術を活用した商品開発や販路開拓の取り組みなどを支援しています。主に研究、商品開発、需要の開拓に関する費用が助成対象となります。原則として返済の必要が無く、複数年に渡って資金を助成するファンドもあります。地域貢献性の高い中小企業者が対象であり、地域経済活性化に貢献したい女性起業家におすすめです。詳しくは、事業所を構える自治体の支援内容を確認してください。

参考:地域中小企業応援ファンド一覧(独立行政法人 中小企業基盤整備機構)

これから起業する人におすすめの融資

融資は、資金を貸し付ける制度であり、支給された資金は一定期間内に返済する義務があるほか、支給された資金は定められた使途に使用しなくてはなりません。随時受付をしているものが多く、一定の要件を満たせば融資を受けることができるので資金調達はしやすいでしょう。これから起業を目指す女性におすすめの融資制度を紹介します。

女性や若者の新規開業におすすめ

「新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)」は日本政策金融公庫による、女性や若者世代、シニア世代を応援する融資制度です。女性もしくは、35歳未満または55歳以上で起業する人は、特別利率の「新規開業資金」の融資を受けることが可能です。

参考:新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)/ 女性、若者/シニア起業家支援資金(日本政策金融公庫)

新規事業の立ち上げにおすすめ

「新創業融資制度」は、新たに事業を始める、もしくは事業を開始して間もない人が、自己資金の要件はあるものの、無担保・無保証人で利用可能な融資制度です。3,000万円(うち運転資金1,500万円)までの融資が可能です。

参考:新創業融資制度(日本政策金融公庫)

従業員がいる場合は「雇用関係助成金」の活用を!

すでに起業しており、従業員を雇用している場合、出産、育児、介護など従業員のライフステージに合わせて柔軟な雇用形態を取る必要も出てくるでしょう。また、派遣やパートなどの非正規社員を正社員として雇用する場合に利用できる助成金などもあります。

こうした雇用にまつわる助成金が、「雇用関係助成金」です。これは、厚生労働省が管轄する雇用に関わる支援金の総称で「雇用維持関係の助成金」「雇入れ関係の助成金」「仕事と家庭の両立支援関係等の助成金」など、八つの分野の助成金が用意されています。「雇用関係助成金検索ツール」から目的に合った助成金を探すことができます。また、主な目的から利用できる助成金は以下の通りです。

参考:事業主の方のための雇用関係助成金(厚生労働省)

従業員の家庭と仕事の両立を支援したい

仕事と家庭生活を両立できる職場環境整備のための助成金が「両立支援等助成金」です。 各都道府県の労務局が窓口となり、出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)、 介護離職防止支援コース、育児休業等支援コースがあります。それぞれの特徴は以下の通りです。

jp-blog-female-entrepreneur2

出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)

男性従業員が育児休業を取得しやすい環境と業務の整備して、男性従業員が育児休業を取得した場合に、事業主に支給されます。

介護離職防止支援コース

従業員の介護休業の取得や職場復帰に取り組み、従業員が介護休業を取得したり、企業が介護のための柔軟な就労を整えたりした場合に中小企業事業主に支払われます。

育児休業等支援コース

「育休復帰支援プラン」を作成し、プランに沿って従業員がスムーズな育児休業の取得と職場復帰ができるように取り組み、従業員が育児休業を取得した場合、中小企業事業主に支払われます。

参考:2022年度 両立支援等助成金のご案内(厚生労働省)

非正規社員を正社員にしたい

有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規社員のキャリアアップ促進を目的とした助成金が「キャリアアップ助成金」です。パートやアルバイトなどを正社員に登用したり、賃金の見直しをしたり、待遇改善に取り組んだ事業主に対して支給されます。非正規社員の正社員化や賃金の改定など処遇の改善を検討している女性起業家におすすめです。

参考:キャリアアップ助成金(厚生労働省)

従業員を出向させた

出向元の企業と出向先の企業の両方と雇用契約を結び、出向先の企業に一定期間勤務することを「在籍型出向」といいます。この在籍型出向を、従業員のスキルアップを目的として行い、その従業員が出向復帰後に賃金を出向前と比較して5%以上アップさせた場合に、出向中の賃金の一部を助成するのが「産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)」です。

参考:
産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)(厚生労働省)

社員を中途採用で雇用した

中途採用計画を整備し、中途採用を増やした事業主を対象とした中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)、東京圏からの移住者を雇い入れた事業主を対象に採用活動に要した経費の一部を助成する中途採用等支援助成金(UIJターンコース)が用意されています。

参考:
中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)(厚生労働省)
中途採用等支援助成金(UIJターンコース)(厚生労働省)

特定の求職者を雇う計画がある

雇入れ関係の助成金は、特定の求職者を雇い入れる計画がある場合に利用できます。

「特定求職者雇用開発助成金」は、全部で七つのコースが用意されている助成金で、高年齢者・障害者・母子家庭の母親、65歳以上の高齢者などを雇い入れる際に事業者に助成されるものです。

「トライアル雇用助成金」は、全部で三つのコースが用意されています。職業経験があまりなかったり、障害などで就職が困難であったりする人を、期限を定めない雇用契約を前提にとして一定期間トライアルで雇用する事業主に対して助成します。

「地域雇用開発助成金」は、国が指定した過疎地域など雇用機会が不足している地域の事業主が事業所の設置や整備を行い、その地域に居住する求職者を雇い入れる場合に、設置整備費用および対象労働者の増加数に応じて助成するものです。地域雇用開発助成金には、沖縄県内で事業所を構え、沖縄県内に居住する35歳未満の求職者を雇用した場合の沖縄若年者雇用促進コースもあります。

参考:
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)(厚生労働省)
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース・新型コロナウイルス感染症対応(短時間)トライアルコース)(厚生労働省
地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)(厚生労働省)

助成金以外に補助金の活用も

補助金は、助成金と同様に企業や個人事業主などに交付される支援金です。経済産業省が管轄するものが大半を占めますが、商工会議所や地方自治体などが実施する場合もあります。経済産業省が管轄する補助金は、中小企業庁が運営し、県や市町村などの自治体が申請窓口になっているケースが多くみられます。支給額は実際の支出に対する割合で算出される上限が決まっており、助成金と同様に後払いが基本となっています。補助金には、以下のような種類があります。

販路開拓や販売促進に取り組みたい

「小規模事業者持続化補助金」は持続的な経営に向けた経営計画を立てた上で、販路開拓や業務効率化への取り組みにかかる費用が補助対象事業となります。新たに販促用のウェブサイトを制作したり、専門家から新商品開発に向けた指導や助言を受けたり、PRイベントを実施したりする場合は、この補助金の申請が可能です。

参考:小規模事業者持続化補助金(商工会議所地区)

設備投資をしたい

中小企業や小規模事業者が革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性向上のための設備投資などを支援してくれる補助金が「ものづくり補助金」です。設備投資資金が補助対象となるので、設備投資を行わない場合はこの補助金に申請することができません。

参考:ものづくり補助金総合サイト(全国中小企業団体中央会)

ITツールを導入したい

中小企業や小規模事業者がITツール導入の際に利用できる補助金が「IT導入補助金」です。たとえば、飲食店がPOSレジを導入したり、エステサロンや美容室が予約システムを導入したりする場合の導入費用の一部が補助対象となります。IT導入補助金について詳しくは、「IT導入補助金の概要や申請の流れ・方法について解説」の記事も参考にしてください。

参考:IT補助金2023(独立行政法人中小企業基盤整備機構)

jp-blog-female-entrepreneur3

その他の資金調達方法

助成金や融資、補助金や以外に資金を調達する方法には、以下のようなものが挙げられます。

クラウドファンディング

インターネットを介して不特定多数の支援者が起案者に少しずつ資金を出す方法です。起案者の思いや事業内容に共感した支援者が資金を提供し、起案者は出資金額に応じて返礼品(リターン)を送るのが通例となっています。

ビジネスコンテスト

ビジネスコンテストに出場してビジネスプランを発表し、上位入賞者が事業資金報酬を受け取る方法です。プレゼンを行っても資金を得られない可能性もありますが、採用されれば資金とコンテスト入賞という実績が手に入ります。また、コンテストの中には宿泊研修を行うものもあり、参加者と交流関係を築いてビジネスの基本を学ぶことができるものもあるようです。

女性起業家が資金調達で知っておくべきポイント

助成金や補助金はいつ入金になり、どのように経理上の取り扱うのか、知っておくべきポイントを紹介します。

助成金や補助金の支給は基本的に後払い

助成金や補助金は、基本的に後払いとなります。支援対象となる経費は、一度は自身で支払う必要があるので、助成金や補助金を受け取ることを前提に起業準備を進めると資金繰りでトラブルが起きる可能性があるので要注意です。

助成金や補助金は課税対象になる

助成金や補助金は、会計処理上、雑収入に計上します。雑収入は課税対象になるので、しっかり経理処理を行いましょう。

不採択になることも

助成金や補助金は申請すれば必ずしも採択されるわけではありません。補助金は支給額が大きいものも多数ありますが、予算が決まっているので、採択数が限られています。

最新の情報をチェックする

助成金、補助金、融資制度は年度によって名称も内容も変更になることがあります。また、制度自体が廃止される場合もあるので、注意が必要です。制度の詳細は行政機関に問い合わせたり、専用の検索サイトを使って調べたりする必要があります。常に最新情報を確認するようにしましょう。

助成金やその他支援制度の探し方

わたしの起業応援団

起業したい女性を応援する全国の応援者の情報交換・連携ネットワークで、経済産業省が運営しています。女性の起業をサポートしてくれる人をつなげてくれるだけでなく、セミナーやイベント情報も網羅しています。入会費無料で活動に関する報告義務もないので、起業を考えている女性は気軽に参加してみてはいかがでしょうか。

ミラサポplus

中小企業庁による中小企業向け情報提供サイトです。テーマ別に豊富な情報が紹介されており、条件に合った資金調達に関する情報を収集することができます。経営課題を解決するための情報や経営課題の克服事例も紹介しています。

J-Net21

中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する中小企業向けの情報提供サイトです。経営者の課題解決をサポートする最新の支援情報や事例が豊富に掲載されています。サイト内に助成金や補助金の検索システムがあり、地域・利用目的・支援制度から絞り込んで検索することが可能です。

jp-blog-female-entrepreneur4

助成金、補助金をきっかけに、経理についても考えよう

先述の通り、助成金や補助金は、会計上は雑収入に計上しなくてはなりません。また、事業を行うのであれば、個人事業主であれ法人であれ確定申告が必要になるので、普段からの売り上げの記録をしっかりとっておくことが必要になります。自社や自店舗の売り上げを集計するなら、決済代行会社SquareSquare POSレジがおすすめです。無料のアカウントを作るだけで利用することができ、決済や取引履歴もすべてひと目で確認できます。

また、Squareは「Square 資金調達」(※)というサービスも提供しています。

※Square 資金調達は、Squareをすでに利用しており、かつ所定の条件を満たしているSquare 加盟店が対象です。

Square 資金調達は、Square 加盟店が将来Squareで生み出す売り上げをあらかじめ譲渡することで、前払いとして資金調達を受ける仕組みです。最初に提示される固定手数料以外に追加のお金は一切かかりません。

Squareから資金調達のご案内を受けとった加盟店は、提示されている資金調達可能額を上限にご自身で資金調達額を選択し、申し込むことができます。場合によっては追加で情報提出が必要なことがありますが、申込自体はオンラインで完結し、面接は不要です。審査は最短即日、最大3営業日で完了します。申込が承認された場合、最短で審査完了の翌営業日にはSquareに登録している銀行口座に入金されます。

資金調達をしたあとは、Squareでの売り上げから一定の割合が自動的に差し引かれます。売り上げが伸びている日は多めに、そうでない日は少なめに差し引かれ、売り上げがない日には差し引かれません。そのため、ビジネスへの影響を最小限に抑えることができます。

カンタンでスピーディーな資金調達

お申し込みはオンラインで簡単、面倒な書類提出は不要。お申し込みから入金まで最短4日。速くて簡単な、ビジネスの新しい選択肢です。

これから起業を考えている女性、もしくは起業間もない女性が活用できる助成金や補助金、融資について解説しました。女性に特化した制度だけでなく、起業家が利用できる助成金や補助金は、各地方自治体が主体となることもあるので、詳しくは事業所のある自治体や商工会議所のホームページを確認してみてください。さまざまな支援金制度をうまく活用して、事業を軌道に乗せましょう。


Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。

執筆は2023年3月27日時点の情報を参照しています。2024年3月1日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash