白色申告とは?​控除額や​経費、​必要書類と​帳簿の​付け方

青色申告以外で​確定申告する​ことを​白色申告と​いいます。​所得金額を​正しく​算出して​納税するには、​白色申告で​受けられる​控除や​帳簿への​理解が​欠かせません。​本記事では​白色申告とは​何か、​控除額や​経費に​計上が​可能な​もの、​必要な​書類と​帳簿の​付け方などを​解説します。

白色申告とは?

白色申告とは、​青色申告以外で​確定申告を​行う​ことです。​白色申告を​した​ことがない​人は、​いくらから​申告が​必要なのか気に​なるかもしれません。​原則と​して、​給与所得が​ない​個人事業主は​「年間の​合計所得金額>所得控除」と​なった​場合に​確定申告が​必要です。

白色申告と​青色申告の​違いを​簡単に​まとめると、​簡易的な​記帳が​認められ経理業務の​負担が​比較的軽いのが​白色申告です。​青色申告は​作成すべき​帳簿や​書類が​多く、​内容の​厳密さが​求められる​代わりに​税制優遇などの​特典を​受けられます。

青色申告を​行うには​開業届や​事前の​承認申請が​必要です。​白色申告では​事前の​承認申請は​不要ですが、​青色申告で​受けられる​税制優遇や​特例が​適用されない​点には​注意が​必要です。​たとえば​青色申告では、​適切な​手続きを​行う​ことで​最高65万円の​青色申告特別控除や​純損失の​繰越しおよび繰戻しなどを​受けられます。

青色申告での​優遇を​受けるには​白色申告では​発生しない​手間が​かかる​ものの、​税負担を​軽減できる​点は​メリットです。​業務負担の​増加や​会計知識に​不安が​ある​場合、​税理士に​業務を​委託すると​いう​手段も​あります。​白色申告と​青色申告の​どちらを​選ぶかは​経理業務の​負担だけではなく、​事業の​収益状況や​税制優遇の​効果など​総合的な​観点から​判断しましょう。

白色申告での​必要書類は​以下の​通りです。

・確定申告書
・収支内訳書
・個人番号の​確認書類​(マイナンバーカードや​通知カード、​住民票)と​身分確認書類
・各種控除に​必要な​添付書類

収支内訳書とは、​取引の​内容や​金額を​帳簿に​記載した​ものです。​記帳は​必ずしも​一つ​一つの​取引ごとに​行う​必要は​なく、​日々の​合計金額を​まと​めて​記載する​簡易的な​記帳も​認められます。​収支内訳書を​作成する​際は、​国税庁が​開示している​手引きに​沿って​進めると​スムーズです。

各種控除は​所得控除や​税額控除などが​あり、​控除を​受けるには​各種証明書が​必要です。​紛失していると​控除が​受けられないため、​手元に​あるか確認して​おきましょう。

確定申告の​時期に​入ってから​記帳を​始めたり​必要書類を​そろえたりする​ことは、​業務負担の​増加に​つながります。​白色申告の​具体的な​必要書類や​申告手順は​あらかじめ確認し、​日々の​取引は​その都度​記帳しておくと​安心です。

【参考ページ】
所得税等の​確定申告とは​|国税庁
確定申告期に​多い​お問合せ事項Q&A|国税庁
所得税のしく​み|国税庁
No.2070 青色申告制度|国税庁
No.2072 青色申告特別控除|国税庁
No.2080 白色申告者の​記帳・帳簿等保存制度|国税庁
個人で​事業を​行っている​方の​記帳・帳簿等の​保存に​ついて​|国税庁
令和4年分所得税及び復興特別所得税の​手引き​(PDF)​|国税庁

白色申告と​青色申告の​違い

白色申告と​青色申告では、​主に​以下の​点で​違いが​あります。

・確定申告に​おける​必要書類
・保存すべき帳簿と​保存期間
・経理業務の​負担
・税制優遇や​特例の​有無

まず、​確定申告に​おける​両者の​必要書類を​整理して​おきましょう。

白色申告

・確定申告書
・収支内訳書
・個人番号の​確認書類​(マイナンバーカードや​通知カード、​住民票)と​身分確認書類
・各種控除に​必要な​添付書類

青色申告

・確定申告書
・青色申告決算書
・個人番号の​確認書類​(マイナンバーカードや​通知カード、​住民票)と​身分確認書類
・各種控除に​必要な​添付書類

両者で​違うのは、​「収支内訳書」と​「青色申告決算書」です。​収支内訳書は​青色申告決算書よりも​簡易的な​書類です。​青色申告決算書は​貸借対照表と​損益計算書が​含まれ、​より​詳細な​記載が​求められます。

次に​帳簿類に​ついては​白色申告、​青色申告ともに​日々の​取引を​記帳し、​一定期間は​帳簿類を​保存する​必要が​あります。​以下は​国税庁が​開示している​保存が​必要な​帳簿と​書類の​一例です。

白色申告

・収入金額、​必要経費を​記載した​帳簿​(7年)
・現金出納帳や​売掛帳などの​帳簿​(5年)
・決算に​関する​棚卸表などの​書類​(5年)
・請求書、​納品書、​領収書など​(5年)

青色申告

・仕訳帳、​総勘定元帳、​現金出納帳、​売掛量、​固定資産台帳など​(7年)
・貸借対照表、​損益計算書などの​決算関係​書類​(7年)
・領収書、​預金通帳などの​現預金取引関係​書類​(原則7年)
請求書、​見積書、​契約書、​納品書など​(5年)

白色申告では​日々の​取引を​一つ​一つ​記載するのではなく、​合計金額を​まと​めて​記載する​方法が​認められています。​事業主の​中には​細かい記帳を​していない​人も​いるかもしれませんが、​帳簿や​書類の​作成は​正しい​所得金額の​申告に​つながります。​会計ソフトなども​活用しつつ作成してみましょう。

税制優遇や​特例の​有無に​ついては、​青色申告のみに​適用される​ものが​多く​あります。​例と​して​以下の​三つが​挙げられます。

1. ​最高65万円の​青色申告控除

青色申告控除とは、​所得金額から​一定金額を​控除する​ものです。​所得金額が​小さくなれば、​税負担が​軽減されます。​控除額は​最高65万円、​次いで​55万円ですが、​一定の​要件を​満たす​必要が​あります。​65万円および55万円の​控除要件の​いずれも​満たさない​場合は​10万円が​控除されます。

2. 青色事業専従者給与の​控除

青色事業専従者とは、​青色申告を​行う​納税者と​生計を​一に​する​配偶者や​親族で、​納税者の​事業に​専念している​人を​指します。​青色事業専従者給与の​控除では、​青色事業専従者に​支払われた​給与を​必要経費に​計上する​ことが​可能です。

3. 純損失の​繰越しおよび繰戻し

事業で​赤字が​あり損益通算を​しても​控除しきれない​損失​(純損失)が​ある​場合は、​翌年以降​3年間に​わたり損失額を​各年の​所得金額から​控除する​ことが​可能です。​所得金額が​小さくなる​ことで、​税負担の​軽減効果が​あります。

また、​純損失の​繰越しに​代わり、​損失額を​前年に​繰戻す​ことで​前年分の​所得税還付を​受ける​ことも​可能です。​ただし、​この​場合は​前年も​青色申告を​行っている​必要が​あります。​白色申告では​所得控除や​専従者給与控除などが​受けられる​ことが​あります。​両者の​違いを​理解し、​選択した​申告方法に​沿った​準備を​進めましょう。

【参考ページ】
No.2070 青色申告制度|国税庁
No.2072 青色申告特別控除|国税庁
記帳や​帳簿等保存・青色申告|国税庁
No.2080 白色申告者の​記帳・帳簿等保存制度|国税庁
個人で​事業を​行っている​方の​記帳・帳簿等の​保存に​ついて​|国税庁

A business owner reviews paperwork at their desk with a laptop and smartphone.

白色申告の​メリット

白色申告の​メリットは、​経理の​業務負担が​青色申告よりも​軽い​ことです。​白色申告で​必要となる​収支内訳書は​比較的簡易的な​ものである​ことから、​基礎的な​会計や​経理の​知識で​対応できます。​帳簿を​作成した​ことがなく​どう​すれば​良いのか分からない​場合は、​国税庁が​開示している​手引きを​参考に​進めると​スムーズです。

業務負担の​観点では​白色申告が​優位ですが、​青色申告よりも​特典が​少ない​点には​注意が​必要です。​最大65万円の​控除が​受けられる​青色申告特別控除、​青色事業専従者給与の​控除や​純損失の​繰越しおよび繰戻しは​青色申告者のみに​適用されます。

白色申告と​青色申告の​どちらに​すべきか​判断が​難しい​場合は​税理士に​相談する​ことを​おすすめします。​今すぐ​青色申告者となる​ことは​難しくても、​事業規模の​拡大に​より​切り​替える​ことも​想定しておく​ことで、​確定申告の​準備も​スムーズに​進むでしょう。

【参考ページ】
​「帳簿の​記帳のしかた」​(PDF)​|国税庁

白色申告の​控除額

白色申告で​受けられる​所得控除に​ついて​整理しましょう。

1. 社会保険料控除

配偶者や​親族の​社会保険料を​納税者が​負担した​場合、​その金額は​社会保険料控除の​対象です。​その年に​支払った​金額または​給与などから​差し引かれた​金額は​全て​控除できます。
社会保険料控除には、​健康保険、​国民年金、​厚生年金保険、​国民健康保険などの​保険料が​該当します。
控除を​受けるには、​保険料または​掛金額を​白色申告の​際に​提示します。

2. 小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済などの​掛金は​全額が​控除の​対象です。​小規模企業共済の​月額掛金は​最高7万円​(年間84万円)です。​1年以内の​前納掛金も​控除対象となる​ため、​該当する​場合は​控除を​忘れないようにしましょう。

3. 生命保険料控除

生命保険料、​介護医療保険料や​個人年金保険料を​支払った​場合は、​年間の​支払保険料等に​応じて​一定額の​控除が​可能です。​控除額は​生命保険を​契約した​年月日に​より​異なります。

・平成24年1月1日以後に​締結
年間の​支払保険料などが​8万円以上で​あれば​4万円の​控除

・平成23年12月31日以前に​締結
年間の​支払保険料などが​10万円以上で​あれば​5万円の​控除

控除を​受けるには​確定申告書への​記入と、​支払金額や​控除を​受けられる​ことを​証明する​書類などの​提示が​必要です。

4. 地震保険料控除

損害保険契約などで​地震などの​損害部分に​対して​保険料や​掛金を​支払った​場合は、​一定金額の​控除が​受けられます。

・年間の​支払保険料が​5万円以下
支払金額の​全額を​控除

・年間の​支払保険料が​5万円超
5万円の​控除

控除を​受けるには​確定申告書に​記載し、​支払金額や​控除が​受けられる​ことを​証明する​書類などの​提示が​必要です。

5. 寡婦控除

納税者が​寡婦の​場合、​令和2年分以後は​一律27万円の​控除が​受けられます。​令和2年分以後で​寡婦に​該当するのは、​ひとり親に​該当せず​以下の​いずれかに​当ては​まる​人です。

・夫と​離婚後に​婚姻しておらず、​扶養親族が​おり合計所得金額が​500万円以下
・夫と​死別後に​婚姻していないもしくは​夫の​生死が​不明で、​合計所得が​500万円以下

寡婦控除を​受ける​場合は​確定申告書の​第二表で​チェック事項が​あるので、​忘れないようにしましょう。

6. ひとり親控除

納税者が​ひとり親である​場合、​一律35万円の​控除を​受けられます。​ひとり親とは、​婚姻していないまたは​配偶者の​生死が​不明で​以下の​全てに​当ては​まる​人です。

・事実上婚姻関係と​同様の​事情に​あると​認められる​人が​いない
・生計を​一に​する​子が​いる
・合計所得金額が​500万円以下

ひとり親控除も​確定申告書の​第二表に​チェック事項が​あります。

7. 勤労学生控除

納税者が​勤労学生である​場合、​一律27万円の​控除を​受けられます。​勤労学生とは、​たとえば​働いて​所得を​得ており、​特定の​学校の​学生である​人です。

控除を​受けるには、​給与所得者は​「扶養控除等​(異動)​申告書」に​勤労学生控除に​関する​事項を​記載し勤務先に​提出します。​確定申告を​する​場合は、​確定申告書に​ある​勤労学生控除に​関する​事項へ​記載が​必要です。

8. 障害者控除

納税者自身、​生計を​一に​する​配偶者または​扶養親族が​障害者である​場合、​区分に​応じて​一定額の​控除を​受けられます。

・障害者
27万円

・特別障害者
40万円

・同居特別障害者
75万円

9. 配偶者控除

控除対象となる​配偶者が​いる​場合、​納税者本人の​合計所得金額と​控除対象配偶者の​年齢に​応じて​一定額の​控除が​受けられます。

たとえば​納税者本人の​合計所得金額が​900万円以下である​場合、​38万円の​配偶者控除が​受けられます。​この​場合、​控除対象配偶者が​70歳以上で​あれば、​48万円の​控除が​可能です。

控除対象となる​配偶者は、​以下の​四つの​要件の​全てに​該当する​人です。

・民法規定に​よる​配偶者​(内縁関係は​該当しない)
・生計を​一に​する​配偶者
・年間の​合計所得金額が​48万円以下​(所得が​給与のみで​あれば​103万円以下)
・​その年に​一度も​青色事業専従者と​して​給与を​受けていない、または​白色事業専従者でない

配偶者控除を​受けるには、​確定申告書に​控除額と​配偶者の​氏名や​マイナンバーなどを​記入します。

10. 配偶者特別控除

配偶者の​合計所得金額が​48万円超で​あり配偶者控除の​対象外であっても、​配偶者控除の​合計所得金額に​応じて​一定額の​控除を​受けられます。​納税者本人の​合計所得金額が​900万円以下かつ配偶者の​合計所得金額が​95万円以下で​あれば、​控除額は​38万円です。​配偶者の​合計所得金額が​133万円を​超えると​控除は​ありません。​配偶者特別控除を​受ける​ためには、​納税者本人の​合計所得金額が​1,000万円以下である​ことが​要件の​一つです。

11. 扶養控除

納税者に​控除対象扶養親族が​いる​場合は、​一定額の​控除が​受けられます。​扶養親族とは、​生計を​一に​する​配偶者以外の​親族や​里子などで、​年間の​合計所得金額が​48万円以下である​人です。​したが​いまして、​所得が​給与のみで​あれば​年収103万円以下までが​対象です。

控除額は​以下の​四つに​区分されます。

・​一般の​控除対象扶養親族
38万円

扶養親族の​うち、​12月31日​時点で​16歳以上で​あれば​控除対象親族に​該当します。

・特定扶養親族
63万円

控除対象親族の​うち、​12月31日​時点で​19歳以上​23歳未満で​あれば​特定扶養親族に​該当します。

・70歳以上かつ同居していない​老人扶養親族
48万円

・70歳以上かつ同居している​老人扶養親族
58万円

控除を​受けるには、​確定申告書に​控除額と​扶養親族の​氏名や​マイナンバーなどを​記入します。

12. 基礎控除

基礎控除の​控除額は、​合計所得金額が​2,400万円以下で​あれば​一律48万円です。​2,400万円超2,450万円以下は​32万円、​2,450万円超2,500万円以下は​16万円の​控除を​受けられます。​合計所得金額が​2,500万円を​超えると​控除は​ありません。

13. 雑損控除

雑損控除とは、​災害、​盗難や​横領に​よって​資産の​損害を​受けた​場合に​一定額を​控除できる​ものです。​資産は​納税者本人もしくは​総所得金額が​48万円以下の​配偶者や​その他親族が​所有する​ものに​限られます。​また、​対象資産は​あくまでも​生活に​必要な​ものに​限定され、​別荘など趣味・娯楽に​関する​資産は​対象外です。

控除額は​以下で​算出された​金額の​いずれか​多い​金額です。

・​(損害金額+災害等関連支出の​金額-保険金などの​額)​-​(総所得金額など)​×10%
・​(災害関連支出の​金額-保険金などの​額)​-5万円

控除を​受けるには、​確定申告書に​雑損控除に​関する​事項を​記載し、​災害などで​支出した​金額の​領収証などを​提示する​必要が​あります。

14. 医療費控除

1月​1日から​12月31日の​間に、​自分や​自分と​生計を​一に​する​配偶者、​その他親族の​ために​支払った​医療費が​一定額を​超える​場合、​医療費控除を​受けられます。​控除額は​最高200万円で、​原則と​して​以下の​計算式で​算出されます。

(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額)-10万円

控除を​受ける​ためには、​「医療費控除の​明細書」を​作成して​確定申告書に​添付します。​医療費通知を​交付されていれば、​明細書の​記載を​簡略化できます。

15. 寄附金控除

国や​地方公共団体などに​特定寄附金を​支出した​場合、​寄附金控除の​対象です。​寄附金控除額は、​以下の​いずれか​低い​金額から​2,000円を​差し引いた​金額です。

・支出した​特定寄附金の​合計額
・総所得金額などの​40%相当額

控除を​受ける​ためには、​確定申告に​寄附金控除に​関する​事項を​記載し、​寄附した​先から​交付された​受領書などを​提示します。

白色申告では、​所得控除に​加えて​事業専従者控除が​あります。​控除額は​以下の​いずれか​低い​金額です。

・配偶者は​86万円、​配偶者以外は​一人50万円
・控除前事業所得などの​金額を​「専従者+1」の​数で​割った​金額

事業専従者に​該当するのは、​その年の​12月31日​時点で​15歳以上で​あり、​白色申告者の​事業に​専念している​人です。​控除を​受けるには​確定申告に​控除額を​記載します。

白色申告者が​受けられる​各種控除の​金額は​その人の​状況に​より​異なります。​どの​控除が​対象なのか整理し、​証明書などが​そろっているか確認しましょう。

【参考ページ】
No.2075 青色事業専従者給与と​事業専従者控除|国税庁
No.1100 所得控除の​あらまし|国税庁
No.1110 災害や​盗難などで​資産に​損害を​受けた​とき​(雑損控除)​|国税庁
No.1120 医療費を​支払った​とき​(医療費控除)​|国税庁
No.1130 社会保険料控除|国税庁
No.1135 小規模企業共済等掛金控除|国税庁
No.1140 生命保険料控除|国税庁
No.1145 地震保険料控除|国税庁
No.1150 一定の​寄附金を​支払った​とき​(寄附金控除)​|国税庁
No.1160 障害者控除|国税庁
No.1170 寡婦控除|国税庁
No.1171 ひとり親控除|国税庁
No.1175 勤労学生控除|国税庁
No.1191 配偶者控除|国税庁
No.1195 配偶者特別控除|国税庁
No.1180 扶養控除|国税庁
No.1199 基礎控除|国税庁

白色申告で​経費に​できる​ものと​上限額

白色申告で​経費に​できる​ものは、​事業を​行う​ために​必要と​認められる​ものに​限られます。​経費に​上限額は​ありませんが、​適切な​勘定科目で​内容を​明瞭に​記帳する​ことが​重要です。​ここでは、​経費計上の​際に​使用する​主な​勘定科目と​その内容を​整理します。

・租税公課

租税公課に​含まれる​費用と​して、​以下が​挙げられます。

・固定資産税、​不動産取得税、​事業税、​自動車取得税
・農業協同組合や​商工会議所などの​賦課金

所得税、​住民税、​延滞税などは​含まれません。

・水道光熱費

水道光熱費に​含まれる​費用と​して、​以下が​挙げられます。

・水道代、​電気代、​ガス代
・灯油の​購入費

・旅費交通費

旅費交通費に​含まれる​費用と​して、​以下が​挙げられます。

・電車、​バスの​運賃
・宿泊代

・通信費
通信費に​含まれる​費用と​して、​以下が​挙げられます。

・事業の​ために​利用した​電話料
・インターネット料金

・広告宣伝費
広告宣伝費に​含まれる​費用と​して、​以下が​挙げられます。

・新聞、​雑誌、​テレビなどの​広告費用
・広告名入りの​カレンダー

・接待交際費
接待交際費に​含まれる​費用と​して、​以下が​挙げられます。

・取引先に​出す飲食代
・会議に​出す飲食物の​購入費用

接待交際費は​事業に​使用した​ものと​私用での​支出が​混同しやすい​費用です。​経費へ​計上する​際には、​取引先の​名称や​人数、​飲食が​あった​年月日、​飲食などに​利用した店の​名称および所在地などを​記録して​おきましょう。

・損害保険料

損害保険料に​含まれる​費用と​して、​以下が​挙げられます。

・火災保険料
・​自動車の​損害保険料

・修繕費
機械や​店舗などの​修理代は​修繕費に​計上できます。​修繕費の​計上では、​資本的支出と​間違えないように​注意が​必要です。​改良などに​より​固定資産の​価値や​耐久性が​高まると​いった​場合は、​修繕費ではなく​減価償却の​方法を​用いて​経費処理します。

・消耗品費

消耗品費に​含まれる​費用と​して、​以下が​挙げられます。

・帳簿、​文房具、​用紙などの​購入費
・​使用可能期間が​1年未満もしくは​取得価額が​10万円未満の​什器備品の​購入費

・減価償却費
建物や​機械装置など、​時の​経過に​より​価値が​減っていく​資産は​減価償却資産の​対象です。​これらは​取得した年に​全額費用計上するのではなく、​使用可能期間の​全期間に​わたって​分割して​必要経費に​計上します。

・​福利厚生費
福利厚生費に​含まれる​費用と​して、​以下が​挙げられます。

・従業員の​慰安の​ための​費用
・​医療や​保健などの​ために​事業主が​支出した​費用
・事業主が​負担すべき従業員の​健康保険、​厚生年金の​保険料や​掛金

・給与賃金
給与賃金に​含まれる​費用と​して、​以下が​挙げられます。

・​給料、​賃金、​退職金
・​食費、​被服などの​現物給与

・利子割引料
事業用に​借入を​した際の​利子や​受取手形の​割引料などは​利子割引料に​含まれます。

・地代家賃
地代家賃に​含まれる​費用と​して、​以下が​挙げられます。

・店舗、​工場、​倉庫などの​敷地の​地代
・賃借している​工場や​倉庫などの​家賃

・外注工賃
修理加工などで​外部注文した​場合の​加工賃などが​含まれます。

【参考ページ】
No.2210 やさしい​必要経費の​知識|国税庁
確定申告書等作成コーナー やさしい​必要経費の​知識|国税庁
No.1350 事業所得の​課税のしく​み​(事業所得)​|国税庁
租税公課|国税庁
確定申告書等作成コーナー 租税公課|国税庁
確定申告書等作成コーナー 水道光熱費|国税庁
確定申告書等作成コーナー 旅費交通費|国税庁
確定申告書等作成コーナー 通信費|国税庁
確定申告書等作成コーナー 広告宣伝費|国税庁
確定申告書等作成コーナー 接待交際費|国税庁
確定申告書等作成コーナー 損害保険料|国税庁
確定申告書等作成コーナー 修繕費|国税庁
第8節 資本的支出と​修繕費|国税庁
No.5402 修繕費とならない​ものの​判定|国税庁
No.2107 資本的支出を​行った​場合の​減価償却|国税庁
確定申告書等作成コーナー 消耗品費|国税庁
No.2100 減価償却の​あらまし|国税庁
確定申告書等作成コーナー 福利厚生費|国税庁
確定申告書等作成コーナー 給与賃金|国税庁
確定申告書等作成コーナー 利子割引料|国税庁
確定申告書等作成コーナー 地代家賃|国税庁
確定申告書等作成コーナー 専従者給与と​専従者控除とは​|国税庁

白色申告の​やり方

白色申告の​やり方は​大まかに​以下の​ステップの​通りです。

1. 各種帳簿や​書類の​作成
2. 決算に​向けた​帳簿の​整理
3. 確定申告書と​収支内訳書の​作成
4. 各種控除に​必要な​添付書類の​準備
5. 提出
6. 納税

また、​申告書の​提出方法は​以下の​三つが​あります。

1. e-Tax
2. 郵便または​信書便で​税務署へ​送付
3. 税務署の​受付へ​提出

白色申告の​期限は​あらかじめ決められている​ため、​申告方法を​含め事前に​やるべき​ことを​把握して​おきましょう。​令和5年分の​確定申告の​期間は、​令和6年2月16日~3月15日でした。​例年この​時期が​申告期間となるので、​白色申告に​ついて​不明点が​ある​場合は​税理士や​税務署など​へ​早めの​相談が​重要です。

実際に​白色申告の​手続きを​始める​前に、​必要な​帳簿の​作成と​整理が​必要です。​まずは​棚卸資産を​確認し、​棚卸表を​作成しましょう。​商品の​種別ごとに​品名、​数量、​単価と​合計金額を​明らかにします。​棚卸表を​作成したら、​その年の​1月から​12月までの​取引を​記帳した​帳簿内容に​間違いが​ないか確認を​します。​請求書や​納品書などを​参考にし、​誤りが​あれば​訂正します。

次に、​決算に​向けて​帳簿の​整理を​行います。​ここでは​前受金、​前払費用、​未収入金などに​注意が​必要です。​その年の​収入金額や​必要経費になる​ものかどうかを​確認し、​整理しましょう。

収入金額と​必要経費に​ついて​整理できたら、​次は​減価償却費の​計算を​行います。​建物や​機械装置などを​取得する​ための​費用は​その年に​一括で​費用計上する​わけでは​ありません。​資産別に​定められた​耐用年数を​基に​して​計算し、​その年の​期間に​対応する​減価償却費のみを​必要経費に​計上します。

減価償却費の​計算以外にも、​固定資産の​損失、​債権の​貸倒れが​あれば​こちらも​金額を​整理します。​これらの​作業が​終了したら、​白色申告で​必要となる​確定申告書と​収支内訳書の​作成に​取り掛かりましょう。​これらの​書類は​国税庁の​ホームページから​ダウンロードして​記入が​可能ですが、​e-Taxを​利用すれば​スマートフォンや​パソコン上で​白色申告が​完了します。

e-Taxで​白色申告を​行うので​あれば、​事前に​マイナンバーカードの​発行、​受付システムへの​登録や​利用者識別番号の​取得などが​必要です。​一日で​手続きが​終わらない​可能性も​ある​ため、​確定申告の​時期が​来る​前に​準備する​ことを​おすすめします。

白色申告は​提出して​終わりではなく、​納税まで​済ませる​必要が​あります。​納税方法は​振替納税、​ATM、​クレジットカードなど​キャッシュレス決済が​可能です。​住民税に​ついては、​5月〜6月に​送付される​決定通知書に​ある​金額を​払いましょう。

【参考ページ】
令和4年分白色申告者の​決算の​手引き​(PDF)​|国税庁
令和4年分収支内訳書​(一般用)の​書き方​(PDF)​|国税庁
申告書の​提出方法|国税庁
記帳や​帳簿等保存・青色申告|国税庁
No.2080 白色申告者の​記帳・帳簿等保存制度|国税庁
個人で​事業を​行っている​方の​記帳・帳簿等の​保存に​ついて​|国税庁

白色申告の​必要書類と​書き方

まずは、​白色申告の​必要書類を​改めて​整理しましょう。

・確定申告書
・収支内訳書
・個人番号の​確認書類​(マイナンバーカードや​通知カード、​住民票)と​身分確認書類
・各種控除に​必要な​添付書類

確定申告書と​収支内訳書は​国税庁の​ホームページから​ダウンロードするか、​e-Taxを​利用して​スマートフォンや​パソコンの​画面上から​そのまま​入力します。​自分が​決めた​申告方法に​応じて​作成を​進めましょう。

確定申告書の​うち、​第1表と​第2表の​主な​項目は​それぞれ次の​通りです。

1. 第一表

・収入金額等
・所得金額等
・各種所得控除額
・税金の​計算
・​その他

「税金の​計算」では、​配当控除、​住宅借入金等特別控除や​源泉徴収税額などを​記入し、​納税額あるいは​還付税額を​算出します。​「その他」では​配偶者の​合計所得金額、​専従者給与控除額​(白色申告)​や​青色申告特別控除額​(青色申告)を​記入します。

2. 第二表

・所得の​内訳
・総合課税の​譲渡所得、​一時所得に​関する​事項
・配偶者や​親族に​関する​事項
・​小規模企業共済掛金控除/社会保険料控除、​生命保険料控除、​地震保険料控除
・雑損控除
・寄附金控除
・事業専従者に​関する​事項
・住民税、​事業税に​関する​事項

確定申告書の​作成に​あたり、​手元には​収入金額、​所得金額、​各種控除額が​分かる​帳簿や​書類を​用意して​おきましょう。

白色申告で​必要な​収支内訳書は、​控えを​除いて​2ページで​構成されます。​主な​記入項目は​以下の​通りです。

1. 1ページ目

・収入金額
売上原価
・経費
・専従者控除
・給与賃金の​内訳
・税理士、​弁護士等の​報酬・料金の​内訳
・事業者専従者の​氏名等

「収入金額」では​売上金額の​他に​家事消費の​金額も​記入します。​家事消費とは、​商品などを​家事の​ために​消費する、​あるいは​贈与する​ことです。​「売上原価」では​期首と​期末の​棚卸高を​記入します。​また、​その年の​仕入金額も​記入しますが、​買掛で​仕入れて​代金は​まだ支​払っていない​ものも​含まれます。​「経費」は​勘定科目を​確認して​計上し、​領収書なども​適切に​保存して​おきましょう。

2. 2ページ目

・売上​(収入)​金額の​明細
・仕入金額の​明細
・減価償却費の​計算
・地代家賃の​内訳
・利子割引料の​内訳

「売上​(収入)​金額の​明細」​および​「仕入金額の​明細」では、​取引先名、​所在地、​売上​(収入)​や​仕入金額を​記入します。​取引金額順に​整理しておくと​記入が​スムーズです。​「減価償却費の​計算」では、​取得価額や​耐用年数などを​基に、​その年の​償却期間に​応じた​減価償却費を​算出します。​正確に​算出する​ために​取得年月や​耐用年数を​確認して​おきましょう。

本人確認書類に​ついては、​マイナンバーカードが​あれば​その写しを​添付します。​マイナンバーカード未発行の​場合、​通知カードもしくは​住民票の​写しの​いずれかと、​運転免許証や​公的医療保険の​被保険者証などが​必要です。

所得控除は​必要な​証明書を​添付できなければ​控除を​受けられない​ものが​あります。​もし証明書を​紛失した​場合は、​再発行が​可能か​どうか​確認が​必要です。

【参考ページ】
令和4年分所得税及び復興特別所得税の​手引き​(PDF)​|国税庁
令和4年分収支内訳書​(一般用)の​書き方​(PDF)​|国税庁

白色申告に​必要な​帳簿と​付け方

白色申告の​帳簿および書類に​ついて、​国税庁は​以下の​作成や​保存が​必要であると​示しています。

・収入​(売り​上げや​その他収入)​金額、​仕入金額、​必要経費額が​分かる​帳簿
・現金の​動きや​残高を​記載した​現金出納帳、​売掛帳などの​帳簿
・棚卸表などの​書類
・請求書や​領収書など

具体的な​記帳の​内容は、​以下の​通りです。

1. 売り上げおよび仕入れ

・取引の​年月日
・取引先の​名称
・金額

2. 雑収入等

・取引の​年月日
・雑収入等の​内容、​取引先の​名称
・金額

3. 経費

・取引の​年月日
・経費の​内容、​支払先の​名称
・金額

経費は​内容に​より​給与賃金、​外注工賃、​減価償却費などに​区分し、​それぞれに​ついて​上記の​内容を​記帳します。

事業所得などが​ある​白色申告者は、​売り上げ、​仕入れ、​経費に​ついては​一つ​一つの​取引ごとではなく、​日々の​合計金額を​まと​めて​記載する​ことも​可能です。​簡易的な​方法に​よる​記帳と​して、​たとえば​以下が​挙げられます。

・ 売り上げ

・​小売、​飲食店などの​現金売り上げは、​日々の​合計金額のみを​まと​めて​記載可能
​(小売や​飲食店以外の​業種であっても、​現金売り​上げが​少額で​あれば​同様の​記載が​可能)

・保存している​納品書控、​請求書控などで​取引内容を​確認できる​ものは、​日々の​合計金額のみを​まと​めて​記載可能

特に​小売や​飲食店では、​不特定多数の​顧客と​日々​多くの​取引が​あると​考えられます。​それらを​個別に​記帳する​ことは​経理業務の​負担増加に​つながるため、​簡易的な​方法に​よる​記帳が​便利でしょう。

・ 仕入れ

・​少額の​現金仕入れは、​日々の​合計金額のみを​まと​めて​記載可能

・保存している​納品書控、​請求書控などで​取引内容を​確認できる​ものは、​日々の​合計金額のみを​まと​めて​記載可能

仕入れに​おいても​売り上げと​同様の​対応が​認められます。

・ 経費

・​少額な​費用は、​費用項目ごとに​日々の​合計金額のみを​まと​めて​記載可能

経費は​何に​使われたのか明確に​する​ために、​科目を​正確に​区分して​記帳しましょう。​領収書などが​ない​場合は​経費と​認められない​可能性も​ある​ため、​紛失しないよう管理する​ことが​求められます。

令和5年10月1日より​インボイス制度が​始まりました。​仕入税額控除には、​原則と​して​一定の​事項を​記載した​帳簿および適格請求書などの​保存が​求められます。​経過措置は​ある​ものの、​自分に​あった​対応方法を​早めに​検討して​おきましょう。

令和5年分の​確定申告書より、​税務調査で​売り上げに​関する​帳簿の​保存や​記載が​不十分であると​判明した​場合、​加算税が​上乗せされる​可能性が​あります。​帳簿を​つけていない​場合、​まずは​手書きで​ノートに​メモを​してみると​いった​方法から​始める​ことも​大切です。

国税庁の​ホームページでは、​練習用に​帳簿の​テンプレートを​ダウンロード可能です。​記載例も​参考に​しつつ、​効率を​求めるのであれば​会計ソフトの​利用も​検討してみましょう。

【参考ページ】
記帳説明会の​ご案内|国税庁
記帳の​仕方が​わからない​方へ​|国税庁
記帳のしかた​(PDF)​|国税庁
個人で​事業を​行っている​方の​記帳・帳簿等の​保存に​ついて​|国税庁
記帳のしかた​ 白色申告編​(PDF)​|国税庁

白色申告に​関する​よく​ある​質問

  • 白色申告とは​何ですか?

    白色申告とは、青色申告以外で確定申告を行うことです。白色申告は青色申告決算書と比較すると帳簿類の作成も簡易的であり、会計の知識があまりない事業主でも対応しやすいのが特徴です。

    白色申告では所得控除などが受けられますが、青色申告にある税制優遇や特例はありません。経理の負担の大きさだけではなく控除額も確認し、どちらで確定申告するか決めましょう。

    白色申告では確定申告書、収支内訳書と所得控除に必要な各種証明書などを用意します。正しく所得金額を申告するため、収入金額や必要経費などを日々記帳することが重要です。

  • 白色申告と​青色申告の​違いは​何ですか?

    白色申告と青色申告では、以下について違いがあります。

    ・確定申告における必要書類
    ・保存すべき帳簿と保存期間
    ・経理業務の負担
    ・税制優遇や特例の有無

    確定申告書において、白色申告では収支内訳書、青色申告では青色申告決算書を提出します。青色申告決算書では貸借対照表と損益計算書の作成が必要であり、より厳密さが求められます。

    これらの必要書類は日々記帳した帳簿や書類を基に作成します。白色申告では収入金額、必要経費や売掛金などが分かるように記帳しましょう。

    優遇や特例について、青色申告では最高65万円の青色申告特別控除などが認められます。白色申告ではこのような優遇はなく、所得控除や事業専従者控除などに限られる点には注意しましょう。

  • 白色申告は​どのような​人に​向いていますか?

    白色申告は、以下のような人に向いています。

    ・経理業務の初心者
    ・経理業務の負担を抑えたい

    白色申告は経理業務の初心者に向いています。青色申告では勘定科目への理解と厳密な記帳が必要であり、帳簿類の作成難易度が上がる可能性があります。白色申告の収支内訳書は青色申告よりも記載内容も少なく、経理業務の初心者でも対応しやすいでしょう。

    将来的な青色申告も視野に入れつつ、まずは基本的な記帳や確定申告の手順に慣れることが重要です。


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