スマートフォンやタブレットなどモバイル端末が普及し、ちょっとした待ち時間や休憩時間にアプリを立ち上げてコンテンツの閲覧や動画などの視聴、ゲームといったアプリサービスを楽しむ人が増えています。自分の好みでサービスやコンテンツを吟味し、いつでもどこでも気軽に楽しめるようになりました。
オンライン決済も浸透してきたため、魅力的なコンテンツを用意しアプリからの課金を促す新たなビジネスモデルも多く出てきています。アプリ課金を活用してこれまでにない顧客層を取り込み、従来の来店者に加えて販路を拡大した例もみられます。
アプリ課金の市場規模が最も大きいのはゲーム関係ですが、そのほかのジャンルでも、動画や音楽の配信、マンガやニュースなどさまざまなコンテンツで応用が可能です。アプリ課金は、これからのデジタルコミュニケーション社会では不可欠な決済方式といえるでしょう。本記事では、新しいビジネスチャンスを広げるアプリ課金について、どのような種類があるのか、どんなものが販売されているのかといった概要と、課金方法別にメリット・デメリットを解説します。
目次
- アプリ課金とは
・アプリ内課金
・アプリ外課金 - アプリ課金の種類
・消耗型
・非消耗型
・自動更新サブスクリプション
・非自動更新サブスクリプション - アプリ課金で販売可能なもの
・コンテンツ
・アプリの機能追加、拡張
・サービス - アプリ内課金とアプリ外課金のメリット・デメリット
・アプリ内課金のメリット
・アプリ内課金のデメリット
・アプリ外課金のメリット
・アプリ外課金のデメリット - Squareなら簡単に導入&手数料負担を抑えることが可能
アプリ課金とは
アプリ課金は、ユーザーがスマートフォンなどのモバイル端末にアプリをダウンロードした後、そのアプリを利用する中で有料設定のコンテンツや機能を追加し、該当する料金を支払う仕組みです。
アプリ課金には、「アプリ内課金」と「アプリ外課金」があります。いずれもアプリの中から発注して料金を支払うのですが、課金手続きの方法や収益性、利便性が異なります。
ここで注意していただきたいのは、有料版アプリと課金の違いです。有料アプリは、アプリをダウンロードする時点で支払いが生じますが、アプリ課金は、アプリをダウンロードする時点では有料か無料かは無関係で、アプリのサービスを利用する中で料金の支払い(課金)の必要が生じます。
つまり、ユーザーが「アプリでお金を使った」と表現した場合、
- 有料版アプリをダウンロードし、アプリ内は無料で使用した
- 有料版アプリをダウンロードし、アプリ内でも課金した
- 無料版アプリをダウンロードし、アプリ内で課金した
の三つの方法があるといえます。
本記事では、アプリが無料版・有料版のいずれかを問わず、アプリを利用する中での課金について解説します。
アプリ内課金
アプリ内で直接支払う課金方式です。アプリを管理するプラットフォーム(ストア)を経由して料金を支払います。アプリをダウンロードする際、ストアから「アプリ内課金あり」などの表示が出されることがあります。これがアプリ内課金です。
決済は、AppleやGoogleといったプラットフォームに設置された決済機能が用いられます。このため、ユーザーが顔認証や指紋認証で確認するだけで課金が確定するしくみになっていて、気軽に課金して利用できます。
アプリを利用していて、ほしいコンテンツを見つけたらその場で購入するなど、手軽に課金ができるのが特徴といえるでしょう。
一方、アプリ内課金では、決済機能がプラットフォームの決済方法に限定されるため、ユーザーは支払い方法が選べません。また、アプリを登録してコンテンツやサービスを販売する事業者側にとっては、手数料の選択肢がなく、料率も高めで大きな負担となる可能性があります。
アプリ外課金
アプリの中に自社ウェブサイトの決済ページへと誘導するリンクを貼るなどして、アプリの外で決済する課金方式です。アプリと自社ウェブサイトの両方で同じサービスを提供している場合、アプリからの流れをウェブサイトへ誘導することで統合できるメリットがあります。
また、アプリ内課金の場合の課題だった高額な手数料についても、複数の決済方式から選定できるため、自社に合ったものに改善できるでしょう。アプリ内課金より抑えられた手数料分をポイント還元や割引、キャンペーンなどの販促に活用することも可能です。ユーザーにとっても、支払い方法の選択肢の幅が広がるメリットがあります。
一方で、アプリ内でサービスを利用している時に、外部のウェブサイトへ遷移させて決済手続きを別途進める手間があり、面倒に感じたユーザーが途中で離脱するリスクがあります。また、事業者にとっても、自社で課金システムを導入し責任をもって運用する必要があり、手間は増えるでしょう。決済システムのセキュリティー管理などについても独自の対策が必要です。
アプリ外課金はAppleもGoogleも2022年に解禁し始めたばかりです。2022年9月時点では、ゲーム以外のデジタルコンテンツに適用されていますが、今後もアプリ外課金の範囲が広がるなど、変化する可能性があります。
アプリ課金の種類
アプリ課金には、収益モデルの種類により、消耗型・非消耗型、自動更新・非自動更新の4類型に分けることができます。
消耗型
料金を支払って獲得したものを一度の使用で終了する課金方式です。使い切りのため、必要になるたびに何度も支払うことになります。
消耗型のアプリ課金には、ゲーム内で使える通貨やアイテム、特別なキャラクターの入手、キャラクターなどを養うための食物や薬など、ゲームをグレードアップし、より楽しむために必要なものの購入や、くじ引き(ガチャ)を行うための支払いなどがあります。
非消耗型
一度の支払いで購入したコンテンツや機能を永続的に利用できるようになる課金方式です。課金により、コンテンツやアプリの機能を充実させ、より自分好みの快適な形にカスタマイズできるともいえるでしょう。機種変更の際も課金済の機能を引き継げる可能性があります。
非消耗型のアプリ課金には、無料版アプリでは使えない機能の追加などアプリの制限の解除、電子書籍やマンガなどデジタルコンテンツの閲覧制限の解除、広告の非表示などがあります。
自動更新サブスクリプション
月ごとなど一定の期間に一定額の料金を支払う契約により、期間内であれば所定のサービスを自由に利用することのできる課金方式です。契約は期間が過ぎても自動更新されるため、ユーザーが解約するまで持続的に利用できます。半年払いや年払いなどの長期払いでは毎月払いより割安な料金設定となっていて、長い期間利用するほどお得なサービスになっている場合もあります。
自動更新サブスクリプションのアプリ課金には、動画ストリーミング、音楽配信、ラジオ、画像素材などのコンテンツ利用のほか、新聞、雑誌など定期刊行物の情報コンテンツの利用、電子書籍の読み放題サービス、マッチングアプリのサービス利用、各種プラットフォームのサービス利用などが挙げられます。
非自動更新サブスクリプション
期限付きでサービスを利用する定額の課金方式です。自動更新と異なり、契約期間を過ぎると利用できなくなるため、継続したい場合はその都度契約し直して料金を支払います。契約更新の手間はかかりますが、自動更新されない分、うっかり契約解除を忘れて課金し続けるリスクは回避できます。
非自動更新サブスクリプションには、キャンペーンなど期間限定のコンテンツやサービスの利用、期間内であればゲームのコンテンツを自由にダウンロードしプレイできるシーズンパス、スポーツやエンターテイメント、イベントなどの動画配信の期間限定閲覧、ソフトウェアやデータベースの期間限定利用などがあります。
アプリ課金で販売可能なもの
アプリは、スマートフォンやタブレットなど、デジタルデバイスにインストールされるため、アプリ課金はデジタルコンテンツの利用やアプリの機能強化が基本となります。
特にアプリ内課金の場合は、決済もアプリと紐づくプラットフォームの決済方法や規定の課金額に限られるため、実物の販売は難しいでしょう。商品発送やサービス提供を行う場合、クレジットカードによる決済システムが必要となります。アプリ外課金の場合は、アプリから自社のウェブサイトに誘導し、独自の決済方法をとることができるため、実際の商品の発送やサービス提供など柔軟に対応することが可能です。
とはいえ、公序良俗に反するなど、アプリに紐づくプラットフォームのポリシーに違反するような不適切なコンテンツは扱えません。また、誹謗中傷などの名誉を毀損するものや、著作権・肖像権・商標など権利違反になるものも販売できないため、販売するコンテンツの品質管理には十分な注意が必要です。
アプリ課金で販売されるものには、大きく分けて、コンテンツ、アプリの追加機能、サービスの3種類があります。
コンテンツ
アプリ課金で販売されるコンテンツには以下のようなものが挙げられます。
- ゲーム内のキャラクターやアイテム、アプリ内通貨
- ゲームの特別キャンペーン、期間限定のコンテンツダウンロード(シーズンパス)
- チャットなどメッセージ用アイテム(スタンプなど)
- 電子書籍、マンガ、新聞、雑誌、ニュース記事などの文書コンテンツ
- 写真、イラスト、画像などのビジュアルコンテンツのダウンロード
- 動画や画像を加工するフィルター機能
アプリの機能追加、拡張
アプリ課金で利用可能となるアプリの追加機能には、以下のようなものが挙げられます。
- 無料版アプリで制限されている機能の解除
- 音声起こし機能、翻訳、他ソフトとの連携など特殊機能の拡張
- 広告の非表示
サービス
アプリ課金で利用可能となるサービスには、以下のようなものがあります。
- データの保管、容量の拡大、保存期間の延長
- 動画配信による閲覧、音楽配信・ラジオの聴取
アプリ内課金とアプリ外課金のメリット・デメリット
ここからは、アプリ内課金とアプリ外課金の違いをメリットとデメリットの二つの側面からみていきましょう。
アプリ内課金のメリット
アプリ内課金の良い点は、App StoreやGoogle Playなどのアプリが紐づくプラットフォームの仕組み内で支払いが完結するため、簡単な認証作業だけで支払いを終えることができて利便性が高いところにあります。
ユーザーは、アプリから出て外部のウェブサイトなどに遷移する必要がありません。課金が完了するまでの手間が少なく、手軽に利用できます。
アプリの運用側にとっても、あらかじめ完成されたプラットフォームの仕組みを利用することにより、課金システムをゼロから自社で構築する必要がないのは、初期設定の導入のハードルを低く抑えることができるでしょう。
アプリ内課金のデメリット
一方、アプリ内課金では、AppleやGoogleといったプラットフォーム企業に対し、販売額の15%から30%程といわれる高額の手数料を支払わなければなりません。手数料の負担の大きさがアプリ運用の維持にも影響を与えてしまう可能性があります。
また、課金の金額設定についても、プラットフォームの価格テーブルに合わせて行う必要があります。自由な値付けでアプリの独自性を出すことはできません。ユーザーからみた場合、プラットフォームが定める決済手段以外で支払えない点がというデメリットといえるでしょう。
アプリ外課金のメリット
アプリ外課金の場合、プラットフォームへ支払う手数料負担がありません。クレジットカード決済など別のシステム利用料が必要になりますが、アプリ内課金の負担率より低いものにすれば、収益性も上がるでしょう。利益になった分はキャンペーンや特典などに充填すればユーザーに還元できます。
課金の値段も決済手段も自由に設定できます。ユーザーの属性やニーズに応じた柔軟な金額設定が可能です。課金の負担率が下がれば、ポイントで差し引いたり、キャンペーン期間中の特別価格を設定したりと、柔軟な決済手段の提供が可能となり、アプリの認知度を上げ、新規ユーザーの取り込みなどの販促ツールとしても活用の幅が広がります。
ユーザーにとっては、さまざまな決済手段を選べるため、一人ひとりの事情にあった決済方式を選択できるというメリットがあります。
アプリ外課金のデメリット
一方、アプリ外課金は、独自に決済の仕組みを用意する必要があり、初期設定や運用のハードルが上がります。
また、課金する際に、アプリから一旦離れて外部のウェブサイトへ遷移する必要があり、ユーザーにとっては利便性が下がり、面倒になって途中での離脱が増える可能性があるでしょう。手間がかかった不快さから、アプリの使い勝手が悪くなったと評価される場合もあるかもしれません。
また、セキュリティー面での懸念も残ります。アプリ運営や決済システムの稼働の安定性や、取り扱い情報の安全性についても自前で品質を保つ必要があります。
Squareなら簡単に導入&手数料負担を抑えることが可能
アプリ課金は、ゲーム以外の分野でも成長が著しいとされています。特に注目されているのはサブスクリプション型のアプリです。コロナ禍でインドア生活に関連するデジタルコンテンツが充実したこともあり、課金型の収益モデルは拡大し続け、これまでの主力だった広告収入型モデルから移行してきています。
動画、音楽配信、電子書籍やニュース記事などのデジタルコンテンツの他、デジタル以外のものもクレジットカードによるアプリ課金を活用し、多様な展開を見せています。花やグリーン、食品、衣類、靴、家具、寝具など、日常生活のさまざまな領域にサービスが浸透しつつあるほか、健康管理や翻訳、音声起こしなどのビジネス展開も成長が見込まれています。今後ますますウェブサイトとアプリの連携は重要になってくるでしょう。
自力でシステム構築する際に重要視したいのが、シームレスな決済の手続きです。事業者にとってのシステム導入の簡易さはいうまでもなく、ユーザーにとってもシンプルで分かりやすい決済方法だと安心です。
決済代行会社のSquareでは、オンラインとオフラインの両方に対応した決済サービスを提供しています。アプリ外課金を導入したい場合、Square リンク決済を利用して簡単に決済用のリンクを作ることができます。Square リンク決済にはサブスクリプション機能や自社ウェブサイトに決済機能を統合できるAPI機能もあり、設定も簡単です。さらに、実店舗も運営しているた場合、Squareの決済端末やSquare POSレジアプリを利用することで、オンラインとオフラインの両方の決済情報を統合できます。多様なチャネルを横断した決済が実現し、簡単に管理できるでしょう。
Squareは、Visa、Mastercard、American Express、JCBなど主要なクレジットカードのほか、電子マネーやQRコード決済などクレジットカード以外の決済手段にも対応しています。決済代金は早ければ翌営業日に振り込まれ、振込手数料無料、決済手数料は3.25%〜とリーズナブルです。システムの申込みはオンラインで簡単にでき、審査に通過すれば最短当日から決済システムの利用が可能です。
ECサイト不要でオンライン販売が可能に
Square リンク決済なら会計リンクを作成しSNSやメールで共有するだけ。ECサイトがなくても誰でも簡単ににオンライン販売が可能です。
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Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2022年10月13日時点の情報を参照しています。2024年7月5日に記事の一部を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash