アプリ課金とは?種類やメリット・デメリット、おすすめの決済方法を解説

スマートフォンやタブレットなどモバイル端末が普及し、ちょっとした待ち時間や休憩時間にアプリを立ち上げてコンテンツの閲覧や動画などの視聴、ゲームといったアプリサービスを楽しむ人が増えています。自分の好みのサービスやコンテンツを吟味し、いつでもどこでも気軽に楽しめるようになりました。

アプリ課金の市場規模が最も大きいのはゲーム関係ですが、そのほかのジャンルでも、動画や音楽の配信、マンガやニュースなどさまざまなコンテンツで応用が可能です。アプリ課金は、これからのデジタルコミュニケーション社会では不可欠な決済方式といえるでしょう。本記事では、新しいビジネスチャンスを広げるアプリ課金について、どのような種類があるのか、どんなものが販売されているのかといった概要と、課金方法別にメリット・デメリットを解説します。

📝この記事のポイント

  • アプリ課金は「アプリ内課金」と「アプリ外課金」に分かれ、利用方法や収益性が異なる
  • 世界のアプリ内課金市場は急成長しており、特にアジア太平洋地域の成長が早い
  • アプリ内課金は利便性が高いが、手数料が高額で事業者の負担が大きい
  • アプリ外課金は手数料を抑えつつ決済手段を柔軟に選べるが、ユーザー離脱や運用負担のリスクがある
  • Squareを利用すればアプリ外課金を簡単に導入でき、手数料負担を抑えてオンラインとオフラインの決済を統合可能

目次



アプリ課金とは

アプリ課金は、ユーザーがスマートフォンなどのモバイル端末にアプリをダウンロードした後、そのアプリを利用する中で有料設定のコンテンツや機能を追加し、該当する料金を支払う仕組みです。

アプリ課金には、「アプリ内課金」と「アプリ外課金」があります。いずれもアプリの中から発注して料金を支払うのですが、課金手続きの方法や収益性、利便性が異なります。

ここで注意したいのは、有料版アプリと課金の違いです。有料アプリは、アプリをダウンロードする時点で支払いが生じますが、アプリ課金はアプリをダウンロードする時点では有料か無料かは無関係で、アプリのサービスを利用する中で料金の支払い(課金)の必要が生じます。

つまり、ユーザーが「アプリでお金を使った」と表現した場合、以下の3パターンがあるといえます。

パターン ダウンロード時 アプリ内利用時 支払いの有無
① 有料版アプリをダウンロードし、アプリ内は無料で使用 有料 無料 ダウンロード時のみ課金
② 有料版アプリをダウンロードし、アプリ内でも課金 有料 有料 ダウンロード時+利用中に課金
③ 無料版アプリをダウンロードし、アプリ内で課金 無料 有料 利用中のみ課金

本記事では、アプリが無料版・有料版のいずれかを問わず、アプリを利用する中での課金について解説します。

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アプリ内課金

アプリ内で直接支払う課金方式です。アプリを管理するプラットフォーム(ストア)を経由して料金を支払います。アプリをダウンロードする際、ストアから「アプリ内課金あり」などの表示が出されることがあります。これがアプリ内課金です。

決済はAppleやGoogleといったプラットフォームに設置された決済機能が用いられます。このため、ユーザーが顔認証や指紋認証で確認するだけで課金が確定するしくみになっていて、気軽に利用できます。

一方、アプリ内課金では、決済がプラットフォーム指定の方法に限定されるため、ユーザーの選択肢が限られます。また、コンテンツやサービスを販売する事業者側にとっては、手数料の選択肢がなく、料率も高めで大きな負担となる可能性があります。

アプリ内課金は英語でIn‑App purchase(IAP)と呼ばれており、世界的な市場規模は2024年に1,957.4億米ドルに達し、2025年から2034年の予測期間に年平均成長率(CAGR)20.70%で成長し、最終的には2034年に1兆2,845.5億米ドルに達すると見込まれています1

とくにアジアは成長が速い市場のようです。

アジア太平洋地域は、アプリ内課金において最も成長の速い市場の一つであり、その背景には巨大かつ多様なユーザーベースがあります。中国、日本、韓国といった国々はテクノロジーの先進国であり、モバイルユーザーの利用意欲も非常に高いのが特徴です。モバイルゲーム、デジタルコンテンツ、eコマースが市場の主要な成長要因となっており、消費者は積極的にアプリ内課金モデルを受け入れています。
– In-App Purchase Market Growth Analysis Report - Market Size, Share, Forecast Trends and Outlook (2025-2034)1

アメリカでは2024年のアプリダウンロード数が123億回と、前年の126億回から減少した一方で、アプリ内課金収益は16%増加して524億ドルとなったと報告されています2

アプリ外課金

アプリの中に自社サイトへと誘導するリンクを貼るなどして、アプリの外で決済する課金方式です。アプリと自社サイトの両方で同じサービスを提供している場合、アプリからの流れを自社サイトに誘導することで統合できるメリットがあります。

また、アプリ内課金の場合の課題だった高額な手数料についても改善できるでしょう。抑えられた手数料分をポイント還元や割引、キャンペーンなどの販促に活用することも可能です。ユーザーにとっても、支払い方法の選択肢の幅が広がるメリットがあります。

一方で、アプリ内でサービスを利用している時に、外部のウェブサイトへと遷移して決済手続きを別途進める手間があり、面倒に感じたユーザーが途中で離脱するリスクがあります。また、事業者にとっても、自社で課金システムを導入し責任をもって運用する必要があり、手間は増えるでしょう。決済システムのセキュリティー管理などについても独自の対策が必要です。

SBペイメントサービスが2025年に実施した調査3では以下のような結果が出ています。

アプリ外課金の意向

  • 経験ありは全体で24.3%。特に20代が40.6%、30代が34.6%と高い
  • お得であれば「利用したい」と考える月3万円以上課金する「課金層」は66.7%、ふだん課金しない「非課金層」は25.4%
  • アプリ外課金で利用したい決済手段は「PayPay」と「クレジットカード決済」

アプリ課金の種類

アプリ課金には、収益モデルの種類により、消耗型・非消耗型、自動更新・非自動更新の4類型に分けることができます。

消耗型

料金を支払って獲得したものを一度の使用で終了する課金方式です。使い切りのため、必要になるたびに何度も支払うことになります。

消耗型のアプリ課金には、ゲーム内で使える通貨やアイテム、特別なキャラクターの入手、キャラクターなどを養うための食物や薬など、ゲームをグレードアップし、より楽しむために必要なものの購入や、くじ引き(ガチャ)を行うための支払いなどがあります。

SMBCコンシューマーファイナンス株式会社の「20代の金銭感覚についての意識調査2025」4ではゲーム課金について以下のような結果が出ています。

20代のゲーム課金への意識

  • 「お金を使ってでもゲームを有利に進めたい」17.9%、「お金を使わないと楽しく遊べない」20.8%、
  • 「ゲーム課金をしている」21.6%、かけている金額は平均4,247円/月
  • 「ゲーム課金で生活に困ったことがある」18.8%、「ゲーム課金に後悔したことがある」23.9%

非消耗型

一度の支払いで購入したコンテンツや機能を永続的に利用できるようになる課金方式です。課金により、コンテンツやアプリの機能を充実させ、より自分好みの快適な形にカスタマイズできるともいえるでしょう。機種変更の際も課金済みの機能を引き継げる可能性があります。

非消耗型のアプリ課金には、無料版アプリでは使えない機能の追加などアプリの制限の解除、電子書籍やマンガなどデジタルコンテンツの閲覧制限の解除、広告の非表示などがあります。

自動更新サブスクリプション

一定の期間に一定額の料金を支払う契約により、期間内であれば所定のサービスを自由に利用できる課金方式です。契約は期間が過ぎても自動更新されるため、ユーザーは解約するまで持続的に利用できます。半年払いや年払いなどの長期払いでは毎月払いより割安な料金設定となっていて、長い期間利用するほどお得なサービスになっている場合もあります。

自動更新サブスクリプションのアプリ課金には、動画ストリーミング、音楽配信、ラジオ、画像素材などのコンテンツ利用のほか、新聞、雑誌など定期刊行物の情報コンテンツの利用、電子書籍の読み放題サービス、マッチングアプリのサービス利用、各種プラットフォームのサービス利用などが挙げられます。

ちなみにアメリカのアプリ内課金に関する調査2によると、マッチングアプリに年間23億ドルが費やされているようです。

非自動更新サブスクリプション

期限付きでサービスを利用する定額の課金方式です。自動更新と異なり、契約期間を過ぎると利用できなくなるため、継続したい場合はその都度契約し直して料金を支払います。契約更新の手間はかかりますが、自動更新されない分、うっかり契約解除を忘れて課金し続けるリスクは回避できます。

非自動更新サブスクリプションには、キャンペーンなど期間限定のコンテンツやサービスの利用、期間内であればゲームのコンテンツを自由にダウンロードしプレイできるシーズンパス、スポーツやエンターテイメント、イベントなどの動画配信の期間限定閲覧、ソフトウェアやデータベースの期間限定利用などがあります。

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アプリ課金で販売可能なもの

アプリは、スマートフォンやタブレットなど、デジタルデバイスにインストールされるため、アプリ課金はデジタルコンテンツの利用やアプリの機能強化が基本となります。

特にアプリ内課金の場合は、決済もアプリと紐づくプラットフォームの決済方法や規定の課金額に限られるため、実物の販売は難しいでしょう。商品発送やサービス提供を行う場合、クレジットカードによる決済システムが必要となります。アプリ外課金の場合は、アプリから自社のウェブサイトに誘導し、独自の決済方法をとることができるため、実際の商品の発送やサービス提供など柔軟に対応することが可能です。

とはいえ、公序良俗に反するなど、アプリに紐づくプラットフォームのポリシーに違反するような不適切なコンテンツは扱えません。また、誹謗中傷などの名誉を毀損するものや、著作権・肖像権・商標など権利違反になるものも販売できないため、販売するコンテンツの品質管理には十分な注意が必要です。

アプリ課金で販売されるものには、大きく分けて、コンテンツ、アプリの追加機能、サービスの3種類があります。

コンテンツ

アプリ課金で販売されるコンテンツには以下のようなものが挙げられます。

  • ゲーム内のキャラクターやアイテム、アプリ内通貨
  • ゲームの特別キャンペーン、期間限定のコンテンツダウンロード(シーズンパス)
  • チャットなどメッセージ用アイテム(スタンプなど)
  • 電子書籍、マンガ、新聞、雑誌、ニュース記事などの文書コンテンツ
  • 写真、イラスト、画像などのビジュアルコンテンツのダウンロード
  • 動画や画像を加工するフィルター機能

アプリの機能追加、拡張

アプリ課金で利用可能となるアプリの追加機能には、以下のようなものが挙げられます。

  • 無料版アプリで制限されている機能の解除
  • 音声起こし機能、翻訳、他ソフトとの連携など特殊機能の拡張
  • 広告の非表示

サービス

アプリ課金で利用可能となるサービスには、以下のようなものがあります。

  • データの保管、容量の拡大、保存期間の延長
  • 動画配信による閲覧、音楽配信・ラジオの聴取

アプリ内課金とアプリ外課金のメリット・デメリット

ここからは、アプリ内課金とアプリ外課金の違いをメリットとデメリットの二つの側面からみていきましょう。

アプリ内課金のメリット

アプリ内課金の良い点は、App StoreやGoogle Playなどのアプリが紐づくプラットフォームの仕組み内で支払いが完結するため、簡単な認証作業だけで支払いを終えることができて利便性が高いところにあります。

ユーザーは、アプリから出て外部のウェブサイトなどに遷移する必要がありません。課金が完了するまでの手間が少なく、手軽に利用できます。

アプリの運用側にとっても、あらかじめ完成されたプラットフォームの仕組みを利用することにより、課金システムをゼロから自社で構築する必要がないのは、初期設定の導入のハードルを低く抑えることができるでしょう。

アプリ内課金のデメリット

一方、アプリ内課金では、AppleやGoogleといったプラットフォーム企業に対し、販売額の15%から30%程といわれる高額の手数料を支払わなければなりません。手数料の負担の大きさがアプリ運用の維持にも影響を与えてしまう可能性があります。

また、課金の金額設定についても、プラットフォームの価格テーブルに合わせて行う必要があります。自由な値付けでアプリの独自性を出すことはできません。ユーザーからみた場合、プラットフォームが定める決済手段以外で支払えない点がデメリットといえるでしょう。

アプリ外課金のメリット

アプリ外課金の場合、プラットフォームへ支払う手数料負担がありません。クレジットカード決済など別のシステム利用料が必要になりますが、アプリ内課金の負担率より低いものにすれば、収益性も上がるでしょう。利益になった分はキャンペーンや特典などに充填すればユーザーに還元できます。

課金の値段も決済手段も自由に設定できます。ユーザーの属性やニーズに応じた柔軟な金額設定が可能です。課金の負担率が下がれば、ポイントで差し引いたり、キャンペーン期間中の特別価格を設定したりと、柔軟な決済手段の提供が可能となり、アプリの認知度を上げ、新規ユーザーの取り込みなどの販促ツールとしても活用の幅が広がります。

ユーザーにとっては、さまざまな決済手段を選べるため、一人ひとりの事情にあった決済方式を選択できるというメリットがあります。

アプリ外課金のデメリット

一方、アプリ外課金は、独自に決済の仕組みを用意する必要があり、初期設定や運用のハードルが上がります。

また、課金する際に、アプリから一旦離れて外部のウェブサイトへ遷移する必要があり、ユーザーにとっては利便性が下がり、面倒になって途中での離脱が増える可能性があるでしょう。手間がかかった不快さから、アプリの使い勝手が悪くなったと評価される場合もあるかもしれません。

また、セキュリティー面での懸念も残ります。アプリ運営や決済システムの稼働の安定性や、取り扱い情報の安全性についても自前で品質を保つ必要があります。

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Squareなら簡単に導入&手数料負担を抑えることが可能

アプリ課金は、ゲーム以外の分野でも成長が著しいとされています。特に注目されているのはサブスクリプション型のアプリです。コロナ禍でインドア生活に関連するデジタルコンテンツが充実したこともあり、課金型の収益モデルは拡大し続け、これまでの主力だった広告収入型モデルから移行してきています。

動画、音楽配信、電子書籍やニュース記事などのデジタルコンテンツの他、デジタル以外のものもクレジットカードによるアプリ課金を活用し、多様な展開を見せています。花やグリーン、食品、衣類、靴、家具、寝具など、日常生活のさまざまな領域にサービスが浸透しつつあるほか、健康管理や翻訳、音声起こしなどのビジネス展開も成長が見込まれています。今後ますますウェブサイトとアプリの連携は重要になってくるでしょう。

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執筆は2022年10月13日時点の情報を参照しています。2025年9月1日に記事の一部を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash