フリーミアムとは?そのメリット・デメリット

基本のサービスや製品を無料で提供し、上位機能などに課金し収益をあげるフリーミアム(freemium)というビジネスモデルがあります。フリーミアムという言葉が知られるようになってから10年以上経ち、さまざまな企業が利用しています。

今回は、フリーミアムについてそのメリット・デメリット、どのように取り入れたらよいか紹介します。

フリーミアムとは?

フリーミアムの概念は2006年に投資家のフレッド・ウィルソン氏が提唱したものです。「フリー」(無料)と「プレミアム」(割増)を組み合わせた造語で、雑誌WIREDの編集長クリス・アンダーソン氏が注目し紹介したことで有名になりました。

『フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略』という書籍も出版されました。10年ほど前の書籍ですが、名前に聞き覚えがある、人目を引く青いカバーに見覚えがあるという人もいるかもしれません。アンダーソン氏はフリーミアムのモデルを実践するべく、この書籍を当初インターネット上で公開し、フリーミアムがビジネスモデルとして有効であることを検証したといいます。

参考:

知っておきたいIT経営用語 フリーミアム」(日経 XTECH)
独占インタビュー!『FREE』著者のクリス・アンダーソンが語る「無料経済を勝ち抜く企業と個人の条件」(DIAMOND online)
フリー <無料>からお金を生みだす新戦略(NHK出版)

フリーミアムのビジネスモデルは、基本のサービスや製品を無料でお客様に提供し、上位機能などに課金し収益をあげるというものです。昔からあるフリーミアムの典型としては、まだインターネットからソフトウェアをダウンロードするのが一般的でなかった時代に、雑誌の付録としてソフトウェアの体験版がついてきていたことなどがあります。

また、現在身近なフリーミアムのサービスとしては、会員登録をすると本数限定で無料で記事を読めて、以降は有料になる新聞をはじめとするニュースメディア、基本的な機能を無料で提供しオプションで課金をするスマートフォンアプリ、最初の数ギガバイトを無料で提供するウェブメールやクラウドストレージなどがあります。フリーミアムという言葉を聞くのは初めてという人も、これらのサービスを日常的に利用しているのではないでしょうか。

10年ほどかけて広く知られるようになったフリーミアムについては、国もICTやアプリビジネスといった観点から注目し、平成27年版と平成28年版の総務省情報通信白書の中でフリーミアムについて言及しています。

参考:
平成27年版 情報通信白書 グローバル市場の動向(総務省)
平成28年版 情報通信白書 ICTの貢献の多様性

フリーミアムのメリット、デメリット

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フリーミアムの最大のメリットとして、無料で基本的なサービスや製品を提供することで、お客様にサービスや製品のよさを気軽に体験してもらえる点があります。アップグレードしたり、オプションを購入したりする際にも、お客様は無料で体験していることからある程度安心して代金を支払うと考えられます。

サービスを利用したお客様の口コミも期待でき、口コミを見た潜在的なお客様も無料版があることでとりあえず利用してみようという集客の好循環を生み出すことができます。また、事業者側では、お客様にまずは体験してもらうことで、お客様から得られるフィードバックが多くなり、迅速な製品やサービスの改善はもちろん、さらなる集客にもつなげることができます。

しかし、事業との親和性を十分に考慮せずにフリーミマムを取り入れると、無料でサービスや製品を提供するだけに終わってしまう可能性もあります。フリーミアムを取り入れる前に事業や提供するサービスや製品をよく分析して、何をどこまで無料で提供し、どこから有料とするのか十分に検討しましょう。

フリーミアムは一般にソフトウェア、ゲーム、動画、音楽配信といった複製にコストがかからないサービスと相性がよいといわれています。また、クラウドストレージなど低いコストで無料版を提供できるサービスにも有効なモデルでしょう。

事業の相性とともにお客様の心理を考えることも重要です。無料版を提供するにあたって、お客様に製品やサービスがなくてはならないものだと実感してもらわなければなりません。無料版でお客様の心を掴むような戦略が必要です。デジタル関連のサービス以外でも、無料体験のあと「きっと利用するだろう」「契約しておけば便利だろう」とお客様に思ってもらえれば、継続的な安定収益を期待できるでしょう。

フリーミアムが注目を集める一方、インターネットが浸透する過程で多くの消費者が無料のサービスに慣れてきています。サービスや製品によっては無料版を提供して、お客様を囲い込むようなビジネスをデザインしても、お客様がお金を支払うことにためらいを感じるものもあるかもしれません。そのような場合はフリーミアムだけではなく、広告収入など別の収益化の方法を考えることも有効です。

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フリーミアムを取り入れるには

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フリーミアムを検討するにあたって、まずは現在提供している製品やサービスを洗い出し、分析してみるところからはじめましょう。フリーミアムとの相性がよさそうだとわかったら、無料で提供するもの、有料で提供するものを決めます。分析に基づいて製品やサービスを提供して、実際にお客様の反応を数週間、数ヶ月という単位で観察します。

最初はフリーミアムがうまく機能しないこともありますが、少し設定を変えてみると、フリーミアムが機能し始める場合もあります。たとえば無料で10本の動画を配信していたところを5本にしてみるといった具合にフリーミアムのパラメーターを変更し、テストを繰り返し最適な設定をみつけましょう。

しかしながら、フリーミアムを取り入れたからといって即集客や増収につながるわけではありません。フリーミアムと合わせて、事業の基本である魅力的な製品やサービスを提供すること、そしてソーシャルメディアなどでのアピールも忘れずにしましょう。フリーミアムでお客様を製品やサービスのとりこにして、口コミとの相乗効果で集客、収益増を目指してみてはいかがでしょうか。

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執筆は2018年10月1日時点の情報を参照しています。
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