注目の販売手法!ライブコマースとは

ライブ配信を利用し、リアルタイムで消費者とコミュニケーションをとりながら商品紹介を行うライブコマースは、ECサイトの新たな販売方法として注目を集めています。本記事ではライブコマースの特徴や仕組み、ライブコマースを販売方法として利用するメリットや注意点などについて解説します。

目次



ライブコマースとは

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自社のECサイトやSNSでライブ配信をしながら、商品を紹介し、販売する手法です。テレビショッピングと似ていますが、視聴者はチャット画面などを通して商品やサービスに関する疑問や、気になることをリアルタイムで質問できます。配信者はその場で質問に答えることができるので、実店舗で買い物をしているような感覚と、インターネットショッピングの利便性の両方を視聴者に提供できます。

ライブコマースの仕組み

商品を売りたいメーカーや販売事業者が、自社の販売員やインフルエンサーを起用して自社のECサイトやSNSを通じて販売を行います。インフルエンサーを起用する場合、販売総額に応じた報酬、固定金額の報酬、もしくはその両方を組み合わせた報酬が支払われるケースが多いようです。、費用はかかりますが、認知度が高くフォロワー数の多いインフルエンサーであれば、商品の拡散力が高まり、新規顧客層の獲得が見込めます。インフルエンサーの起用にはインフルエンサーと直接契約をする他に、キャスティング会社やインフルエンサーマーケティング会社を利用する手段もあります。

ライブ配信では、自社の販売員やインフルエンサーが商品の使用感や利用方法、具体的な特徴などを伝え、視聴者は商品に関する質問の他に「商品の後ろを見せて」「もう少し近くに寄って見せて」など要望を伝えることも可能です。配信者とリアルタイムでコミュニケーションをとり、購入前に不明点が解消できる安心感や、ECサイトでのショッピングでは味わえない臨場感が得られるのはライブコマースならではの特徴です。ライブコマースで取り扱われる商品はアパレル、食品、コスメ、アウトドアグッズなど多岐にわたります。

ライブコマースの先進国・中国

ライブコマースが最も盛んな中国では、2016年にアリババ傘下で圧倒的な人気を集めるECサイト「淘宝(タオバオ)」がマーケティングツールとしてライブ配信を始めたことをきっかけに、他の大手EC企業やSNSプラットフォームも次々とライブコマースを導入しました。2021年のライブコマースによる商品の売上額は日本円に換算して約34兆5,000億円(予測値)から、2022年には約55兆2,000億円(予測値)と前年比60%増に達する見込みとなっています。

短期間でこれだけの成長を遂げた背景には、新型コロナウイルス感染症の影響が大きいといえます。感染拡大により「巣ごもり需要」が増え、店舗閉鎖などが相次いだ2020年の2月にタオバオがライブコーマスの手数料を無料にしたところ、同月の新規登録店数が前月の約7倍にも増加しました。その他にも流通が停滞し、農産物が出荷できなくなった農村がライブコマースを通して80トン以上ものパパイヤを販売することができたなど、オンライン事業者のみならず多くの生産活動を支えています。

参考:新たなEC手法として存在感を高めるライブコマース(中国)ジェトロ(日本貿易振興機構)
中国では売上高30兆円を超える販売手法、「ライブコマース」とは(日経クロステック)

日本におけるライブコマースの現状

国内におけるライブコマースの認知度はまだ低く、2019年に実施された調査によると認知度は約22%でした。2020年に入ると株式会社資生堂やユニクロといった日本の大手企業がライブコマースへの取り組みを始め、少しずつ認知度は上昇しています。しかし、ライブコマースの成長が著しい中国などと比較すると、まだまだ「消費者の生活に密着したもの」にはなっていないのが現状です。

日本でも新型コロナウイルス感染症の拡大によって、テレワークや遠隔授業、オンライン配信など生活のさまざまなシーンで「ライブ配信」が取り入れられるようになりました。これまで、ライブ配信は芸能人やインフルエンサーが視聴者に向けて一方的にするものというイメージが強くありましたが、徐々に双方向的な性質を持つコミュニケーションツールとして浸透しているのではないでしょうか。リアルタイムで商品の不明点を解消できる安心感や、お店で買い物をしているかのような臨場感、場所を問わずに買い物ができる利便性からも、ライブコマースが消費者の生活に欠かせないものになるのも、そう遠くはないかもしれません。

参考:ライブコマースの動向整理 2020年6月(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)

ライブコマースのメリット

メーカーや販売事業者にとってライブコマースにはどのようなメリットがあるのか見てみましょう。

新規購買層の開拓が見込める

フォロワー数の多いインフルエンサーや有名人が商品の宣伝をすることで、新たな購買層への訴求が見込めます。また、ECサイトでは得られる情報が限られているため、なかなか購入に踏み切れないという顧客層の取り込みも見込めます。

商品やサービスの良さや特徴を伝えやすい

ECサイトにおける販売では、商品やサービスの良さをダイレクトに伝えることが難しい点がデメリットだといえます。商品を直接手にとって確認できないことを不安に感じる消費者は多いでしょう。その点、ライブコマースでは実際の使用感を伝えることができるので、疑問を解消し、その商品を使うイメージを持ってもらいやすく、購入へのハードルが下がることが期待できます。

購入検討から実際の購入までがスムーズになる

ライブ配信を見て、「これが欲しい!」と思えば、ワンクリックでスムーズにECサイトや購入画面に直接移動できるのもライブコマースの特徴です。消費者の検索する手間を省くことで購買意欲を損なわず購入を促すことが可能です。

視聴者とコミュニケーションがとれる

視聴者はライブ配信を見ながら、商品について気になることや使用感などの質問をしたり、自分の要望や感想を伝えたりできます。配信者は視聴者とコミュニケーションを取りながら反応をリアルに感じ、より効果的な販売方法を探ることができるなど、効率の良いマーケティング手法になります。

ライブコマースにおける注意点

ライブコマースをするにあたり、事前に考慮しておくべき注意点を紹介しましょう。

配信者のスキルや知識が要求される

配信者には商品に関する知識はもちろんのこと、トークのスキルも求められます。ライブ配信は編集ができません。視聴者からの質問や要望にスムーズかつ正確に応えることができるよう、事前にありそうな質問を予測し、商品に関する情報を準備しておきましょう。特にインフルエンサーを起用する場合、自社の販売員と違って商品知識が少ないので台本などを準備しておくこともあります。

視聴者を獲得する必要がある

リアルタイムでライブ配信を視聴してくれる視聴者を獲得する必要があります。事前にSNSやECサイト上で繰り返し告知をしておきましょう。また、ライブ配信中も紹介している商品についてSNSなどに投稿することで、消費者をライブ配信に誘導することができます。

インターネットや機械のトラブルに気をつける

ライブ配信はスマートフォン1台でも行えるので手軽に始めることが可能です。しかし、配信は生放送なので、安定したインターネット環境を準備しておく必要があります。インターネットの接続障害などでライブ配信が中断してしまうとせっかく集まった視聴者を逃してしまいます。また、紹介する商品が家電や美容器具といった電子機器・機械の場合、事前に動作確認をしておきましょう。

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ライブコマースの導入事例

ここ数年でライブコマースの導入に踏み切る日本の大手企業も増えてきました。いくつか導入事例を紹介しましょう。

ユニクロ

2020年からスタートしたユニクロのライブコマース「UNIQLO LIVE STATION」は、販売員が商品を紹介し、ライブ配信中に紹介されているアイテムが表示されるので、気になった商品をその場ですぐに購入できる仕組みになっています。

株式会社ベイクルーズ

多数のファッションブランドを取り扱う公式通販サイトBAYCREW’S STOREで、2020年5月よりライブ配信「LIVE STYLING」を導入し、商品知識のある店頭でファッションアドバイザーとして活躍するスタッフや、バイヤーを起用してライブ配信をしています。

株式会社三越伊勢丹

2019年にライブコマースを開始し、毎回テーマを決めてライブ配信をしています。テーマはお中元やワイン、イタリア展、英国展、化粧品オンラインセミナーなど多岐に渡り、話題を集めています。

この章では大手企業の導入事例を紹介しました。3社それぞれが、自社ECサイトでのライブ配信を行っています。事業規模が小さい場合、自社ECサイトを構築してライブ配信のシステムを導入するには、時間やコストがかかり負担が大きくなってしまいます。次の章で、無料でECサイトを構築し、ライブ配信を始める方法を紹介します。「ライブコマースに興味がある」という事業者はぜひ参考にしてください。

無料で始めるライブコマース

気軽にライブコマースを始めたいのであれば、YouTubeが提供する「YouTubeライブ」や、Instagramのライブ配信機能「インスタライブ」がおすすめです。どちらも無料で利用できるので、「まず、試してみたい」という事業者はこの二つのライブ配信機能を検討してみるといいでしょう。

ECサイトも無料で構築できるサービスがあるので、調べてみましょう。決済代行サービスSquare では、無料でECサイトを開設できる「Sqare オンラインビジネス」を提供しており、テンプレートを利用して簡単にECサイトを作成することが可能です。商品が売れた際に発生する決済手数料3.6%(※)がかかるのみで、初めてのネットショップ運営でも負担なく始めることができます。

静岡県伊豆市にあるアウトドアショップSANKAKU STAND(サンカクスタンド)は、YouTubeのライブ配信やInstagram、Square オンラインビジネスを利用して全国各地にファンを増やしています。ぜひ、導入事例を参考に、検討してみてはいかがでしょうか。

※詳しくは決済手数料のページからご確認ください。

本記事では、ライブコマースの特徴や仕組み、メーカーや事業者にとってのメリットや注意点などについて解説しました。視聴者の獲得など難しい点もある反面、文字や写真だけでは伝わらない商品の魅力を消費者に伝えることができるメリットはECサイトに新たな可能性をもたらすといえるでしょう。

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執筆は2018年7月27日時点の情報を参照しています。2022年7月19日に一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash