会員制サービス・会員制ビジネスのメリットや成功事例を解説

会員制サービスを自社ビジネスに導入すると、安定した収益の確保だけではない多くのメリットが得られます。スポーツジムなどに代表される会員制サービスですが、他にも教育や美容などさまざまな業種に会員制サービスが取り入れられています。

この記事では、会員制サービスの運営のポイント、サービスの作り方、決済方法などを紹介します。

目次


会員制サービスとは何か

一度きりの買い物やサービス利用と比較して、会員制サービスは具体的に何が異なるのか、利用方法や課金方式などの観点から理解を深めましょう。

会員制サービスの概要

会員制サービスとは、会員登録をしたうえでの利用を前提としたサービスを指します。会員登録をしている人限定のサービスや料金体系を利用できることが、顧客側のメリットです。

会員制サービスと一口に言っても、その内容やビジネスモデルはさまざまです。レンタルオフィスやカーシェアリング、英会話スクール、オンラインサロン、スーパーマーケット、ゴルフクラブなど、定期的・継続的な利用が伴うビジネスと会員制サービスは好相性であることがうかがえます。

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会員制サービスの課金方式

会員制サービスの課金方式は、継続課金と都度課金の大きく2種類に分けられます。

継続課金 月額利用料や月謝、年会費などを支払ってサービスを利用する。
例)ヨガ教室、雑誌の定期購読、コワーキングスペース、レンタル家具など
都度課金 会員登録後、必要時に商品・サービスごとに料金を支払って利用する
例)レンタカー、ストックフォト、チケット予約サービス、会員制バーなど

会員制サービスの中には月額料金や年会費を払いつつ、商品やサービスの購入のたびに支払いをする「継続課金+都度課金」のビジネスモデルも存在します。その場合、一般利用者と会員とで異なる割引率や優待が設けられていることが多いようです。

会員制サービスの四つのメリット

会員制サービスを導入することは、ビジネス運営にとって短期的・中長期的なメリットがあります。

1. 安定収益の確保

会員制サービスは継続的・反復的に利用されるため、毎週、毎月などのペースで入る安定した収益源といえます。たとえば会員制ジムなら会員が増えるほど月額利用料の売り上げがアップし、ビジネスの将来を見通した計画も立てやすくなります。

2. 顧客のLTVの向上

LTV(ライフタイムバリュー、顧客生涯価値)とは、一人の顧客が自社サービスの利用開始から終了までの期間中に、その顧客から得られる利益を意味します。一度利用して終わりのサービスではLTVが低いのに対して、会員制サービスではLTVが高くなるのが特徴です。LTVの高い顧客を多く確保すれば、ビジネスの成長が加速することはいうまでもありません。

3. 顧客とのコミュニケーションの増加・活性化

会員制サービスを提供すると、必然的に顧客とのコンタクトが多くなります。会員制のパソコン教室や英会話スクールなどで授業の度に対面するのはもちろん、レンタルオフィスやレンタカーの利用予約など、コミュニケーションの機会が豊富です。コミュニケーションを通じてサービスの良さをアピールし、ビジネスにより親しみを感じてもらいやすくなることがメリットです。

4. マーケティングでの活用

会員登録やコミュニケーション、毎回のサービスの利用を通じて得た情報は、マーケティングに活用できます。会員情報を元にダイレクトメールを送る、客層を分析してサービスの作り方を改善する、アンケートに回答してもらうなど、多様な方法が考えられます。

オンラインの会員制サービスなら、会員のログインが多い時間帯を分析して、その時間帯にキャンペーン施策を打つことも可能です。

会員制ビジネスの成功のポイント

会員制のサービスやビジネスを始める場合、失敗を避けるためには次の四つのポイントを意識してみましょう。

収益につながるサービスの構築

会員制サービスにはメリットが多くありますが、収益構造がしっかり考えられていないサービスではビジネスにプラスの結果を生み出すことはできません。

まずは、会員制サービスという形で提供する意義を意識しながらサービス内容を考えることがポイントです。

価格の設定

会員制サービスの価格設定にあたっては、会員数を最低何人維持すると利益が出るかという損益分岐点を明らかにし、現状の設備で目標とする利益を実現できるか検討します。
新たに会員制ビジネスを始める場合は、設備や場所などへの投資額の回収期間も見定め、たとえば「会員一人あたり月額○円、○回まで利用可能」など、どのような設定にすると利益が出るのかを綿密に計算しましょう。

ユーザーをつなぎ止める仕組み作り

会員制サービスとして提供するからには、継続的・反復的に利用してもらうことが収益化の前提です。一度登録した会員ができるだけ長くサービスを使ってくれるよう、継続によって良い効果やメリットが生まれる仕組みを作ると安定収益につながります。

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会員管理システムの導入

会員制サービスの提供には、顧客情報の管理業務が必ず伴います。サービス開始の段階で会員管理システムを導入しておくことで、個人情報を安全に管理し、かつ請求やマーケティング活動に利用しやすい体制を整えておきましょう。

会員制ビジネスを始める手順

実際に会員制ビジネスを始める際は、次のようなステップでサービス設計やプロモーションを進めていきます。

1. サービス内容の策定

利益を生むだけでなく、顧客にとって満足感やお得感のあるサービス内容にすることも、会員登録数を増やすうえで重要です。会員制サービス以外のメニューとのバランスにも目を向けて、サービス内容を決めていきましょう。

2. 会員のペルソナの策定

会員制サービスの大枠が決まった時点で、ターゲットとする顧客のペルソナを設定します。ペルソナとは「顧客像」のことです。ターゲットの年齢、性別、職業、年収、考え方、行動パターンなどを具体的に想定し、よりターゲットの心をつかみやすい会員制サービスの内容や提供方法へと調整します。

3. 課金方式の策定

課金方式を決めるうえでのポイントは、会員制サービスの内容と顧客のペルソナに合わせるということです。継続的に毎月利用することが望ましいサービスなら継続課金、顧客の必要に応じて利用するタイプのサービスなら都度課金が理想的です。

4. 決済システムの導入

課金方式が決まったら、次は利用する決済システムを選択します。人の手で1件ずつ請求書を作成し入金を確認するという方法だと、会員が増加した場合に人員を増やす必要も出てくるなど、手間・コストの両面で非現実的です。会員制サービス開始の時点から決済システムを導入しておくことで、ビジネスを安定的に継続しやすくなります。

5. 集客・広報活動

会員制サービスの要となる会員数を増やすには、宣伝などのマーケティング活動が欠かせません。口コミや紹介、ソーシャルメディアなどを駆使した集客戦略と実施プランを立てておきましょう。

教育分野での会員制サービス

成功する会員制サービスを作るには、どんな業種・業態が会員制サービスと相性が良いかを知っておくと参考になります。継続や反復が結果を生む「教育」の分野では、次のような会員制サービスが人気です。

インターネット予備校

時間や距離の都合で予備校への通学が難しい人向けに、インターネット予備校という選択肢があります。通学型の予備校と近い双方向型の授業が受けられるリアルタイム配信方式の他、録画済みの講義で学習するオンデマンド方式もあり、いずれも会員にのみ提供します。オンデマンド方式は比較的低価格で利用しやすいことが特色です。

オンライン英会話教室

自宅などからオンラインで学べる英会話教室は、英語話者やプロの講師によるマンツーマンレッスンが主体の会員制サービスです。授業の1コマが対面型より短く、通学型より低価格で利用でき、予約時間の融通も利くことから、仕事や家事の合間に英語を習得できることが人気の秘訣といえます。

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プログラミング講座

社会人のスキルアップや子どもの習いごととしても注目されるプログラミング講座は、通学型とオンラインの2種類があります。近年は特にオンライン型のプログラミング講座が増え、ターゲットに応じたカリキュラムや開講時間を設定し、差別化を図っていくことがビジネス成功の鍵となりそうです。

絵本の定期便

幼児から小学生までの教育の一環として根強い人気を誇る絵本の定期便(定期購読)は、教育や書籍の専門家が選んだ絵本・児童書を毎月送付する会員制サービスです。会社によって、サイエンスなどのジャンルに特化した児童書、妊娠中の親向けの本などの定期購読サービスを併売しているケースもあります。

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レンタル自習室

資格取得やスキルアップ、大学受験などの勉強のためのスペースを提供する会員制サービスは、レンタル自習室や有料自習室と呼ばれます。会員に対して1カ月から1年の継続課金方式で専用デスクを貸し出し、ロッカーなどのオプションサービスも提供できます。

美容・健康分野での会員制サービス

近年増えている会員制サービスの例として、美容・健康分野が挙げられます。体のメンテナンスのために定期的に利用する必要がある美容や健康系のサービスは、会員制サービスとの相性が良いといえるでしょう。

ヘアカラーの定額染め放題

染めた髪の伸びてきてしまった部分だけを染めるリタッチは、美しい髪の維持に欠かせないものです。1カ月や3カ月などの期間中、定額で何度でも利用できる会員制リタッチサービスでは、お得かつ気軽にヘアカラーを維持できることが魅力です。

ネイルサロンの定期利用

ネイルカラーを施すネイルサロンでは、「月2回」や「2カ月に3回」といった頻度で利用できる会員制サービスを提供しているところがあります。ネイルサロンの利用者は2〜4週間に一度来店して爪を整えたり、デザインを変更したりすることが一般的であるため、定期利用の会員制サービスは来店を習慣化してもらう意味でも合理的です。

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コスメの試用

美容のプロがセレクトした海外や高級ブランドの化粧品のサンプルを、定額制の継続課金で毎月数品ずつ試すことができる会員制サービスも登場しています。どんな商品が届くかという楽しみを提供しつつ、個々の商品の宣伝にもなる点がメリットです。

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電動歯ブラシの定期便

歯を美しく清潔に保つために便利な電動歯ブラシは、ヘッド部分の替えブラシを定期的に購入する必要がある商品です。替えブラシを定期便として販売する会員制サービスでは、電動歯ブラシの継続利用を促進できると同時に、顧客にとってはヘッド交換を忘れることがなくなるメリットがあります。

フィットネス分野での会員制サービス

体を鍛える運動のためのジムは会員制サービスの定番ですが、フィットネス分野ではさまざまなニーズに対応したサービスが登場しています。

オンラインフィットネス&ヨガ

ジムの継続的な利用が難しくなる理由の一つは、通うための時間です。自宅でできるオンライン形式のフィットネスやヨガの会員制サービスなら、準備や移動の時間を節約し、子育てや仕事の合間にトレーニングができます。

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ジムのパーソナルトレーニング

プロの知識やアドバイスを活用しながら健やかで理想的な体を手に入れるパーソナルトレーニングは、幅広い年齢層に人気の会員制サービスです。個人の目的に応じたトレーニングの計画を立て、「週1回」や「月3回まで」などの定額プランで提供することが一般的です。

フィットネスのレッスン動画

オンラインのフィットネスであっても、自分のペースで参加したい人に向けてレッスン動画を配信する会員制サービスもあります。定額の継続課金の他、1動画ごとの都度課金のシステムも可能なので、ターゲットに合わせた課金方式を設定すると良いでしょう。

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トレーニング用品のレンタル

会員制サービスとして、筋トレ用のランニングマシン、ヨガマット、ピラティスボール、格闘技用品などのレンタルビジネスも存在します。個人のトレーニングはもちろん、短期合宿、イベント、撮影など幅広い需要をターゲットにした都度課金の会員制サービスです。

会員制サービスに「Square」を導入するメリット

会員制サービスを提供するには、料金の支払い管理の効率化は必須です。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などから使えるキャッシュレス決済サービスの「Square」には、会員制サービスの提供を効率化する機能がそろっています。

無料、かつ簡単に始められる

業務効率化ツールの中には利用コストの負担が大きいものもありますが、Squareは初期費用や月額利用料が無料です。必ず発生するコストは決済機能の利用時だけで、クレジットカードなどの決済手数料の数%だけという明快なサービス設計です。

専用アカウントを作成したら、対面決済向けの決済端末やオンライン決済向けの「Square 請求書」など必要なサービスを選んで簡単に使い始めることができます。

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シンプルで使いやすい

シンプルな画面デザインや操作性も、Squareが国内外の多数のビジネスで導入されている理由の一つです。パッと見て各機能の使い方が分かるので、導入にかかる手間が極めて少なく、従業員に使い方をレクチャーするための時間も短くて済みます。

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未払いの請求がすぐに把握できる

Squareの便利なサービスとして、必要事項を入力するだけで簡単に請求書や見積書を作って送れる「Square 請求書」があります。Square 請求書では、送った請求書の支払いステータスが未払い・支払い済みであるかを管理する機能や、相手に支払いを促す自動リマインダー機能などを活用できます。

自動送信で毎月の作業量を軽減できる

Square 請求書には、会員制サービスで役立つ「定期請求書」の自動送信の機能も搭載されています。たとえば毎月15日に会員に対して月額利用料を請求したい場合などに定期請求書の機能を使えば、1件ずつ請求書を作成・送付するより圧倒的に作業が軽減されます。

顧客データと請求内容が1カ所で管理できる

Squareは請求だけでなく顧客管理のシステムもセットになっているため、請求業務と顧客管理業務とで別々のデジタルツールを導入して連携させる手間がありません。パソコンなどでSquareにアクセスするだけで、顧客データと請求データの両方を一元管理できる点が魅力です。

会員制サービスにおけるデジタルツールの導入事例

実際に運営中の会員制サービスでは、Squareのような請求や顧客管理のツールを導入してビジネスを加速させている例が多々あります。代表的な事例を見てみましょう。

美容分野での導入事例

美容院の他、エステ、アイラッシュ、ネイルのサロンを運営する広島県の株式会社RITAでは、ヘアカットやカラーなどのサービスとシャンプーなどの自社製品が利用できるサブスクリプション型サービスを提供しています。月額料金の請求が発生するため、Square 請求書の定期請求書機能を活用し、請求業務の軽減を実現しています。株式会社RITAの事例について、詳しくはこちらで紹介しています。

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コワーキングスペースでの導入事例

軽井沢にある一室限定のホテル「232 work & hotel」に隣接したコワーキングスペースでは、24時間利用可能な定額プランの請求にSquare 請求書を利用中です。請求業務の負担が減るだけでなく、顧客にとっても支払いの手間が少なく、クレジットカード情報を登録してもらえば自動決済ができるため支払い遅延や未収の防止にも役立っています。232 work & hotelの事例について、詳しくはこちらで紹介しています。

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ECサイト不要でオンライン販売が可能に

Square リンク決済なら会計リンクを作成しSNSやメールで共有するだけ。ECサイトがなくても誰でも簡単ににオンライン販売が可能です。

Squareで会員制サービスを始めよう

Square 請求書には、定期請求書の送付だけでなく、顧客のクレジットカードから定期的に決まった金額を引き落とすことができる自動継続課金の機能も備わっています。ビジネスと顧客の双方の手間を軽減し、会員制ビジネスの成長をサポートします。

会計用のリンクを作成し、それをメールなどで顧客に送付するだけで支払いを受け付けることができる「Square オンラインチェックアウト」でも、支払い頻度を設定することで会員制サービスの定期支払いに対応可能です。詳しくは「【Squareガイド】Squareでサブスク決済を受け付けよう!でご紹介しています。

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いずれのサービスもSquareアカウントがあれば決済手数料のみで利用でき、高額な初期投資や月額料金なしで利用できることが魅力です。会員制サービスの開始には、Squareの導入をぜひ検討してみてください。

参考:
Square 請求書で定期送信または定期支払いを設定する
Square オンラインチェックアウトリンクを利用してサブスクリプションのお支払いを受け付ける


Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。

執筆は2023年12月26日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash