店舗やレッスンの予約を自社のウェブサイト上で受け付ければ、お客さまの利便性が高まるだけでなく、売り上げのチャンスが広がります。WordPress(ワードプレス)で作ったウェブサイトの場合、プラグインや外部のシステムを使えば予約システムを組み込むのも簡単です。この記事では、その方法や、プラグインと外部予約システムのメリット・デメリット、そしておすすめの予約システムを紹介します。
目次
- WordPressサイトに自作で無料予約システムを設置する方法
・1. 外部予約システムを使う
・2. プラグインを使う
・3. Google カレンダーを使う - 無料プラグインと外部予約システム、どちらを選べばいい?
・予約プラグインを使うメリット・デメリット
・外部予約システムを使うメリット・デメリット - WordPressに無料プラグインまたは外部予約システムを設置する際の注意点
・決済機能を利用できるか(予約システムとプラグイン)
・日本語に対応しているか(予約システムとプラグイン)
・コーディングしないでも使えるか(プラグイン)
・テーマなどを利用している場合、バッティングしないか(プラグイン) - 予約システム設置におすすめの無料プラグイン3選
・Booking Package
・MTS Simple Booking
・Salon Booking - 予約システム設置におすすめの無料外部システム3選
・Square 予約(決済機能あり)
・RESERVEN(決済機能なし)
・STORES 予約(決済機能あり) - WordPressに無料予約システムを設置するなら、Square 予約
・事前決済でキャンセルを防止
・リマインダーメールの自動送信で予約忘れを予防
・スマートフォンからでもパソコンからでも管理ができる
・顧客管理機能で予約・購入履歴の管理が可能
・POSレジとの連携で作業時間を短縮
・スタッフ管理機能でシフト調整もラクラク
・万全なセキュリティー対策 - まとめ
WordPressサイトに自作で無料予約システムを設置する方法
WordPressで作ったウェブサイトで、飲食店や美容サロンの予約を受け付けるには、サイト上に予約システムを組み込む必要があります。組み込むといっても一からシステムを開発するのではなく、外部の予約システムと連携する、あるいはWordPressのプラグインと呼ばれる機能を追加することが可能です。いずれも、専門知識がなくても導入できます。
1. 外部予約システムを使う
WordPressで作ったウェブサイトに予約システムを導入する方法の一つは、外部の予約システムとの連携です。WordPressとは関連のない会社が運営する予約システムを選んで契約し、ウェブサイト内に組み込んで表示させる、あるいはウェブサイトとリンクさせて別ページに遷移して予約システムを使えるようにします。
外部の予約システムには無料のものもありますが、顧客登録数が無制限、過去の予約情報が長期保存できる、事前決済ができる、自由度の高いデザインができるなど、高度な機能に対応したものは有料の場合もあります。無料で使える外部の予約システムとしてよく知られているのは、Square 予約、RESERVEN、STORES 予約などのサービスです。
2. プラグインを使う
プラグインとは、ウェブサイトに機能を付加するプログラムのことで拡張機能とも呼ばれます。WordPressで作ったウェブサイトに専用のプラグインを入れることで、サイト内に予約システムを設置できます。
WordPress向けには1,000種類以上のプラグインがリリースされており、多くは無料で利用可能です。具体的なプラグインの例は記事の後半で紹介します。
3. Google カレンダーを使う
Google カレンダーの予約スケジュール機能を使って予約ページを作成し、WordPressのサイトに設置するという方法もあります。予約が入ると自分のGoogleカレンダーにも自動で反映されるため、普段からGoogleカレンダーでスケジュールを管理している事業者には便利です。
ただし、無料で利用する場合は作成できる予約ページは一つだけです。そのため、1対1でサービスを提供するカウンセリングや美容サロンなどに向いている方法です。
無料プラグインと外部予約システム、どちらを選べばいい?
予約メニューが複数ある場合や、規模の大きな店舗の場合は、プラグインか外部予約システムのいずれかを選ぶのが現実的です。ここでは、それぞれのメリットとデメリットを解説します。
予約プラグインを使うメリット・デメリット
プラグインの主なメリットは、種類が豊富で、無料または低コストで使えるものも多い点です。そのため、予約メニューがシンプルな場合やオプションが限られるサービスなら、あまりコストをかけずとも予約システムを導入できます。さらに、直感的に操作できるものが多いため、ウェブサイト制作の専門知識がなくても必要事項を入力すれば完成するものがほとんどです。
ただし、プラグインは限られた機能を提供するものも多く、複雑な予約体系に向いているとはいえません。またプラグインを使った予約システムをWordPressに導入したあとは、定期的なアップデートも含めて自社で管理する必要があるため、労力や時間を要する点もデメリットといえるでしょう。
外部予約システムを使うメリット・デメリット
外部予約システムは機能が幅広く、複雑な予約にも対応しやすいのがメリットです。その多くは簡単な操作で高度な予約システムを導入できるうえ、困ったときのサポート窓口もあります。ほかにも、オンライン決済やPOSレジとの連携、顧客管理など予約以外にもさまざまな機能を備えたものもあり、売り上げや顧客情報などあらゆるものを1カ所でまとめたい事業者にはよいでしょう。
ただし、求める機能によってはコストが発生します。多くの予約システムには無料プランが用意されていますが、受け付けられる予約数や利用できる機能はサービスによって異なるため、確認が必要です。
WordPressに無料プラグインまたは外部予約システムを設置する際の注意点
WordPressのプラグインまたは外部予約システムを選ぶうえでは、求める機能のほかにも確認すべき点がいくつかあります。
決済機能を利用できるか(予約システムとプラグイン)
プラグインや外部予約システムのなかには、決済機能を備えたものがあります。予約と同時に決済まで受け付ければ、店舗での会計業務の負担が軽くなるだけでなく、無断キャンセル対策にもなります。そのため、せっかく予約システムを組み込むのであれば、決済機能のついているものを選ぶとよいでしょう。
日本語に対応しているか(予約システムとプラグイン)
一部のプラグインや外部予約システムは日本語に対応しておらず、英語を使って予約システムを設定する必要があります。ウェブサイトの管理に慣れていない、またはプラグインを使うのが初めてという場合は、日本語対応のプラグインまたは外部予約システムを選ぶと安心です。
コーディングしないでも使えるか(プラグイン)
WordPressの一部のプラグインはデザインの変更や自動返信メールの内容の編集に、HTMLやCSSを使ったコーディングを要することがあるため、確認してみましょう。たとえば、自動送信メール冒頭の宛名部分がデフォルトで「Dear」になっている場合、「様」に変えるために若干のコーディングが必要といったケースがあります。
テーマなどを利用している場合、バッティングしないか(プラグイン)
WordPressのウェブサイトでは、「テーマ」と呼ばれるデザインテンプレートを使うことがあります。テーマの設定と予約システムのプラグインがマッチせず、プラグインを入れるとレイアウトが崩れる、プラグインに負荷がかかって作動しないといったことがないか、バッティングを確認しましょう。
WordPressのウェブサイトに入れた各プラグインの負荷状況は、P3(Plugin Performance Profiler)などの専用プラグインを入れると調べることができます。
予約システム設置におすすめの無料プラグイン3選
WordPressで作ったウェブサイトにプラグインを入れて予約システムを作る場合、業種や必要な機能によって条件を満たすプラグインの種類を選択します。予約システムのプラグインには、主に以下のような種類があります。
- 1日単位での予約に対応(例:会場貸出、宿泊施設、レンタル品など)
- 時間ごとの予約に対応(例:美容室、飲食店、レッスンなど)
- 会場や時間が毎回異なるイベント予約に対応(例:セミナー、上映会、パーティーなど)
WordPressの代表的なプラグインのうち、予約システムとして使いやすいものを以下に挙げました。
Booking Package
Booking Packageは、1分単位から数日間まで幅広い時間枠の予約に対応したプラグインです。予約数に制限はなく、定休日の設定も可能です。飲食店、美容サロン、レッスン、宿泊施設などでの利用が考えられます。
【特徴】
- 予約単位:1分から
- 日本語対応:あり
- 確認メールの自動送信:あり
【有料版の機能例】
- オンライン決済
- メンバー登録
- サービスへのオプション追加
- 定員残数の表示
MTS Simple Booking
日本語での説明が充実したMTS Simple Bookingを使うと、詳細な設定が可能な予約システムを作れます。1日以内の予約に対応し、宿泊施設を除く多業種で利用可能です。
【特徴】
- 予約単位:10分から
- 日本語対応:あり
- 確認メールの自動送信:あり
【有料版の機能例】
- メンバー登録
- 問い合わせフォーム機能
- オプションメニューの追加
Salon Booking
Salon Bookingは1対1で提供するサービスや、メニューごとに時間・料金の異なるサービスの予約システムとして便利なプラグインです。美容サロンのほか、整体院やクリニックでの利用も可能です。スタッフの出退勤情報との連動、スタッフのサムネイル画像の表示もできます。
【特徴】
- 予約単位:1分から
- 日本語対応:あり
- 確認メールの自動送信:あり
【有料版の機能例】
- オンライン決済
- サロンの経営者やスタッフ向けのモバイルアプリ
- 予約の複製
予約システム設置におすすめの無料外部システム3選
外部予約システムは、サービスによって無料版と有料版で利用できる機能が大きく異なります。ここでは幅広い業種に対応できる三つのサービスについて、無料版の特徴と有料版の機能例を紹介します。
Square 予約(決済機能あり)
あらゆる業種に対応しているSquare 予約は、事前決済やPOSレジとの連携にも対応した予約管理システムです。無料プランでも予約数に制限はなく、さまざまな機能を使うことができます。また決済手数料がほかのサービスと比べてリーズナブルなのも特長です。
【無料版の特徴】
- 予約数:無制限
- オンライン決済機能:あり(決済手数料は3.6%)
- 自動リマインダー機能:あり
- スマートフォン対応:あり(iOSとAndroidアプリ)
【有料版の機能例】
- 複数店舗の予約管理
- ノーショー防止対策
- 複数スタッフ対象の予約
- 順番待ちリスト
Square 予約について詳しくは次の章で解説します。
RESERVEN(決済機能なし)
RESERVEN(リザーブン)は、Facebookアカウントがあれば会員登録せずに使える手軽な予約システムです。決済機能はなく、無料プランではさまざまな制限があるものの、シンプルにネット予約だけ利用したいという事業者には始めやすいサービスです。
【無料版の特徴】
- 予約数:無制限
- オンライン決済機能:なし
- 自動リマインダー機能:なし
- スマートフォン対応:あり
【有料版の機能例】
- プッシュ通知(iOSを除く)
- 予約者への前日メール
- 詳細なデザイン
STORES 予約(決済機能あり)
STORES 予約は180を超える業種に対応し、事前決済、回数券販売、顧客管理などを一括して提供するサービスです。無料プランで受け付けられる予約件数には制限がある一方で、有料プランが幅広く用意されており、事業の規模やニーズに合わせて選べます。
【無料版の特徴】
- 予約数:50件/月
- オンライン決済機能:あり(決済手数料は4.9%+99円)
- 自動リマインダー機能:なし
- スマートフォン対応:あり(iOSとAndroidアプリ)
【有料版の機能例】
- 自動リマインダー機能
- スタッフの指名予約
- グループ予約の受付
- キャンセル待ち設定
WordPressに無料予約システムを設置するなら、Square 予約
前項で紹介した外部予約システムのうち、特に無料で使える機能が充実しているサービスがSquare 予約です。その特徴を詳しく見ていきましょう。
なお、Square 予約で作成した予約専用ページは、既存のウェブサイトにウィジェットあるいは予約ボタンで追加できます。詳しい手順はこちらをご確認ください。
事前決済でキャンセルを防止
事前決済に対応したSquare 予約は、キャンセル対策として効果的です。来店前に決済を済ませることで、軽い気持ちでの「とりあえず予約」が減ることが期待できます。また、無連絡キャンセル(ノーショー)の防止対策機能を利用することで、万が一無連絡キャンセルが発生してもキャンセルポリシーに沿ってキャンセル料を徴収できるため、店舗の損失防止につながります。
リマインダーメールの自動送信で予約忘れを予防
Square 予約は、予約を受け付けるとお客さまに通知メールを自動配信します。これにより、予約内容に対する認識を揃えられるため、トラブルの可能性を最小限に抑えられます。
また、予約忘れや日時の勘違いを防止する際に便利なのが、リマインド機能です。前日のほか数日前、2時間前など複数の配信日時から選択できるうえ、メールには当日の注意事項や事前の準備物などを記載することも可能です。
スマートフォンからでもパソコンからでも管理ができる
モバイルアプリを提供しているSquare 予約なら、場所や時間を選ばずに予約状況を確認できて便利です。せっかく予約システムを導入しても、必要なタイミングやちょっとしたスキマ時間に予約状況をさっと確認できなければ、サービスをスムーズに提供できません。端末を問わず予約を管理できれば、変更やキャンセルが発生した場合も、空いた枠にすぐさま対応しやすくなります。
顧客管理機能で予約・購入履歴の管理が可能
Square 予約は、予約時にお客さまが入力した情報とあわせて、予約や決済の履歴を1カ所に蓄積します。お客さまが予約や決済をするたびにデータは自動で追加されるため、どのようなお客さまがどのくらいの頻度で来店しているのかなどを正確に把握できます。
そうしたデータの活用は、キャンペーン情報の発信や、お客さまとの交流を図るサービスの企画、新商品・メニューの開発など、リピート促進施策を実施するうえでも効果的です。
POSレジとの連携で作業時間を短縮
店頭販売も行っている店舗の場合、店舗のPOSレジで受け付けた支払いと予約システムでの事前決済を一元管理するのが理想的です。Square 予約はSquare POSレジと連動しているため、売り上げにかかわるすべてのデータを集約し、一連の事務処理作業を自動化できます。
スタッフ管理機能でシフト調整もラクラク
Square 予約は、スタッフ管理も効率化します。スタッフにアクセス権限を付与すれば、それぞれがカレンダーを管理または確認できるようになるため、マネージャーの負荷が軽減します。また、POSレジを使ってスタッフの出退勤を記録すれば、勤怠管理も簡単です。
万全なセキュリティー対策
PCI DSSという国際的なセキュリティー基準に準拠したSquareでは、お客さまが入力したクレジットカード情報などは暗号化され、安全なサーバーに送られます。また最新の機械学習と専門のスタッフが、決済を常に監視して詐欺被害を未然に防ぐため安心です。
まとめ
WordPressで作ったウェブサイトに、どのプラグインまたは外部予約システムを導入すべきか迷ったら、まずは複数のサービスから無料で使える機能を洗い出してみましょう。そうすれば、今は予約さえできればよいと考えていても、あれば便利な機能や今後の事業成長に必要な機能が見えてくるはずです。そうして機能が決まったあとに、簡単で安心して使えるものを選べば、導入すべき予約システムは自然と決まるでしょう。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2022年4月4日時点の情報を参照しています。2025年1月10日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash