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未来の顧客体験、OMOとは?小売デジタル化の先進国・中国の事例に見るヒント

Square (スクエア), ブログ編集者

スマートフォンや決済などのデジタルプラットフォームの普及に伴い、OMOという小売向けマーケティングのスタイルが認知されつつあります。OMOでは、快適な買い物体験をオンラインで提供するだけでなく、オフラインとの連携をスムーズにすることでよりストレスのない顧客体験につなげます。今後ますます注目度が高まると予想されるOMOについて、O2Oやオムニチャネルとの相違点、先進的な中国の事例の他、OMO導入のポイントなども紹介します。

OMOとは?

OMOとは、「Online merges with Offline(オンラインとオフラインの融合・併合)」を略した言葉で、主に小売業界で近年注目されているマーケティングの在り方の一つであり、ビジネスのスタイルでもあります。オンラインとオフラインを垣根なくどちらも顧客体験の一部分と捉えるOMOは、何より顧客にとって買い物の利便性や楽しさが向上し、買い物に関するストレスが軽減されることでさらなる購買意欲の刺激となることが魅力といえます。

OMOで何が可能になるか

たとえば、電球や電池のような、頻繁には購入しない商品について考えてみましょう。以前に自分が店頭で購入したものと同タイプの商品をインターネットで検索して購入しようとしても、型番や種類などをメモに控えておかない限り、同じものを探すことは困難でストレスが伴います。

しかし、OMOを導入した小売店の店頭で購入した場合、メンバーズカードなどを通じて顧客データベースに購入日や商品名などが記録されます。顧客データベースに蓄積された情報は、顧客個人が同店のウェブサイトにログインすることで、個人アカウントから確認が可能です。

こうして欲しい商品がわかったら、店頭と同じ商品を扱うEコマースのウェブサイトで購入ボタンを押し、支払い方法や受け取り方法を選ぶことで買い物は快適に完了します。このときの買い物情報もデータベースに蓄積され、顧客は個人アカウントを通じて後から確認することができ、購入履歴の傾向に応じてリピート購入の提案や新商品の情報をメールなどで受け取ることも可能です。OMOは購買行動だけではなく、生活そのものを快適にするような顧客体験に焦点を当てています。

このようにOMOの特長は、オンラインとオフラインとでシームレスな顧客体験を提供できることにあります。インターネットのブラウザ上やアプリを通して行われるオンラインショッピングは、従来、オフラインである実店舗での販売や訪問販売とは全く切り離されて考えられてきました。しかしOMOの考え方では、ECサイトと実店舗を別々の販売チャネルと捉えるのではなく、いずれもサプライチェーンにおける顧客体験の窓口の一つと捉え、それぞれの窓口の利点を生かしながらマーケティング効果を最大化します。OMOが目指すのは快適な顧客体験であり、そのためにさまざまなチャネルをデジタルで効果的につないで提供するという考え方がベースにあります。

O2OやオムニチャネルとOMOの違いは?

OMOへの理解を深めるためには、O2Oオムニチャネルという二つのマーケティングの考え方と比較してみるとOMOの特性が明らかになります。

O2O(Online to Offline)は「オンラインからオフラインへ」というその名の通り、オンラインとオフラインの連携を重視しています。たとえばオンライン(ウェブサイトやソーシャルメディア)で製品を宣伝し、その画面にクーポン券を付け、顧客は店頭でクーポン券を提示すると割引が受けられるといった手法がO2Oでは可能です。しかしO2Oで実現するのはあくまでオンラインとオフラインの「連携」であり、OMOのような「融合・併合」ではないため、オンラインとオフラインの間にはまだ垣根が存在します。

オムニチャネル(Omni Channel)とは、顧客があらゆる経路から商品を購入できる仕組み。オムニチャネル化すると、顧客は店頭だけでなく、カタログ、ECサイトなどさまざまなチャネルから購入手続きができるほかに、商品の受け取り場所も選ぶことが可能になり、買い物が便利になります。オムニチャネルは実店舗とECサイトの在庫管理を一元化して機会損失を防ぐなど購買行動にフォーカスした考え方であるのに対し、OMOは購買だけではない一連の顧客体験を中心に考えられているというのが最大の違いです。

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OMO先進国の中国経済から見る未来

OMO先進国と呼ばれる中国経済を例にとると、OMOの日常生活への浸透と未来への影響をうかがい知ることができます。その背景として、中国では2018年6月時点で中国全土でのモバイルインターネット(スマートフォンなど)の利用者数は8億人を超えとなり、年々増加しているという状況があります。検索や動画視聴に加えて、買い物、食事のデリバリー、配車サービスなど日常の多くの行動をスマートフォンを介して行うことが都市部や若年層を中心に一般化しています。中国ではもはや消費行動とインターネットは不可分の存在です。

参考:中国のインターネット利用者が初めて8億人を突破(2018年9月4日、日本貿易振興機構)

中国で2016年に登場した大型スーパーマーケットは、実店舗とECサイトの両方を持ち、OMOの象徴的な存在となりました。実店舗ではスマートフォンを使ったオンライン決済で無人レジを実現し、ECサイトからの注文には「3キロ圏内は30分以内で配送」をうたい、どこにいてもオフライン・オンラインを気にせず毎日の買い物ができるというシームレスで快適な顧客体験を提供しました。

最近ではOMOは小売業に普及しはじめ、業績の良いオンラインショップが顧客体験をバリューアップさせるために実店舗を出す例も珍しくありません。「実店舗で商品を試し、家に帰ってネットで最安値を探して買う」という行動は今の中国ではもう古いようで、OMOが顧客の消費行動に、ひいては経済システムの変化にスピード感を与えていることがわかります。

情報を自分で選択できる賢い消費者が増えるほど、「ポイントが付く」「割引がある」というだけのマーケティングでは商品の魅力をアピールすることは難しくなります。そんな時代にOMOを生かして本当にメリットのある顧客体験を提供することは、顧客の納得感を高め、同時に企業や商品への信頼の高めることにもつながるでしょう。

中国では、店頭の商品に付いたQRコードをスマートフォンで読み取って商品説明やレビューにアクセスでき、情報閲覧の記録はオンラインで蓄積され、顔認証やキャッシュレス決済からも来店情報などが蓄積される例もあります。これらの情報を分析し、さらに生活を便利にする情報が顧客に提供されるといった、OMOによるマーケティングの好循環も起きています。

参考:OMOでも顧客体験カギ(2019年12月24日、日本経済新聞)

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OMO導入のポイント

OMOを実際にビジネスに導入する場合、最大の鍵は「顧客体験」を中心に考えることです。短期的な消費促進や評判アップだけを志向せず、あくまで顧客体験の向上により商品やブランドに夢中になってもらうためにオンラインとオフラインを融合・併合すると想定すると、ブレないOMO施策が可能になります。

また、顧客体験のデータを収集し、いかに次の顧客体験へとつなげることができるかという点もOMO導入の必須ポイントです。ただ良い体験を提供して終わりではなく、提供し続けるためにはデータ分析と活用が欠かせません。継続的な顧客体験は、つまり企業側が顧客と頻繁に密な関係を持ち続けることを意味しています。

OMOの実践は、店頭とECサイトの在庫管理の一元化、店頭でのキャッシュレス決済の導入など、オンラインでのデータ管理に必要な要素を一つずつビジネスに取り入れるという方法もありますが、顧客の情報や行動記録を管理・分析するデータマネジメントプラットフォームなどのツールを導入するという方法も便利です。こうしたツールは分析結果を基に顧客に適したおすすめ商品を選ぶといった機能があり、OMOを効率的にサポートします。OMOでリスクなく顧客体験を向上させるために、ツール選びはセキュリティ面も重視しましょう。


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執筆は2020年2月26日時点の情報を参照しています。
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