美容室経営者必読!アフターコロナに向けたマーケティング戦略の立て方

マスク着用が個人判断にゆだねられるなど、コロナによる行動制限がなくなり、以前と同じように美容室を利用できる日々が戻ってきました。

ただ、生活が大きく変化したコロナ禍を経験したことで、お客様が美容室に求めることは変わりつつあります。直近の傾向をしっかりとキャッチし、アフターコロナでもリピート客が絶えない美容室になるには、どのようなマーケティング戦略が必要なのでしょうか。この記事ではコロナ禍で生まれたトレンドや、集客のために必ず取り組んでおきたいことを五つ紹介します。

目次


アフターコロナ時代の美容室経営で知っておきたいこと

新型コロナウイルス感染症の感染拡大による行動制限は、お金の使い方を大きく見直すきっかけになりました。美容室の利用に関しても、いつ、どこで、何にお金をかけるかは消費者のなかで変わった点かもしれません。

高単価の施術が注目を集める

美容室の1回あたりの利用金額が年々上昇していることが調査で明らかになっています。国内最大級の美容予約サイト、ホットペッパービューティーの調査によると、女性の1回あたりの利用金額は以下のように推移しています。

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利用金額の増加と合わせて、以下の点も上昇傾向であることが分かっています。

  • 店舗で販売しているヘアケア商品の購入額
  • カラーの利用率
  • 縮毛矯正の利用率

特にコロナ禍では顔がマスクで半分隠れてしまうため、自己表現の方法として髪を染める人が増えたという見解もあるようです。

そのほかにも、株式会社ライボの調査を見てみると、スマートフォンの利用がコロナ禍で「すごく増えた」「増えた」と回答している人が合わせて半数以上いました。さらにスマートフォンの利用目的を見てみると、最も多かったのは、ソーシャルメディアの利用を含む「コミュニケーション」で、回答の8割以上を占めていました。

ソーシャルメディアの利用がスマートフォンをチェックする大きな理由となりつつあるなかで、美容師がInstagramなどで活発に発信するようになるなど、写真や動画などを通して消費者がさまざまな髪型を目にする機会が増えてきたといえるかもしれません。

参考:
「美容センサス2022年上期」から読み解く!美容消費の兆し(2022年6月23日、株式会社リクルート)
客単価が過去最高額! 3つの理由は?(後編)(2022年6月30日、株式会社リクルート)
コロナ時代「明るい髪色」で自己表現 美容室金額1割高(2022年8月3日、日本経済新聞)
Job総研による『2022年 スマホ依存の実態調査』を実施 8割がスマホ依存に該当 コロナの孤独に使用時間1.5時間増(2022年9月12日、株式会社ライボ)

通いやすさを重視

コロナ禍以前と比べて重要視されるようになったことに、通いやすさが挙げられます。美容室の求人・転職専門サイト「ビューティーキャリア」の調査によると、通いやすさを重視する人の割合はコロナ後(※)は38%でした。コロナ前の13%と比べると、25%も上昇しています。反対に、同調査では「技術力」を重視する人はコロナ前までは31%いたものの、コロナ後だと11%にまで落ちています。

※本調査にある「コロナ後」とは、感染症が収束したあとではなく、感染症が発生してから調査が実施された2021年4月までの時期を指しています。

遠くまで出かけないことに慣れてしまった消費者からすると、美容室に行くためにわざわざ遠出する重要性が多少薄れているのかもしれません。

参考:コロナ前後で美容室を利用するお客様のニーズはどう変化したのか?(2021年4月27日、BEAUTY CAREER)

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5割以上がキャッシュレス決済を希望

コロナ禍で変化した生活習慣として、キャッシュレス決済が挙げられます。1年以内に美容室を利用した女性を対象にしたホットペッパービューティーの調査では、平均で5割近くの人がコロナ収束後もキャッシュレス決済、トレーを介した会計を継続してほしいと回答していました。

特に近年ではさまざまな場面でキャッシュレス決済が利用できるようになったことから、現金をあまり持ち歩かない人も増えているのかもしれません。なかにはATMにわざわざ足を運び、お金を引き出すことを面倒に感じる人もいます。「あの美容室は現金でしか払えないからな……」を理由に候補から外されてしまうこともあるかもしれません。お客様の利便性を考えて、導入がまだの場合はキャッシュレス決済を取り入れることも検討してみましょう。Squareなら、決済端末の代金(4,980円)だけで導入することができます。

参考:コロナ禍の美容トレンド調査(2022年3月24日、株式会社リクルート)

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6割のお客様が値上げに納得

物価高騰で値上げを検討している、あるいは値上げをした美容室も少なくないでしょう。値上げをしたらお客様が離れていくのでは……と心配する経営者も多いかもしれませんが、ホットペッパービューティーアカデミーの調査によると 「値上げが原因で、美容室は変えることはない」と答えた対象者は6割 もいたそうです。また「ヘアログ」の調査でも「値上げは許容できる」と答えた対象者は6割近くいました。前者の調査によると、許容できる値上げ幅として最も割合として多かったのは、カットだと「500円」、カラー・トリートメント・パーマ・縮毛矯正だと「500円から1,000円」でした。

参考:
ヘアサロンでの値上げは約4割、値上げ幅は500~1,000円未満が最多利用客の7割は、料金値上げに納得(2023年3月27日、株式会社リクルート)
2022年度の美容院の値上げ許容度は「58%」が許容できる!美容院の値上げに対する消費者許容度アンケート調査。(2022年6月14日、HAIRLOG)

次章からはこれら傾向を踏まえたうえで、具体的にアフターコロナの時代で取り組むべきことを見ていきましょう。

アンケート調査でニーズを把握する

前項で紹介したおおまかなトレンドを理解しておくことも大切ですが、実際の需要を把握することも欠かせません。肌感覚でわかることもあるかもしれませんが、実際にデータを集めてみると意外な結果が出たりするものです。

需要を知るための方法として、アンケート調査の実施が挙げられます。

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アンケートを実施する際には、お客様が答えやすいタイミングを考慮に入れましょう。タカラベルモント株式会社の調査によると、「ヘアサロンにいる時間を短くしたい」と答えた人は半数以上にもおよびました。さらにホットペッパービューティアカデミーの2021年の調査によると、美容室での理想の滞在時間として女性は1時間19分、男性は51分と回答しており、いずれも実際にかかる平均時間(女性が1時間28分、男性が54分)よりも短い時間を希望していました。

参考:
外出自粛明け、「ヘアサロンに行って良かった」97.0%、5割以上が「ヘアサロンは特別な空間」と回答。ルベル・エイジング世代女性のヘアサロン実態調査レポート。(2020年7月20日、タカラベルモント株式会社)
美容センサス2021年上期資料編(詳細版)<美容室編>(2021年6月、株式会社リクルート)

たとえば会計後だと「時間がなくて……」と断られてしまう可能性もあるため、カラーリングやパーマの放置時間などを活用して、アンケートをお願いしてみるといいかもしれません。

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満足度をしている点・していない点、需要のあるメニューなどは、課題探しや、よりよいサービスを提供するうえで役に立つ貴重な情報です。実際のニーズが見えてくると、次に起こすべきアクションも明確に見えてくるかもしれません。

SNSを活用して集客をする

Instagramで見た美容師のくりんくりんのパーマ姿が素敵で来店に踏み切ったなど、ソーシャルメディアから影響を受けて、行ったことのない美容室を訪れる人も近年では増えました。前述のようにコロナ禍でSNSの利用は増えており、潜在顧客の目に留まる確率も以前と比べて高まっているといえます。さらに美容室の公式アカウントに限らず、カリスマ美容師など、美容師の個人アカウントにフォロワーが多くつくことも珍しくありません。

投稿内容は、工夫次第で幅を広げることができるでしょう。

例:

  • ヘアスタイルの写真の投稿
  • ヘアアレンジのショート動画の投稿
  • 店舗で販売しているヘアケア商品の投稿
  • お客様のビフォーアフターの写真投稿
    など

「髪型を変えたい」という気持ちに働きかけるには、上記のように写真や動画の活用が効果的です。実際に写真・動画で発信するInstagramをきっかけに来店を決める人は少なくなく、「ヘアログ」の調査によると8割弱にものぼっていました。参考までに、次に回答が多く集まったのはYouTube(14%)でした。

参考:【SNSきっかけの美容院】インスタグラムが最多、満足度は「高い」。SNSをきっかけに美容院へ行った人へのアンケート調査。(2022年4月26日、株式会社ノーマリズム)

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在籍している美容師の個人アカウントと公式アカウントを合わせて、累計170万人のフォロワーを獲得しているある美容室では、個々の美容師のアカウントでどのような投稿が人気を集めているかなどを日々分析し、公式アカウントに掲載することでさらなる話題性を生もうと働きかけているようです。

このように結果の分析はSNSマーケティングにおいて欠かせない取り組みです。分析を通じて課題や今後さらに強化していきたい点を見つけ、リピーターや新規顧客の獲得につなげていきましょう。

参考:美容室「ALBUM」、「ホットペッパービューティーアワード2022」最高賞 累計フォロワー170万人の「SNS美容室」とは?(2023年2月5日、TECH+)

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オンライン予約システムを導入する

美容室は事前予約を取り入れているところがほとんどでしょう。予約方法には主に電話とインターネットという選択肢がありますが、近年ではスマートフォンなどを使ったネット予約の件数が増えているようです。美容室の予約方法として「ネット予約」を選んでいる人が女性だと55%、男性だと49%近くいたことが、ホットペッパービューティーアカデミーの2022年の調査からわかっています。

参考:【美容センサス 2022 年上期】≪美容室・理容室編≫ (2022年6月23日、株式会社リクルート)

ネット予約を受け付ける方法としてポータルサイトの利用がメジャーですが、気になるのが掲載料です。月々一定の料金を払う必要があるため、年間で計算するとかなりの出費になることもあります。

一方で、最近では、予約をいくつ受け付けても手数料が発生しない、お財布に優しいウェブサイト作成サービスが登場しています。このようなサービスを活用すれば、コストをぐっと削減することができます。

たとえばSquareを使うと、無料で予約サイトを作成することができます。予約を何度受け付けても手数料はかからず、月額利用料もかかりません。Googleの予約機能Instagramとの連携は無料プランから利用できるので、ソーシャルメディアからも予約を受けたい美容室には便利な機能でしょう。以下のリンクを参考にしながら導入を検討してみてはいかがでしょうか。

▶︎【Square 予約】オンライン予約の受付をはじめる
▶︎【Square 予約】SNSで予約を受け付ける方法
▶︎Square 予約の料金プラン

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マーケティング戦略を見直す

「アフターコロナ時代の美容室経営で知っておきたいこと」の章で紹介したように、アフターコロナでは通いやすさが重視されているようです。

「少し遠くても、わざわざ行きたくなるようなお店」「多少高くても受けたくなる施術」などを模索しながら、マーケティング戦略を立てていくことが大切かです。

マーケティングの効果を最大限に発揮するためには、ソーシャルメディアでの発信がどれくらいの人に届いているかを、分析機能などを活用して今一度確認しておくといいでしょう。

  • ブログ・公式サイト
  • Google ビジネスプロフィール
  • メールマガジン
  • LINE 公式アカウント
    など

売上アップのための戦略を立てる

マーケティングと同じくらい大切なのが、今日より明日、明日より明後日と売り上げを伸ばしていくための戦略です。お客様が1回の施術にかける金額を上げる方法としては、(1)オプションメニューをつけてもらうこと(2)店舗で販売しているヘアケア商品をおすすめすること、の大きく二つがあるでしょう。

効果的なセールストークのためにも、どのようなオプションメニューが人気を集めていて、ヘアケア商品の購入意欲はどれほどあるのかは把握しておきたいところかもしれません。

ホットペッパービューティーアカデミーの調査によると、コロナ禍で特に女性の間で伸びたのは、店舗で販売されている商品の購入額です。年間の店販購入金額は、以下のように推移していました。

  年間の店販購入金額(女性)
2019年 ¥9,947
2020年 ¥10,194
2021年 ¥10,958
2022年 ¥11,935

参考:【美容センサス 2022 年上期】≪美容室・理容室編≫ (2022年6月23日、株式会社リクルート)

この背景に、コロナ禍で以前よりヘアケアに興味を持つ人が増えたことが挙げられます。ホットペッパービューティーアカデミーの調査ではコロナ禍で興味を持つようになったメニューの1位に「髪質改善」がランクインしており、関心度の高さが受け取れます。

コロナ禍前と比べてお金をかけるようになったアイテムには、

  • シャンプー
  • コンディショナー、洗い流すトリートメント
  • 洗い流さないトリートメント、ヘアエッセンス、美容液
  • スタイリング剤

の順で票が集まっていました。ヘアケア商品の販売に力を入れていくことは一つ取り入れられる戦略かもしれません。

参考:コロナ禍の美容トレンド調査(2022年3月24日、株式会社リクルート)

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また来店客に限定せず、ソーシャルメディアなどの投稿を見たお客様が「買ってみたい」と思ったときにそのまま購入できるよう、ネットショップを用意しておくことも大切です。

最近では無料でネットショップを作成できるサービスも増えています。Squareもその一つです。プログラミングの知識は不要で、商品情報を入力したり画像を追加したりすることで簡単に作成できます。Instagramのショッピング機能とも無料で連携できるので、まずはSquareのアカウントを作成して、いかに簡単にネットショップを作れるかを実感してみてはいかがでしょうか。

予約管理はSquare 予約で

Squareの予約管理は無料から導入でき、事前決済はもちろん、有料プランの場合はキャンセル料も取れるので、ノーショウ対策もできます。専用アプリでも、お使いのブラウザでも、場所を問わず、どこでも予約の状況を確認、調整できます。

美容室の利用客が関心を寄せる美容アイテムや、美容室に求めるサービスなどはコロナ禍の影響を受けて多少なりとも変化しています。アフターコロナの時代に突入するなかで、新たなニーズに対応しながら効果的にマーケティングをしていくことで、お客様に毎回選んでもらえる美容室を目指しましょう。


Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。

執筆は2023年5月1日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。
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