飼い犬をリードなしに自由に遊ばせることができる犬専用の広場「ドッグラン」。最近では「近くに通いやすい価格帯のドッグランがない」「そもそも近所にドッグランがない」といった事情などを理由に、個人で立ち上げる人が少しずつ出てきているようです。
経済産業省の調べによるとペット・ペット用品はコロナ禍でも販売額が増えた業種の一つだそうで、ドッグランの需要が高まっていることも考えられるかもしれません。
参考:ペット産業の動向 -コロナ禍でも堅調なペット関連産業-(2022年3月11日、経済産業省)
この記事では犬がのびのびと運動できるドッグランを開業したいと考えている人に向けて、開業の流れや必要な資格、成功させるためのポイントやあると便利なツールなどを紹介します。
目次
- ドッグランを開業するまでの流れ
・コンセプトを決める
・事業計画書を作成する
・資金を調達する
・土地や物件を探す
・工事に取り掛かる
・設備や備品を調達する
・必要な資格などを取得する
・オープンに向けての準備をする - ドッグランの開業に必要な資金
- ドッグランに必要な設備
- ドッグラン経営を成功させるためのポイント
・衛生管理は徹底する
・犬の安全を考慮したルールを作る
・競争力のある料金設定にする
・ドッグトレーナーが常駐していると理想的
・ウェブサイトを開設する - ドッグランのウェブサイトを無料で開設しよう
ドッグランを開業するまでの流れ
ドッグランを開業するまでにはありとあらゆるタスクをこなしていくことになりますが、大事なのは一歩ずつ、確実に行っていくことです。簡潔にまとめると以下のような流れになります。
それぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。
(1) コンセプトを決める
どのドッグランも「飼い犬がリードなしに自由に走り回れること」がおおまかなコンセプトですが、たとえばすぐ隣りにドッグランができたとしても飼い主たちに選んでもらえるドッグランになるためには、「ここだけは負けない!」といった独自のコンセプトを考えておくことが大切です。
コンセプトは用意する設備や選ぶ土地にも関わってくるので、早い段階で固めておくといいでしょう。
(2) 事業計画書を作成する
融資などを受けて資金調達をしようと考えている場合、必ず準備しなければいけないのが事業計画書です。融資とは金融機関などから借り入れをして資金を調達する方法で、事業計画書は審査の際の重要な判断材料になります。
「競争力のある事業か」「事業を継続するために入念な計画を立てているか」
このような点は事業実績のない人であればなおさら重要視されます。そのため事業計画書には事業のビジョンのみならず、綿密な財務計画や市場分析、実施体制なども含めなければいけません。
事業計画書の内容が心配な場合には、中小企業診断士や税理士などの専門家からアドバイスをもらうという手もあります。
(3) 資金を調達する
ドッグランの開業資金は規模にもよるものの、だいたいの相場は1,000万円だといわれています。詳しい内訳はドッグランの開業に必要な資金の章で紹介しますが、まずはドッグランによくある資金調達方法を見てみましょう。
融資を受ける
信用金庫や地方銀行など融資先はいくつかありますが、なかでもおすすめなのは日本政策金融公庫(略称:日本公庫)の融資です。融資は事業実績がないと断られてしまうケースもありますが、日本公庫では「新規開業資金」を提供するなど、初めて事業をはじめる人の支援に注力しています。
補助金・助成金に申請する
返済する必要のない補助金・助成金に申請するのも一つの手です。交付額は補助金・助成金によって異なり、交付は申請から少なくとも数か月かかります。
クラウドファンディングで資金を募る
クラウドファンディングも補助金や助成金と同じように、返済不要の資金調達方法です。最近ではクラウドファンディングを使用して、「ドッグランに雨にも負けない大きな屋根をつくりたい」などとドッグランの開業に必要な資金の一部を募る人もいれば、ドッグランの開業資金をまるっと募ってしまう人もいるようです。クラウドファンディングのメリットや仕組みなどは「インターネットで資金調達!クラウドファンディングについて」の記事でも説明しています。
(4) 土地や物件を探す
ドッグランの面積には特に決まりはなく、社会動物環境整備協会によれば10㎡から1万㎡まで、さまざまな規模のドッグランがあるようです。
たとえば港区が公開している「区立公園等におけるドッグラン設置の基本的考え方」では、「概ね 1,000㎡以上とし、最低でも500㎡程度を確保する」としています。
このようにドッグランの規模は千差万別です。小型犬向けの小規模なドッグラン用テラスのついた物件を確保し、トリミングサロンやカフェを併設することもできれば、思い切って山林を購入してしまうこともできるでしょう。
そのため、まずは以下の点を明確にしておくといいかもしれません。
- ドッグランのみの施設するのか、カフェやトリミングサロンなどを併設した施設にするのか
- 屋内にするのか、それとも屋外にするのか
- 小型犬のみのドッグランにするのか、小型犬と大型犬の両方が遊べるドッグランにするのか
どこにドッグランを建設するかにもよりますが、ドッグランの土地や物件を決める際には以下の条件を重要視する人が多いようです。
- 駐車場のスペースが確保できること
- ドッグラン用にある程度の広さが確保できること
- 犬を飼う人が多い地域であること
- 上下水道があること、または井戸や浄化槽の設置が可能なこと
- 建築物が設置できること(シャワーやトイレなどを設置するため)
ドッグランの物件は「物件ファン」、山林などは「ジモティー」などに掲載されているので、まずはどれくらいの価格帯かを見ておくといいでしょう。
(5) 工事に取り掛かる
土地や物件が確保できたら早速工事に取り掛かります。作業としては小型犬・大型犬など犬種にあわせて土地を区分けする、犬が脱走してしまわないようにフェンスを設置する、犬用の洗い場や水飲み場を設置する……などが発生します。場所によっては天然芝やウッドチップを敷いたほうがいいこともあります。まずは必要最低限のところからはじめて、段階的に施設を充実させていくところもあるようです。
(6) 設備や備品を調達する
ドッグランのコンセプトや場所が固まってきたら、揃えるべき設備や備品も自ずと見えてくるでしょう。詳しくは「ドッグランに必要な設備」の章で紹介します。
(7) 必要な資格や許可などを取得する
ドッグランのみをはじめる場合には、特別な資格や許可は必要ありません。ただドッグランを経営する以上、犬との接し方など専門知識はある程度身につけておきたいところでしょう。たとえば日本ドッグトレーナー協会(JDTA)が認定する「ドッグトレーナーライセンス」や日本生活環境支援協会(JLESA)が認定する「ドッグトレーニングアドバイザー」などを取得していると飼い主から信頼を得やすいかもしれません。
ドッグランのはじめかたによっては資格や許可が必要なケースもあります。資格・許可をケース別で見ていきましょう。
▼農地として使用されていた土地を使用する場合
土地の地目が「田」「畑」の場合、農地法により農地以外の目的での使用が規制されています。そのためドッグランに使用する際には、地目を「宅地」「雑種地」などに変更する農地転用といった手続きを行わなければいけません。ただし土地によっては転用の許可が降りない場合もあることを覚えておきましょう。農地転用許可制度についてについて詳しくは農林水産省のページからご確認ください。
▼土地を取得する場合
市街化区域や市街地調整区域の土地を取得する場合は、土地の面積などによって「開発許可」が必要になります。
▼カフェを併設する場合
ドッグランでは犬と目一杯遊びたいと考える人もいるでしょう。思いっきり遊んでおなかが空いた人のためにレストランやカフェを併設しているドッグランも少なくありません。このようにカフェや飲食店などを併設したい場合には管轄の保健所から「飲食店営業許可」を取得しなければいけません。また衛生面を管理するうえで「食品衛生責任者」の資格を取得した人が最低でも一人は常駐している必要があります。
そのほかには以下に留意しておきましょう。
- ドッグフードを製造したい場合……届出の提出が必要
- 常温で長期保存できるものを自動販売機などで売る場合……許可の取得は必要なし
- 冷凍冷蔵が必要な食品や調理機能のある自動販売機などで売る場合……営業届出または営業許可の提出が必要
参考:自動販売機による営業の許可・届出について(2022年12月28日、浜松市)
▼トリミングサロンや預かりサービスを提供する場合
動物を預かることは第一種動物取扱業の「保管」に値します。
トリミングサロンをはじめとする犬を預かるサービスをドッグランとあわせて提供する場合は登録申請を行い、「動物取扱責任者」を選任します。詳しくは以下のリンクをご参考ください。
参考:第一種動物取扱業者の規制(環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室)
動物取扱責任者等(東京都福祉保健局)
(8) オープンに向けての準備をする
この段階まで到達したら、あとは以下の準備に取り掛かりましょう。
- 利用規約の作成
- 同意書の作成
- 利用登録証の作成
- レジ周りの準備(キャッシュレス決済端末やキャッシュドロワーなど)
- 集客用のウェブサイトの立ち上げ
- SNSアカウントの開設
など
せっかくオープンしたのに誰も来ない……というようなことにならないためにもドッグランをしっかりと宣伝できるツールを揃えておくのはもちろん、ドッグランを管理するうえで必要なものはこの段階で揃えておきましょう。
ドッグランに必要な資金
前章でも触れた通り、ドッグランの開業資金のだいたいの相場は1,000万円です。資金の内訳を見てみましょう。下記はカフェも併設した場合の内訳です。
- 物件取得費用
- 外装工事費用
- 内装工事費用
- 厨房設備工事
- 空調設備工事
- フェンス設置
- 天然芝
- その他施設費
ドッグランに必要な設備
飼い主が安心して犬を遊ばせてあげられるように、以下の設備や備品は用意しておくといいでしょう。
- フェンス
- 地面の舗装(天然芝、ウッドチップ、ゴムチップ舗装)
- 足洗い場
- 水飲み場
- 汚物用ゴミ箱やエチケット袋
- ベンチ
- 遊具
- 日除けエリア
など
特に注意したいのがフェンスの高さです。あまりにも低いと犬が飛び越えて脱出してしまうことも考えられるので、余裕のある高さのものを選んでおきたいところです。補足までに犬のなかには優れたジャンプ力の持ち主もいるそうで、ボーダー・コリーだと1.8メートルほどは余裕で飛んでしまうそうです。柴犬などの中型犬でも1.2メートルほどは飛べるようです。犬のサイズを目安に選ぶといいかもしれません。
また、足洗い場、水洗い場、排泄物用ゴミ箱などはドッグラン選びにおいて飼い主がよく注目するポイントのため、欠かさずに設置しておきたいところです。
ドッグラン経営を成功させるためのポイント
たくさんの飼い主に「このドッグランに行きたい!」と思ってもらうには愛犬が安心して過ごせるかが何よりも重要なポイントです。ドッグランを成功させるには以下の点に取り組むといいでしょう。
衛生管理は徹底する
いろんな種類の犬が集まるドッグランでは感染症の恐れがどうしても出てきてしまいます。特に屋外にあるドッグランだと、芝生にノミやマダニが発生してしまう可能性も考えられます。ドッグランの運営者が日々衛生管理に取り組むのは当然のことですが、飼い主にも「狂犬病予防注射済票」や「混合ワクチン証明書」などを持参してもらうのが一般的です。飼い主と飼い犬のどちらともが安心して過ごせるドッグランを築いていくためにも証明書などの確認は必ず行うようにしましょう。
犬の安全を考慮したルールを作る
ドッグランにはいろんな犬を迎え入れたいと思うかもしれませんが、さまざまな犬が同じスペースで走り回ったり遊んだりするからこそ、安全を考慮してある程度の規制を設けておかなければいけません。当たり前のことですが、たとえば攻撃的な犬は入れない、発情期のメスの犬は入れないなどです。
そのほかにもドッグランの規則によく含まれる内容を見てみましょう。
- 犬のオシッコには水をかけてください
- ドッグラン内ではご飲食・喫煙はお控えください
- ドッグランの外では必ずリードをつけてください
- 愛犬からは目を離さないでください
- 入退場する際には必ず扉を閉めてください
- 病気の犬の理由はお断りしています
など
トラブルを避けるためにも入場前には必ず目を通してもらうといいでしょう。
競争力のある料金設定に
ドッグランは無料のところと有料のところがありますが、有料にする場合、小型犬の利用料が一番安く、犬のサイズに合わせて価格を上げていくことが一般的のようです。料金は30分ごとや1時間ごとで設定することが多く、広さや施設がどれだけ充実しているかによって500円〜1600円とそれなりの幅があることが見受けられます。週末や祝日は利用客が増えることを見込んで、平日と比べて少しだけ価格を上げることも稀ではないようです。
また、屋外のドッグランにする場合は天候によって客数が左右される可能性も念頭に置いておかなければいけません。このような場合でも安定的に収入を得るには、会員制を導入するという手もあるでしょう。会員制度には「来場するごとに1ポイントが貯まる!20ポイント貯まると1時間分の利用がタダ!」などの特典をつけておくと、会員に希望する人も増えるかもしれません。
会員カードを作成するのは面倒……と思うかもしれませんが、Squareなら会員カードを作らずにたったの数ステップで簡単にお客様にポイントを付与することができます。方法としてはSquareのPOSレジで決済を受け付け、最後にお客様の電話番号を入力してもらうだけ。もちろん何ポイントでどのような特典がつくかは、自由に設定することができます。詳しくはSquareのデジタル特典プログラム「Square ロイヤルティ」のページをご確認ください。
ドッグトレーナーが常駐していると理想的
ドッグランでは犬同士の喧嘩や怪我などを避けるためにも小型犬と大型犬でスペースが区切られていたりしますが、初対面の犬が大勢集まるとなるとトラブルが起きることもなきにしもあらずです。不安を抱える飼い主にとって、ドッグトレーナーが常駐しているドッグランは心強いものです。なかにはドッグトレーナーが常駐していることをドッグラン選びにおいて重要視する人もいるようなので、自ら資格をとる、あるいは資格のある人を雇用することも視野に入れておくといいかもしれません。
ウェブサイトを開設する
多くのドッグランではウェブサイトを開設し、利用するうえでのルールや入場時に確認する証明書の種類などを記載しています。さらにはブログ機能などを活用すれば、衛生管理を徹底して行っていることを文章や写真でアピールすることもできるでしょう。
そのほかにも料金をはじめとする基本情報を記載していおくと、電話での問い合わせも減らせるかもしれません。特に人員が少ないと電話に出れずせっかくのお客様を逃してしまうことも考えられます。
Squareならブログ機能付きのウェブサイトを作成することができます。犬用の商品を販売できるネットショップ機能もついているので、後にオンラインショップもはじめたいという人にはぴったりです。詳しくは次章で紹介します。
ドッグランのウェブサイトを無料で開設しよう
Squareでは無料でドッグランのウェブサイトをはじめることができます。専門家などに依頼すると数十万円、内容によっては100万円以上かかることもあるウェブサイト制作。ドッグランの設備などを充実させるためにもウェブサイト制作のコストはできる限り抑えたいと考える人にはSquareがぴったりです。月々にかかる運営費用もなし。ネットショップ機能を利用した場合にだけ、決済ごとに手数料がかかります(※)。
※:より充実した機能が利用できる有料プランもあります。プランごとの機能についてはこちらからご確認ください。
Squareでウェブサイトを作成すると、以下のようなことができます。
✅利用料金をはじめとするドッグランの基本情報を記載できます
✅ドッグランでの様子を発信するブログが書けます
✅会員制を採用した場合に、会員料金を毎月自動で回収することができます
✅規則を記したページが作れます
✅利用に必要なものを記すことができます
✅犬用のアイテムが販売できます
✅イベントの参加料金を事前に回収できます
コードを書くなどの難しい専門知識は必要なく、やりたいことにあわせてボタンをクリックしたり情報を入力したりするだけでウェブサイトがどんどん完成していくので、ウェブサイトを作成したことのない人でもサクサクと取り組むことができます。
▲ペットの写真でオリジナルアイテムが作れる
Makers’ Baseさんのウェブサイト
またSquareではキャッシュレス決済端末も提供しています。電通株式会社の調査によれば、コロナ禍の影響を受けて、支払や買い物におけるキャッシュレス決済の利用が増えたと回答する人は対象者のうち半数以上いたそうです。
さらにキャッシュレス決済というと高額な買い物向けの支払方法かと思うかもしれませんが、「キャッシュレス決済の利用が増えた場所」として最も票が集まったのは少額で決済をすることも少なくないコンビニエンスストアでした。高額でなくても、キャッシュレス決済での支払を希望する人が増えていることから、利用料がそこまで高くないドッグランでもキャッシュレス決済を希望する人が出てくるかもしれません。
参考:電通、第2回「コロナ禍における生活者のキャッシュレス意識調査」を実施(2022年1月21日、電通株式会社)
Squareなら月額利用料金は0円、導入費用も数千円から購入できる端末代金のみ。加盟店審査を受けるには無料アカウントを作成し、必要な情報を入力するだけ(※)。クレジットカード決済だけでなく電子マネー決済やQRコード決済も受け付けることができ、気になる入金サイクルは最短で翌営業日です。
※:決済ごとにおける申請方法について詳しくはこちらをご確認ください。
Squareでは3種類の端末(写真左:Square スタンド、写真中央:Square ターミナル、写真右:Square リーダー)を提供しています。それぞれの価格や機能についてはこちらからご確認ください。
この記事ではドッグランを開業する方法を説明してきました。開放的なスペースでリードなしに走り回れるドッグランは、飼い犬にとってはオアシスのような場所です。思わぬトラブルが発生してしまわないためにも、施設の安全性や衛生面にはしっかりと気を配りながら準備などに取り組む必要があるでしょう。
ドッグランの開業には細々とした作業が多い分、決済まわりやウェブサイトの立ち上げなどはできるだけ簡単でわかりやすいサービスを選んでおくと少しは負担が軽減されるかもしれません。ウェブサイト作成サービスや決済端末を探すタイミングになったら、ぜひSquareを思い出してください。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2023年2月13日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。
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