フリーのウェブエンジニアとして独立、出版社を経てフリーの編集者に、前職とは一変、整理収納アドバイザーに転身……とフリーランスへのアプローチ方法はさまざまです。今後は会社に属さない分、自ら作業スペースを確保しなければいけません。手っ取り早く自宅をオフィスにすることもできれば、シェアオフィスを使用するという選択肢もありますが、特徴や費用が異なります。今回は予算や目的に合う作業場所が選べるよう、自宅や事務所、シェアオフィスやコワーキングスペースの特徴を紹介します。
自宅をオフィスにする場合
作業スペースが確保できるのであれば、自宅をオフィスにしてしまうのも一つの手です。実際に日本政策金融公庫が2018年に発表した、「フリーランスの実態に関する調査」によれば、事業をする場所として「自宅の居室」と回答する人が61.1%と半数以上を占めています。
参考:「フリーランスの実態に関する調査」(日本政策金融公庫総合研究所)
家とは別で事務所を借りたり、シェアオフィスを利用したりすると費用が発生するため、まずは自宅で作業をするという人も少なくないかもしれません。そのうえ、自宅の一部を作業スペースにすると、作業場に向かうための交通費と時間が発生しないうえ、仕事に使用する光熱費や家賃などの費用は「家事按分」として経費計上することができます。主な関連費用を以下に挙げます。
・家賃(業務用に使用している面積から計算)
・電気代(使用時間、またはコンセントの数から計算)
・電話代、インターネット料金(使用時間から計算)
それぞれ計算方法が細かいですが、活用することで節約にもつながる家事按分。最近ではfreee(フリー)をはじめに、記入や計算を簡易化しているクラウド会計ソフトも多く登場しています。低額で利用できるうえ、面倒な金銭管理の効率化が図れるため、ビジネスをはじめるこのタイミングにぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
以上メリットが多いようにも感じられる自宅のオフィス化ですが、「取引先などに自宅の住所を公開したくない」と考える人も少なくないのではないでしょうか。住所が必要となる場面には、主に以下が挙げられます。
・郵便物を受け取る
▶︎なかには明細や請求書を郵送する取引先もあるかもしれません。このような書類以外でも、取引先が「郵便物を送りたい」という場合、住所を教える必要が出てくるでしょう。
・名刺に記載する
▶︎最近ではさまざまなやりとりが電子化されているので、住所の記載は必要ないように思えるものの、住所が記載されていないと取引先に「信用力がない」とみなされる可能性があるため、できる限り記載しておきたいところです。
そこで自宅の住所を使用することに抵抗がある場合は、バーチャルオフィスを利用するという手があります。バーチャルオフィスとは架空の事務所を指しており、業務スペースの提供はないものの、住所や電話番号など、ビジネスをするうえで必要となる情報が借りられます。業務スペースがない分、後述するシェアオフィスなどに比べて比較的安価で利用ができます。
このようにバーチャルオフィスの利用を含めても、自宅であればあまりコストを割かずにフリーランス業を始められるでしょう。ただし、自宅を事務所として使用する場合は、自宅が「事務所可の賃貸物件」であるかを確認しておくのが安心でしょう。住居用と事務所用では賃貸契約が異なるため、無断で事務所として使用するとトラブルに発展することも考えられます。注意しましょう。
メリットをまとめると…
・コストを抑えられる
・家事費用は経費計上できる
・移動時間や交通費を気にする必要がない
事務所を借りる場合
自宅だと集中力が続かない、仕事とプライベートを分けたい、などを理由に事務所の賃借を検討するフリーランスもなかにはいるかもしれません。しかしながら、フリーランスとして独立してしまうと収入が不安定になることから賃貸契約が結びにくくなる可能性があるため、会社員であるうちに契約を済ませておくのが望ましいでしょう。
事務所を借りると(1)名刺に使える住所ができる(2)打ち合わせができるスペースが設けられる、などのメリットもあるものの費用面では決して安いものではありません。ただし事務所を持つのであれば、自宅兼事務所とは異なり、家賃の全てを「経費」として計上できることを覚えておきましょう。
メリットをまとめると…
・プライベートと仕事を分けることができる
・住所利用ができる
・打ち合わせ場所を確保する手間が省ける
シェアオフィスやコワーキングスペースを使用する場合
「そもそもシェアオフィスとコワーキングスペースの違いとは?」と疑問に感じる人もいるでしょう。もともとは下記のように定義されていたようです。
しかしながら運営会社によっては個人のスペースが確保されたシェアオフィスなどもあり、その定義は曖昧のようです。この記事では「フリーランスが働ける作業場所」として両者に触れます。
自宅での作業は進まなさそうだけれど、事務所にはコストが割けそうにない。このような場合に検討したいのが、シェアオフィスやコワーキングスペースの利用です。場所によっては都度利用できるところもあれば、月額費用が発生するところもあります。個人用のデスクを持てる、空いているデスクを自由に使用する、などによっても料金プランは変わるようですが、1万円から利用できるところもあるようです。都度利用であれば、1日1,000円ほどから利用できる場所もあります。
提供されるサービスとしては以下が挙げられます。
- コンセント、プリンタ、Wi-Fiなどの利用し放題
- フリードリンクの提供
- 郵便物の転送サービス
- 会議室の利用
- 法人登記
シェアオフィスやコワーキングスペースのメリットとは
事務所と比較したときのコストが低額である、シェアオフィスやコワーキングスペース。なかには住所利用ができるところもあるので、名刺やビジネス用のウェブサイトなどに記載できるのも一つのメリットでしょう。また、自宅での作業とは異なりさまざまな業界で働く人との交流が望めるため、情報交換やスキルアップ、仕事の依頼を受ける……などの機会にも恵まれるかもしれません。
メリットをまとめると…
・スキルアップや仕事の受注などの機会にも恵まれる
・事務所を借りるよりも低額で利用できる
・プライベートと仕事を分けられる
・必要な設備がある程度整っている
・住所利用ができる場所もある
パソコンの中に揃えておくべきツールとは
ここではあらかじめパソコンの中に用意しておきたいツールを二つ紹介します。
1. 事業用のメールアドレス
見積書や請求書の送付、仕事内容のやりとりなど、フリーランスになればメールの送受信頻度も増えるでしょう。このようなことから、事業用メールアドレスの作成は欠かせません。しかしながら副業などでビジネスをはじめていた場合は、未だ個人用のメールアドレスで業務を進めている……という人も少なくないかもしれません。
しかしメールでのやりとりを基本とするフリーランスとして、メールアドレスは名前のようなものです。そのため、「tarou-baseball」などのように「名前+趣味」がメールアドレスになっている場合は、新たなメールアドレスを作成することが好ましいでしょう。たとえば下記のように名前だけを使用したメールアドレスが無難です。
tarouyamada@gmail.com
また、信用性を高めるためにはGmailなど無料で取得できるサービスではなく、「〜@yamadaoffice.com」など独自のドメインを取得するのもおすすめです。有料ではありますが、サービスによれば年間1,000円ほどで取得が可能です。まずはお名前.comなどの代表的なサービスを検討してみてはいかがでしょうか。
2. ビデオ会議のアプリやチャットツール
なかにはビデオ会議ツールを使用した打ち合わせや、チャットツールなどを使用してこまめなやりとりを希望する取引先もいるかもしれません。スムーズに対応できるよう、代表的なサービスのアカウントを作成し、操作方法を一通り確認しておきましょう。
会社員のようにオフィス環境が用意されていないフリーランス業。予算はもちろんのこと、費用面以外での特徴も考慮しつつ作業場所を決めてみてはいかがでしょうか。
◀︎◀︎◀︎人脈を広げよう
(1)退職前後に必要な手続き
(2)金銭管理を万全にしよう
(3)オフィス環境を整えよう
(4)人脈を広げよう
執筆は2019年11月13日時点の情報を参照しています。
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