※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計等に関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。
支払いやその処理の場面でよく聞く「経費で落とす」という言葉。経費とは何なのか、「落とす」とは具体的に何を指すのか、そしてどんなものが対象になるのか正しく理解できていますか?
この記事では、そんな「経費で落とす」という言葉が指す意味を徹底解説。経費で落とせるものと落とせないもの、家事按分の仕組み、確定申告で知っておきたいこと、そしてよくある質問まで個人事業主が知っておくべき基礎知識をまとめました。
📝この記事のポイント
- 経費は正しく計上することで所得税や住民税、国民健康保険料などの負担を軽減できる
- 経費になるのは事業に必要な支出。事業主本人の給料や私的支出、住宅ローンなどは経費にできない
- 事務所や通信設備などを仕事と兼用している場合は、「家事按分」が可能
- 経費計上のタイミングは「発生主義」と「現金主義」の2通りある
- Squareのサービスを使えば経理作業を効率化でき、日々の経営がスムーズになる
目次
- 経費とは?個人事業主が経費で落とせるもの
- 「経費で落とす」とは?
・個人事業主が経費で落とすメリット・デメリット - 個人事業主が経費で落とせるもの
・商品・サービスにかかる費用
・事務所・設備・維持管理費
・営業活動・移動にかかる費用
・集客活動にかかる費用
・人件費・福利厚生費
・保険料・税金・金融関連の費用 - 個人事業主が経費で落とせないもの
・事業とは関係のないことに使った費用
・住宅ローンの元金・借入金
・生計を同じくする家族への支払
・経費計上ができない税金 - 家事按分割合で生活費の一部を経費で落とす仕組み
・電気代などの家事按分割合の計算方法
・家事按分の注意点 - 経費を計上するタイミング
・現金主義
・発生主義 - 確定申告で経費を申告するには?領収書は必要?
・経費を記帳・集計する必要がある
・領収書の保管ルールと提出義務 - 事業者が領収書をスムーズに発行する方法
・Squareなら決済・印刷・POS操作が1台にまとまる
・導入費用と手数料が明確で安心 - よくある質問(FAQ)
・Q. 個人事業主が経費にできる金額に上限はある?
・Q. 経費精算の際、領収書ではなくレシートでも大丈夫?
・Q. 紙の領収書を写真に撮ったら捨ててもいい? - まとめ
経費とは?個人事業主が経費で落とせるもの
経費とは、事業売上を得るために必要な費用です。事業で使う文房具やソフトウェアの月額利用料、交通費、外注費などは売り上げを得るために要するものとみなされ、経費として扱うことができます。
なぜ経費が重要かというと、利益を左右するからです。そして、利益によって決まるのが所得税額です。所得税は、「収入-経費-所得控除額」で決まる課税所得金額に、税率をかけて算出されます。課税所得が減ると適用される税率も低くなるため、経費が多ければ結果的に納める税金が少なくなるというわけです。
「経費で落とす」とは?
「経費で落とす」とは、事業活動の過程で発生した費用を経費として計上することを指します。たとえば、商談先に行くのにタクシーを使った場合、その費用は経費で落とすことが可能です。

個人事業主が経費で落とすメリット・デメリット
経費で落とす大きなメリットは節税効果です。所得額を低く抑えられれば、所得税だけでなく、住民税や国民健康保険料の負担軽減にもつながります。
一方、経費で落とすデメリットの一つが、記帳や領収書管理の手間がかかる点です。また、売り上げに比べて経費が多すぎると判断された場合は、税務調査の対象になることがあります。経費が利益を圧迫する状態が毎年のように続くと、個人事業主として融資を受けたりクレジットカードを作ったりする際に信用を得られない可能性も否定できません。
個人事業主が経費で落とせるもの
個人事業主が経費で落とせるものは、「事業で利益を得るために必要な支出項目」です。ここでは個人事業主が経費で落とせるものを具体的に見ていきましょう。
商品・サービスにかかる費用
商品やサービスの提供に必要な費用は経費として計上できます。ただし販売するために仕入れた商品は、棚卸資産(在庫)として一時的に資産計上されるため、仕入れ時点で全額を経費にすることができず、原則として売り上げが発生した時点で売上原価として処理します。
例)
- 仕入れ代金とその送料
- 原材料費
- 調査や企画、メニュー開発にかかる費用
- システム構築のための外注費用
- 業務に必要なソフトウェアの月額費用
事務所・設備・維持管理費
事業運営にかかるお金も経費として扱うことができます。ただし、10万円以上かつ使用可能期間が1年以上の設備や備品は、原則として固定資産(減価償却資産1)として扱われ、一度に全額を経費で落とすことができません。ただし、青色申告者の場合は少額減価償却資産2の特例により、30万円未満であれば一括での経費計上が可能です(年間300万円まで)。
設備や店舗の改修についても、使用可能期間を延ばしたり、資産価値を高めたりするものは「資本的支出3」とされ、減価償却で分割して経費にする必要があります。一方、通常のメンテナンス費用(約3年以内のサイクルで行う修理や、比較的軽微な改修など)は一括で経費に算入することが可能です。
例)
- 事務所や倉庫、駐車場やレンタルオフィスの費用
- 店舗什器や店舗または事務所の家具や備品(原則10万円未満)
- ネットショップの運営費用
- 文房具や電球などの費用(原則10万円未満)
- 水道光熱費や、インターネットや電話などの通信費
- 店舗や設備の修繕費(定期的な修理や、小規模な改修)
営業活動・移動にかかる費用
取引先開拓や打ち合わせ、出張などにかかる飲食代や交通費も経費で落とす場合は、事業にとっての必要性がわかるよう、同席者や理由を帳簿に記録するようにしましょう。ただし、営業活動の一環であっても過度な接待や社会通念上、不相応な支出は経費として認められない場合があるため注意が必要です。
例)
- 取引先との会食やコーヒー代
- 営業や打ち合わせ、ポップアップ出店などのため交通費や宿泊費、駐車場代
- 出張時の宿泊費に含まれる食事代(常識的な範囲内で)
- 事業用車両の維持費
- 取引先への手土産代や贈答品代(広告宣伝や関係維持目的)
- 取引先への慶弔金(事業との関連性が明確な場合)
集客活動にかかる費用
広告や宣伝など集客のための費用も経費です。ウェブサイト制作費も経費の対象になりますが、予約受付やネットショップなどの高度な機能が含まれている場合は、構築費用の一部を無形固定資産として計上し、数年にわたって償却する必要があります。この場合は一括で経費にできるわけではないため注意しましょう。
例)
- SNSやチラシなど広告の制作および掲載費用
- 見本市やイベントへの出展費用
- ポップアップ出店にかかる費用
- ウェブサイトや名刺、ショップカード、パンフレット、店内POPなどの制作費用
人件費・福利厚生費
従業員がいる場合は、給与や福利厚生費用を経費で落とすことができます。しかし、個人事業主自身の人件費や福利厚生費は経費として認められません。
例)
- 従業員への報酬および社会保険料
- 従業員の健康診断費用
- 従業員全体を対象とする懇親会費用
- 従業員への家賃補助(従業員全員を対象とし、社会通念上相当とされる場合)
保険料・税金・金融関連の費用
事業にかかわる保険料や税金の一部も経費で落とすことができます。借入金については、返済費用自体は経費になりませんが、利息は経費として認められます。
例)
- 消費税
- 営業車や事業用車両にかかる税金や保険料
- 事業所や事業用駐車場の固定資産税や火災保険料、地震保険料
- 設備の固定資産税
- 個人事業税や印紙税
- 借入金の利息
個人事業主が経費で落とせないもの
経費とは基本的に事業のための費用であることから、個人的な支出は経費で落とすことができません。不適切な計上が疑われると税務調査の対象となり、場合によっては追徴課税の対象になります。特に注意したいのは次の五つです。
個人事業主の給料や社会保険料
個人事業主には給料という概念がないため、自身の人件費は経費として認められません。また、国民健康保険料や国民年金保険料も個人で支払うべきものであるため、経費として計上できません。同様に福利厚生の概念もないため、事業主の健康診断費用などは個人で負担すべきものとなります。
事業とは関係のないことに使った費用
個人的な飲食費や、私用目的の外出にかかった交通費、個人的に使う文房具やデジタル機器など、事業とは関係のないことに使った費用は経費の対象外です。自宅兼事務所で事業を営む場合など個人用と事業用の両方を兼ねる支出は、家事按分という方法で事業に使った分のみ経費で落とせます。家事按分の仕組みは次の章で解説します。

住宅ローンの元金・借入金
借りたお金が売り上げではないのと同じで、返済するお金は経費ではありません。そのため、自宅兼事務所であっても、住宅ローンの元金・借入金は経費で落とすことはできません。なお自宅を事業用に使う場合、利息については一部を経費で落とすことができます。ただし事業用とした分については、住宅ローン控除の対象外となるので注意が必要です。
生計を同じくする家族への支払
6親等以内の血族、3親等以内の姻族で、同じ家に住んでいる場合(生活を完全に分離した二世帯住宅を除く)や、別居でも生活費を支援している場合は、「生計を一にする」と見なされます。こうした親族に対する給与は、次の要件を満たさない限り経費として認められません4。
- 15歳以上であること
- 個人事業主が青色事業者であること
- 親族が年間6カ月を超えて青色事業に専従すること
- 給与が労働の対価として相当であること
- 「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出していること
なお白色事業者の場合は、経費ではなく「事業専従者控除」となります。
経費計上ができない税金
個人にかかる所得税や住民税は、基本的に経費として計上することはできません。ただし、個人と事業兼用の自動車に関連する税金や、店舗兼自宅にかかる固定資産税などは、合理的な比率で按分して事業用に該当する金額のみ経費で落とすことが可能です。

家事按分割合で生活費の一部を経費で落とす仕組み
個人事業主の場合、自宅と店舗や事務所を兼用したり、自分の車で仕入れや打ち合わせに向かったりすることは珍しくありません。また個人で契約したスマートフォンを仕事で使う人も多いでしょう。こうしたケースでは、事業用に使った分だけを経費で落とすことができます。
とはいえ、厳密に使用分だけ算出しようとすると大きな手間がかかり、現実的ではありません。そこで認められているのが家事按分(かじあんぶん)です。これは、個人用と事業用を兼ねる支出について、「事業利用は〇%」という比率を決め、その分だけ経費として計上する方法です。
家事按分率に決まりはなく、割合は自分で決定できます。その際に重要なのが、合理的な根拠に基づいて算出すること。ここでは、その計算方法の例を支出項目別に見ていきましょう。
電気代などの家事按分割合の計算方法
個人用と事業用を兼ねている支出項目のうち、家事按分で経費計上できるものは一般的に次のとおりです。
例)
- 水道光熱費
- インターネットやスマートフォンの通信費
- 家賃、駐車場代、住宅ローンの利息、固定資産税
- ガソリン代、自動車保険料、タイヤ交換費用、自動車関連税
家事按分の比率は、量、時間、面積、距離など数字を基準に定めます。たとえば電気代の場合は、次のような方法が考えられます。
- 時間で按分:営業時間がだいたい決まっている場合、その時間分のみ計上
- 面積で按分:事業用のスペースが決まっている場合、その面積で計算
家賃など場所に関する費用は面積で、またガソリン代など車に関する費用は走行距離を規準に按分率を決めるのが一般的です。
家事按分の注意点
家事按分の比率を決める際のポイントは、「合理的に説明できるかどうか」です。たとえば水道光熱費のなかでも、ガス代は主に家事に使用されるものとして通常は家事按分の対象になりません。ただし、冬にガスの暖房を使っているなどの理由があれば、使用期間と時間から按分率を割り出して経費として計上することが可能です。
今回挙げた例のほかにも、経費として落とすことができるもの、できないものはあります。判断に迷う場合は、税務署や税理士に相談するとよいでしょう。
経費を計上するタイミング
ここで、経費を計上するタイミングについても押さえましょう。たとえば4月30日にクレジットカードで決済し、6月15日にそのお金が口座から引き落とされた場合、経費を計上するのはいつでしょうか?二つの考え方を紹介します。
現金主義
前々年度分の不動産所得および事業所得の合計が300万円以下の青色事業者と白色事業者には、実際にお金が動いた日を基準に費用を計上することが認められています。この考え方を用いると、今回の例の計上日は6月15日です。
現金主義で経費を計上するには、事業年度の3月15日まで(または開業から2カ月以内)に所定の手続きを済ませなければなりません。詳細は国税庁のウェブサイト5で確認してください。
発生主義
国税庁では必要経費6の算入時期として、「その年において債務が確定していること」を原則としています。これは、現金の支払い日とは関係なく、支払いの義務が発生した時点で計上するという考え方です。これを発生主義といい、今回の例では4月30日となります。
クラウド会計ソフトにクレジットカードの情報を連携させて明細を自動で取り込む場合は、決済日で仕訳が登録されますが、これも発生主義に基づいた処理です。現金主義で処理したい場合は、設定の変更あるいは手動での仕訳登録が必要になるでしょう。
なお、現金主義と発生主義のいずれを用いるかは、年度を通して統一しなければなりません。併用は認められていないため注意しましょう。
確定申告で経費を申告するには?領収書は必要?
記事の冒頭で、経費の正しい計上は所得税額を決めるうえで重要だと説明しましたが、その所得税額を確定させるために行うのが確定申告です。
所得税の確定申告に向けて個人事業主が行うことは、大まかに次の三つです。
- 売り上げの確定:1月〜12月の売り上げを集計します。なお、12月の売り上げの入金が年明けとなる場合でも、サービスや商品を提供した月で計算するため、当年の売り上げとして計上します
- 経費の確定:1月〜12月の間に支出した経費を集計します。家事按分は通常このタイミングで行います
- 控除額の確定:国民年金や国民健康保険、生命保険や地震保険、iDeCo、ふるさと納税、住宅ローン残高などの証明書や記録をもとに、金額を決定します

経費を記帳・集計する必要がある
確定申告に関連する作業の中で、もっとも手間がかかるのが経費の記帳および集計です。確定申告時期になって慌てないよう、毎月の経費は末日に記録するなどの習慣をつけておくと安心です。
記帳の際に迷うのが「どの勘定科目を使うか」ですが、実は特に決まりはないうえ、科目を自由に追加することも可能です。たとえば、集客のための予約システムの月額利用料は、消耗品費、通信費、広告宣伝費などが考えられますが、自分が管理しやすい勘定科目を用いればOKです。ただし、一度決めたら同じ科目を使うようにしましょう。
以下は、特に迷いやすい支出項目の科目例です。
| 支出項目 | 科目例 |
|---|---|
| ソフトウェア利用料 | 消耗品費、通信費、広告宣伝費(集客や採用目的の場合) |
| 取引先への手土産代 | 接待交際費、会議費 |
| ガソリン、車検料金 | 旅費交通費、車両費 |
| 駐車場(月額料金) | 地代家賃、賃借料 |
| 駐車場(一時利用料金) | 旅費交通費 |
| 一時出店の賃料 | 販売促進費 |
| 荷物の送料 | 荷造運賃、通信費、広告宣伝費(集客や採用目的の場合) |
| 広告制作費用 | 広告宣伝費、外注費 |
なお、収入や経費を記録した帳簿は、確定申告期限の翌日から原則7年間(白色申告の場合、任意帳簿は5年間)保存することが義務づけられています。
領収書の保管ルールと提出義務
帳簿とともに、領収書やレシートも原則7年間(青色申告の場合、前々年分の事業所得および不動産所得の金額が300万円以下の人は5年間。白色申告の場合は5年間)の保存が必要です。確定申告時に領収書やレシートの提出義務はないものの、税務調査が入った場合はすべて見せられる状態にしておかなければなりません。いざというときに対応できるよう大切に保管しておきましょう。
事業者が領収書をスムーズに発行する方法
店舗などを営んでいる個人事業主の場合は、領収書を発行する側にもなります。その場合、要件を満たす領収書をきちんと発行するだけでなく、その控えを確定申告期限の翌日から7年間保存しなければなりません。そこで検討したいのが、領収書の発行から保存までを効率化するツールです。
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よくある質問(FAQ)
最後に、個人事業主が支出を経費で落とす際によくある質問を押さえましょう。
Q. 個人事業主が経費にできる金額に上限はある?
個人事業主が経費で落とせる金額に制限はありません。ただし、売り上げに対してあまりにも金額が多い、あるいは毎年意図的に赤字の状態にしているとみなされた場合は、税務調査の対象になる可能性があります。
経費で落とせるのは、あくまでも事業で収益を上げるために必要な支出であると頭に入れ、所得額の操作と疑われる行為は絶対にやめましょう。
Q. 経費精算の際、領収書ではなくレシートでも大丈夫?
経費で落とす際の証憑書類として、領収書ではなくレシートでも問題ありません。ただし、原則として以下の項目が記載されている必要があります7。
- 年月日
- 商品名
- 内容
- 金額
- 発行者の氏名または名称
なお、消費税法上は宛名も必要ですが、小売業や飲食業、タクシー業をはじめ、不特定多数に対して商品やサービスを提供する事業者には省略が認められています。そのため、飲食店などで受け取るレシートに宛名が含まれていなくても、経費精算の書類として用いることが可能です。
Q. 紙の領収書を写真に撮ったら捨ててもいい?
紙で受け取った領収書は、画像データとして保存してあれば、原本を破棄しても大丈夫です。ただし、その際は「スキャナ保存に係る要件8」を満たす必要があります。
特に気をつけたいのは、次の項目です。
- 7日以内に保存すること(受領から保存までの処理規定がある場合のみ、業務処理サイクルを経過後、速やかに処理する。業務サイクルは最長2カ月以内に定め、その後の処理はおおむね7営業日以内に行う)
- データの訂正や削除ができないシステムを利用すること(利用しない場合はタイムスタンプが必須)
- カラーで読み取ること
- 14インチ以上のカラーディスプレイ、カラープリンター、操作説明書を備えること
- 年月日、金額、取引先などで検索できる状態で、ダウンロード可能な状態であること(ダウンロード可能でない場合は範囲指定や組み合わせの検索要件が追加される)
クラウド会計ソフトのなかには、これらの要件を満たす証憑管理サービスを付帯しているものがあるため、活用を検討するとよいでしょう。
まとめ
個人事業主は個人の生活と事業の境界線が曖昧になりがちだからこそ、経費で落とせるものと落とせないものをきちんと理解し、確定申告を正しく行う必要があります。記帳作業で迷うことがあったら、各市町村の税務署で相談してみましょう。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2017年10月13日時点の情報を参照しています。2025年8月20日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash

